ゲームマーケット2018秋の出展内容をすべてお届け

2018.11.17 Saturday

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     こんにちは、BakaFireです。ここ数週間の間、いくつかの事情によりゲームマーケットに向けた発表が行えずにおりました。どうにか一段落いたしましたので、本日はその全てをお伝えさせて頂きます。
     
     ブースはエリア10『BakaFire Party』となりますので、ぜひとも覚えておいてください。それでは始めましょう!
     
     
    新作『第弐拡張:神語転晴』発売!

     

     まずは今回の目玉となる、アナログゲーム版の新作をお伝えいたします。新たなメガミ「ホノカ」が登場し、さらにアナザー版メガミ3柱追加されます。とはいえ、こちらは数週間前にすでに特設サイトにて告知させて頂いております。より詳しくはそちらをご覧いただくのが一番でしょう。
     
     

     


    新作のデジタル版グッズは豪華な品ぞろえ

     

     今回はデジタル版のグッズも逸品ぞろいであり、私としても納得の品質となっております。ひとつずつ紹介いたしましょう。
     
     まずはTOKIAME先生描きおろしによるウツロ&ホノカイラストを用いたグッズセットです。高品質印刷のタペストリー、数柱分のカードを持ち運ぶのに最適なストレージボックス、外でも安心して使えるシンプルデザインのショルダートートバッグ、そして大好評のメガミタロットスリーブの新規イラスト版が取り揃えられております。
     
     この中で、メガミタロットスリーブに限っては単独での販売も行っております。ゲームでスリーブだけ使いたいという方もご安心ください。
     


     
     続けて、プロフェッショナルプレイマットの登場です。前回ご好評いただいたプレイマットの新作であり、今回は本気の決闘で使うのに最適なデザインとなっております。1枚でボード代わりにもなり、2人で使用できますよ。
     


     
     そしてアクリルフィギュアセットです。本作の4コマ『桜降る代のゆるい午後 シーズン2』のイラストに加筆、修正を行ったものであり、あまからするめ先生のイラストが可愛らしく彩ります。
     
     しかも仕上がりは極めてゴージャスです。特注のスタンドと合わせれば、メガミを名前と一緒に表示したり、メガミタロット替わりや、メガミタロットスタンドとしても使用できるのです。ゲームをより盛り上げること間違いなしと言えるでしょう。
     
     

    ※ これらのデジタルゲーム版グッズはゲームマーケット会場だけでなく、有限会社センキ様のネットショップ「極ジョー商店」でもお求めいただけます。

     


    過去作品ももちろん用意しております

     

     本作の『基本セット』『達人セット』『第壱拡張:神語起譚』、『惨劇RoopeR』シリーズから『惨劇RoopeR 5th』各種拡張、そしてメガミタロットスリーブや極ジョー商店限定スリーブなども取り揃えております。
     
     これから本作を始めてみたいという方は、まずは『基本セット』を手に取って頂ければすぐにゲームをお楽しみいただけます。安心してお越しくださいませ。
     
     
    特典プロ―モーションカードや紙袋ももちろん付属

     

     これらの製品を会場にお越しいただき、お求めいただいた皆様にはお礼を込めて、素晴らしい特典をお贈りいたします。新たなプロモーション集中力カード「ウツロ」をご覧ください。
     
     

     

    ※ これらの会場特典系のプロモーションカードは地方にお住まいの方に配慮し、配布から半年ほど後に全国の交流祭でも配布いたします。前回のゲームマーケット2018春にお渡しした「クルル」は2019年1月と2月の交流祭にてプレゼントさせて頂きますよ!

     
     それだけではありません。本作の特典紙袋は大型サイズですので本作を入れるのは勿論のこと、ゲームマーケットの会場でお買い上げいただいた他の素晴らしいゲームを収納するにも最適です。
     
     これに加えて現地ではほんのささやかなプレゼントもございます。ぜひとも私どものブースまでお越しいただき、拙作を手に取って頂けると嬉しい限りです。
     
     
    ガチャコーナーも第二弾が登場だ!

     

     販売スペースでの物販が頒布物の全てではございません。前回に大好評を頂き、現在は大阪への遠征に向かっているガチャマシーンがゲームマーケットのブースへと帰ってまいります。
     
     さらに今回は第二弾として、新たなカンバッチを用意いたしました。もちろんシークレットも新しいものを用意しておりますので、コンプリート目指してお楽しみくださいませ。
     
     前回のものが欲しい方もご安心ください。台数は少なめですが、第一弾のガチャマシーンも用意しております。

     


    ※ 画像は大阪の店舗に展示された時のものです。

     

     

    体験卓ももちろん多数用意!

     

     本作をまず遊んでみたい方もご安心ください。体験卓では本作と『惨劇RoopeR』シリーズをお楽しみいただけます。まずは「はじまりの決闘」で熱い決闘への第一歩を一緒に踏み出しましょう!

     


    デジタル版ではロケーションテストが実施!

     

     デジタルゲーム版については、ロケーションテストが実施されます(※)。昨日の記事でお伝えした通り、現在デジタルゲーム版は申し訳ないことにデジタルゲーム版は再び延期となってしまいました。詳細や今後については昨日の記事をご覧いただければ幸いです。
     
     しかしデジタルゲーム版の開発そのものは進んでおり、アナログ版のゲームをタブレット上で楽しむエミュレーターとしては及第点の完成度には至りました。まだ全てのメガミは使用できず、演出面も満点とは言えませんが、遊べることは間違いありません。
     
     その上で本作をただリリースするだけで終わらせず、魅力的な形で続いていく一作にするためには、今の時点で本作を遊んでいる皆様にとって対戦部分が期待した品質になっていることが重要だと考えております。そこで定期的にデジタル版に触れられる場を用意し、そちらでフィードバックを吸収できるようにしてまいります。
     
     今回はその第一弾となります。延期に加えてこのような不躾なお願いをしてしまい、大変申し訳ない限りではございますが、何卒ご助力を頂けると嬉しい限りです。そのついでにいち早くデジタル版に触れ、楽しんで頂ければこれ以上の喜びはございません。

     

     今回、そして今後のテストにご協力いただいた方には、特典としてステッカーもお贈りいたします。

     

     

    ※ アナログ版のルールをご存知の方が対象となります。本作に初めて触れてみたい方は、ぜひアナログ版の試遊卓をご利用ください。

     

    整理券制となります。整理券は以下の時間に配布します。
    10時30分より    11:00分、11:30分、12:00分、12:30分開始分を配布
    12時より    13:00分、13:30分、14:00分、14:30分開始分を配布
    14時より    15:00分、15:30分、16:00分 16:30分開始分を配布


     このようなテストは今回が全てではありません。12月の交流祭にご参加いただければ12月20日から開始するクローズドテストにご参加いただけます。そちらの詳細も昨日の記事をご覧ください

     


    ステージではもちろん、
    様々なイベントが実施されるぞ!

     

     今回のブースでも特設ステージを用意し、イベントを実施させて頂きます。お越しいただき、ご観覧いただければ嬉しい限りです。

     

    24日(土)に実施されるイベント

     

    12:00 BakaFire Party大発表祭

     

     今回の発表祭は前半と後半に別れており、それぞれ30分ほどの内容となっています。

     

     前半では本作シリーズをはじめとしたBakaFire Party全体としての最新ニュースをお送りいたします。アナログ版、デジタル版それぞれの今後の展望や、素敵な新情報もございます。
     
     後半ではゲストの方々をお呼びします。今回はデジタル版でオボロ役を務めて頂く若林直美さんと、サリヤ役を務めて頂くブリドカットセーラ恵美さんにご登壇いただけることになりました。お二人はCVとして素晴らしいのは勿論のこと、ゲームへの理解も素晴らしいといえます(特に若林さんは先日の初心者向け動画でも見事なトークを行って頂いております。お時間がありましたら是非ともご覧ください)。
     
     内容はCVについて、そしてデジタルのロケーションテスト版を遊んで頂くことを通してトークショーを行います。魅力的なトークにご期待ください。

     

