『桜降る代の神語り』第74話:武神ユリナの初陣

2019.01.25 Friday

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     同じ物を想ったところで、その方向性まで同じとは限らない。
     決闘による興隆をこの地に望むユリナ。
     政治による興隆をこの地に望むシンラ。
     どちらが善でも、どちらが悪でもない。二人にあるのは、ただ強い信念だけ。

     

     想いの行く末を、今ここにカナヱは語ろう。

     

     

     


     その右手にかの武神の力はなく、その左手にも仄かなる輝きはない。
     けれど、地を蹴るユリナには迷いも不安もなかった。

     

    「行きますッ!」

     

     刃を携え、桜の根の上で悠然と構えるシンラへ、真っ直ぐに向かう。
     これまでずっと彼女の力となったメガミたちの助けがなくとも、もはや完成されたユリナの戦いが揺らぐことはない。積み重ねてきた数多の桜花決闘は、彼女のあり方を生み出していた。

     

     勝利への執念を軸に形作られた、王道の戦い。巧みな足捌きで間合いを合わせ、その末に苛烈な斬撃で相手を打ち倒す。
     その一挙手一投足は、ミコト・天音揺波のものであり、そしてメガミ・ユリナを体現する。
     まるでそれは、自身が象徴するものを示すかのようであった。

     

    「では――」

     

     しかし、相対するシンラもまた、積み重ねた己は決して劣らない。否、メガミとして生きた年月はユリナを凌駕している。
     故に、ユリナが王道の戦いを叩きつけようとしても、シンラも決して揺らがない。
     己を示すように、彼女はただ、決闘を否定する。
     周囲に揺蕩う書の一節が、仄かに光を帯びた。

     

    「自身が害悪となる可能性を理解していますか?」
    「……!」

     

     先の対話を経た上での、問い。本来なら、ただの詭弁でしかないそれ。
     しかし、毒のように染み込んできた意味をユリナが解した途端、呼応するように体内の桜花結晶が一つ失われた。
     そこに肉体の傷はない。けれど、まるで裏切りの果てに結晶が去っていってしまったような喪失感と、微かでも決意を鈍らせた己を取り戻さねばならないという焦燥感が、心の痛みとなって負傷を訴えている。

     

     これが、言葉の力。シンラが示さんとするもの。
     避けがたい不可視の刃に、ユリナはその権能の恐ろしさを改めて理解する。
     けれど、それは歩みを止める理由にはならなかった。

     

    「い……いえッ!」

     

     言葉の惑いを振り払うように吐き捨て、意思を込め直して踏み出す。
     それでも前に進み、刀を振るう。それが、武神ユリナなのだから。

     

    「やぁッ! あぁッ!」

     

     間合いを瞬く間に駆け抜けたユリナの刃が、一撃、二撃と閃いた。着込んだ見た目通りシンラが機敏に避けるということもなく、守りは破られ、先制分を取り返す。
     さらに追撃を、と力を込めるユリナだったが、言葉は容易く耳をくすぐる。

     

    「それ以上はもはや、私の有利へと働きますよ」

     

     ありえるはずもない大言壮語に、しかしユリナに刹那の迷いが生じる。理性と意思が乖離させられるような不思議な感覚の中、ついにはシンラを疑いながらも、攻めの手を止めて体勢を整えてしまった。
     言葉に、さらなる力が籠もっていく。

     

    「この程度の言葉で刃を止めてしまう……そのような覚悟で、あなたはその道を行けるのですか?」
    「っ……」
    「そして」

     

     決闘中であるにも関わらず、シンラの視線はユリナから外された。
     その先にあるのは、文字によって編まれた黒き繭。
     中で眠るメガミは、ユリナにとって共に道を行く仲間であったとしても、シンラにとってはこの世界を歪める怨敵でしかない。
     故に、

     

    「彼女は、神座桜の主席に相応しいのでしょうか?」

     

     先程までの対話を繰り返すようだが、矛先はユリナだけではない。
     ユリナの中に宿る桜花結晶。その母となる神座桜。
     彼女の考え方を改めさせるのではなく、力そのものに対して呼びかける。
     我が方につけよ、と。

     

    「……!」

     

     ユリナから、力という力が急速に失われていく。周囲に纏った守りも、内に秘めた気も、弁舌によって啓蒙されたが如く離反していった。
     踏み出されようとしていた再びの一歩は止まり、逆にシンラは笑みを深くする。
     間合いを離す好機であるはずなのに、彼女は離れない。
     まるで、ユリナの間合いであることこそが都合がいいのだと言うように。

     

    「では、その刃をお借りしましょう」
    「な……」

     

     緩く掲げたシンラの手の傍ら、宙に現れた物にユリナは絶句する。
     斬華一閃。
     もはや元の主はこの世になく、元より扱う者の限られていたそれを、ユリナはついぞ相手に構えられた光景を見たことがない。
     そんな稀有な象徴武器を送り出すようにシンラが手を動かせば、ひとりでに鋭い斬撃の軌跡を偽の刃は描いた。

     

    「ぐ、うぅっ……!」
    「ふふ……」

     

     守りを奪われたユリナを身体を、肉厚の刃が抉る。ただ複製されて投げつけられたのであれば攻撃にすらならないが、振るわれたそれはユリナの太刀筋を引用したかのように力強かった。

     

     心も抉るような一撃に歯噛みするユリナは、桜と消えた刃を見送りながら、意志の炎を込め直す。
     予想外の一撃を為したシンラは今、やや芝居がかったようにも見える、壮大さを感じさせる動きで間合いを離していた。それは刃鳴り散る決闘の舞台にしては決して早くはないものの、雄大な足取りと手振りは大望を語らんとするばかり。それを実際に成就させることのできる存在こそがシンラというメガミであり、告げようとする主論のために聴衆の視線を集めているようであった。

     

     それを許せば、負ける。ユリナの直感は、確かにそう告げていた。
     この状態から遮二無二刃を振るったところで、決着が見えるような一撃にはならないであろうことは想像がついていた。幾度も企図を挫かれている以上、こちらが容易に見いだせる勝利は、より大きなあちらの勝利の影でしかない可能性だってある。
     肉薄して刃を振るう……それ以外の何かを、見出す必要があった。

     

    「ふぅー……」

     

     僅かな焦りが首筋を冷やす。
     しかし、もはや今のユリナは完成されている。搦手を取り入れる余地などなく、付け焼き刃で策を弄しても、目の前の狡猾なメガミに通じるとは思えない。ましてやそれは彼女の信じる道の上にはない。

     

     だからユリナは、ただ自分のあり方を――進む道を見つめ直す。
     彼女にとって決闘とは、意志をぶつけ合う場。
     自分なら、勝利への執念を。
     良き好敵手であれば、技の果てへの望みを。
     そして今相対するメガミであれば、決闘への嫌悪を。
     得物は、刃であっても言葉であっても構わない。いいや、むしろ両極端なその二つが同じ舞台に立てていることこそが素晴らしいのだ。

     

     始まりは間違っていたかもしれない。けれど、ユリナは決闘という場を信じている。
     人々が愛し、彼女自身も愛した、この魂を焦がすような戦いを信じて、それに尽くすこと。それが決闘に生きてきた天音揺波の、メガミ・ユリナの進むべき道。
     もう廃れつつあることも、こうして存在を否定する者がいることも、意志を押し流そうとする激流に他ならない。

     

     けれど、声を上げるのが彼女だけだったとしても。
     それでも、激流の中を往く小舟のように。
     想いを乗せて、ぶれることなく真っ直ぐに、ユリナは歩んでいく。
     それが、勝利への渇望ではない、彼女が決闘に込める、新たな想い。言葉ではなく、身振りが、表情が、一挙手一投足がそれを体現し、決闘を見守る者たちへ静かに、けれど確かに伝える。

     

    「ほう……?」

     

     応じたのは、シンラだけではない。
     彼女がユリナの結晶を啓蒙したのとは逆に、ユリナの想いに一度は離れた結晶たちが集っていく。

     

     

     再び纏うは、想いの盾。
     そしてユリナは、斬華一閃の刃の向こうにシンラを置いた。

     

    「いいでしょう!」

     

     初めて表情を崩した、決闘の否定者を。
     獰猛に笑う、知性の信奉者を。

     

    「それでも私の理想は消えず――今こそ天地は反転し、法則は翻る!」

     

     

     自ら護りの結晶まで砕き、シンラは強引に己が権能を解き放つ。
     奇怪な色が染み入り、世界が彼女の望むがままに書き換わっていく。従えた書に書き加えられていく数多の文字が、訪れる変容の危険さを物語る。
     勝負は、静から動の局面へと移っていく。

     

     

     

     


     伝えるべき想いは示した。ならば後は、ぶつけるだけ。

     

    「はぁッ!」

     

     世界が塗り替わっていく中、一直線に駆け出したユリナが刃を振り抜いた。シンラが動いた今、ユリナもまた猛攻によって戦いの行方を手中に収める段である。
     何重にもなった袖越しに腕を捉えた一閃に、さらに追撃を図る。

     

    「てやぁぁぁッ!」
    「大振りでは?」

     

     上段からの振り下ろしに、実際シンラの言うような瑕疵はない。しかしユリナはその追求に身体を焦がされるのを感じ、必要のない軌道修正を強いられる。結果、僅かに反れた斬撃はシンラの裾を掠めただけに終わる。
     だが、連撃の意気高いユリナはそこで満足することなく、さらに一寸シンラの懐に踏み込み、柄頭で彼女の腹を強かに殴りつけた。

     

    「ぁぐ……」

     

     打撃の勢いに押されたように後退る。ただ、振り回した袖に視界を塞がれ、これ以上の追撃は許されない。
     シンラが守りが捨てていたこともあり、負わせた傷は大きい。じわじわと削られていた分の差は早くも埋まりつつある。
     だが、

     

