2020年1月禁止改定

2020.01.06 Monday

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     私どもはバランス調整の宣言と、それに基づく理念に従い毎月第一月曜日にカードの禁止改訂を行います。この記事はその2020年1月のものです。禁止カードを出すことそのものについて疑問や不安を感じる方は、宣言あるいはそれを要約した理念をご一読いただければ幸いです。

     

    2020年1月禁止カード

     

    『祈祷師』ライラで禁止

    流転爪

     

    ※ これらの全体禁止はシーズン5の間、即ち2020年5月まで継続し、『第伍拡張』でのカード更新を通して解除されます。

    ※ この禁止は『祈祷師』ライラ固有のものです。オリジン版のライラでは「流転爪」は使用できます。

     


     先に結論を申し上げますと、私どもは全体における禁止カードが必要だと判断しました。全体における禁止カードへの引き金は重いままであると宣言した通り、この状況は私どもの明確な失敗です。誠に申し訳ございません。

     

     そのうえで私どもは今回の失敗を愚かさの体現だとは捉えていません。本作にとってのより大きな失敗を避けるために必要な努力を行い、そして超えるべきでない線を僅かに踏み越えてしまったのだと考えています。そして後述する大きな失敗については、今回は無事に避けられたと考えています。

     

     今回のような失敗を避けるようこれからも最善を尽くします。しかしそれ以上に大きな失敗の回避を優先しなければならない点のみ、ご容赦いただければ幸いです。

     

     今回の判断を正しく伝えるには過去の歴史への見解と、私どもが重視している観点をお話ししなくてはなりません。この記事は以下の順に進みます。理由を細かく知りたい方はご一読いただければ幸いです。

     

    • 今の環境への見解
    • シーズン4との差異
    • より大きな過ちを避けるための努力とは
    • 私どもがゲームで目指したいもの
    • なぜ「流転爪」を禁止するのか


    今の環境への見解

     

     総合的には今の環境はより望ましい方向に向かっており、私どもは90%の面で満足し、成功であると捉えています。今はまさしく群雄割拠と呼ぶべき情勢にあり、多様なデッキが試され、多彩なゲーム展開が生み出されています。その上で勝利するには十分な実力も求められ、プレイヤーの判断はゲームに高い影響を与えています。

     

     プレイヤーの腕前が価値を持つという本作らしさに、多様なゲーム展開の実現を加えることこそが私どもの今回の目的でした。そしてその実現はより多くのメガミを輝かせるというバランス調整への大目的にも結びつきます。
     
     この点こそが(間違いなく魅力的な面もあった)シーズン4が不足していた点であり、そしてシーズン4を繰り返してはならないと強く意識した動機なのです。ですがこの部分は説明すると長くなるので保留し、先にライラAの話に移りましょう。
     
     群雄割拠の環境ではあるものの、ライラAの強さは明確に頭一つ抜けています。幸いにして彼女は楽しいメガミであり、多くの方から喜ばしい感想を頂けました。ゲームに新しい体験を与え、この1か月はそれを楽しめる1か月であったと評価しています。
     
     しかしそれがいつまでも続くとは言い切れません。彼女はやや支配的で、特に三拾一捨での安定性には問題があります。新たな体験を新たなものとして楽しめる時期が過ぎれば、彼女とのマッチアップがうんざりする体験だと感じられるのは時間の問題でしょう。頭一つ抜けた選択肢であるゆえ、マッチアップの頻度も増えすぎると予想されます。
     

     

    シーズン4との差異

     

     改めて、シーズン4における不足や、それを繰り返してはならないという意識とは何であるのかをお伝えしましょう。
     
     シーズン4は(競技的環境で)使用できるメガミの幅が狭く、展開もまた狭まっていました。環境はユリナを中心に何柱かのメガミで回っており、ユリナやオボロのビートダウンで相手を打ち倒すか、はたまた「月影落」軸の攻めを止められるメガミで相手の攻撃を食い止め、クロックで競り勝つかというゲームが増えすぎていました。一言でまとめると、王道が邪道を駆逐しすぎていました。
     