    ※ 『BakaFire Party』ステージ前の観覧スペースにお越しいただきました先着70名の方は、ステージ前の観覧スペースでご観覧いただけます。
    ※ 観覧スペースへの入場は10時より開始いたします。12時までにお集まりいただいた方の内、先着の70名様をステージ前の観覧スペースにご案内いたします。
    ※ 観覧スペースを離れた場合には、他のお客様をご案内させていただく場合がございます。エリアを離れる際は、お近くのスタッフに声掛けいただけますと幸いです。


    14:20 TOKIAME先生ライブドローイング

     

     前回同様、本作のイラストを担当するTOKIAME先生のライブドローイングをお送りいたします。すばらしいイラストが生まれる流れをお楽しみください。
     

    15:20 TOKIAME先生、あまからするめ先生サイン会

     

     これまでと同様にTOKIAME先生にお越しいただきサイン会を行います。本作に関するものであれば、おひとり様一回につき1か所にサインして頂けます。
     
     さらに今回はもうひとり素晴らしいゲストがお越しいただけることになりました。本作の4コマ漫画『桜降る代のゆるい午後 シーズン2』を担当して頂いているあまからするめ先生にご参加いただき、こちらもサイン会を行います。サインして頂けるのは今回の新作である、あまからするめ先生のイラストを使用したアクリルフィギュアとなります。

     


    25日(日)に実施されるイベント

     

    11:30 決闘舞台:秋之陣

     

     24日が観客として楽しむイベントが中心だですが、25日には参加者として楽しむイベントが開催されます。11:30から16:00まで決闘舞台:秋之陣では本作を参加、観覧する形で楽しめます。
     
     最初はゲストとして、本作のシーズン1とシーズン2それぞれの大規模イベントでチャンピオンに輝いたあかさきさんますたーHさんをお呼びし、エキシビジョンマッチを行います。

     

     その後はデジタル版の追加ロケーションテスト会場となります。じゃんけん大会で勝利したプレイヤーにご登壇いただき、実況とともにデジタル版の対戦をお楽しみいただけるのです。もちろん、参加した両名にはステッカーをプレゼントいたします。
     
     こちらのイベントはもちろん入退場自由! 都合の良いタイミングでご参加いただき、自由なスケジュールでイベント、そしてゲームマーケットそのものをお楽しみいただければと思います。
     
     
     本日はゲームマーケットでの内容を全てお伝えさせていただきました。ご都合がつきましたら、ぜひともエリア10『BakaFire Party』までお越しいただけると嬉しい限りです。それでは、ゲームマーケットにてお会いしましょう!

    デジタル版の今後と2つのテストについて

    2018.11.16 Friday

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       こんにちは、BakaFireです。本日は大変心苦しいことに皆様に悪いニュースをお伝えしなくてはなりません。本年中のリリースと発表しております本作のデジタルゲーム版に、さらなる延期を行わなくてはならないと分かったのです。
       
       延期そのものについてのより正確で公的な発表は、デジタルゲーム版の開発、運営を行う有限会社センキ様のWebサイトにて掲載されておりますので、そちらをご覧ください。
       
       楽しみにしてくださっている全ての皆様にこの場を借りて、お詫び申し上げます。誠に申し訳ございません。
       
       私自身としても大変悲しく、辛く思っております。9月に書かせて頂いた今後の展望については撤回させていただかざるを得ません。これ以降に書く通り、確かに何かしらの動きはあるのですが、私が期待した万全のものではなくなってしまいました。こちらの記事で期待させてしまった方には、特に重ねてお詫び申し上げます。

       


      開発の現状について

       

       今回の延期において、私個人としては自分の立場から努力できる点がもはや残り少ないという点は辛いところです。しかしどうにか、喜ばしいところもございます。
       
       それは開発は間違いなく進んでいるという点です。実のところ本年頭ごろから開発のやり方が大きく変わっており、それ以降の進行は大いに改善しました。使えるメガミこそ限られており、演出、操作性も満点ではありませんが、及第点のゲームエミュレーターとしては現時点でほとんど完成しております。

       

       しかしながら、現状はあくまで及第点であるというだけです。十分に満足できる仕上がりではありません。ただリリースするだけに終わらせず、継続したコンテンツにするためにはもう一段階の品質向上が必要だと私どもは判断しました。

       


      いくつかの限定テストを行います

       

       ここまでの点を踏まえ、可能な限り皆様に楽しんで頂き、そして最終的にも楽しめる完成品とするために、私と有限会社センキ様は2つの決定を行うことにしました。
       
       11月24日、25日に開催されるゲームマーケット2018秋で第一回ロケーションテストを、そして2018年12月で第一回クローズドテストを実施いたします。
       
       最も大きな目的として、現在のバージョンが対戦ツールとして皆様の望むものになっているかどうかのフィードバックを求めております。それに並ぶ第二の理由は、今の時点で本作を遊んで頂いている皆様へのお礼として、デジタルゲーム版での対戦に少しでも早く触れる機会を用意したいという私どもの強い気持ちによるものです。
       
       それぞれのテストについて補足しましょう。
       


      第一回ロケーションテストについて
       
       ロケーションテストはゲームマーケット2018秋で行われます。本来そちらではデジタルゲーム版の試遊卓を行う予定でした。しかし現状を鑑みて、ロケーションテストという形に切り替えざるを得ないと判断いたしました。こちらもご期待くださった方には、大変申し訳ございません。
       
       とはいえ、遊べることは変わりません。最大の違いは完成版としての提供ではなくなること。すでに本作のルールをご存知の方に対象が制限されること(幸い、ご存知でない方にはアナログゲーム版の試遊卓がございます)。そしてより魅力的な形で完成版をお届けするための、簡単なアンケートを行うこととなります。

       

       

      第一回クローズドテストについて

       

       クローズドテストは2018年12月20日から1週間ほど実施されます。開催期間中、対象となる方はデジタルゲーム版を用いた対戦を無制限に行うことができます。
       
       但し、開発の状況により現時点で遊べるのはAndroid端末のみとなっております。こちらについては大変申し訳ございませんが、ご理解、ご容赦いただければ幸いです。
        
       こちらの対象もまた、すでにアナログゲームを遊んだことのある方に制限させて頂きます(ルールを知っている程度で大丈夫です)。そのために、こちらのテストは2018年12月の全国での交流祭にお申込み(※1)いただき、プロモーション集中力カード「サリヤ」を受け取る条件を満たした方(※2)を対象といたします。
       
       全国の交流祭は以下のスケジュールで行われます。これらのお申し込みは、こちらにて本日より開始しております


      東京 12月9日
      大阪 12月9日
      福岡 12月9日
      札幌 12月9日

      名古屋 12月9日
      新潟 12月16日


      ※1 申し込んで頂ければ、リザーバーでも問題ありません。但しもう一つの理由より、実際にお越しいただく必要がございます。リザーバーかつ満席の場合は、申し訳ございませんがご容赦くださいませ。
       
      ※2 勝利で2点、敗北で1点を獲得し、5点以上となった方が受け取れます。つまり多くて5回、少なくて3回のゲームを楽しんで頂ければ問題ありません。過去の交流祭に参加した方のほぼ全員が受け取れておりますので、ご安心ください。


       私どもは今後、何度かのクローズドテストを行うと共に、適切な機会にはロケーションテストを行います。そしてそれらを通してデジタル版を遊べる機会を用意しつつ、最終的なクオリティを高めていくよう尽力してまいります。

       


      アナログゲーム版や私の今後に向けて

       

       純粋に発表という形での文章はここまでとなります。この先では現状を踏まえて、私が今後どのようにしていくのかといった意思表示を行い、今後の展望についての修正を行います。個人的な心構えの側面が大きいですので、軽く読み流して頂ければ幸いです。
       
       正直に申し上げるとここ数週間の間、私は精神的に苦しい日々を過ごしておりました。二度目の延期が確実視され、その上でどのような発表なら行えるのかが模索されていた間のことです。これまで楽しみにしてくださった方を裏切ることへのこの上ない申し訳なさと、これ以上待ってくれないのではないかという不安に苛まれ続けていたのです。
       
       もちろん、私自身の過ちによる自業自得という側面もゼロではありませんので、反省すべき点に対しては強い自責と反省の念を持っておりました。
       
       とはいえいざ発表まで至り、私の心情も整理され、どうにか精神的にも落ち着いてまいりました。

       

