始まる前の決闘録 第三回:Thallya's Masterpiece

2019.10.09 Wednesday

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    1 とりあえず生

     

     皆さんこんにちは、日本酒党のローヴェレです。突然ですが、皆さんは居酒屋で初めに頼まれる飲み物はなんでしょうか? とりあえず生、というのが一般的なところでしょうか。僕はビールがどうにも苦手なので乾杯はサワーを頼んでいることが多いような気がします。

     

     そんな私ですが「とりあえず生」の急先鋒と化していることがあります。ディベロップ・チームでのテストプレイです。皆さんお気づきかもしれませんが、ディベロップ・チームにおける「とりあえず生」とは「(向いている切り札を作ったら)とりあえず生(きる道)」の意味です。

     

     

     「闇昏千影の生きる道」というカードは新幕における唯一無二の特殊勝利効果です。その効果ゆえにテストプレイで問題を起こした回数は随一といっていいでしょう。時折普通のデッキではまず勝てない「生きる道」デッキがテストプレイでは生まれるのです。

     

     

    2 Thallya's True Masterpiece

     

     前回までの連載で、シーズン0のウツロというメガミが非常に強力であったことはお分かりでしょう。メガミとしてウツロに太刀打ちできる存在は、シーズン0にも恐らくいません。しかし、単体のカードでは話は別です。

     


     シーズン0のサリヤは恐るべき傑作を備えていました。現在の「Thallya's Masterpiece」と異なり、相手ターン中の「Turbo Switch」でも2歩移動でき、「Form:YAKSHA」の「Beta -Edge」でも追加移動が可能。そう、シーズン1で大暴れして現在のものに弱体化されたあの傑作です。


     ……その【使用済】効果の上に恐ろしい一文があります。ターン開始時に騎動する効果です。当然、下の効果と合わせて2歩移動することすらできます。


     実際のところ、燃料以外のリソースを使用せずに遠心を達成したり、ターン開始時に間合1-6の範囲から「熊介」が放たれたりするなど、ぶっ壊れと言って差し支えない効果です。なお当時は問題かどうかギリギリのラインとされて様子見されていました。

     

     

    3 傑作的生きる道


     かの「Thallya's Masterpiece」を携えた私は、さっそく「とりあえず生」の精神を発揮し、最強を誇るビートダウンであるユリナ/オボロに「闇昏千影の生きる道」で挑みました。

     


    攻撃/対応    遁術
    攻撃         毒針
    付与         泥濘
    攻撃         Burning Steam
    行動         Stunt(※1)
    行動         Roaring
    行動/対応    Turbo Switch

    付与/全力    闇昏千影の生きる道
    行動         Thallya's Masterpiece
    行動/全力    Julia’s BlackBox(※2)

     

    ※1:「オーラ→フレア:3」、相手を畏縮させる効果はなかった
    ※2:0フレア、変形できなくても未使用には戻らない


     

     ディベロップ・チームでは、テストプレイが終わった後に他のメンバーに結果を共有するためにテストログと呼ばれているものを書きます。この時の対戦相手のtotさんは以下のテストログを残しました(なお、初回でご紹介した前進撃デッキも対戦相手はtotさんでした)。

     


    <ゲーム展開>
    後攻4T目に道を立てて勝ち。何もできず終了

    初手:スタントからマスピ
    2T目:空箱
    3T目:纏
    4T目:生きる道
    5T目:間合10へ
    <所感>
    ・明らかにぶっ壊れ。(後略)

     

    ※ このログはtotさんの了承の下で転記されています。


     

     実戦では4ターン目に先手のユリナ/オボロが打った「鋼糸」をライフで受けてフレアを加速したのですが、そうでなくても異常な高速で「闇昏千影の生きる道」が展開されていたでしょう。


     その上、本来無防備な「闇昏千影の生きる道」の展開ターンにも「Thallya's Masterpiece」相手の得意間合から2つ逃れつつ、2歩ステップできる「Turbo Switch」を構えることで通常のビートダウンはシャットアウトできます。


     さらにターンが帰ってこれば「Thallya's Masterpiece」の2歩移動と合わせて間合10へと逃げ去っていくのです。

     

     結果として一部七五調でテンポ感の良い名作テストログが生み出されることとなりました。

     

     この事件以降「Thallya's Masterpiece」はテストプレイのたびに弱体化され続け、記憶ではその回数は5回以上に上っています。


     これだけ弱体化したから大丈夫だろう、と思ってリリースしたものがさらにシーズン1で大暴れしたことはディベロップ・チームの中でも教訓として今でも語り継がれています。どうしても「より強かった時代」を知っていたため、過小評価しがちになってしまったのでしょう。

     

     

    4 おわりに


     今回ご紹介した生きる道デッキの話は大規模大会の打ち上げなど様々な場で語られ、非常に受けが良かった話でした。この話をより多くの人に聞いていただきたいと思って始めた当連載でご紹介できたのは、私としてもとても嬉しいことです。

     

     始まる前の決闘録・第三回はここまで、また次回「満天の花道で」の話をする時までお別れとさせていただきます。
     

     

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