『新幕 半歩先行く戦いを』第3回:組み上げよその意思を

2019.08.02 Friday

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     こんにちは、BakaFireです。喜ばしいことに著者の環境が整い、本シリーズに再開の目途が立ちました。

     

     こちらのシリーズは本作の攻略記事となります。目標は初級者から中級者へのステップアップ。ルールは理解できているものの、今一歩勝利への道筋を掴みかねている方を対象として、理論立てられた基礎をお伝えしております。

     

     もともとは『第二幕』のバージョンが連載され、完結しています。しかしシリーズそのものが素晴らしい点と、『新幕』で当時の知識が使えるかどうかが不明瞭である点を鑑みて、『新幕』へのコンバートを行っています。

     

     本シリーズは現在大会で活躍されているプレイヤーの中より、戦術の理論化、文章化に長けた強豪であるつきのみちさんに執筆して頂いております。それでは今回も始めるとしましょう。

     


    著者紹介:つきのみち
     本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。新幕の大規模大会もシーズン1、シーズン2、そして第三回全国大会のいずれも4勝1敗で終え、その実力はいまだ健在だ。最近はゲームデザイナーとしての活動も始め、初の作品である『Psylent Phantom』は私どもBakaFire Partyより好評発売中! ぜひとも手に取ってみてね!


     

     

    『新幕 半歩先行く戦いを』

    第3回:その意思を組み上げよ

    著:つきのみち

     

     

     お久しぶりです。私事により記事執筆が難しい状態となり連載を中断していた攻略記事ですが、目途がついたため再開いたします。今まで長らくお待たせし申し訳ありませんでした。

     

     今回は眼前構築について解説しようと思います。

     

     眼前構築・切札・攻撃は三位一体の概念となるため、今回から3回にわたり、眼前構築・切札・攻撃について各々解説したいと思います。

     

    注:以下、メガミのアナザー版は名前の後にAを付けて呼称します。

     

     

    1.眼前構築の基本

     

    1.1 ライフを10点取れるデッキを作ろう


     デッキは脚本、と私はよく例えます。プレイングはデッキという脚本に書かれた範囲でしか演じられないため、「勝利する」という結末が用意されていない脚本では、何回ループしても勝てないのです。


     デッキを組む際に最も重要なのは「勝利に至るシナリオを盛り込む」ことです。大半の場合においてそれは「相手のライフに再構成込で合計10点のダメージを与える」ことと等価です。とりあえず「自分のデッキ3週目が終わるまでに相手のライフに10点与える」ことを目安にデッキを構築してみましょう。逆を言うと、それができないデッキは少なくとも初級者は組んではいけません。

     

    例1:ユリナ / シンラにて

    10点の内訳
    通常札:斬 / 一閃 / 柄打ち / 居合 / 立論 / 反論 / 詭弁
    切札:浦波嵐 / 月影落 / 天地反駁

    相手の再構成3回で3点(「詭弁」で山札を伏せさせるため、相手の再構成が1回増える)
    「詭弁」を1回で1点
    「斬」をライフに2回で2点(「斬」オーラ受けは「柄打ち」「一閃」「居合」のいずれかがライフに当たる)
    「月影落」をライフに当てて4点
    (裏の選択肢として、「天地反駁」+「反論」+「浦波嵐」で3点+「立論」で再構成を更に1回増やして1点)
    合計10点

     

    例2:サイネ / オボロにて

    10点の内訳
    通常札:薙斬り / 八方振り / 石突 / 衝音晶 / 鋼糸 / 影菱 / 斬撃乱舞
    切札:律動弧戟 / 響鳴共振 / 壬蔓

    相手の再構成2回で2点
    「薙斬り」+「八方振り」で2点(両方オーラで受けられたら「鋼糸」がライフに当たる)
    設置「鋼糸」+「斬撃乱舞」、「影菱」+「石突」+「鋼糸」等で2〜4点
    「響鳴共振」+「鋼糸」+「壬蔓」+「律動弧戟」を1ターンに全部ぶつけて4点
    合計10点

     

     

    1.2 とにかく《攻撃》を入れよう


     相手のライフに10点与えられないデッキは組んではいけないと言われても、5分でライフ10点ぶんのシナリオなんて計算できない!とお嘆きのアナタ。実は簡単にライフが10点取れるデッキを組む方法があります。相手を《攻撃》してライフにダメージを与えて勝つことを基本としているメガミ同士で組んでいる場合、とにかく《攻撃》カードを突っ込めば大概相手のライフを0にするシナリオは整うようにできています。例としてユリナ/オボロを挙げると…

     

    通常札:斬 / 一閃 / 柄打ち / 鋼糸 / 影菱 / 斬撃乱舞 / 誘導
    切札:月影落 / 浦波嵐 / 壬蔓
    (「誘導」は相手のオーラをフレアに送ることができるため、実質1/-攻撃です)

     

    見事に《攻撃》カードだけを集めた脳筋デッキですが…

    再構成2回で2点
    斬2回で2点
    「鋼糸」or「影菱」or「斬撃乱舞」で2〜4点(設置「鋼糸」か「影菱」をオーラ受けすると「斬撃乱舞」がオーラで受けられない)
    「浦波嵐」+「月影落」で4点(フレアが足りない場合、「鋼糸」+「一閃」+「月影落」でも可)
    合計10点

     