     これが素朴に悪であるわけではありません(※1)。しかし私は2つの理由から失敗だったと捉えています。
     
     第一に、多くのメガミを輝かせるというバランス調整理念の根幹に反しています。
     
     第二にはシーズン3と同じ方向に展開を収束させてしまった点です。シーズン3でもユリナを軸とした戦略は強力でした。シーズン4ではそれが補強され、結果として1年近くにわたって狭いゲーム展開に触れる頻度が多くなり、その体験に飽きてしまうリスクが高まってしまったのです(※2)。
     
    ※1 このように洗練され、展開が収束している環境には別の魅力があります。委細の判断がより濃い意義を持つのです。収束しているからこそ上級者は展開の多くを既知の類型と捉えられます。ゆえに奇襲的に敗北する頻度は下がり、どこまでをオーラで受けるべきかなど、より緻密な点を制御する方向に技量を傾けられます。シーズン4大規模イベント「白露の大交流祭」の決勝トーナメントはまさしく技量の頂点であり、本作のある一面として極めて魅力的であったと考えています。
     
    ※2 シーズン4においてユリナのカードを禁止すべきだったかどうかは、私としても答えが出ていません。今回の「流転爪」に準拠すべきならば禁止が適切だったかもしれません。しかし当時はユリナの強さとは別に、何柱ものメガミたちの力不足(彼女らはシーズン5で上方修正されました)もまた問題であったため、仮に禁止したとしても期待する結果が得られたかは定かではありません。結果として※1で述べたような魅力を失わせてしまった可能性すらあります。

     


    より大きな過ちを避けるための努力とは

     

     ここまででシーズン4を説明し「より大きな過ち」の正体が明らかになりました。シーズン5でも同じ体験を繰り返してしまうことです。私はもう半年の繰り返しは致命的だと考えており、覚悟をもって臨んでいました。

     

     私どもは予想された大失敗を避けるべく『第四拡張』、すなわちカード更新と新たなメガミたちに取り組みました。
     
     『第四拡張』のカードパワーはシーズン4での強力なメガミや、上方修正されたメガミと釣り合うように意図的に引き上げられました。これは『第参拡張』の力不足に由来しています(『第参拡張』の良い点はいくらでもありますが、シーズン4における失敗を引き起こした点もまた確かです)。
     
     少なくともヤツハは競技的な場では力不足でした。その事実からは極めて厄介な問題が生じます。彼女は私どもが「安全であると相応の自信を持てる」「その上で強みを感じ取れる」という2点を両立できるよう調整しました。しかしそれでも環境は揺らせず、多様なゲーム展開には結びつかなかったのです。
     
     こうなると我々が取れる手段は2通りしかありません。「安全だと評価する基準を緩め、リスクを冒す」か「新たなメガミが環境に影響を与えることを諦める」かです。楽しいゲームのために、私どもは前者こそが必要だと判断しました。

     

     結果としてこの試みは成功したと捉えています。『第四拡張』のメガミはいずれも強みがあり、ゲームに多様性を与えています。ライラAはやりすぎました。しかし、ハツミも、ミズキも、ユキヒAも、サリヤAも、いずれもやりすぎるリスクを冒してデザインされていました。バランス調整の過程を踏まえても、時期によっては他のどのメガミがやりすぎた結果になってもおかしくはありませんでした。
     
     最後に立ち止まり、ライラAのパワーを少しだけ引き下げられれば理想でした。この点について私は反省しています。しかし他方でそこに至るまでの判断はゲームにとって必要であったと確信しています。
     

     

    私どもがゲームで目指したいもの

     

     次に小さな補足として、私どもがゲームで目指すことを明確にしておきます。それは「気持ちいい瞬間を感じられるようにメガミをデザイン、調整すること」です。

     