       そしてデジタルゲーム版を進めるために私ができることがもはや余り多くはないということは、幸いな方向で捉えることもできます。ここ一年の間、私はデジタルゲーム版の実現のため多くの時間を使ってきました。しかし今、私に幾ばくかの時間が生まれたのです。
       
       遊んでくださっている全ての方がより楽しめるよう、私は私にできることへと全力を尽くし、この時間を有効活用したいのです。今のところ力を入れるべきは以下の2点だと考えています。

       


      1:アナログゲーム版の努力不足なところを補う。

       

       幸いなことに、本作のアナログゲーム版はうまくいっています。しかし、ここ数か月の間は近いうちにデジタルゲーム版が出るからそこに向けて最善を尽くそうという気持ちへの甘えから、アナログゲーム版への努力に幾ばくかの不足があったのは否定できません。
       
       私はこの時間を活用してアナログゲーム版をより魅力的に展開し、活力をもった形に立て直します。
       
       第一に、シーズン3ではこれまで以上にイベントへと力を入れたシーズンにしようと考えております。特に初心者向けやカジュアル志向のイベントに力を入れ、新しいプレイヤーが本作を始めやすいようにするつもりです。他方で競技的に頂点を目指せる場についてはすでに計画がありますが、それもより高いクオリティで行い、中級者以上の方も楽しめるよう尽力します。
       
       第二に、Webサイトに力を入れていきます。まだ『新幕』のサイトにはいくつかの未完成なところがあるため、それら全てを完成させ、整えていくのです。
       
       第三に、さらに未来の計画をより魅力的になるよう練りこみます(もちろん、すでに草案はありますが)。もうすぐ『第弐拡張』が発売し、本作は大きな転換点を迎えます。ホノカが登場して『第二幕』のメガミは出揃い、公式小説『桜降る代の神語り』の完結も遠くはありません。今のうちにその後のことをより深く考え、すでに企画を始めている『第参拡張』『第四拡張』を魅力的にしていきます。

       

       

      2:本作以外のゲームにも目を向ける

       

       第一には本作に比重を置くべきという状況は、まだ変わっていないと考えています。しかし、それだけではいけないとも感じています。
       
       進めるべき企画は当然ですが、それ以外にも作り掛けで止まってしまっているゲームや、過去作品のリメイクなど、私が行いたいことはいくらでもあります。全てができるとも思ってはいませんが、可能な範囲で頑張っていきたいと考えております。
       


       
       本日はここまでとなります。このようなお知らせをすることとなってしまい、最後に重ねてもう一度お詫び申し上げます。ご容赦いただければ、本当にありがたい限りです。
       
       そしてこの発表を終え、ようやくゲームマーケットの出展内容をすべてお見せできるようになりました。まだお見せしていないすばらしいものが多数ございます。明日の更新では、そちらを全てお知らせいたしましょう。

      桜降る代のゆるい午後2:第ex1回

      2018.11.15 Thursday

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        2018年11月24日、25日、ゲームマーケット2018秋にて

        『第弐拡張:神語転晴』先行頒布となります。

        ご来場、心よりお待ちしております!

         

        次回はもしかしたら、新たな流れがはじまる頃にお会いしましょう。

         

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        『新幕 半歩先行く戦いを』第1回:前進と後退

        2018.11.09 Friday

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           こんにちは、BakaFireです。先日の攻略記事では初心者の皆様を対象として、動画のシリーズを開始いたしました。もちろん動画としてはあらゆるプレイヤーの方々に楽しんで頂けるよう作成しましたが、すでにルールや最も基本的な立ち回りを理解されている方からすると「攻略」としては少しばかり退屈なところもあったかもしれません。
           
           そこで私はそちらの記事で、ひっそりとこう書いておりました。初級者から中級者へのステップアップは『第二幕』攻略記事である『半歩先行く戦いを』シリーズがお勧めであると。
           
           しかしこちらのシリーズは『第二幕』の記事ですので、今の『新幕』において全てが正しいとは限りません。あなたが実際に初級者から中級者への階段を上ろうとしているなら、そのような不確かな文章は信用し辛いものでしょう。他方でこのシリーズは間違いなく素晴らしく、ゲームになんとなく慣れてきたものの、勝利への理論がはっきりと見えないくらいの方にとってはまさに相応しいものなのです。
           
           そこで私どもは当シリーズを『新幕』仕様にアップデートすることにしました。
           
           記事を作成して頂くのは『第二幕』同様、つきのみちさんとなります。それでは、早速はじめていきましょう!

           



          著者紹介:つきのみち
           本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。新幕の大規模大会もシーズン1、シーズン2ともに4勝1敗で終え、その実力はいまだ健在だ。

           


          『新幕 半歩先行く戦いを』

          第1回:前進と後退

           

          著:つきのみち

           


           今回は「桜降る代に決闘を」の最も基本的な動き即ち基本行動から、「前進」と「後退」について考えてみようと思います。

           

           

          1. 前進と後退の基本

           

          「前進」は間合からオーラへ桜花結晶を1個動かす基本行動、「後退」はオーラから間合に桜花結晶を1個動かす基本行動です。「桜降る代に決闘を」の基本は「間合を合わせて攻撃カードを使う」ことであるため、間合を合わせるための基本行動である「前進」と「後退」は非常に重要です。

           

          「前進」はオーラを増やし、「後退」はオーラを減らすため、本質的に「前進」は「後退」より強力です。また、オーラは「宿し」によるフレア増加の材料となるため、「後退」を多く行う戦法はフレアを溜めにくくなります。大雑把に言うと1回「後退」を行うごとに決闘中に自身が使用できるフレアの総量が1減ります。


          ここまでの話だけで考えると攻撃の間適正距離が遠いメガミは不利に見えますが(実際不利なことが多い)、一方で間合は10からスタートするため、攻撃の適正距離が遠いメガミはより早くから攻撃を行う権利を持つ上、攻撃の威力も高めに設定されています。
          これらのことから、概ね攻撃の適正距離が遠いメガミ(=ヒミカ)は速攻で相手のライフを削り切る先攻逃げ切り型(所謂アグロ)、攻撃の適正距離が近いメガミは中速(ミッドレンジ)での決着を狙うことになります。

           


          以後、攻撃の適正距離が近距離に寄っている(間合の数字が小さい)ことを「得意な間合が近い」、逆を「得意な間合が遠い」と表記します。

           

          「前進」あるいは「後退」は宿すメガミによって回数に差があるとはいえ、どのメガミにおいても決闘中何回も行われる基本的な動作です。それゆえに強い使い方を知っているか否かが決闘の成果に大きく影響します。本格的に説明すると奥が深い話になりますが、今回は初歩的な所を解説したいと思います。

           

           

          2. 溜めて駆け抜けるように近づこう(中・近距離同士)

           

           相手より自分の方が得意な間合が近く、かつ現在の間合が相手の得意な間合より十分離れている場合、一度溜めてから駆け抜けるように「前進」することを意識すると良いでしょう。駆け抜けるようにとは即ち、豊富な集中力と手札、オーラの空きを駆使して1ターンに3間合、4間合といった距離を一気に移動することです。


           「前進」するためにはオーラに空きが必要となりますが、常にオーラを5にしながら「前進」していては途中で相手の得意な間合に留まることを余儀なくされてしまいます。そこで、相手の攻撃が及ばない遠距離にいるうちに「宿し」でオーラに空きを作っておき、ある程度相手の得意な間合に近付いてから一気に「前進」し、相手の得意な間合を飛び越してしまうのです。こうすることで、自分は攻撃を行いつつ、相手が攻撃を行うために「離脱」や「後退」を行うことを強要し、無駄な手数を使わせましょう。


           逆に自分の方が得意な間合が遠い場合、相手に駆け抜けられないようにする必要があります。そのためにはどうするか、相手より1手早く駆け抜けるのです。相手がオーラに空きを作っている間に自分もオーラに空きを作っておき、相手より早く駆け抜けることで機先を制するのです。相手より自分の方が得意な間合は遠いので、相手に強力な移動カード等が無ければ必ず先に到達できます。(もし無理に相手が先に駆け抜けようとすれば、手札まで使って無理矢理突破するか、力尽きてこちらの得意間合いで留まってしまうかのどちらかとなるため、どちらにせよ自分の得になります)