    「ザンカの、力を……使いこなしているつもりのようですね」
    「…………」

     

     息を切らせながらも、シンラは言葉を紡ぎ続ける。
     それが彼女の武器だから。
     それが、決闘を否定する者の務めだから。

     

    「しかし、ザンカはもういないのです。あなたは……ザンカには、決してなれません」

     

     

     詭弁でも、欺瞞でも、屁理屈でもない、完全なるその論理。
     ザンカではない者が、それを持つことは矛盾する。ザンカ亡き今、ザンカの力の顕れであるそれが存在することは矛盾する。

     

     故に――ユリナの手にした斬華一閃が、はらはらと桜となって消えていく。
     世界がその矛盾を聞き届けたかのように、想いを訴えるための刃は存在の猶予を奪われ、やがて解けた桜の光も景色に溶け込んでいった。反論の余地もない、一方的な裁定の帰結は彼女の書に書き加えられ、抗う術はなかった。
     けれど、

     

    「……ますよ」
    「……?」

     

     ユリナの拳から力が失われることはなかった。
     滾る想いが胸にあり続けるのであれば、決闘はまだ終わらない。

     

    「分かってますよ、そんなこと」

     

     一抹の寂しさを滲ませながらも、尽きぬ闘志を示すように。それが、決闘を愛した者への手向けだった。
     そして、自分が歩む道へ、確と一歩を踏み直した。

     

    「だから……わたしは、わたしになるんですッ!」
    「……!」

     

     虚空を掴み、構えたユリナ。その手の中へ、光が結集していく。
     織り上げられていく形は、今まで言の葉を断ってきた肉厚の刀・斬華一閃。だがそれは、斬華一閃であって、斬華一閃ではない。
     先程よりも僅かに小ぶりで細身。ミコトとして顕現させていたときに程近い、ユリナの技にこそ最適な一振り。

     武神ユリナの斬華一閃。

     

     彼女が彼女として歩んでいくための、彼女の力。
     決闘を愛する者のためにある、彼女自身を象徴する剣。
     もう、シンラにはその実在を否定することはできなかった。

     

     

    「えあぁぁぁッ!」

     

     自分自身の想いを、自分自身の力で抱きとめて、ユリナは行く。
     想いを刻みつける斬撃は、止まることなくシンラを襲う。

     

    「省みよ、その足跡をッ!」

     

     それを、決して正面から受け止めずに、いなし、シンラは訴える。
     理想を打ち壊す論理は、絶え間なくユリナを唆す。

     

     この決闘に、刃が鳴り散ることはない。けれど、鋼の刃も言葉の刃も、己の想いを乗せた鋭い一撃に他ならず、それを交わし合う戦いを激戦と呼ばずしてなんと呼ぼうか。
     数多の桜花結晶は舞い踊り、舞い散り、一太刀、一言の合間に舞台をさらに桜色に染め上げる。
     そしてその周囲。彼女たちが立つこの根は、この世全ての桜花結晶が集っているかのような濃密な桜吹雪に包まれていた。繰り広げられる決闘に、込められた想いに、惹かれた結晶たちが結果を待ちきれないようだった。

     

     斬撃という鋭利な指摘に反論するように。
     その反論という言葉の刃を切り捨てるように。
     噛み合うようで噛み合わない二柱は、桜に見守られながら、自分が勝つその瞬間まで想いを叫び続ける。

     

    「……!」

     

     幾度かの交錯の中で、ユリナは異変を見て取った。法則を塗り替えていたであろう色が褪せ、シンラの従えた巻物からは文字がこぼれ落ちていく。未だ壮大に、雄弁に振る舞っているものの、その奥には歯噛みするような苦心が滲み出していた。
     変容をもらたしていた力が、限界を迎えたのだ。
     まさにそれは好機に他ならない。

     

    「はァッ!」

     

     刹那の判断から、全身の気を圧縮しながら一気に踏み込んでいくユリナ。解き放った気が相手の守りを吹き飛ばしたその先に、届く一太刀があるはずだった。
     表情を歪めるシンラ。退路はないと悟ったか、

     

    「っ……! それで終わりなら致命の失策です!」

     

     優れた備えへの称賛ではなく、今まさに振るえるものがないことへの指摘。それはユリナが盾としていた結晶の失望と化し、宙に塵と浮かぶ。
     それはさらに、文字へと変容してユリナに纏わりついた。

     

    「そこから届く太刀筋はもはやありません!」
    「うっ……」

     

     構えた刀を、どう振るうべきか思い出せない。追い込むために閃かせるはずだった一撃が、彼女の手にはない。盾を奪われただけでも痛手ではあったが、ここに至って攻め手を封じられるのはまさしく致命とも言える。
     高まり続ける気に、けれど決着への意思は潰えない。
     だが、見据えた結末もまたシンラに否定される。

     

    「誤つ者に、未来を切り開けましょうか!?」

     

     再び問われる資質に、ユリナへ与していた桜の力が考えを改めていく。あらゆる敵を断ち切ってきたあの大技を放つだけの余力は奪われた。桜に包まれていても、彼女の頭上に月が昇ることは許されない。
     決め手を欠いたまま、接近を叶えたユリナの気が高らかに弾ける。

     

    「く……ふふっ!」

     

     シンラの笑みは、決着に至る有効打がないと知っている笑みだ。
     そうであってもユリナは自身に手を止めることを許さない。至近の間合いから、威力が損なわれることを覚悟の上で、腰だめにした斬華一閃を強引に振り抜いた。

     

    「くあぁぁぁぁぁッ!」
    「あ、ぐっ……!」

     

     直撃し、結晶が吹き散らされる。だが、次の一手に繋げられない居合斬りでは、逃れていくシンラに追いすがることはできない。彼女の身に残された結晶が、一つか二つか、風前の灯火だとしても、だ。
     そしてシンラには、それだけあれば十分だった。
     荒く息をしながら、潰えない意思に支えられたように両腕を広げ、世界に向かって断じる。

     

    「今こそ、この世の法則すべては、私の手の中に!」

     

     

     彼女の纏った巻物が眩いばかりの光を放つ。
     一瞬焼かれた瞳が捉えたのは、この舞台を桜吹雪ごと覆う、見上げんばかりの伽藍。頂点には色とりどりの硝子がはめ込まれた天窓が、満ちる桜色の光を極光へと移し替えていた。
     荘厳にして、雄大。自身がこの世界のほんの一部でしかないと実感させられる。
     絶対なる知の殿堂は、取り込んだユリナの敗北に決を下す裁きの間だった。

     

    「く、うぅぅぅぅ!」

     

     知の光が、ユリナを焼いていく。シンラが唱え続けてきた言葉が、ユリナの敗北を確定させる論拠となって、敗北を確定させていく。ユリナを選んでくれた結晶たちがそれに抗い、力及ばず消えていく。
     シンラの書も、自身の放つ光に耐えられないのか、端から光に溶けていた。だが、その全てが失われるよりも先に敗北が決定してしまうのは明らかだった。
     それでも。いや、だからこそ。

     

    「絶対に――」
    「……!」

     

     ユリナは、倒れない。
     その意志は、挫けない。
     決闘への愛を支える、勝利への執念が否定されてしまうことは、なかったのだから。

     

    「絶対に、勝つッ! てやあぁぁァァァァァァァァァァァァッ!」

     

     

     失われる勝利の底に残った、ひとすくいの力を振り絞って。
     最後の一撃が、光を切り裂いた。

     

     

     


     カナヱはこうして過去を語ることができる。だけど、未来までは領分にはない。
     当時、どちらが勝つか分からない決闘に、流石のカナヱも手に汗握ったものさ。
     これを天音揺波の英雄譚という、確定した今に繋がる物語としてしか語れないことを歯がゆく思うよ。

     

     勝敗は決した。想いと、そして君の生きるこの未来もだ。
     始まりの終わりは、もうすぐそこにある。

     

    どこにも記されていない物語

    作:五十嵐月夜   原案:BakaFire  挿絵:TOKIAME

     

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    Ride on & Open the Gate!(中篇)

    2019.01.18 Friday

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      Recall of Record

       

       

       こんにちは、BakaFireです。今回の記事はサリヤ特集の中篇となります。前篇をまだお読みでない方は、こちらから読まれることをお勧めします。

       

       このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は第二シリーズ第4回にして累計第9回となります。

       

       前篇ではメガミ・サリヤに関する歴史を説明し、彼女のコンセプトやルールが生まれるまでの話をしました。中篇と後篇のやりかたは今回から少しだけ変更し、中篇ではまず新幕における変化を軽くお話しします。その上で個々のカードについて第二幕、新幕両方を踏まえてお話しするのです。全てのカードについて書くとあまりに長くなってしまうため、今回はN1からN4までの4枚を扱います。
       
       
      5→6

       

       『第二幕』においてサリヤが持つ造花結晶の数は6でした。これはどのように決まったかと言えば、特筆するほどの理由はありません。単純にこのくらいが強くて気持ちよく、また適正なバランスだと判断したためです。
       
       前篇でお話しした全ての問題解決が終わり、サリヤの概要が固まった後の話です。最初は桜の花のイメージから造花結晶5つから試しましたが、どうにも不自由さを感じて気持ちの良いゲーム展開になりませんでした。そこで単純に燃料を6にしたところ、丁度よい感覚が得られたのです。
       
       そして『第弐拡張:機巧革命』が発売し、フィードバックが届き始めました。何度か触れてきましたが、最初のフィードバックにおいてサリヤは強力過ぎるという意見が多数を占めました(逆にクルルは弱すぎるという意見が目立ちました)(※)。以前にも書いたと思いますが、当時の私はひどくナーバスになったものです。
       
       その際には多くのプレイヤーからサリヤの調整についての意見も届きました。当時の私の中で最も有力な案は「Omega-Burst」の消費を5にするというものでしたが、その中には造花結晶の個数を5にするという意見もありました。
       
