桜花仄かに輝かん(前々篇)

2019.04.19 Friday

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    メガミ特集も第3シーズンが開幕だ!

     

     こんにちは、BakaFireです。本日の記事は好評のシリーズ、メガミ特集の10回目となります。このシリーズで取り扱うメガミはTwitterでのアンケートにて決められます。ちょうど前回に第2シーズンで最後となるサリヤ特集が終わり、まさに今回は新たなアンケートを行ったところです。結果をご覧いただきましょう。

     

     


     430票ものご協力ありがとうございます! 以上の通り、第10回から先はホノカ特集、ウツロ特集、ユリナ特集、ユキヒ特集の順で進めてまいります。そして今回はホノカ特集となります。

     これまで行ってきたトコヨ特集オボロ特集サイネ特集ヒミカ特集ハガネ特集チカゲ特集クルル特集シンラ特集サリヤ特集を踏まえた内容でもあります。お時間がありましたら、これらのシリーズもご一読いただけると嬉しいです。

     それでは、さっそくはじめましょう!
     


    第二幕第参拡張の流れ

     

     

     彼女の語り方は『第弐拡張』と同様で良いでしょう。何度か当ブログでも書いた通り『第二幕』において印刷コストの問題を解決するために『第弐拡張』と『第参拡張』は同時にデザインされ、印刷されました。したがって時代の話としても同様になるのです。

     それは本作を続けるために当時はやむを得ないものであり、判断そのものは誤りではありません。しかしいくつかの歪みと失敗も生んでしまったのは確かなので、その点にも触れます。

     さておき、やり方は以下の通りになります。

     

    • 前篇ではメガミの歴史を語る。
    • 歴史については2017年2月から6月ごろ、彼女がデザインされた頃の話をする。
    • 中篇では新幕における大枠での変化を語る。
    • 中篇と後篇2回にわたり、『第二幕』と『新幕』それぞれのカードを並べて、カードの歴史と変化について語る。

     

     またホノカはカードの枚数がとても多いため、特集のやり方がこの上なく難しいといえます。さらに私は今まさに『新幕 第参拡張』の原稿で慌ただしい状況で、多くの文章が書けません。そこで今回は全3回でなく、全4回の構成とすることにします。


    第二幕最後のメガミはどこにいる?

     

     ホノカはあらゆる意味で第二幕で最後に生まれました。それはゲームシステムの要請からも、ストーリーの要請からも、そして作品の展開としてもその通りです。

     まずは当時の要請からお話ししましょう。何度かお伝えした通り『第二幕』シリーズは『第参拡張』で完結する計画で進んでいました。『第壱拡張』が出版されんとしていた時、その印刷コストに問題があると分かり、私どもは『第弐拡張』と『第参拡張』を同時に印刷すると決めました。するとまずは前提として、4柱のメガミをデザインし配置してくてはならないという要請が生まれます。

     次はその要請を、既存のアイデアで埋めていきましょう。

     クルルは特集でお話しした通り『第壱拡張』開発中に(ああ、何者かの囁きのように)奇怪な閃きから生まれていました。

     サリヤも特集でお話しした通り、友人の趣味嗜好と提案、そして先延ばししてしまったことへの贖罪から登場が確定していました。

     ウツロは詳しくは彼女の特集で話しますが『第壱拡張』末期にデザイン班の一人からルールのアイデアが出て、それはまさにこの位置に相応しかったのです。

     ここまでであと1柱のアイデアが出ていません。ならば先に3柱の立ち位置を検討しながら考えても良さそうです。彼女たちはどちらの拡張こそが相応しいのでしょうか。そして最後の1柱に求められるのは何なのでしょうか。

     私は『第二幕』における2つのキーワードに立ち返り、考えることにしました。


    起承転結、温故知新。

     

     これこそがそれらのキーワードです。説明しましょう。

     起承転結は『第二幕』全体を通した体験を魅力的にするためのアイデアです。『第二幕』を「起」、『第壱拡張』を「承」、『第弐拡張』を「転」、『第参拡張』を「結」と位置付け、物語の構成として適切なメガミを入れるのです。

     温故知新は拡張1つを通した体験を魅力的にするためのアイデアです。それぞれの拡張に2柱のメガミを入れることは決まっていました。そこで私は2柱を「妥当さを感じて安心できるもの」と「あっと驚くもの」に切り分けたのです。

     これはどちらも重要です。安心できる存在がいるからこそプレイヤーはその拡張を自然に受け入れられ、驚くような存在がいるからこそ盛り上がるのです。前者がなければ奇をてらうばかりで疲れてしまいますし、後者がなければ作品はだんだんと退屈になってしまいます。

     例えば『第壱拡張』はハガネという実に標準的なメガミらしい存在が「温故」を担い、そもそも2柱が出ることが知らされず、さらに物語で意外性がある存在がメガミへと変化するという驚きを持つチカゲが「知新」を担っているのです。

     



     これらを踏まえて3柱を配置しましょう。自明に決まるのはサリヤです。特集で語った通り彼女は海の向こうで生まれ、世界観からして本作と異なる異常な存在です。それゆえに「転」の「知新」以外はあり得ません。