           上記をまとめると、近距離・中距離のメガミ同士の決闘の場合、互いに相手の攻撃が届かない間合でオーラに空きを作り、得意な間合が遠いメガミは自分の間合に届きそうな瞬間に一気に「前進」して攻撃を仕掛けることを狙い、得意な間合が近いメガミは出来る限り相手が「駆け抜ける」のに必要な手数を増やしつつ、隙あらば一気に「前進」して相手の得意な間合を飛び越すことを狙うのが基本となります。相手が次のターン何回「前進」できるのかをよく考えて、易々と何枚も攻撃を叩けない間合と、致命的なダメージを通さないオーラを維持しつつ相手にターンを返しましょう。

           

           

           

          3. 慎み深く後退し、激しく攻め立てよう(遠 vs 中近)

           

           自分の得意な間合が相手より大きく後ろにある場合、間合を移動するカードと「後退」を駆使して得意な間合まで戻る必要があります。この際の鉄則として「余計な攻撃はしない」事が挙げられます。相手のオーラが5であれば、相手は「前進」する為に「宿し」「前進」の2手を要しますが、相手のオーラに空きを作ってしまえば「宿し」を行わずとも「前進」できてしまうため、「後退」したい場面で不用意な攻撃を仕掛けることは相手を利する行為となります。下がっている間は慎み深く攻撃を控え、十分な手札を揃えてから一気に攻めましょう。


           なお、「梳流し」「奏流し」などのオーラで受けられない攻撃、「はらりゆき」などのオーラで受けにくい攻撃等は、相手のオーラに空きを作らないため「後退」しながら撃っても良いです。ただし、「はらりゆき」などの3/1攻撃は後に続く攻撃の圧力を出さなければオーラで受けられてしまうので、2/2や1/2、1/1の攻撃をちらつかせて圧力を効かせましょう。

           

           

           

          4. 自分も相手もオーラを枯らそう(中近 vs 遠)

           

           自分が近距離が得意で相手が遠距離特化の場合、とりあえず1ライフくらい余計に食らっても構わないので、とにかく相手の攻撃をオーラで受けてオーラに空きを確保しましょう(1ライフくらいは構いませんが、2ライフはやや怪しく、3ライフ余計に食らうと死ぬ可能性が高いので、闇雲にオーラで受けずに考えて受けましょう。ここが二幕との大きな違いです)。オーラに空きができることで「前進」が容易となり、相手が不利に自分が有利になります。ライフを少々支払う価値は十分です。後続の攻撃が怖いからとライフ受けを繰り返していると、近付くこともできず死を迎えることとなります。


           また、相手が「後退」なり移動切札を使うなりするにはオーラが必要(移動切札を使うフレアはオーラから生成される)なため、遠距離側のオーラを削ることは近距離側に有利に働きます。ライフ打点の高い攻撃や、ライフで受けられない攻撃を繰り出して相手のオーラを搾り取りましょう。特に遠くまで届く「フルバースト」「無窮の風」「流転の霞毒」「Steam Cannon」「円月」「黒き波動」辺りはとてもよく効きます。

           

           


          5. 間合を違えることは最大の防御

           

           全ての《攻撃》には適正距離があり、その間合に到達することができなければ、《攻撃》する権利を持ちません。究極的には間合さえ合っていなければ自オーラが0だろうがダメージは受けないのです。相手と自分の得意な間合が極端に異なっている場合、相手《攻撃》を行える間合に寄せ付けないことで一切の攻撃を遮断することができます。遠距離ではヒミカ・オボロによる壬蔓ヴァーミリオンフィールド、近距離ではユキヒにハガネやチカゲを加えた組み合わせが得意とします。

           

           

           

          6. 相手にやらせよう

           

          「前進」も「後退」も基本動作であるため、行使するには集中力か手札を消費します。当然ながら手札1枚が生み出す利得は基本動作1回の利得より大きいため(そうでなければカードの存在意義がありません)、極力基本行動に手札は消費したくありません。しかし集中力は1ターンに1しか得られないため、決闘で必要な基本行動を賄うには到底足りません。


          「前進」「後退」で間合を調節したい、でも手札を使いたくない。ではどうすればいいか。相手にやらせればよいのです。相手にやらせる方法はいくつかあります。

           

          • 相手のオーラを削り、ダストを枯らす

          相手はオーラを減らした状態でターンを渡すか、「前進」するかを選ばせることで前に進ませます。

           

          • 得意間合の外からちょっかいを出せるカードを使う

           ヒミカ+得意間合が近いメガミの組合せで、ヒミカではない側のメガミの間合をベースにした構築をした場合に「シュート」や「フルバースト」を添えておくと、遠距離から一方的にリソースを削れるため相手に「前進」させることができます(どちらが適切かは相方や戦術によります)。その間に自分は「宿し」でフレアを貯めることで、相手より先にフレアを貯めた上で相手に自ら自分の得意間合へ移動してもらうことができます。同様に、中距離が得意なメガミ同士の決闘において、間合2での攻撃手段を入れておくと相手に「離脱」「後退」を強いることができます。

           

           

           

          7. 例外がたくさん


          「新幕」となったことで個々のカードのパワーが増加し、相対的に基本行動の力は低下しています。その上新幕のカードプールには今回の基本に当てはまらない例外カードがたくさんあります。基本を理解した上で決闘を行い、応用・実践理論を身に着けてこそ強力なミコトへの第一歩となります。是非実践してみてください。

           

           

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          『桜降る代の神語り』第69話:決戦

          2018.11.09 Friday

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             絶望の中、彼女は数々の希望を受け継ぎ、再び刃を構えた。
            人も、メガミも、この地を遍く混乱に陥れた騒動は、ついに決着の刻を迎える。


             英雄・天音揺波、最後の決闘。
             その全てを、カナヱは今ここに語ろう。

             

             

             


             穏やかな夜風が、無数の傷を撫でる。天の頂に手を伸ばした月が、戦乱を物語る瑞泉城の荒れた敷地を見下ろしている中、決戦の舞台は雄大なる翁玄桜の輝きによって照らしだされていた。
             その異様な桜に、初め揺波は息を呑んだ。巻き付くように奇妙な木製の輪と数多の歯車が取り付けられた歪な姿が、事件の中心なのだと理解したからだ。ただ、そんな侵食も今や一部の歯車がぎこちなく回るのみで、整然とした動きは感じられない。

             

             故に、その下で瑞泉と向かい合った揺波は、意識から装置のことを外していた。
             勝利のためには、不要だったからだ。

             

            「…………」

             

             瑞泉も、揺波自身も、そして成り行きを見守る者たちも、訪れた静寂に身を浸している。
             相対する二人を囲むよう、瑞泉の背後には彼らの兵たちが、揺波の背後にはジュリアを始めとした仲間たちが、それぞれ位置していた。お互い考えることは同じで、本人たちに相手方が危害を加えないよう、警戒心を顕にしている。

             

             両陣営、賭ける物はあまりに大きい。
             だが、その行方を決する闘いなればこそ、この地に生きる者として最後まで見守る必要がある。神事を尊重する心と、万が一があってはならないという懸念が拮抗し、結果として遺恨なき決着を待つ舞台が出来上がっていた。

             

             

            「天音揺波、我らがヲウカに決闘を」

             

             宣誓する揺波。
             すると、ザンカから受け継いだ長大な斬華一閃が、一度桜と散り、再び彼女の手に収束していく。
             脈動する力はそのままに、天音揺波の刃となった斬華一閃は、今まで揺波が顕現させていたものよりも一回り厚く長く、けれどしっくりと手に馴染む。刃の重みと柄を握る手に伝わる温かさが、適度な緊張感と安心感をもたらし、勝利への意志を後押ししてくれた。

             

            「瑞泉驟雨、我らがヲウカに決闘を」

             

             対する瑞泉の手に、得物はない。自然体に構える彼は、しかし足元にわだかまる影を引き連れているような不気味な雰囲気を纏っており、神帯鎧も脱ぎ去ったとて、不足はないのだと気配で示している。

             

             静かに両者の意志と覚悟は出揃った。
             一方は、己の欲する世界のために。
             一方は、己の愛する決闘のために。
             未来を勝ち取るための闘いが、幕を開ける。