       多くのプレイヤーが調整はもはや前提という感覚を示しており、私もまたそのつもりでいたのです。(チカゲで犯した失敗と違い)プレイヤーは幸いにして楽しんではいたため、1、2ヶ月様子を見て、最終的な調整案を発表するつもりでした。

       

       しかしサリヤへの見解は思いもよらない方向に進みました。その数か月間の間にプレイヤーの間での「対サリヤ」において燃料を無駄にするための立ち回りが研究され、結果としてサリヤの強さが実は適正であったことが明らかにされていったのです。最終的に『第二幕』のサリヤには一度の調整も入らず、完璧なバランスでした。
       
       今回のサリヤとクルルの騒動から、私は「受け手のリテラシー」と「使い手のリテラシー」という要素を大きく学びました。つまりサリヤは使い方がやや簡単で受け方が難しいメガミであり、クルルは使い方が難しいメガミだったということです。今ではこれらの要素はゲームバランスの調整においても重要だと捉えております。
       
      ※ その弱すぎるクルルが、初期には見向きもされなかった「びっぐごーれむ」を駆使して『第二幕』最終段階の環境を大きく荒らしていたのですから面白いものです。『第二幕』のクルルは禁止や早急な修正が必要なものではありませんが、今のようにカード更新というシステムがあったならば、間違いなく更新されたでしょう。

       


      6→5

       

       そして時は流れ『新幕』のバランス調整が始まりました。サリヤはクルルと同様に、コンセプトが明確かつ大成功しているメガミです。それゆえその在り方はほとんど変わらないことは明らかです。私どもは火力をどこで上げるべきか。そして僅かに存在していた使い辛いカードをいかに魅力的にすべきかに焦点を置いていました。
       
       しかしその中で、バランス調整チームから大きな提言がなされました。造花結晶を今回は5にしてはどうかというものです。過去においては結果として必要なかった案でしたが、確かに可能性としては納得した案でもあります。そうなると、確かに今回こそありえるのかもしれません。私はその提言はなぜ行われたのか、そしてどのような効果を狙ったものなのかについて傾聴しました。
       
       その根幹には『新幕』の思想である、全体的なゲームスピードの向上がありました。『第二幕』は間違いなく魅力的なゲームですが、(特にデジタルゲーム化するにあたっては)少しばかりゲーム時間の長さに難があると私どもは判断していたのです。
       
       実際のところ、シーズン1やそれ以前であるプレイテスト中のバージョンではゲームスピードは明白に早いものでした。それゆえにゲームは山札3周目の頭にはほぼ決着していました。
       
       しかしこうなるとサリヤには幾ばくかの問題があります。『第二幕』においてサリヤの燃料が6で絶妙だったのは、長いゲームが多く、それゆえに燃料を消費する機会が多かったためです。ゲームスピードがここまで早いと、燃料を使い切る頃に相手を倒すか、あるいは倒されているかという2択しかなく、燃料のジレンマが消えてしまっていたのです。

       

       これらの理由に私は納得し、燃料は実に1年以上の時を経て5へと戻ることになりました。シーズン2や3に向けたカード更新を経た結果としてゲームスピードの話においては幾ばくかの怪しさが生まれていますが、造花結晶を5にしたことそのものは正しかったと今は考えております。

       

       


       

       

      第二幕

       

       問題解決を終えてサリヤのコンセプトが明確になると共にデザインされ、一度も変更されませんでした。
       
       燃料の制限があるためにカードは強力であるべきです。それは攻撃カードを強くするという意味でもありますし、フレーバーから明らかに高い移動力を持つゆえに移動カードを強くするという意味でもあります。
       
       しかし、ただ強力な攻撃カードと移動カードをデザインしても魅力的になるとは思えません。『第二幕』に残されたデザイン空間では容認できるバランスのカードがあまりにも作り辛く、さらにそれらのペアを手札に揃えて連続で使うことが明らかな正解になってしまい、ゲームがワンパターンにもなってしまうのです。
       
       そこで至った結論は攻撃+移動というカードです。どちらのカードとしても弱めながらぎりぎり及第点の強さにした上で、その両方を行えるようにするのです。そして移動を騎動で行うことで、燃料も必ず消費するよう整えました。
       
       これは前篇で書いた「騎動を強調するために間合を離散的にする」という指針ともかみ合ったものです。これなら離散した間合を渡り歩きながら攻撃でき、コンボ技を決めるような感覚も鮮明なものになります。さらに騎動した結果としてもう一柱の間合に踏み込めればさらに利得を得られるため、二柱を組み合わせる感覚も強くなるのです。
       
       間合を離散させるため、3枚の攻撃カードは同じ間合をもってはいけません。そこでこのカードは4-5を担当し、シンプルにコンセプトを見せられるようになりました。結果はご存知の通り、大成功と言えるでしょう。
       
      新幕

       

       新幕では適正距離が3-5に広がりました。新幕では攻撃カードは全体的に強力にするべきですが、何も考えずにライフへのダメージを上げ続けると愚かなことになります。特にサリヤは連続攻撃が得意であるため、そのリスクは大きいものでした。
       
       他方で、一部のカードだけ強くするという手段も駄目です。『第二幕』のサリヤの攻撃は絶妙なバランスに整っていたため、その手段を取ると強化されたカードは明らかに強く、されていないカードは『新幕』についていけなくなってしまうのです。
       
       そこで、私どもは全ての攻撃に対してそれぞれが許されるやり方で小さな強化をばら撒くやり方を選びました。このカードは間合を拡大し、より連続攻撃をやりやすくしました。離散した間合というコンセプトについても、3枚の攻撃が1ずつしか重ならないよう散っていれば『新幕』のカードパワーの基準では筋が通っていると判断しています。

       

       

       

      第二幕

       

       「Burning Steam」と同時にデザインされ、これまた一度も変更されませんでした。離散した間合として「Burning Steam」が4-5を担当するならば、これは必然的に2-3を担当し、デザインを明確にするために同じテキストを持つことになります。
       
       しかし適正距離4-5と2-3を並べると、明らかに2-3のほうが強力です。前進は後退よりも強いため、間合は2の近傍に収束します。さらに『第二幕』では離脱がなかったため、その働きは『新幕』よりも大きなものなのです。
       
       そこでその差を埋めるため、燃焼という一言を付け加えました。これはバランスを取ると同時に燃料管理というコンセプトを際立たせるためのものです。結果はこれまた成功でした、さらに言うならば対サリヤの立ち回りにおいては「Waving Edge」で燃料が2消費されることが重要であるため、私どもの設計していた燃料管理は最終的なバランスにおいても絶妙なものであったと言えます。
       
      新幕

       

       「Burning Steam」同様に小さな強化が加えられました。適正距離が1-3となり、3/1になっています。それぞれ説明しましょう。

       4-5が3-5になるのとは違い、2-3が1-3になってもさほど撃ちやすさに変化はありません。これにはカードの相互作用を増やすという狙いがあります。「Waving Edge」で間合0に行けるようになれば、サリヤと間合0を活用するメガミを組み合わせる面白みが増すと考えたのです。
       
       ダメージについては総合的な判断によるものです。造花結晶が5になった点、離脱の追加で2-3と4-5の間の差は『第二幕』よりは小さくなった点、間合1の追加はそこまでの強化ではない点、サリヤのライフへのダメージを増やすことへのリスクの大きさなどを鑑みて、3/1こそが適切と考えたのです。


       

       

      第二幕

       

       離散的な間合で連続攻撃というコンセプトを考えると、攻撃が2枚だけというのは少ないと言えます。しかしすでに2-3と4-5は使っており、6-7としてしまうとあまりに使える組み合わせが限られてしまいます(そしてヒミカとの組み合わせで明らかな火薬臭がします)。
       
       加えて、少しばかり時間を遡りましょう。前篇でお見せした通り、昔のサリヤには乗騎で突撃するという要素がありました。これは実に格好よく、サリヤらしいものです。
       
       この2つの要素を総合的に鑑みて、私はひとつの確信を得ました。今こそチカゲの「毒針」での失敗へのリベンジを果たす時です。そう、間合1への再挑戦です。今回は「毒針」のように何となくで決めたわけではありません。間合は2-3とも4-5とも重なってはならず、そして突撃した瞬間の間合は極めて近いものです。構造としても、フレーバーとしても間合1が望まれていました。
       
       しかしチカゲでの失敗は余りにも痛烈であったため、私はさらに深く考え込むことにしました。結果として3つの要件が浮かび上がりました。
       
       第一にクリンチ戦略を増長させてはいけません。「毒針」最大の失敗を繰り返すことだけは避けなくてはならないのです。離脱なき『第二幕』においては間合0や1はあまりにも危険な領域でした。
       
       第二に「Burning Steam」や「Waving Edge」と同様に移動カードとしても働くべきです。サリヤの移動しながら連続攻撃するコンセプトは一貫しなくてはなりません。
       
       第三にはサリヤ自身が間合1に行く手段を持っている一方で、簡単であってはならないというものです。手段が必要なのは「クリムゾンゼロ」の失敗から明らかです(※)。他方で簡単にすると自己完結性が高まりすぎてしまいます。他のメガミの力を借りれば簡単になるからこそ、2柱を組み合わせる楽しさが高まるのです。

       

       そしてそれら全ての要件を満たすように知恵を絞った結果がこれです。幸いなことに私の定義した要件は正しかったようで、この1枚も見事な大成功でした。
       
      ※ 『第二幕』で間合2以下で前進できなくなった結果としてヒミカは自力で「クリムゾンゼロ」を撃てなくなり、「クリムゾンゼロ」はほとんど使われないカードになってしまいました。

       

      新幕

       