     「気持ちいい」とは何も考えずにカードを使えば勝てることではありません。むしろその対極にすらあります。知恵を絞り、意思決定を繰り返し、その結果として結実する瞬間にメガミごとの充実感を感じられるようにしたいのです。
     
     「月影落」をライフに当てられる状況を作り叩き込む瞬間も、緻密にコントロールして「久遠ノ花」を構えて相手をライフ1に追い詰める瞬間も、間合を離し続けて相手を機能不全に陥らせる瞬間も等しく貴重です。
     
     達成者は気持ちよくなる瞬間を味わうべきなのです。重要なのは双方のプレイヤー、あるいは多くのメガミにその機会が与えられていることであり、ゲームバランスとはそのために存在していると私は考えています。多くのメガミについて、下方修正でなく上方修正を選んだのもそこに理由があります。
     
     この気持ちよさの面で、ライラAは大成功しています。彼女は確かに強いですが、使いこなすのは簡単ではありません。6通りの嵐の力でどれを選ぶか、ゲージを十分に貯めるためにどのような工夫をするか。これらの障壁はプレイヤーに充実した意思決定を体験させ、その先にある爽快なコンボには気持ちよい瞬間があります。

     


    なぜ「流転爪」を禁止するのか

     

     以上で禁止カードを決定する背景の事情はすべて説明が終わりました。まとめつつ、決定の理由をお話ししましょう。
     
     大前提としてライラAには問題があります。メガミの選択肢をある意味で狭めており、相手が気持ちよくなる機会を奪いすぎています。これらは彼女の強さに由来しています。
     
     他方でライラAには弁護すべき点が2つあります。第一に気持ちよさです。体験の面でライラAは成功しており、その体験そのものを失わせてしまうのは私どもの目的に反しています。
     
     第二に多様性です。ライラAが多様性を狭めている側面も確かにありますが、ライラAこそが多様な体験を提供している面もあるのです。ライラAが存在するからこそ強靭な近距離型の戦略が成立し、中遠距離との天秤が魅力的に働いています。さらにライラAは多様な戦略と相性が良いため、多くのメガミに相方として輝く機会も与えています。
     
     これら二点を考慮すると「暴風」「大嵐」「陣風祭天儀」の禁止が正しい判断とは考えられません。他方でライラAの総合的な強さを抑えるという効果はあるべきです。そこから私どもは「流転爪」と「雷螺風神爪」を候補に選びました。実用性のある攻撃カードの禁止は、素朴にパワーダウンに繋がります。
     
     最後にライラAにより苦しめられすぎている、すなわち気持ちよくなる機会を奪われ過ぎているのがどういう戦略なのかを考えました。結論はコントロール的な戦略です(短期決戦や大技によるビートダウンはそれぞれライラAに対する回答を持っています)。
     
     コントロールは「暴風」を対応で捌ければライラAと戦えます(※)。しかし現状では「流転爪」で「暴風」を再利用されるため、対応カードが不足してしまいます。そこで「流転爪」を禁止し、コントロールのマッチアップにおける改善も狙います。
     
    ※ 「暴風」への適切な対応がそこまで多くはない点については禁止カードで解決できる問題ではありません。その方針でのカード更新はシーズン6における更新案として有力なもののひとつです。但し、その更新が正しいとは今は断定しません。

     

     

     本日は以上となります。次回の禁止改訂は2月3日(月)となります。2月は大規模イベントが近づきつつあることもあり、禁止カードの制定への引き金は今月よりも重くなります。あったとしても、ゲームを支配してしまうような組み合わせが発見された際に、組み合わせでの禁止を出す程度にとどまるでしょう。


     現時点において、アナザー版ライラの問題を除いて支配的な組み合わせは発見されていないと判断しています。今回の禁止の影響や、支配的なデッキが生まれていないかどうかなどの点において、向こう1か月も慎重な監視を続けます。