             

             

             

             


             彼我に挟まれた空間が、緊張のあまりに重く、硬く、横たわっている。今から一歩を踏み出さなければならないのに、揺波は静かにその開いた間合いを見つめるのみ。両者の意志だけが、既に剣戟の音を響かせているようであった。
             相向かうだけで、決闘の舞台は威圧の底に沈む。
             もはや達人の域を超え、練り上げられていく闘いの空気は神域に近づいていた。

             

             意を決し、じり、と右足を差し出す。
             二歩目は、より早く。
             だが、

             

            「っ……!」

             

             瑞泉から放たれる圧が、さらに強められ、一瞬足を止めてしまった。彼を恐れたわけではないが、揺波の内に宿る力が怯えているかのようだ。
             彼にとってそれは行動の始まりを告げる合図だった。緩く上にかざした左手の上で、収まりのいい配置を探すように、かちゃりかちゃりと何かを弄び始めた。その力の源と対峙したことのある揺波は、その動きがよくない結果をもたらすことを理解する。
             しかし、積極的な至近を選んだ揺波を、迸る黒い影が襲った。

             

            「ぅ、ぐ……」
            「そこで見ていろ」

             

             右手を突き出した彼の表情に、慢心などない。
             軌道を読みきれず、思わず結晶のみならず刀までも盾にしてしまい、揺波は前進する意志を軽くくじかれた形となる。
             決闘の場において、彼女はウツロやクルルの力に対して圧倒的に経験が足りていない。無形の影を駆使する攻め手の早さはひと目見ただけで驚異であり、自身の戦い方を体現するまでの苦境を瞬時に悟る。

             

             だが、天音揺波は最強の男の攻めをかいくぐったミコトである。
             それに及ばぬ攻めを前に、どうして彼女が怯むことがあろうか。

             

            「ふッ!」

             

             切り替えるように息を切って、飛び出すように前へ。
             襲い来る漆黒の闇が彼女の勢いを殺そうともがくが、貪欲に至近を求める揺波を止めるには至らない。ただ傷を承知で突き進むのではなく、鉛玉の雨を切り抜けたときよりも余力を残して、彼女は瞬く間に彼我の間合いを詰めていく。
             そして、足を両断しようと地面の影から生み出された刃を、巧みな足捌きで回避した揺波は、

             

            「やあぁッ!」
            「くっ……!」

             

             気迫と共に振った刃が、瑞泉の胸を切り裂いた。吹き出した結晶の破片に、有効打を確信する。
             と、

             

            「あ――」

             

             踏み込んだ足に体重を乗せていた揺波の身体が、僅かにぐらり、と傾きかけた。物理的な反撃を受けたせいではなく、どうしてか、くらくらと渦を巻いた思考が、次の一手への動きをかき乱したのである。
             それでも刹那の混乱を打ち破り、横薙ぎに二の太刀を浴びせんとするものの、瑞泉の腹に吸い込まれていくはずだった切っ先が、彼我の間に現れた影に飲み込まれた。

             

            「ふっ」

             

             手応えはなく、相手は滑るように一歩間合いを離していく。
             まるでそうくることが予期されていたかのような、抜かりのない受けだった。乱された思考も、未知の力なのかと思うと、次の一手を繰り出すまでに対策を練らなければならない。

             

             だが、天音揺波は最硬の男の守りを打ち破ったミコトである。
             それに及ばぬ守りを前に、どうして彼女が躊躇うことがあろうか。

             

            「あ、がぁぁっ!」

             

             お返しとばかりに、揺波の全身を電撃が焦がす。
             揺波の攻めを受けてなお、瑞泉からは焦りも迷いも感じられなかった。彼の攻めも守りも、最高と評するにはいくらか物足りない。けれど、それすらも予定調和だとばかりに、瑞泉は淡々と手中の次の動きを進めていた。

             

            「ふぅー……」

             

             揺波の頭は、それこそが瑞泉の強さであるとはじき出す。
             彼が達人の域に確実に至っているであろうことは間違いない。しかし、龍ノ宮が攻めを、古鷹が守りを極めたミコトであるように、瑞泉が分かりやすい技を極めているわけではない。

             

             彼が極めたものは、決闘の盤上にはない。
             己自身をも駒とし、結果への道筋を淡々となぞるその冷徹なまでの戦略こそ瑞泉驟雨の武器。無駄が生じるはずの立ち回りを一切の無駄なく完遂する達人の動きすらも歯車とする様は、勝利を生み出す完璧な構造を体現しているかのようだった。
             個々の動きでは劣っても、龍ノ宮や古鷹を超える強敵に違いない――一合交えただけで、揺波にはそう思えてならなかった。

             

            「どうした?」
            「…………」

             

             問う瑞泉の声に嘲りの色はない。間髪入れずに迫るという予測が外れてしまったではないか、とでも言うようだった。
             ずっと同じ調子で戦い続けてしまえば、彼の勝利に組み込まれてしまう。ザンカと共にこの場に立っているような境地であってもなお、揺波は勝ちを確信することができず、再び肉薄するための力を脚に溜めるのみだった。

             

             と、そんな揺波の焦りを溶かすような、斬華一閃のものではない温かさが、彼女の手に広がった。

             

            「あ……」

             

             左手のぬくもりに、励まされている。
             どこか子供らしく手を引っ張って、わたしもいることを忘れないで下さい、と主張されているかのようで、決闘の最中だというのに、揺波の顔が仄かに緩んだ。

             

            「お願いッ!」
            「む……」

             

             ホノカの力をいざ振るう。桜色に棚引く旗を顕現させた揺波は、力を送り出すように瑞泉に向かって旗を振る。
             その勢いや、風を切る音すら聞こえるほど。
             しかし、

             

            「なんだ……?」

             

             旗の軌跡から飛び立った、手のひら大の桜の精の動きはいかにも弱々しい。ぺちり、と念を押して突き出された瑞泉の結晶に阻まれ、相打つように光と消え、そして揺波の元へ戻っていった。
             大仰さとは裏腹に、決定打とは程遠い一撃に瑞泉の眉がひそまる。しかし、揺波の瞳は失望で彩られたりはしておらず、ホノカへの信頼に強く輝いている。

             

            「なら」

             

             それを見てか、警戒心を強めた瑞泉は、影を引き連れるように動く。
             安全圏に逃れるように後方へ向かったのではなく、彼が志向したのは前だ。

             

            「な……!」

             

             一気に間合いを詰めてきた瑞泉に、慌てて揺波が斬華一閃を顕現し直す。彼は途中で影から作った大鎌を手に収めていたが、実際にそれを振るうことはなかった。左手は相変わらず絡繰を弄んでいるため、そもそも満足に振れるはずもない。
             刀を持つ相手に対して、遠距離戦が行える者が自ら接近するのは一見して異常。しかし大鎌の柄を盾にするように突き出して鍔迫り合いを仕掛けてきたことから、近すぎる間合いでは刀も盾にしかならないことを瑞泉は熟知しているようであった。

             

             前方への脱出を大胆に選べる者は、それだけで強者足り得る。
             巧妙な動きを絶やさない瑞泉を相手に、時間をいたずらに生み出すこの超接近戦を続けるわけにはいかなかった。
             ただ、やや状況は異なるものの、揺波はこれに近しい場面に遭遇したことがある。
             最強の守りすら一度は崩した手を、迷いなく選択する。

             

            「……!」

             

             体内に溜め込んだ気を、肉薄する瑞泉が悟るほどに膨張させる。相手を圧し、その守りを吹き散らす威風は、計算された立ち回りに楔となって打ち込まれるだろう。
             僅かに顔を顰める瑞泉を窺いながら、揺波はさらに次の一手を考える。
             しかし、やはり彼に焦りはなかった。

             

            「全ては欺瞞」

             

             

             そう呟くと、青白く輝く奇怪な紋様が彼の周囲に浮かぶ。
             限界を迎えた揺波の気が、それごと吹き飛ばさんと破裂の瞬間を迎える。
             だが、

             

            「え……」

             