       『第二幕』でのコンセプトから見ても間合は広げられません。また、この効果は実に整っており、どのように変更しても不自然さが付きまといます。
       
       他方で「Sceild Charge」は連続攻撃に活用し辛いカードであるため、この1枚はライフへのダメージを上げてもリスクは低いと考えられます。こうなれば、3/2にする以外ありえないでしょう。


       

       

      第二幕

       

       サリヤの問題を解決した後、私どもは7枚の通常札について考え、必要な骨格とフレーバーの両面からカードのコンセプトを決めていきました。結果として6枚は滑らかに決まったのですが、残り1枚に関してはこれだと確信できる案に至れずにいました。それこそがN4、「Steam Cannon」の存在している枠です。
       
       そこで私どもは他の6枚を見て、それらが存在するという制限を踏まえて必要なカードを逆算したのです。まず注目したのはカードタイプとサブタイプです。4枚目の全力でない攻撃にはリスクがあり、また4枚目の行動カードはもはや不要です。「Turbo Switch」と「Omega-Burst」はいかにも強力そうなので対応カードもやめておくべきでしょう。他方で、付与カードがない点も注目すべきです。
       
       結論として、カードタイプとサブタイプは攻撃/全力、付与、付与/全力の3択になりました。1枚は付与があるべきではないかという感覚からいくつかの付与カードを先に考えましたが、しっくりくる案にはなりませんでした。
       
       その理由は2つありました。第一には「Julia's BlackBox」が存在していたこと。そして第二に騎動で2ターンに渡る間合変化が起こることがすでに付与札的な挙動であり、同時に通常札の付与カードに相応する複雑さを生んでいたことです。
       
       第二の理由は特に重要なものでした。サリヤの持つルールは初期案から見ると実にスマートになっていましたが、それでもまだ複雑なのです。サリヤを遊びやすく楽しいメガミにするためには、その分カードはシンプルであるべきです。そして付与カードはその構造ゆえに複雑になりやすいのです。
       
       そして私どもは付与カードを取りやめ、シンプルな攻撃/全力のカードをデザインするという道を選びました。結果として、広い適正距離を持ちつつ高めの素直な打撃力を持つという、ありそうでなかった攻撃カードが誕生したのです。

       

      新幕

       

       この1枚もまたテキストを下手に加えると美しくなく、サリヤが難しすぎるメガミになってしまう懸念もありました。間合も元から十二分に広いため広げる意味はありません。
       
       他方で全力であるために連続攻撃の懸念は小さなものです。ならば「Sceild Charge」と同様に、この位置こそがライフへのダメージを上げるべき場所でしょう。
       
       サリヤはシーズン1において実に愚かな過ちを犯した(詳しくは後篇で)メガミではありますが、こと攻撃カードの強化のやり方という面では大成功だったと判断しています。ライフへのダメージを上げるべきカードとそうでないカードを適切に見極めたからこそ、オボロやライラのように火力面で問題を引き起こさなかったと言えるでしょう。
       
       
       本日はここまでとなります。全国大会関連で慌ただしいことと、来週はルールガイドを完成させたいことから記事はお休みをいただきます。そして再来週にはサリヤ特集の後篇にて残り9枚のカードと3つのTransFormの話をいたしましょう。ご期待くださいませ!

      『桜降る代の神語り』第73話:彼女が望んできたもの

      2019.01.11 Friday

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         闇に飲まれた神座桜に、光が戻った。当時、それを目の当たりにした者は涙まで流したものさ。
         動乱の終わりを象徴するような奇跡を、天音揺波とホノカがもたらした。
         けれど、彼女たちにとってそこはまだ終わりじゃあない。
         あと一歩、輝く未来を迎える前に、清算の時がやってくる。

         

         

         


         頭の欠けた山から、光が溢れ出していた。目にした者から異質な威容だと思われていた遺構の大樹が、満開の輝きを放っている。
         払暁とすら見紛う明るさを取り戻した世界だが、それは影を追いやることでもあった。

         

        「う……あぁ……」

         

         ウツロの影の装いは完全に形を失い、それでもなお彼女から離れていく塵が宙に溶けていく。顔を手で覆ったその姿は光に目を焼かれたようでもあり、喪失感に絶望しているようでもある。
         一方、自らもまた光を孕むホノカは、いきなり変化したその光景に呆然としていた。
         咲き誇ったのは、陰陽本殿の枯れ桜だけではない。

         

        「え……」

         

         世界、そのすべて。
         上空から見渡したこの地に、数多の光が生まれている。
         本来ならばそれこそが常であるにも関わらず、影に覆い尽くされようとしていたホノカは、その劇的な変化に戸惑っていた。
         だから、それが己の力によるものだと――ウツロと力の均衡に至った結果なのだと、ホノカは幾ばくか遅れて自覚する。

         

         だが、結果は正負を伴うものだ。
         ホノカが成し遂げたのなら、その結末を忌避し続けた者にとっては、皮肉にも終焉の訪れに他ならない。

         

        「あっ……あぁっ……! やだ、いやだぁ……!」

         

         ウツロは、光の中でホノカが佇むその悪夢のような光景に、息を荒くしていた。ホノカが何を言おうと、ヲウカの力がそこにあることに変わりなく、本能的な拒否感はあの程度の言葉で払拭できるようなものではなかった。
         ウツロにこびりついた過去の記憶が、ささくれだった心をかきむしる。
         敗北。そして、永遠の孤独。
         たった数年出られただけで、また元通り。次はいつか、そもそもあるのか、分からない。長きに渡る幽閉は、それを考える気力すら奪うのだから。

         

         そんな無の監獄が、また迫ってきた。
         桜の光に追い立てられたように湧き上がってくる恐怖が、ウツロの思考を埋め尽くした。

         

        「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
        「……! ウツロさんっ!」

         

         絶叫を響かせながら、残された影を纏って遮二無二急降下する。慌ててホノカも後を追うが、初動の遅れは取り戻せない。
         やがて、結晶をつける本殿の桜の枝を見送ろうかというところで、ウツロの視線はその幹へと注がれた。
         そして引き絞っていた力が、幹へ激突する寸前に解放される。

         

        「きゃっ!」

         

         力の余波に、ホノカは思わず目を覆った。
         彼女が次に見たものは、扉であった。
         神座桜の幹の一部が、樹皮ではなく桜の光になっている。かなり歪な形に広げられたその扉へ、ウツロは飛び込んでいったのだ。

         

         知識がなくとも、ホノカにはそれが自分がいるべき場所に繋がっているのだと理解できていた。漂ってくる気配に、懐かしいものさえ感じる。
         メガミの世界が、この向こうにある。
         しかし、彼女がすぐにウツロに続くことはなかった。躊躇が、ホノカが伸ばした手を途中で押し返していた。

         

        「ぽわぽわちゃぁーん!」

         

         と、そこで、大きく翅を羽ばたかせた揺波がようやく最前線に追いつく。
         宙で並び立った揺波は舞い散る結晶を背景に、ホノカの偉業を受けて笑顔を咲かせていた。

         

        「やったね、ぽわぽわちゃん!」
        「ユリナさん……」

         

         ただ、称える言葉を正面から受け止められず、ホノカは少し俯いて、どこか縋るように揺波を名を呼ぶ。
         揺波も揺波で、この場にウツロの姿が見えないことに思い至ったのか、きょろきょろと見渡してから、再びホノカに視線を戻す。
         ホノカは空いた扉に意識を向けながら、言外の問いに答えた。

         

        「ウツロさんは、その……メガミの世界に行っちゃいました……」

         

         それに対し、揺波は即答だった。

         

        「追いかけよう」
        「で、でも……」

         

         迷いのない返事が来ることは、ホノカにも分かっていた。それに同調するだけの気持ちもまた、ホノカの中にはたくさん存在する。
         けれども、躊躇いなく彼女の手を取ることができないだけの、理由もある。

         

        「ごめんなさい……私、行ったことないから……」

         

         開いた扉から得られた懐かしさは、ホノカにとってどこか少しだけ他人のもののようだった。その先は、本人が見たことのない場所に繋がっている。メガミであっても、幼い彼女には未知の領域に他ならないのである。
         忌避感ではない。だが、勢いよく飛び込んで行けなかった程度には、恐れが勝っている。

         

         しかし、その恐れで足を止めてしまったことに不甲斐なさを覚えていることもまた事実だ。
         そんなときだからこそ、人は、メガミは、一人ではない。

         

        「うん……わたしも、ちょっと怖い」
        「え……」

         

         心境を吐露した揺波は、だけど、と繋いだ。

         

        「ウツロさんを、助けないと」

         

         その手が、力強くホノカの手を握りしめる。
         自分と、勇気を分け合うように。恐れを、分かち合うように。
         そして、想いを確かめ合うように。
         背中を押すだけではなく、共に行くために。

         

         少しだけ足りなかったものを補って、少しだけ邪魔だったものを振り払い。
         覚悟を決めたホノカの瞳に、再び意思が漲った。

         

        「……はいっ!」

         

         威勢のよい返事が、眼下の遺構に響いた。
         そして、手に手を取って、大樹に開かれた扉へと身を投じていく。
         光に消えていった一人と一柱は――否、この瞬間をもって二柱となり、メガミの世界へと足を踏み入れた。

         

         

         

         


         桜花結晶が、鼻先を掠めた。
         闇夜にあれほど恋しかったそれが、今や周囲で無数に舞っている。どこに果てがあるかもわからないこの場所ならば、咲き戻った遺構の神座桜ですら比べ物にならないほどの量が踊っていることだろう。

         

        「すごいなあ……」

         

         捕まえた結晶を手のひらに乗せて、ユリナは感嘆を漏らした。
         彼女たちが羽ばたき進んでいくメガミの世界は、入る前の恐れを忘れてしまいそうになるほどに、優しい桜色で染まった空間だった。
         淡い光に満ちているようで、ほんのり霧がかってもいる。空も大地もなく、白い桜色をした不思議で美しい樹の根が張り巡らされており、曖昧な夢の中を泳いでいるようですらあった。