     このゲームにおいて相手のライフにダメージを与える主要な手段は当然《攻撃》です(論破お姉さんとか狂気の発明家とかのことはちょっと置いておきます)。そのため、《攻撃》カードが多いほどライフにダメージは与えやすくなります。これを踏まえて6割くらいのメガミで成立する30秒でできるデッキ構築ルーチンを示すと…

     

    〜佇のカードプールから、《全力》でない《攻撃》カードを全てデッキに加えます。
    間合4以上か1以下でなければ使えない《攻撃》カードがある場合、移動カードを入れます。
    O箸剖きがあれば《全力》の《攻撃》カードを1枚加えます。

    (切札もだいたい同じような考えでとりあえずは大丈夫です)

     

     これに従ってデッキを組めば、とりあえず「相手にライフ10点のダメージを与えるシナリオが存在しないデッキ」は回避できるはずです。

     

    注意:下記のメガミはこのルーチンに従うだけではライフ10点が取れないデッキができる可能性があります
    トコヨ、シンラ、チカゲ(チカゲAは除く)、ハガネ、クルル、ウツロ、ホノカ

     

     

    1.3 回して改良しよう


     とりあえずルーチンに従って叩き台となるデッキができたら、実際に使ってみましょう。使ってみると、移動カードが足りなくて攻撃が振り切れないとか色々足りないところが見えてくると思いますので、それに合わせて改良していきましょう。これで進化したあなただけのデッキが完成します。

     

     

    2. 相手より早くライフを0にしよう


     自分が相手のライフに10点のダメージを与えられるデッキを組むのと同様、相手もこちらのライフに10点のダメージを与えられるデッキを組んでくるため、あとは速さの勝負となります。しかし、単純に《攻撃》カードを山盛りにしただけの論者デッキがぶつかり合えば、攻撃力が高い方が勝つだけです。より勝てるデッキを組むためには、攻撃するだけでなく相手の攻撃を防いだり、更には相手の防御を崩したりすることも重要となります。自分が相手より遅いなら、相手の足を遅らせてやればいいし、相手がこちらの足を掴んでくるなら振り解けばよいのです。

     

    例:
     ユリナA / ライラ
    通常札:乱打 / 一閃 / 柄打ち / 足捌き / 癇癪玉 / 流転爪 / 風雷撃
    切札:月影落 / 不完全浦波嵐 / 浮舟宿

    ユリナA / ウツロ
    通常札:乱打 / 一閃 / 柄打ち / 癇癪玉 / 重圧 / 遺灰呪 / 影の壁
    切札:月影落 / 不完全浦波嵐 / 虚偽

     

     このマッチを見てみましょう。


     ユリナA /ライラ側は《攻撃》カードのパワーで言えばユリナA / ウツロを圧倒的に凌駕しています。なにしろデッキ2巡目の時点で「風雷撃」は3/2〜4/2まで成長する上に、「流転爪」のためにデッキ1巡でそれが2回出てくるのです。力比べではユリナA / ウツロに勝機はありません。しかし、ユリナA / ウツロ側にある「虚偽」に注目してみましょう。このカードは展開中、相手に「全ての《攻撃》に間合縮小近1+【攻撃後】効果無効、全ての《付与》に納-1+【破棄時】効果無効」を与える非常に強力な切札です。この影響下に晒されるとユリナA / ライラはどうなるかというと…

     

    乱打:使用不可
    一閃:使用不可
    柄打ち:決死でも次の《攻撃》は強化されない
    癇癪玉:何も起こらない
    流転爪:使用済みの《攻撃》カードを戻せない
    風雷撃:使用不可
    月影落:間合4でのみ使用可能
    不完全浦波嵐:対応した攻撃のダメージを軽減できない

     

     このように大幅に弱体化してしまいます。

     

     ユリナA / ライラの強力な攻撃である「決死状態で「柄打ち」→「不完全浦波嵐」→「乱打」→「風雷撃」でライフ5点(「一閃」もあれば7点)」が、「虚偽」1枚でなんとオーラ5ダメージライフ0ダメージで終わってしまうのです(「月影落」を考えると「柄打ち」はライフで受けた方が無難ですが)。しかも相手の「月影落」はこちらの「不完全浦波嵐」でオーラ1ダメージまで軽減できるのに、相手はこちらが事前に「虚偽」を展開しておくだけで「不完全浦波嵐」を使ってもこちらの「月影落」「不完全浦波嵐」のダメージを軽減できません。1枚で相手の攻撃も防御も完全に破壊、何たる不平等でしょう!!!


     このように、相手の攻撃を的確な対応等でいなしたり、逆に相手の防御手段を迂回することで攻撃力の差をカバーすることができます。ある程度デッキ構築に慣れてきたら、相手のカードプールを思い浮かべて、何か有効なカードが自分のカードプールにないか探してみましょう。

     

    ※ある程度ゲームに慣れた方なら「ユリナA / ウツロ相手にそんなデッキ組まないよ!」と仰られるかも知れませんが、この記事は初級者向けとなっておりますので御容赦ください。

     

     

    3. 相手の気持ちになろう


     最後に。眼前構築を行う際に、相手のメガミと自分のメガミを見比べて、「自分が相手の立場になったらどんなデッキを組むか」を考えてみましょう。そして、そのデッキを仮想敵と考えてデッキを組んでみましょう。これは眼前構築だけではなくプレイングにおいても同じで、重要な場面で相手の気持ちになりきることで相手の手札が分かる場面があったりします。私もよく「確かに自分が逆の立場だったら絶対そのカード入れてるわー」と言いながら敗北するので、相手の気持ちになることは重要です。心がけると良いでしょう。
     

     

     

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