             威風が、現れない。
             溜め込んでいた気がどこかに消えてしまったかのように、何も起きなかった。
             そして、対抗するだけの力を使われたのだと瞬時に切り替えようとした揺波は、眼前の瑞泉の姿が歪んでいることにも気づく。音からしてそんな動きはしていないはずなのに、前後に行ったり来たり、距離感がまるで掴めなくなっていた。

             

            「くっ……」
            「土産だ」
            「ぐ、ぅあぁっ、あがぁ……!」

             

             やむなく打ち払って引こうとした揺波めがけ、冷徹に追い打つような雷撃が迸る。しかも、先程とは違い、二度焼かれることとなった。
             それでも刀を降ろさないまま、しびれる身体をおして瑞泉を正眼に据える。彼の周囲に広がった紋様は、余韻も残さずに消え去っていた。役割を果たしたからか、時間に限りがあるのか、もう視界は元に戻っていた。

             

             攻めは看過できる水準まで抑えられ、防ぐことの叶わない不可避の雷撃で身を焼かれる。揺波の懸念通り、彼の勝利を生み出す頑強な仕組みに飲まれてしまっていた。
             彼の勝利に盛り上がりなど必要ない。このまま淡々と傷を広げ続け、淡々と倒し切るのだろう。

             

            「これ、から……!」

             

             決意を示すよう声に出し、歯を食いしばる。
             瑞泉流の決闘を打ち破るには、どこかで爆発を起こさなくてはならない。

             

             

             

             


             刀は引き斬ることによって鋭利さを発揮できる武器である。正確には、そう振るうように作られている。故に、想定された彼我の間合いを逸すれば、なまくらの斬撃を繰り出すことになってしまう。
             しかし一方で、刀とは刃だけからできているものではない。十分な質量と硬さを備えたそれは、ある種の鈍器とも言える。

             

            「たッ!」
            「おぉっ!」

             

             切り結ぶかと見せかけ、切っ先を地面に向けた揺波は、斬華一閃の柄頭を至近の瑞泉の顔めがけて繰り出した。
             阻まれることなく吸い込まれてった柄頭は、瑞泉がわざと結晶の盾をどかしたためである。衝撃の反動を利用しながら一歩、二歩と下がりつつ、正しい刀の間合いにて斬撃を放つ。

             

            「無駄だ」

             

             再び、影が切っ先を飲み込み、振り切った勢いを逃しきれない。しかも、その動きに連動するかのように、猛烈に歯車が回転する音が響いたかと思えば、瑞泉は己の脚も動かさずに離したばかりの間合いを再び詰めてくる。
             古鷹に攻撃をいなされ続けたときのような絶望感はない。だが、細々とした攻撃は甘んじて受け入れてもらっているが、瑞泉は一向に致命的な隙を見せない。勝負の行方を左右するような大技を、彼は明確に警戒していた。

             

            「あっ、ぐぅ……!」

             

             再三の電撃に膝が折れそうになる。
             天守閣での戦いのような、天より雷を呼び出すほどではないにしろ、瑞泉の手中より迸る雷撃の回数は異様なほどに多かった。この中では、気で圧する間隙もろくに見いだすことができない。
             序盤でついた差を、どうしても取り返せない。
             歯がゆさが広がる中、体勢を立て直す猶予を作ってもらうように、心の中でホノカのあの光を求める。左手付近から飛び出していった桜の精が、彼の視界を塞ぐように顔面めがけて体当たりを敢行する。

             

            「ふん……」

             

             やはりそれは容易く防がれてしまい、構え直すだけの時間を揺波にもたらしただけであった。
             けれど、その大きさ。
             光の姿のホノカと触れ合っていた揺波には、桜の精が先程よりも大きくなっていることに気づいた。

             

            「あ……」

             

             それを裏打ちするかのように、左手に生じたぬくもりが広がっていく。
             苦境を共にし、支えてくれる頼もしい想いが、揺波の焦りを溶かしていった。

             

            「任せて下さいっ!」

             

             と。
             今度は確かに、そう聞こえた。
             まごうことなきホノカの声が、揺波さらに奮い立たせる。
             信頼の果てに選んだのは、刀も届かぬ間合いへの全力後退であった。

             

            「うん?」

             

             油断は見せないものの、訝しげな瑞泉。構うことなく、降り積もった桜の塵を巻き上げながら、華麗な足運びで距離を離す。取り残された盾の結晶に惜しさを感じつつも、防げない攻撃を繰り出す相手を前に、防御を薄くしたところで問題ないと直感していた。
            接近して、打ち合うのでなければ。
             もはや熱いとすら言える左手は、高まる力を示してやまない。

             

            「行ってッ!」

             

             合図と共に、一気にその力を放出する。
             桜の光が精霊の形に収束し、反動すら感じるほどの勢いで瑞泉へ突撃する。その姿は先程よりもさらに一回り大きく、纏う光はなお力強い。

             

            「ぐおっ!」

             

             反射的に身体を傾けての回避を選んだ瑞泉だったが、桜の精はそれを許さない。自分の意志で喰らいつくように軌道を修正し、弱々しかったことが嘘のような強さで彼の腹を打ち据える。
             散って戻ってくる光は、戦局に一石を投じた誇りを胸に、凱旋するかのようだ。

             

            「チッ……」

             

             ふらついた身体を立て直し、瑞泉がこの決闘で初めて苛立ちを顕にした。
             だが、

             

            「ふっ、ふはっ……ふははっ……!」

             

             煩わしさすらも飲み込む大きな感情が、獰猛さを帯びていく笑みに現れる。
             乱れた髪をかきあげる彼の瞳は、暗闇に潜む獣よりもなお妖しく光っていた。待ちわびた獲物を前に、狂気すら滲んでいるようだ。

             

            「そうだ、それだ……あんな弱々しいものではない……! その純然たる力こそ、謳われしヲウカの力!」

             

             彼には今、自分も他人もない。揺波にさえも焦点は合っていない。
             あまりにも大きすぎる野心に突き動かされる獣こそ、瑞泉驟雨。成就のために求めていた力を前に、今までずっと理性で蓋をしていた動力源が暴れだしている。

             

            「それを私に寄越せ、天音揺波ァ!」

             

             感情の赴くままに叫ぶ瑞泉が、二条の電撃を放つ。再び懐に潜りこもうと前進する姿は、理性にどうにか操られてさえいなければ、妄執に取り憑かれたようにしか見えなかっただろう。

             

            「っ……! お、ことわりですッ!」

             

             意志と反して雷に怯む身体を無理やり起こし、迫る瑞泉を見据える。
             彼女の体内に残された結晶は少ない。時を刻むように淡々と襲い来る雷撃は、瑞泉という機構が健在である限り、揺波の敗北の瞬間をも告げることだろう。
             けれど、すなわちそれは、敗北の刻を見定めることができるということ。
             今だからこそ、決死の執念を見せるとき。逃すことのできない機を掴み取るため、意志を燃やし、斬華一閃を強く握りしめる。

             

            「それにこの子は――」

             

             腰だめに構えた刃の腹に、桜の光を纏わせた手を添えて。
             稲妻に散らされた全身の力を総動員し、相手を討ち果たす底力を捻り出す。

             

            「ぽわぽわちゃんですッ!!」

             

             

             放たれる居合は、揺波の意志のように強く、鋭く、敗北をもたらす全てを両断する力となる。
             その勝利への執念の結晶を前に、瑞泉は、

             

            「知ったことかぁぁぁぁぁ!」

             

             さらに前へ、持てる結晶を全て動員し、強固な盾を構えて踏み込んだ。桜花結晶の輝きは、無慈悲にも揺波の意志を受け止めて、一拍遅れて生じた剣風で吹き飛ばされていく。
             全力で刃を抜き払った揺波は次なる行動に移りきれず、計算と覚悟の上で飛び込んでいった瑞泉は、ほんの僅かに生じた余裕によって影の波動を迸らせる。

             

            「っあ……!」

             

             なおも体勢を崩された揺波を前に、瑞泉が口を歪めて嗤った。手にした絡繰は、この先を暗示するかのように、ぴり、ぴり、と閃光を瞬かせている。
             その手を払うことすら、もう揺波にはできない。
             傾いでいく視界の中、残酷なまでに猶予を奪われたことだけを理解する。

             

            「これで終われよ、天音ッ! 今度こそォ!」

             