         

         人の気配はない。だが、桜に常に寄り添われている感覚がある。広大という言葉では表しきれない空間を二柱だけで行動しているのに、だからか未知の場所を進む不安はそう大きくなかった。
         ただ、突入してから今に至るまで、ウツロの姿は未だ発見できていない。果てしない空間を思えば当然で、指針もはっきりとしたものではない。

         

        「こっち……だと思います。あの根を越えないと」

         

         先導するホノカが、行き先を告げる。
         躊躇っていた通り、ホノカはメガミの世界が初めてだ。案内役を買って出ているのはひとえに、ウツロのいる場所が何となく分かる、とのことからだった。

         

        「そうしたら、またしばらく真っ直ぐです」
        「うん、ありがとう! ぽわぽわちゃんが居てよかったなぁ」

         

         明るく答えるユリナが、先を急ぐホノカに追随する。
         勘ぐらいしか頼れるもののない以上、ホノカに道を任せて考えるのは、ウツロに会えた後のことだ。
         切り口は、このままでいいのか。どう、手をのばすのか。
         また拒絶されないためにも、まずは色々と整理をつけておかなければならない。自分の想いを言葉にすることの難しさに、ユリナは密かに眉尻を下げた。

         

         ……その刹那。

         

        「……ッ!?」

         

         突如として肌を撫でた敵意に、反射的に振り返る。
         ただ、それはユリナに直接向けられたものではなかった。

         

        「これを以って、開花の担い手は――」

         

         ぞわり、と。
         女の声が染み込んでいくほどに、何かが書き換わっていく悪寒が襲う。
         そして、

         

        「今ここに、その不在を証明された……!」

         

         

         世界は、欺かれた。
         声の主の元から鎖にように溢れ出したのは、言葉が実体を得たようにひしめく数多の文字だった。
         言葉という通りに、それは向けられた相手――ホノカへと殺到する。

         

        「ぁ――」
        「ぽわぽわちゃんッ!」

         

         背中を向けていたホノカに、反応は許されなかった。真っ先に口が塞がれた次は手を、脚を縛り付けられ、ついには羽ばたくことも許されない。身動きの取れなくなったところでさらに言葉は殺到し、二重三重に鎖を巻き付け続けていけば、戒めは黒い球体のような形となって牢獄を成した。
         さらにそれは、ホノカの背丈よりもなお小さく縮み、人の頭ほどの大きさにまで圧縮される。中がどうなっているかなど、想像の埒外だった。

         

        「あっ……!?」

         

         それに合わせてか、突然ユリナの背中から桜の翅が消え去った。ウツロにやられたときのような虚脱感ではなく、まるで最初から存在していなかったかのような消失に、どうにか宙で姿勢を取り戻して根の上に着地する。
         そうしているうちに、言葉の繭はひとりでに空間を彷徨い、一処に落ち着いていた。
         天に向けた、女の右の手の上。
         鎧のように何重にも着物を着込み、流れるような長い金の髪を揺らす、その女。

         

        「何を……!」

         

         ユリナは斬華一閃を生み出し、強襲を果たしたその相手を睨みつける。
         だがその女は、向けられた切っ先を意に介さず、平然と名乗り上げた。

         

        「はじめまして、シンラと申します。長いお付き合いになるかもしれませんが、どうぞよしなに」

         

         

         

         


         ユリナにとって、その名前から連想するのは佐伯という男であった。桜花決闘で相手のミコトが宿していた経験はないが、最初は今は亡き龍ノ宮の決闘を観戦した際に、あるいは共闘した筏の上での戦いにおいては、その力によって助けてもらいもした。
         当時の記憶や感覚を反芻しながらも、ユリナはシンラ本人のことについてほとんど知らないことに思い至る。

         

         シンラの乗っている根に飛び移りながらも、警戒を一段階引き上げるユリナ。やや見上げる形となるが、彼我の距離は桜花決闘のそれに程近い。二呼吸あれば詰められることを意味するものの、言葉が届くほうが明らかに早い。
         しかし、身構えるユリナに、シンラは薄く微笑んだままこう告げた。

         

        「まずは、おめでとうございます、と言わせてください」
        「え……?」
        「偉業の果てに新たにメガミの一員となった貴女を、心より歓迎します。ようこそ、我々の世界へ」

         

         敵意の応酬が始まるのかと身構えていたユリナが、予想外の言葉に毒気を抜かれる。
         面と向かってメガミだと言われるのもこれが初めてだったため、足りない自覚が戸惑いを加速させる。

         

        「いや、そんな偉いことをしたわけじゃあ……」
        「何を言いますか。あれほどの英雄譚を打ち立て、ザンカの力を受け継ぎ、こうしてこの地にまで辿り着いたのです。そのような謙遜はもはや嫌味にしかなりません」

         

         そう言って、肩をすくめてみせる。
         オボロから英雄の一人だと担ぎ上げられたときと似たような困惑が、ユリナに生まれていた。彼女にしてみれば、たまたま目的と能力が適していただけのことで、いくらか居住まいの悪さを覚えていたのは記憶に新しい。
         どう言えば分かってもらえるだろうか――そう考え始めようとしていたユリナだったが、視界の中で揺蕩う黒が目的を思い出させる。

         

        「ぽわぽわちゃんを、どうするつもりですか」

         

         煙に巻くような会話の流れに頭を振り、改めて問い直す。
         シンラはそれに、一寸笑みを深くしてから、

         

        「乱暴なことをする意図はありません。ですが、この形がウツロを説得するために最も適しているのです。もちろん、万事解決と成ったときには可及的速やかに解放することを約束しましょう」
        「…………」
        「貴女方が苦心の末にウツロの抑制を成し遂げたこと、本当によくやったと思います。だから、ここからはどうか任せてはもらえませんか? 弁論のメガミたる私であれば、彼女を説得できるのですから」

         

         己を強調するよう、胸に手を当てる。
         しかし、

         

        「信じられません。襲ってきた上に、突然そんなこと言われても」

         

         ユリナは拒絶を突きつける。
         ただ、相手はその反論を素直に認めた。

         

        「その感情はもっともだと思います。理由があったとて、これが手放しに褒められない野蛮な手段であるとは自覚しています。ヲウカに煮え湯を飲まされ続けてきた者としての私情が含まれていることは否定できません。謝罪する他ないでしょう」

         

         ですが、と続けて、

         

        「私も、この地に起きた一大事を、一メガミとして憂いていたのです。ウツロの暴走についてだけではありません。貴女が挫いた、瑞泉驟雨の蛮行をです。彼は明らかにやりすぎていました」
        「あなたも、力を奪われたんですか」
        「いえ、私のミコトはあまりいませんし、対策もとっていたものですから」

         

         しみじみと、シンラは語る。

         

        「ずっと、陰ながら協力してきました。特に、瑞泉打倒に動いている間は、私は貴女の傍にいたのですよ」
        「え……」
        「佐伯識典を、対瑞泉の戦力として遣わしたのは私です。私は万が一にも絡繰の影響を受けないように、書の中に自らを封印し、佐伯の懐に隠れて行動を共にしていました」
        「佐伯さんが……」

         

         ハガネが彼の同道に難色を示していた、という話をユリナは思い出していた。サリヤから軽く聞いた、話が胡散臭いというざっくばらんな経緯も、今は理解できるような気がしていた。
         さらにシンラは、

         

        「ウツロに対抗するためにザンカを連れてきたり、先程までの戦いでは、私の権能を与えて支援をさせていました。あれの言葉には、力が籠もっていたでしょう?」
        「えっと……たぶん。必死だったので」
        「あの桜のない闇の空で私たちの権能を使うために、貴女の仲間たちは複製装置を使わざるを得ませんでした。しかし、私の力を扱う複製装置は存在しません。あのとき、あれは私の書を用いて三つ目の権能を振るっていたのです」

         

         言い終えるなり、シンラはユリナの得物に視線をやって、僅かに目を伏せた。

         

        「あぁ……ザンカのことについては残念でした。あの戦局においてはやむを得なかったのです。そんな中、貴女が武神の力を受け継いでくれたことは嬉しく思います。途絶えてしまうのは、やはり寂しいことですから」

         

         示された弔慰を、ザンカの死闘の委細を知らないユリナは黙って受け入れる。

         その上で、彼女が突きつけるのは再びの拒絶だ。

         

        「色々手助けしてくれたのは分かりました。でも、ぽわぽわちゃんをそんなふうに扱う人は信用できません」
        「…………」
        「それに、協力してくれるんだったら、最初からそのことを教えてくれてもよかったんじゃないですか? なんで私たちからも隠れてたんですか?」

         

         心情的な疑問として。あるいは、分かっていたら他のやりようもあっただろう、という武人の疑問として。
         対してシンラは、困ったように眉尻を下げて、こう答える。

         

        「そうできればよかったことには同意しますが、私自身、逆にヲウカを信用していなかったのですよ。先程、煮え湯を飲まされた、と言った通りに」
        「さっき、私情って」
        「個人的な恨みというわけではありませんよ」

         

         是正の前置きをし、シンラは逆にユリナにその言葉を突きつけた。

         

        「ヲウカは善良な存在ではありません。貴女は、利用されただけかもしれないのです」

         

         意識の外から放り込まれた提言に、ユリナの思考が止まる。
         彼女は、ウツロを単に悪いメガミとすることをよしとしてこなかった。佐伯から聞いた歴史からして、考えは正しかったのだと納得したばかりだった。
         だが、ウツロが悪だという誤解は、ヲウカが善だという認識が前提になっている。決闘を見届け続けてもらったヲウカを疑う機会など、今まで存在しなかったのだ。

         

        「それって、どういう……」
        「……少し、昔話をしましょう。桜花決闘が成立するまでの話です」

         