     次にクルルとウツロを考えます。クルル特集で軽く話した通り、彼女らには「敵方のメガミ」とい役割が与えられていました。ゆえに並んで登場してもよいのですが「結」のタイミングでようやく敵が出るようでは物語として遅すぎます。他方で「転」の1枠はすでにサリヤが埋めていますので、彼女らは「転」と「結」で別れて登場します。

     どちらをどちらにすべきかは簡単です。ウツロは最大の強敵にしてある種の魔王として設計されていました。ゆえに「結」以外ありえません。そうなるとクルルは「転」の「温故」となります。こいつを「温故」に置くのは釈然としませんが、「転」は最も予想外の展開が求められる位置でもあるのでまあ許してあげましょう。

     ではウツロは「温故」か「知新」か。敵の登場を切り分けましたが、物語における本当の意味での「登場」は同時であるほうが魅力的です。物語が中盤に差し掛かる頃、正体不明の敵が一気に顔見せするのは実に格好いいものなのですから。そうなるとウツロが『第参拡張』で出ることは早めに予想されるため、彼女は「温故」こそが相応しそうです。

     以上より、かなりの必然性をもって残る枠は「結」の「知新」になりました。そうと決まれば、それに相応しいメガミを設計することにしましょう。
     

     

    収束、発散、アルティメット


     しかしながら「知新」にあたる新規性の高いものは、そう簡単に虚空からは生まれません。私は着想を制限から得るために、同じ「結」に所属し「温故」を担当するウツロに目を向けることにしました。

     彼女の特性「灰塵」は実にシンプルです。ユリナ、サイネ、ヒミカ、トコヨといった『新幕』でいうところの『基本セット』に所属するメガミにも近く、印象としては原点回帰という言葉が似合います。

     ここにきて、原点回帰は「結」の印象としても相応しいことに気が付きます。様々な可能性を旅し、そして原点へと収束して物語が終わるのです。つまりウツロは収束の結末を象徴していると言えます。しかし本作は広大な可能性に魅力を持つゲームです。収束してまとまることもまた魅力ですが、それだけを「結」として結論付けるのは本作に相応しいとは言えません。

     ゆえに最後の彼女は発散の結末を象徴すべきです。それは広大な可能性を表現し、爆発的でアルティメットなものなのです。この時点では漠然としたイメージではありましたが、私はそれが正しいという直感を持っていました。


    そして収まるべきところへ

     この時点で彼女のカードリストを作りはじめ、「開花」ギミックを考え始めるわけではありますが、話の筋道を分かりやすくするためにゲーム上のギミックについての話は次回に回します。今回はこの漠然としたイメージが「ホノカ」に至る決定的なエピソードを話して終わりとしましょう。

     それはウツロのラフイラストからやってきました。ホノカのイメージも名前も決まっていませんでしたが、クルル、サリヤ、ウツロは外見の要素もいくつか決まっていたため、先に仕様書が仕上がり、キャラクターデザインの発注をTOKIAME先生に行っていたのです。そして仕上がったのがこの1枚でした。

     


     私はこの時、脳裏に電流が走りました。この鎌です。鎌に桜型の文様が描かれたこのデザインを見て、私は陰陽文様の黒い部分を見出したのです。これはあまりにも確信的な閃きでした。私は迸る着想を逃さないよう慎重に見定めようとしました。

     そうです! 彼女をウツロと対になる存在にすればよいのです。私はこれまで「結」の「知新」という位置の難しさも痛感していました。アルティメットな存在を設計しようにも、それを新キャラクターで強引に行い「結」の位置に置いてしまうとどこかご都合主義的な、デウス・エクス・マキナのような存在になってしまいます。

     実際のところ私はその時点までは(今の設定における後知恵で言うならば)ヲウカをデザインしており、このまま彼女を物語に導入したならばそれは今より強引で、魅力的でなくなっていたでしょう。

     しかしそれもウツロと対にすることで解決しました。今のウツロは完全な姿――終焉の影から漏れ出した姿であり、不完全化した存在と言えます。ならば彼女もまた不完全化すればよいのです。

     同時にこれは私が実に好きな表現でもあり、私が愛したあるゲームにおける表現を思い出させるものでした。そこでは明らかにこれが最後のボスだと言えるような昏く闇属性的な存在が現れます。そしてその先では対となる光属性的な結末にあたる存在と出会うのですが、実体としては彼女こそが最もアルティメットでボス的なのです。私はこの感動を思い出し、その感情が素晴らしいのならばウツロとホノカも素晴らしいものになるはずだと確信しました。

     さあ、イラストをよく見て最後の詰めをしましょう。鎌が陰陽の陰の部分ならば、同じような理屈で陰陽の陽のような形状にできて、象徴武器と呼ぶにふさわしいほどにはアイテム的なものは何でしょう。長い柄を持ち、そこから弧を描くような何かしらが伸びて……「旗」だ!!!

     



     こうして爆発的な閃きの中、まさに最後のメガミとしてホノカはその像を成しました。今回はここまでとして、次回は「開花」をはじめとしたゲームシステムにおける話をさせて頂きます。ご期待くださいませ。

     また、当ブログは明日も更新を予定しており、プレリリースに関するニュースをお届けするとともに全国各地の交流祭の受け付けも開始する見込みです。こちらもご覧いただければうれしい限りです。