             もたらされる終焉に対して、守りは意味を成さない。満足な攻め手も見つからない。己にできることがどんどん脳裏から消え去っていく喪失感の果てでは、彼女が求めるものとは対極の概念が手招きしていた。
             でも、と揺波は自ら執念の炎を吹き消すことはしない。

             

             己が打てる手がなかったとしても。
             己に成せない勝利だったとしても。
             だからこそ、共に戦う相棒を最後まで信じ抜く。
             刃として振るったザンカの力でも届かなかったとしても、その左手に高まる力は信頼と、そして希望に満ちている。

             

            「お願い……ぽわぽわちゃん!」

             

             祈りというよりも、それは託すと呼ぶべき叫びだった。
             瞬間、舞台が桜の光に包まれた。

             

             

            「……!」

             

             手のひらに乗るような、可愛らしい姿形は過去のもの。
             光によって象られたのは、もはや人の形であった。身体を得たホノカに近いような、あるいは別の存在のような、桜の力が形を持っているということだけがはっきりと分かるその姿。

             

             現れたそれは、揺波を執念を受け継ぐように、瑞泉へと立ち向かう。
             負けないためではなく、勝つために。
             意志の宿った力が、最後の一手となって、解き放たれる。

             

            「な、あ……」

             

             自分が求めたものへ手をかけていた瑞泉に、これを受けるための手段はなかった。彼の守りは、既に欲望に喰われた後だった。

             唖然とし、言葉を失った彼は、迫る光の奔流に己の破滅を照らし出される。
             勝利を導く歯車はもう、動かない。

             

            「ちくしょぉぉぉぉぉぉっ!」

             

             獣のような慟哭が、桜の下に響き渡る。
             それも、光の中に飲み込まれた後には、塗りつぶされたかのように静まった。
             それが終わりの合図だった。
             決闘は、ここに決着を迎えた。

             

             

             

             


             敗北による動揺も、勝利の余韻も、観客からは湧いてこなかった。

             

            「なぜ、だ……」

             

             誰もがただ、膝をついて呆然と虚空を見上げる瑞泉の様子を窺っていた。あれだけ漂わせていた支配者の風格は消え去り、この敗北によって一瞬で全て失ったようにみすぼらしく見える。
             だが、彼の中で燃えていた野心は、燻るような惨めさであっても、未だ原動力のままであり続けたようだった。

             

            「貴様ら、何をしている……」
            「は……?」

             

             生気を失った目で、控えていた兵を見やる瑞泉。
             彼は理解を示されなかったことに激怒し、口から泡を飛ばして兵たちを怒鳴りつける。

             

            「天音揺波を捕らえろッ! 力を使い果たした今が好機、そんなことも分からないのか貴様らはッ!」

             

             無様だった。
             大家の長として君臨し、世を統べると謳った者の姿では決してなかった。
             しかし、手段を選んでこなかったからこそ、今日の結果があることもまた事実。彼の残った理性がはじき出した醜い正論は、どんなに無様であろうとも揺波たちが警戒しないわけにはいかなかった。

             

             咄嗟に、千鳥と佐伯が揺波へと並び、ジュリアを背中に隠す位置をとる。楢橋でさえも、彼らの後ろで複製装置を使えるよう構え、抵抗の意思を見せていた。
             泥沼の戦いが幕を開けるのか。そう悲観し、揺波が斬華一閃を握り直す。
             けれども、

             

            「おい……何故だ、何故動かない」
            「…………」
            「どうした、私の命令が聞けないのかッ!」

             

             悲鳴に近づいていく声を浴びせられたところで、瑞泉の兵が動くことはなかった。
             自軍の総大将が桜花決闘で破れたという事実は、兵の中にいるミコトの心を折るのに十分であった。直接襲うことも、重ねるように桜花決闘を挑むことも、選択肢から消えていたのである。
             そしてその諦観は、複製装置だけを持つ兵の恐れをさらに煽る。揺波の手にした斬華一閃の斬撃に身を晒すなど、到底できるはずもなかった。

             

             何より、ここでの抵抗は桜花決闘の定めに反する。
             実力差を理解してしまったという以前に、禁忌に近しい何かが、兵たちが武器を掲げることをよしとしなかったのである。

             

            「どう、して……」

             

             怒りで生じた力が、瑞泉から抜けていった。言葉を失い、兵たちもいたたまれないように沈黙を守り、意志が消えたようだった。
            それを見て、千鳥は手にした苦無を懐にしまった。

             

            「終わったな」

             

             揺波に笑いかけ、揺波もまた疲労をおしてはにかんだ。
             弛緩した空気が流れかけ、揺波たちは勝利を手にしたという事実が染み渡ってくる感覚を覚えていた。
             と、そんな彼らの耳に、砂利を踏む足音が割り込んだ。
             一瞬にして戻った緊張感の中、彼らの視線の先にあったのは、小さな影だった。

             

             ウツロ。
             揺波たちを苦しめたメガミが、ここに来て現れたのだ。

             

            「ソンナ……」

             

             絶句するジュリアに賛同するように、顔を歪めて身構える佐伯と千鳥。
             ウツロはまさしく満身創痍を体現したような姿で、その衣服のあちこちが避けていた。ふらふらと歩いてくる彼女の一部からは、砂のように細かくなった桜の光が宙に溢れている。
             しかし、メガミが立っているというそれだけで、状況がひっくり返る。
             僅かに残った力とて、人々を屠るには十分なはずなのだから。

             

            「ウツロ、ウツロッ!」

             

             地に手をつき、すがりつくような声で瑞泉は彼女の名を呼んだ。
             ただ、この場で一人だけ、ウツロのことを新手だと認識しなかったものがいた。

             

            「おい天音、何やって――」
            「もう、やめてくれませんか」

             

             揺波は、おぼつかない足取りのウツロを、瑞泉からかばうように立つ。這いつくばって懇願する瑞泉に対して抱いた憤りをぶつけるように、彼を威圧する。
             瑞泉には、彼女の行いが理解できなかった。敵どころか、最も恐ろしい存在に無防備な背中を向けるその神経が、分からなかった。ただ、自分の理屈を超えていく彼女に反抗する気力を失い、呆然とするだけだ。
             ざり、ざり、と近づいてくるウツロに、揺波は敵意のなさを伝えるように、優しく呼びかける。

             

            「ウツロさん」

             

             けれど、その先を続けることはできなかった。
             間近で見たウツロの様子は、死に体であることを除いても、なお異常であった。

             

            「え……」

             

             空虚だった瞳に、色がついている。
             その色は、恐怖――ここになって、彼女の心が塗りつぶされ、瑞泉にも揺波にも反応していないことを悟る。
             ウツロは、間違いなく何かを見ていた。
             ここにはない、誰にも分からない、何かを。

             

            「負け、たの……?」

             

             ぽつり、自問する。
             揺波の脇を、素通りしていった。

             

            「嫌……負けるのは、嫌……」

             

             戦慄く口で、怯えを訴える。
             小さく手にすがりついた瑞泉を、道に飛び出た枝であるかのように無視していった。

             

            「もう、何もない中で――」

             

             ふらふらと、ただ導かれるように。
             彼女の足取りは、翁玄桜の根元へ収束する。そこにはただ、ジュリアたちが破壊した神渉装置の残骸が静かに鎮座しているだけだった。

             

             だけの、はずだった。
             終わりを迎えた、はずだった。

             

            「ずっと一人なのは……嫌っ!!」

             

             

             激昂に賛同するように、動かないはずの神渉装置が悲鳴を上げる。
             ガタガタと、無理を通すように。
             絞り上げた命脈が、再び顕現する悪夢を想起させる。

             

            「な、なんでだよ……どうしてだよ……」

             

             後ずさる千鳥が、小石につまずき、尻もちをついた。
             誰の目にも分かる、神渉装置の再稼働。それを何より否定したがっていたのは、装置を破壊した張本人であるジュリアである。

             

            「アリエナイ……もう、動くハズありませんッ!」
            「で、でも、どう見ても――」
            「アリエナイんです! 動くことも、あのパーツが、ああやって動くことも!」

             