         そう言うとシンラは傍らに黒い球体を浮かべ、降ってきた桜花結晶を両手でそれぞれ一片ずつ摘んで見せた。

         

        「ご存知の通り、ヲウカとウツロは、桜花結晶の生成と塵化を象徴する、対になるメガミです。二柱が力の均衡を保つことで、桜の力は常に循環するような仕組みとなっていました」

         

         片方の結晶を、指に力を入れて砕く。
         シンラは手のひらに集まったその残骸を、ふっ、と吹き飛ばした。世界を包む霞に混ざるように、きらきらとした輝きが彼女の眼前に浮かんだ。

         

        「ですが、ヲウカはその高慢さからウツロと対立することになります。結果は、これもまたご存知の通り、ヲウカはウツロを打ち破って封印してしまいました。それにより、自分の生み出す結晶を塵にする邪魔者は消えたのです」
        「…………」
        「自分の天下に喜んだヲウカでしたが、愚かな彼女は気づいていなかったのです。循環は、一方向だけの力だけでは成立しないのだと。ウツロのいない世界では、力が循環しないことで、どんどん淀みが生じていきました。例えるなら、腐っていったとも言えるでしょう。まるで、流れのない池の水のように」

         

         だから、とシンラは、

         

        「ヲウカはこの事態を解決するために、人間を利用することにしました。当時より存在していた、彼女を信奉する結社・桜花拝宮司連合を通じて、人々にある文化を根付かせたのです」
        「それが……」
        「はい、そうです。ミコト同士が戦えば、塵が生まれるでしょう? 桜花決闘は、隠れたヲウカの興味を惹くためのものではなく、人間たちに無理やりウツロの役割を担ってもらい、桜の力を無理やり循環させるための儀式なのですよ」

         

         告げられた言葉を、ユリナは鵜呑みにするつもりはなかった。けれど、自分の常識を揺らすほどの事実に、思わず息を呑む。
         シンラは、摘んでいたもう片方の結晶も同様に砕き、足元にこぼす。そしてまた降ってきた別の結晶を、元通りのように摘んで見せる。

         

        「無論、一度や二度の決闘程度では循環はうまくいきません。全土に、やって当然のものと思われるほどの文化にならなければなりませんでした。幸いというべきか、この通り決闘は十分に普及しました。我らがヲウカのための、決闘は」

         

         祝詞であるはずのそれを唱える彼女は、とても忌々しげだ。あえて言ったことすら後悔しているようですらあった。

         

        「そうして、宮司連合の暗躍の結果、ヲウカは人間にとってなくてはならない存在となり、支配を確固たるものとして今に至ります。乗った人間が居るのも確かですが、元を辿ればヲウカの高慢さが招いたこと……人間たちもまた、ヲウカの被害者と言えるでしょう」
        「そんな……」

         

         擁護したくとも、擁護すること自体が言説を認めるようで、何も言えなかった。
         一息おいてから、シンラは手振りを交えながら、宣言するように、

         

        「桜花決闘は、悪しき文化です。私は、ヲウカを打倒し、歪んだ仕組みから人々を解放し、この世の中を知性ある政で回る世界にしたい」
        「…………」
        「知略を尽くし、追い詰めたヲウカに致命の傷を負わせたつもりだったのですが……どうも、まだどこかでしぶとく生きているようです。残念ながら、欺瞞の清算は未だ成されていません」

         

         嘆息しながら、ゆるゆると首を振るシンラは、それから話は一区切りついた、とユリナを窺う。これで理解してもらえたか、と問うように。
         斬華一閃の刃先は、とうの昔に下へと向けられていた。
         じっと目を落としながら考えていたユリナは、やがて静かに口を開く。

         

        「ぽわぽわちゃんとヲウカは違います。だから、なおさらそんなことをするあなたを信じられません」
        「ヲウカの力自体を目の敵にしてしまっているかもしれませんね。それに関しては、謝罪を深めることにしますが……ヲウカの悪行については、ご納得いただけたということでしょうか」

         

         確認を受けて、ユリナはやや言葉に迷いながらも、

         

        「……桜花決闘の始まりは、良いものじゃあなかったかもしれません」
        「では――」
        「それでも!」

         

         シンラを遮り、ユリナは声を大にして答えを放つ。

         

        「それでも、今は素敵なものなんです!」

         

         飾らない言葉で、確固たる意思をぶつける。
         シンラはそれに、貼り付けたような笑みを崩していた。眉をひそめる彼女は、理解に苦しんでいるようだった。
        そしてその様相を崩さないままに、反論の言葉を作る。

         

        「貴女は、全てを戦いで解決するような野蛮な世界が、本当に素敵だと思っているのですか? 人の知性こそが物事を動かすべきではありませんか?」

         

         その言葉には、どこか今までの彼女より、力がこもっていた。
         それに気づいたユリナは、咄嗟に声を上げようとして、やめた。そうしたところで無駄だということにもまた、気づいてしまったのだから。

         

        「シンラさん……あなたは、いくつか嘘をついてると思います」
        「ほう?」
        「でも、この地のことを想っているのは、本当なんですね」

         

         問いに、答えがあった。

         

        「はい」

         

         と。
         そこだけは偽りがないと、どうしてか理解できてしまう。
         真意を嘘の中に隠してきたシンラの心が、今は確かにそこにあった。
         重ねて、答え合わせのようにユリナが問う。

         

        「あなたは、ぽわぽわちゃんを解放するつもりはなくて、自分がヲウカみたいな立場になって、桜花決闘をなくしちゃうつもりなんですね」
        「…………驚きました。ただの決闘馬鹿だと思っていたのですが」

         

         投げかけられたその評価に、くすり、とユリナは笑いをこぼした。

         

        「あなたは、桜花決闘が大嫌いなんですね」
        「……ええ」

         

         そして最後に、重ねて問う。
         想いを理解してしまったが故に、想いが支えるものの決定的な違いに諦観を覚えながら。

         

        「わたしとあなたは、相容れないんですね」
        「そのようですね」
        「だから……」

         

         構えた斬華一閃が、シンラの姿を捉える。
         永遠に交わらない平行線の想いを抱えて、妥協点を見出すことができないのなら、想いの強さを比べるしかない。

         

        「仕方ありませんね」

         

         シンラの袖から、数本の巻物が現れる。勝手に開いたかと思えば、羽衣のように彼女の周囲を漂い始めた。独特の臨戦態勢だが、膨れ上がる圧は彼女が決して言葉を紡ぐだけの存在ではないと示している。
         賭けるものは、桜花決闘そのもの。
         活かしたいという想いと、廃したいという想い。相容れない二つが今、間合いを挟んで向かい合う。

         

         と、いつも通りに宣誓しようとしたユリナが、言葉を飲み込んでシンラを伺った。

         

        「我らヲウカ……とは、言いたくないですよね……」

         

         無言の応じられたユリナは、どうしたものかと周囲に目を配る。そもそもヲウカ本人がいるはずの世界で行われる決闘に、先程までの話を踏まえずとも、例の宣誓に若干の違和を感じていた。ユリナにとってはまだ、ヲウカは桜の向こうの存在という印象が強すぎるのだ。

         

         彼女の目に映ったのは、この世界。
         桜の根が張り巡らされ、無数の花弁が絶え間なく降り注ぐ世界。
         故にユリナは、少し間を空けてから、こう唱えた。

         

        「武神ユリナ、桜降る代に……決闘を!」

         

         そして、応じるシンラは、感情を露わにするように眉にさらに力を込める。

         

        「弁論のメガミ・シンラ。桜降る代に、決闘を」

         

         努めて淡々と告げられた宣言を皮切りに、明確な敵意がユリナの肌を刺激した。
         観客は、誰もいない。立ち会う者もいなければ、ずっと見届けていたはずのメガミもいない。宣誓と共に流れ込んでくる力もなく、ホノカも黒い繭になってずっと黙したままだ。

         

         勝手の違う戦いに、ユリナはにやりと口端を吊り上げた。
         それでも必ず勝つという意思を燃やして。

         

        「これから、最初の桜花決闘を、始めたいです」
        「そうですね……そして、最後の桜花決闘にしましょう」

         

         

         この地の有り様を巡る衝突が、今始まる。

         

         

         

         


         舞台裏で暗躍するやつが表に出てくるのは、決まって自分にしかできない一手を打つためだ。
         美味しいところだけを持っていく、なんて言うけれど、シンラにとっては育ててきた計画のまさに収穫時に他ならなかった。
         決闘のために力を尽くしてきたユリナの活躍に、一手加えるだけで真逆の結果を生み出すんだからね。

         

         ああ、そうだ。ついにここまで来た。武神ユリナの初陣にして、桜降る代に至る最後の戦いを、今こそ語るとしよう。

         

        どこにも記されていない物語

        作:五十嵐月夜   原案:BakaFire  挿絵:TOKIAME

         

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        2019年1月禁止改定

        2019.01.09 Wednesday

        0

           私どもはバランス調整の宣言と、それに基づく理念に従い毎月第一月曜日にカードの禁止改訂を行います。この記事はその2019年1月のものです。禁止カードを出すことそのものについて疑問や不安を感じる方は、こちらよりリンクしている宣言か、それを要約した理念をご一読いただければ幸いです。

           

           

          2019年1月禁止カード

           

          ハガネ/『終章』ウツロで禁止

          大重力アトラクト

           

          ※ これらの禁止はシーズン3の間、即ち2019年5月下旬まで継続し、『第参拡張』でのカード更新を通して解除されます。

          ※ この禁止は『終章』ウツロ固有のものです。通常のハガネ/ウツロでは「大重力アトラクト」は使用できます。

           

           こんにちは、BakaFireです。全国大会の予選申込のため、今月の禁止改訂記事の掲載が遅くなってしまったことをお詫びいたします。本来の日程においてTwitterで取り急ぎお伝えしていた通り、今月に追加の禁止カードはありません。

           

           今月の終わりより全国大会の予選が始まります。いよいよ特設ページも公開されました。そして若干の予定変更こそありましたが、1月14日(月)にほぼ全ての予選の申し込みも始まります。私どもは先月の禁止改訂を経てから、現状の環境がこのような大舞台に相応しい魅力的なものであるかどうか監視を続けていました。

           

           結論として、今の環境はシーズン2よりも明らかに良く、(方向性が違うために正しい比較とは言いきれませんが)『第二幕』最終段階よりも良いと私は考えています。多様な戦略が存在し、正しく強みを活かすやり方を選べばどのようなメガミでも輝けます。もちろんその中でも幾ばくかの勝ちやすさ、勝ち辛さが存在しています。しかしそれは禁止カードという強行的なやり方で是正しなければならないほどに大きいものではありません。また、多くの戦略を死滅させてしまうような、極端に強く害悪的な戦術も見つかっていません。

           

           以上を踏まえ、私どもは追加の禁止カードを出さず、今の環境にて全国大会を行うことを決めたのです。ぜひとも私どもの想いを込めたひとつの祭にお付き合いいただければ幸いです。

           

           本日は以上となります。次回の禁止改訂は2月4日(月)となります。全国大会予選の途中であるため、追加の禁止カードを出すつもりはありません。例外があるとすれば、前言を撤回しなくてはならないような問題が見つかってしまった場合のみです。

          イベント今昔、そして第四時代へ向けて

          2019.01.04 Friday

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             新年あけましておめでとうございます。BakaFireです。現在はサリヤ特集を進めておりますが、このタイミングでお伝えしたいことがありますので一週だけ間を空け、今週はイベント関連の記事を書かせて頂きます。
             
             昨年12月にお伝えした最新の今後の展望において、私はイベント関連における様々な計画をお伝えしました。私どもは少しずつ準備を整え、いよいよこの一週間でのサイト更新で様々な告知ができる段階に至ったのです。ならば、それらの試みについてこのブログでもお伝えするべきでしょう。
             
             さらに、読み物としても楽しめるものにするため、本作のイベントにおける歴史もお話しするつもりです。それでは、早速はじめましょう!

             


             

             

            第一時代:公式大会の幕開けと衰退

             

             もはやその頃から本作を遊んで頂けている方は数限られているかもしれません。本作の始まりは2016年5月、ゲームマーケット2016春で発売された『第一幕』でした。そしてその数週間後の5月22日、本作初となる大会イベントが開催されたのです。
             
             その頃はまだ規模は小さく、人数上限は僅かに24名。それでもありがたいことに満席で開催され、大いに盛り上がりました。今思えば、僅かに24名規模の中でTOKIAME先生にお越しいただき、色紙まで提供されたのですから豪華なイベントだったと言えます。
             
             そしてその後も毎月イベントを開いていくと発表し、公式大会が開催されていきました。第一時代の始まりです。

             

             では盛り上がりは続いていったのでしょうか。過去の記事でも書いたためご存知の方もいるとは思いますが、残念ながらそうはなりませんでした。参加者は日に日に減っていき、『第一幕』末期には毎回8名集まるかどうかで肝を冷やしていたのです。正直なところ、そこで本作は終わってもおかしくない状況でした。
             
             その原因は3つあったと言えます。何より最大の原因はゲームのバランス、そして面白さにありました。2つ目は賞品の印刷が終わっていなかったため、実体がなかったことです。これらの問題はどちらも『第二幕』の印刷でひとまずの解決をみましたが、ここでは本題ではありませんので割愛します。
             
             ここでお話しするのは3つ目の問題、イベントそのものの魅力についてです。その頃の私どもはただ単純に二柱を選ぶ形で大会を行い、優勝者を決め、それで終わっていました。十二分に面白いゲームならばそれだけでも十分だったかもしれません。しかし当時の本作はバランスに大きな問題を抱えていたこともあり、それだけでは満足して頂けるイベントになっていなかったのです。

             


            第二時代:三拾一捨の設立

             

             私どもは深く検討し、2つの方向の取り組みを行うことにしました。それこそが本作が今も大事にしている「競技志向で真剣に取り組める場の提供」と「カジュアルに祭りを楽しめる場の提供」です。
             
             前者については「三拾一捨」というルールが開発されました。これは大会開始時に3柱のメガミを選択し、対戦前に相手にその3柱を渡し、相手がその中から1柱を取り除くというものです(※)。
             
             このルールには相性から生まれる理不尽さを軽減するとともに、問題のある戦略を取り除く働きがありました。さらに多様なマッチアップに遭遇するため、ゲーム展開も飽きにくいものになるのです。これは間違いなく本作の競技的な魅力を一段階掘り下げ、初めて施行された「第一幕最終大会」では大好評で受け入れられました。
             
             そして三拾一捨は今も大規模イベントなど、競技的な場で活用され続けています。しかし常に三拾一捨を採用するのは明らかな誤りです。さきほど「大好評で受け入れられた」第一幕最終大会の参加者は合計8名であり、本作の厳しい状況に最後までお付き合いいただけた猛者たちなのですから。彼らは余りに猛者であるため、基準にするには危険を伴うのです。
             
             新たなプレイヤーが入らない作品に未来はありません。本作を続けていくためには、カジュアルな楽しさを優先したい方のためにイベントを改革しなくてはなりません。そこから、後者に向けた取り組みが始まりました。

             

            ※ これはやむを得ない状況で生まれたルールでもありました。『第一幕』ではユリナ/ヒミカが最強で、特定の戦い方をすればあらゆるデッキに必ず勝てると分かってしまったためです。これは6柱しかいないという理由もあり、例えばサイネがいれば無敵ではありませんでした。

             


            第二時代:交流祭の誕生

             

             それこそが今もなお続く「交流祭」です。初となる交流祭である「仲秋の交流祭」は第一幕最終大会の実に1週間後、2016年10月29日に開催されました。この時点では公式大会とは切り分けられており、いくつかの催しを含んだフリープレイ会のようなものでした。
             
             最初の交流祭で催されたのは「大乱闘」(※)と「メガミに挑戦!」でした。

             

             「大乱闘」は様々な特殊ルールを適用し、狂った環境のゲームを楽しむというものです。これまでで実に18種類のルールが生まれ、大改革とも呼べる素晴らしいルールから二度と遊びたくないクソゲーまで多種多様な乱闘が繰り広げられました。これは今も人気のイベントとして続いています。
             

             

             「メガミに挑戦!」もまた大きな試みでした。これはメガミ自身を担当するプレイヤーと挑戦者が対戦するというルールです。メガミ側は一柱のカードしか使えませんが、明らかに壊れた強さのカード「原初札」を使うことができます。他方で挑戦者は原初札の内容を踏まえて宿す二柱を決め、最大限に対策したデッキを構築できるのです。
             
             これもまた大好評で受け入れられました。ゲームとして魅力があっただけでなく、メガミのキャラクター性が原初札を通してより深まったのも大きいでしょう。その影響は大きく、公式小説『桜降る代の神語り』には「メガミへの請願としての挑戦」として取り入れられ、逆に小説の伏線を交流祭内での「メガミへの挑戦!」で扱うこともありました。「ユキヒに挑戦!」はその最たるものです。

             「メガミに挑戦!」は定期的に休みを挟みつつ、オボロ、サイネ、ヒミカ、トコヨ、ハガネ、シンラ、サリヤ、チカゲ、クルル、ユキヒ、ウツロ、ホノカ、ユリナの順で開催され、2018年3月に『第二幕』と共に完結しました。その後どうなったかは第三時代でお話ししましょう。

             

             

             こうして初となる交流祭は成功に終わり、実に数か月ぶりにイベント参加人数は上向きました。まだまだ予断を許す状況ではありませんが、私どものイベント改革計画は、まずは成功として第一歩を踏み出したのです。

             

            ※ 正確には大乱闘は狂った大会としてそれ以前にも開かれていました。これもバランスの問題ゆえに、ルールを捻じ曲げて環境をごまかさなくてはならなかったという側面もあります。

             

             
            第二時代:全国への広がり

             

             そんな中で時は流れて2016年12月、『第二幕』が発売します。さらにプロモーションタロット「ユリナ」と「ヒミカ」も無事に印刷され、大会で賞品も配布できるようになりました。
             
             これらの効果は劇的でした。ゲームバランスは大きく改善し、魅力的なものになりました(※)。賞品もまたプレイヤーのモチベーションを大きく高める助けをしてくれたと言えます(本来はそれが当たり前ですが)。

             

             その甲斐あって、イベントの参加人数は大きく上向きを示しました。交流祭という試みも大いにそれを助け、公式イベントすらも開催を危ぶまれるような状況から脱出を果たしたのです。
             
             その結果、さらに嬉しい発展がありました。日本全国にイベントが広がったのです。『第一幕』では東京と大阪でしか開かれず、大阪ではほぼ人が集まらない状況にまで陥っていました。しかし大阪も息を吹き返し、さらに北海道、福岡、新潟などの各地でもイベントが開かれるようになりました。
             
             それを受け、東京以外の地方でも交流祭を開催し始めました。この時点では交流祭は本作には欠かせないものとなっていました。ゲームが面白くなっても交流祭があればより面白いのは変わりません。毎月新しい発見があり、わくわくするような新展開に出会えるのですから。
             
             そしてそれがストーリーなど本作そのものの展開とも紐付くならば、それを東京だけで独占するのは愚かとしか言えません。地方で本作を遊んで頂いているプレイヤーの皆様にも、本作を最大限に楽しんで頂きたかったのです。
             
             こうして交流祭とともに各地が歩んでいく、第二時代が確立されました。

             