             目の前の光景を受け入れられないジュリアをよそに、翁玄桜の上部に取り付けられた巨大な歯車たちが崩れ始める。ズゥン、と巨大な質量が地を揺らし、これが紛れもなく現実であることを突きつけた。
             そして、壊れた歯車を追って桜の根元に目をやった者は、根元に落ちた影がだんだんと澱んでいく様を見てしまう。

             

             そして、闇は広がる。
             桜に最も近いウツロを飲み込むように。

             

            「ウツロさん……ウツロさんッ!」
            「ウツロ……頼む……! 私の、世界を……! ウツロォッ!」

             

             揺波は説得するように、瑞泉は懇願するように、それぞれ叫ぶ。
             だが、その声は彼女には届かない。

             

            「いやーっ! ぎゃーっ! 死ぬーっ! オレっち何も悪いことしてなーい!」
            「う、うわあぁぁぁ! 逃げろーッ!」

             

             溢れ出した恐怖に、悲嘆に暮れ、逃げ惑う。
             だが、その声も彼女には届かない。

             

            「ドウシテ、ですか……なんで……!」

             

             ジュリアの困惑も、届かない。
             彼女にとって、それは雑音でしかなかったのだから。

             そして影が、ウツロへと至る。

             

            「あ、ああぁぁぁぁぁぁ――」

             

             絶叫は、途絶えた。
             瞬間、広がっていた影は一度翁玄桜の根元へと戻り、そして破裂したかのように急速に広がった。

             

             揺波たちを、飲み込むように。
             否――この地を、飲み込むように。

             

            「は……?」

             

             しゃら、しゃらと、結晶の擦れ合う音が、洪水のように響き渡った。
             理解を越えた事象に、誰もが絶句する。

             翁玄桜が、散り始めていた。

             

             

             


             この日、大地から光が消えた。
             月明かりだけに照らされるこの地は、あまりにも暗かった。
             人間も、ミコトも、メガミも、影に飲まれた世界で、ただ悟る。
             終焉の訪れを。

             

             

             


             天音家が残した数少ない桜。在りし日を思い出させるその桜を前に、一人の女中は膝をつく。

             

            「あぁ……あぁ……っ!」

             

             無慈悲に散りゆく様を前に、彼女は嘆き、主の姿を反芻した。
             天音揺波が初めての決闘で勝利した、あの日のことを。

             

             

             

             


             遠く旧龍ノ宮城敷地内に毅然と立っていた桜が、風にその花びらを舞わせている。

             

            「おーおー、なんかえらいことになってんな」

             

             この地に顕現したメガミは、言葉とは裏腹に、真剣な眼差しでその光景を目に焼き付けた。
             そして紅の閃光と共に、彼女は何処かへ飛び去っていった。

             

             

             

             


             御冬の里からさらに北進した果てにある、極寒の大地。

             

            「ふむ……」

             

             吹雪に押し流されていく桜の結晶に、女は険しい顔を作っていた。
             散った結晶の輝きが失われていく中、雪の灯りすらも頼りにならない闇へ、彼女は歩きだしていった。

             

             

             

             


             仄暗い古鷹山群で光となっていた桜が、力を失ったように枯れ枝を見せつつあった。

             

            「オボロ様……一体何が……」

             

             任務を果たし、帰還した楠坂は、震える手で忍の里の桜に触れる。
             温かみなど微塵も感じない終の気配に、彼は決戦の地へと目を向けるしかなかった。

             

             

             

             


             古鷹邸。白金滝桜があった大舞台は今、影の底に落ちていた。

             

            「我々に、どうしろというのだ……」

             

             人智を超えた現象に、指示を出さなければならない叶世座座長・仲小路も、立ち尽くす他ない。
             舞台の向こう側に見えるただの細枝が、栄華の果てのようであった。

             

             

             

             


             揺波たちを見送る立場であった者共も、不吉を極めたような現象に呆然としていた。瑞泉領までほど近い平原にぽつんと生えた神座桜はもう、一切の無駄なく禿げ上がっていた。

             

            「オ、オボロ様……儂だけは、儂だけは助けてください……!」
            「お、おおおおいずりーぞおっさん! 俺様のほうが助かるんだ!」

             

             大の男たちにすがりつかれるも、オボロはその異様な光景に目を奪われていた。
             畏怖を隠しきれない彼女の頭の中では、一つの可能性が踊っている。けれど、それが正しかったとて、最悪の発現でしかない。考えることをやめそうになるくらい、あまりにも絶望的な可能性だった。

             

            「は、はは……」

             

             オボロの指先で、結晶たちが塵となり、空気に解けていった。

             

             

             

             


             そして、往時の華美を忘れたかのように散った翁玄桜。結晶の最後の一片に至るまで無に還っていった今、枝が徒に夜空を覆い隠すのみ。色あせ、命を失ったような様子は、まるであの遺構に佇む花無き桜の再現のよう。
             揺波たちに、この現象が全土で起きていることなど知る由もない。
             だが、一本が失われただけでも這い上がってくる夜闇は、それだけで前代未聞の事態が起きたと認識させるには十分であった。

             

             その下で、影は、佇んでいた。
             ウツロを依代とするように集った影が成す人の姿。

             

             

            「…………」

             

             ただ虚空を見つめるソレの容姿は、一見すればウツロが人のように成長したものに近い。齢にして、3か4を加えたあたりだろうか。
             背中に生えた影色の四枚翅がより大きくなっていることも、衣服に刻みつけられた渦を巻いたような紋様も、ともすれば装いを変えただけだと逃避できるかもしれない。

             

             けれど、彼女から溢れ出す圧倒的な力は、元のウツロよりも、他のどんなメガミよりも強大だった。この場の誰もが、彼女は決定的に変わってしまったのだ、と理解せざるを得ないほどに。
             あるいは、これこそが本当のウツロなのかもしれない。
             謳われし存在が真なる姿で降臨した――そんな可能性が、皆の脳裏をよぎる。

             

             終焉をもたらしたその影は、焦点の合っていない瞳で世界を見渡す。揺波も、瑞泉も、誰であっても平等に、風景の一部であるかのように見ていた。

             

            「ぁ……」

             

             揺波は、動けなかった。いや、揺波のみならず、皆一様に動くことができなかった。
             各々、これが畏怖によるものなのか、それとも恐怖なのか、あるいは絶望なのか、判じることはできない。彼らに分かるのは、それらの感情の坩堝と化したここにおいて、あの影だけは自由であるということだけだった。

             

             そして影は背中の翅を羽ばたかせ、なにかに導かれるように飛び立っていった。
             真の闇に落ちた、世界へ。









             このようにして、英雄たちは勝利した。
             氷雨細音はまだ人に近く、それでも人から外れた存在として英雄たちを助け、いよいよ完全に座へと至った。
             闇昏千影は縁を辿り、絆を紡ぎ、そして仲間と共に友を助けた。彼女もまたその果てに、メガミの座へと至ることになったね。
             サリヤ・ソルアリア・ラーナークは自らが仕える者のため奮迅し、その末に彼女も至った。しかし、あのような異常な侵入になるとはカナヱですら予想はできなかったよ。
             そして、天音揺波は力を受け継いだ。師であり、最後の刹那だけは並び立つ戦友だった彼女から、桜花決闘を愛する友として、ね。瑞泉驟雨との最後の決闘は、見事だったと評するほかないだろう。

             四人の英雄は決意を貫き、巨悪を打ち破った。


             だが、まだ物語は終わらない。
             終焉の影は目覚め、この地全てを揺るがす最後の戦いが始まる。

             さあ、物語を最後の段階へ――桜降る代へと進めよう。
























             ひとつだけ、カナヱの助言も聞いてもらおうかな。
             君のことだから、心躍らせているんだろう?



             

             

             

             

             






             異相の技のことは、カナヱも聞き及んでいるよ。
             君はカナヱと共に神話を辿り、この時の彼女へと至った。
             まさかとは思うけれど、宿そうなどとは考えていないよね?

             図星かい? まあ、止めても無駄なのだろうね。
             だが、終焉の影は君の想像を超えて危うい存在だ。



             ならばせめて、死を越えて、塵すらも残らぬ――

             無への恐怖を知っておくことだ。

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

             

            語り:カナヱ
            『桜降代之戦絵巻 第五巻』より
            作:五十嵐月夜  原案:BakaFire  挿絵:TOKIAME

             

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