            ※ 正確には『第一幕』と比べると著しく改善したものの、ユリナ/トコヨ(特にトコヨ)などの強さゆえにまだまだ問題を抱えた環境でした(全国大会では明確にユリナ/トコヨ/ユキヒが正解になりすぎていました)。とはいえ、僅か3か月後には『第壱拡張:夜天会心』が発売してハガネとチカゲが追加され、環境を揺らしながらどうにか盛り上げ続けられたと言えます。

             


            第二時代:初の全国大会

             

             そして地方が活気づいてきた頃、2017年5月に本作は一周年を迎えました。一周年を記念して様々な企画が催されましたが、その中でも最大のものは第一回全国大会です。

             

             全国各地で予選が行われ、それを勝ち上がった強豪たちが東京に集い、頂点を決めるのです。初めての試みであったためにいくつかの力不足や過ちもありました。しかし全体的にはこの試みもまた大きく盛り上がり、成功に終わったと言えるでしょう。

             


            第三時代:戦乱之陣の開幕

             

             全国大会も終わり一段落、時は2017年8月、『第弐拡張:機巧革命』が発売されます。『第二幕』で最高の成功作である傑作拡張であり、その力もあってイベントは盛り上がり続けていました。
             
             しかしそんな中、地方の交流祭において主催を務めていただいている方から意見が届きました。それは交流祭がカジュアルなイベントでなく、実質的に大会となってしまっており、一部のプレイヤーが疲れ始めているというもので、同時に新規のプレイヤーが入り辛くなっているというものでした。
             
             私はそれを由々しき問題だと捉えました。新たなプレイヤーが入らない作品に未来はありません。私は交流祭をもう一度見直し、よりカジュアルに楽しめるものにしていく必要があると判断したのです。
             
             その主催の方と話し合い、たどり着いた結論は「大会に参加せずともフリーで楽しく遊べば、それだけで賞品が手に入るイベント」でした。さらに交流祭には先述したような特殊ルールの催しも多数存在します。大会に出るのではなく、それらの催しを回るという選択もまた魅力的であるべきでしょう。こうして新たなイベント「戦乱之陣」は形になり、今も交流祭で続いているのです。

             


            第三時代:地方大規模イベントの開催

             

             『第弐拡張』環境においても、全国大会のような環境を締めくくるイベントが望まれていました。しかし全国大会は各地で予選などを管理する必要があり、開催期間も長いために運営、プレイヤー共に疲れてしまいます。
             
             そこで私どもは地方で大規模イベントを開催するというやり方を選びました。なぜ地方なのかと言えば、全国大会は東京で必ず行われるため、この類のイベントでは地方の盛り上げを促進できるようにしたかったという理由です。
             
             最初の地方としては名古屋が選ばれました。名古屋は第一回全国大会の予選で初めてイベントが開かれ、そこからコミュニティが成長し始めていました。交流祭も開かれはじめ、大きな刺激を与えるには最適と考えたのです。

             


            第三時代:第二回全国大会

             

             そして2017年10月の『第二幕決定版』、2017年11月の『第参拡張:陰陽事変』が発売し、今のバージョンである『新幕』の開発が発表されました。
             
             『新幕』発表時に書いた通り、『第二幕』もそれはそれで面白いゲームであるため、全く遊ばれなくなるわけではありません。しかしイベントの主流は『新幕』に移さざるを得ない以上、『第二幕』でも最後にもう一花、全国規模のイベントで盛り上げるべきでしょう。
             
             こうして2018年4月。再び全国で予選を行い、それを勝ち抜いたプレイヤーが『第二幕』の頂点を目指す、第二回全国大会「第二幕大決戦」が開催されました。とはいえ行ったことは第一回全国大会とほぼ同じで、前回と同じ失敗を避けるための工夫を行った程度です。うまくいっているものは変える必要はないのですから。
             
             結果としてより広がったコミュニティの中でさらに大きな盛り上がりを得られ、イベントは大成功に終わりました。

             


            第三時代:新幕と物語テーブル

             

             2018年5月。いよいよ現在のバージョンである『新幕』が発売しました。私は『新幕』と合わせ、(主にゲームバランスを中心とした)スケジュールに関するルールを整備しました。

             

             製品ごとにシーズンを区切り、シーズンの間でカード更新を行う(そしてシーズン間の問題は禁止カードで対応する)というやり方や、シーズンの終盤にはそのシーズンを締めくくる地方での大規模イベントを開くという計画です。

             

             この試みは今のところ成功していると考えています。『第二幕』では調整は突発的に行われており、コミュニティに不安と混乱を与えてしまっていました。またカードの調整もやや付け焼刃のようなものとなってしまい、完全に望ましいものにはできていませんでした。厳格なスケジュールの約束がこれらの問題を改善したのです。
             

             地方での大規模イベントもシーズン1では大阪で、シーズン2では福岡で開催され、成功したと言えます。


             交流祭においては完結した「メガミに挑戦!」に代わって「物語テーブル」が始まりました。これは公式におけるストーリーと紐付いた形で、様々な特殊ルールでのゲームを楽しめるというものです。
             
             こちらも今のところ大成功していると考えています。中でも協力型のゲームである「叶世座公演」と「忍の里防衛戦」は本作の新しい面白さを開拓し、大好評を頂いています(「メガミに挑戦!」のようにメガミ役を用意しなくてよいため、よりカジュアルに楽しめるようになったのも良い点です)。

             


             
             このシリーズは現在は公式小説『桜降る代の神語り』を模した神話再現シリーズとして続いています。しかしながら、あと数か月後には新たな流れも生まれてくることでしょう。
             
             こうして『第二幕』で様々な試みを積み重ね、『新幕』でその積み重ねを洗練しました。そして今、2019年1月。イベントは第三時代として、安定した流れを続けられています。

             


            そして第四時代へ

             

             ここまでで本作のイベントにおける歴史を振り返りました。しかしながらここで改めて懺悔します。既にいくつかの記事で触れてはいますが、2018年5月の『新幕』以降、私はイベントに十分な力を注ぎきれていませんでした。代わりにデジタルゲーム版の実現のために力を入れていたのです。

             

             ですがデジタル版は本年に延期することが決まってしまいました。だからこそまさに今、本作のイベントは次の時代へと進まなくてはならないと私は確信しています。
             
             その動機はこれまで、第一時代から第二時代へ、そして第二時代から第三時代へと進んだときとまったく同じです。新たなプレイヤーが入らない作品に未来はありません。私どもはより初心者やカジュアルなプレイヤーに親切にあるべきであり、そしてそのための試みへと着手すべきだと判断しました。
             
             今の本作の状況は良好です。しかしこのまま一切の手を打たなければ3か月後、半年後に同じ状況が続くとは言い切れないのです。

             

             私どもの試みのいくつかは既に公式サイト上で現れ始めています。この記事の結びとして、第三時代から第四時代へと移るための試みを紹介しましょう。

             


            全国で初心者体験会を実施します。

             

             全国のゲームショップ様にて初心者体験会を定期開催します。こちらのイベントは手ぶらで参加可能であり、その場でルールの解説を受けて「はじまりの決闘」を体験して頂けます。
             
             今は以前に初心者体験会を開いていただいた全国のイエローサブマリン様でのみ開催予定が定まっています。次はすでにお世話になっているゲームショップ様にお声掛けを進めていきます。そしてそれらの店舗での実施を通し、体験会を安定したものにするためのシステムを洗練していくつもりです。
             
             初心者体験会のための特設サイトは今週頭に公開いたしました。こちらをご覧くださいませ。実に2日後の6日に、最初の初心者体験会が実施されますよ!
             
            交流祭への導線を明確化します。

             

             ここまでお話ししてきた通り、交流祭はカジュアルに楽しむことを中心としたイベントです。そして公式、準公式の運営であるために安心して楽しめ、人も集まりやすい状況になっています。
             
             それゆえに初心者体験会を終えたばかりのプレイヤーにとって、交流祭は次のイベントとして最適です。私どもは様々な工夫を通し、初心者体験会→交流祭という導線を明確化していきます。
             
             その後には各地のショップでのイベントを活性化する試みも進めたいところですが、申し訳ないながらそのやり方はまだ見つけられていません。

             

            交流祭の開催地域を拡大します。

             

             交流祭は本作の流れそのものを楽しめる重要なイベントです。だからこそ、多くの地方の皆様に楽しんで頂きたいという想いがございます。しかし現在では東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、新潟の6か所でしか開かれていません。
             
             そこでより幅広い地方で交流祭を開けるよう検討し、すばらしいことに本年2月には四国地方は高知にて交流祭が開かれることになりました。好評であれば継続していきますので、四国地方にお住いの方は是非ともご参加いただけると嬉しいです。
             
             さらに中国地方での計画も進んでいます。上手く進めば、近いうちに良いお知らせを届けられるかもしれません。

             

            第三回全国大会「天音杯」を開催します。

             

             そして3回目となる全国大会も開催します。初心者やカジュアルなプレイヤーにより親切にすべきとはいえ、これまで遊び続けて下さったコアな皆様もまた本作にとってこの上なく貴重な存在です。そのような皆様が最大限に楽しめ、盛り上がれるように最も熱く競技的な場を用意するのです。
             
             特設サイトはまさに先日、1月1日に公開されたばかりです。こちらよりご覧くださいませ! 1月26日から3月3日に予選は開催され、多くの予選は1月7日から予約が開始します。

             

             

            宣伝:1月と2月の交流祭には特典があるぞ!

             

             ここまでを読み、交流祭に興味を持っていただけたのでしたら素晴らしいお知らせがあります。1月と2月の交流祭では、普段の賞品に加えて参加賞としてプロモーション集中力「クルル」をプレゼントいたします。

             


             
             1月の交流祭はすでに全ての地方で受け付けが始まっております。是非ともこちらよりお申し込みくださいませ。あなたのご参加、心よりお待ちしております!

             

             今回の記事はここまでとなります。来週はサリヤ特集の中篇をお送りします。ご期待くださいませ!