『新幕 半歩先行く戦いを』第2回:全力で行こう

2018.12.07 Friday

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     こんにちは、BakaFireです。

     

     こちらのシリーズは本作の攻略記事となります。目標は初級者から中級者へのステップアップ。ルールは理解できているものの、今一歩勝利への道筋を掴みかねている方を対象として、理論立てられた基礎をお伝えしております。

     

     もともとは『第二幕』のバージョンが連載され、完結しています。しかしシリーズそのものが素晴らしい点と、『新幕』で当時の知識が使えるかどうかが不明瞭である点を鑑みて、『新幕』へのコンバートを行っています。

     

     本シリーズは現在大会で活躍されているプレイヤーの中より、戦術の理論化、文章化に長けた強豪であるつきのみちさんに執筆して頂いております。それでは今回も始めるとしましょう。

     


     

    著者紹介:つきのみち
     本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。新幕の大規模大会もシーズン1、シーズン2ともに4勝1敗で終え、その実力はいまだ健在だ。

     

    『新幕 半歩先行く戦いを』

    第2回:全力で行こう

     

     

     前回の「前進」と「後退」に続き、今回は全力について解説しようと思います。

     

     全力カードは強大な効果を持つものが多い一方で多大なデメリットを内包しているハイリスク・ハイリターンなカードです。このデメリットを最小化しつつメリットを最大化しなければ、全力カードを使っても大きな有利を得ることは出来ず、下手をすれば自滅します。今回は、如何に全力カードの効果を引き出すか、逆にいかにして全力の攻撃から身を守るかを考えたいと思います。

     

     

    1. 全力の基本

     

     全力とは何か。「全力」と書かれた黄色いカードを使用することですが、これをルール的に厳密に解釈すると以下のような流れとなります。

     

    1. 自らのメインフェイズ開始時に「全力カードの使用」を宣言する。
    2. 手札もしくは未使用の切札からサブタイプ《全力》を持つカードを1枚使用する。
    3. カードの効果を解決し、メインフェイズを終了する。

     

     《全力》を持つカードを使用する場合、メインフェイズ開始時にしかその宣言ができないこと、カードの効果を解決すると即座にメインフェイズが終了してしまうことから、《全力》を持つカードを使用するにあたっては以下の制約が付きます。

     

    • メインフェイズ中に当該《全力》カード1枚以外のカードを使用できない。
    • 基本行動ができない。

     

      これらの性質により、全力を宣言したプレーヤーは以下のようなデメリットを背負うこととなります。

     

    • 手札や集中力が溢れる
    • 攻撃前に間合い等を調節できない(攻撃のみ)
    • 使用後に間合い・オーラを調節できない

     

     これらのデメリットが及ぼす影響とその対策について、使う側と使われる側の双方から考えてみます。

     

     

    2. 全力カードを使いたい!

     

     単に全力カードと言っても、その効果の方向性によって使用時に注意することは変わります。そこで、大まかに3種類に全力カードを分類して考えてみたいと思います。

     

    分類1:攻撃
     カードタイプが「攻撃」である。

     

    分類2:防御
     次のどちらかの効果を持つ:「自オーラを増やす」「間合を変化させる」

     

    分類3:その他
     分類1と分類2以外の全て

     

     

    2.1 手札と集中を無駄にしないためには?(全分類共通)

     

     自ターン終了時に手札の枚数が2枚を上回っていた場合、2枚になるまで伏せ札にする必要があります。全力カードの使用を宣言すると、選択した全力カード1枚以外一切のカードを使用できないため、全力カードの使用を宣言した時点で手札が3枚より多く(全力の切札を使用する場合、手札を一切消費しないため2枚より多く)存在すると手札の損失が発生します。ターンの開始時に手札を2枚引くことを考えると、手札を無駄にしないためには、手札1枚以下でターンを開始する(全力切札の場合、手札無しでターンを開始する)ことが条件となります。


     同様に、自ターンの開始時に集中力が2だった場合、新たに集中力を得ることができず無駄にしてしまいます。次ターンの開始時に集中力を無駄にしないためには、全力カードの使用を宣言した時点で集中力が1以下である必要があります。毎ターン開始時に集中力は得られるので、全力カードを使った際に集中力を無駄にしないためには、全力カードを使う前のターンに集中力を0にしておく必要があります。


     ただし、これを露骨に狙うと全力カードを構えていることがバレバレになってしまうため、使用するタイミングがバレてもあまり関係のないカード以外では、手札や集中力を無駄にしてでも打つべき場面が来たら打ちましょう(確定で「つきさし」が決まる時など)。

     

     また、全力カードを使った次のターンは、原則手札4枚+集中力2の状態になります。

     

     

    2.2 攻撃前に間合は調整できない。オーラも削れない。手札も減らせない。(攻撃)

     

     この弱点は全力カードの構造的な都合上、全力を使用する側から解消することは難しいです。逆に、間合いを外した状態で相手にターンを渡すことで簡単に回避することができるため、全力の攻撃カードは暴虐的なまでの威力を持つことが許されているのです。


     全力攻撃の構造的な弱点なので、全力カードを持つ側としては無理に相手に全力攻撃を当てることより、全力カードの存在を利用して相手を畏縮させ(集中力を得られなくする方ではない)、代償を得ることが重要となります。例えば自分がユキヒ(閉)、相手が近接系のメガミを宿している際に、相手のオーラが3〜5程度残った状態で間合6で相手にターンを渡したとしましょう。すると、相手は前進して「ふりまわし」の間合から脱することが不可能なため、自らの集中力とオーラを勝手に消費して後退するか、前進して「ふりまわし」を受けるかの二択を迫られるのです。


     このように、全力の攻撃カードは撃つ前に間合を調整することはできませんが、全力の攻撃を回避するために相手に無駄な手札や集中力を消費させることで有利を取れる場合があります。(なお今回の教材には「ふりまわし」を用いましたが、熟練したプレーヤーを相手にする場合、前回の攻略記事で説明した「力を溜めて駆け抜ける」移動を応用して被害を軽減してくるため、「ふりまわし」だけではそうそう大きな有利を取らせてもらえません)

     

     また、当然のこととして、全力攻撃前には相手の手札を見たり捨てさせするカードも使用できないため、相手が全力攻撃を打ち消したり間合をずらして回避してくる対応を持っている場合、1ターンに1枚しか使用できない全力カードをドブに捨てる事態になりかねず非常に厄介です。こういう場合は、そもそも全力攻撃カードをデッキに入れないか、相手の再構成直後を狙って「無窮の風」や「砂風塵」で捨て札に送り、相手が再構成するまでの間に全力攻撃を使うと良いでしょう。

     

     

    2.3 攻撃後にも何もできない(攻撃・その他 攻撃で特に重要)


     「雑な居合は死を招く」という古から伝わる格言があります。全力カードは宣言した瞬間から先、下手をすると次の自分のターンまで自分に行動の選択権が与えられない状態が続くため、「使用した次のターンに致命的な打撃を受けないか」は常に考える必要があります。特に「居合」や「斬撃乱舞」は強大な攻撃カードである反面、その適正距離の範囲内に高い攻撃力のカードが集中しているため、何も考えずに使用すると致命的な反撃を受ける可能性が高く、注意が必要です。

     

    例えば雑な居合が死を招く典型例としては以下のような流れがあります。

     

    相手ライフ6、自分ライフ5で自分が「居合」を使用(自フレアは3未満とする)

    相手「癇癪玉」で対応した上でライフ受け

    相手ターン開始時に癇癪玉で自オーラに1ダメージ
    (相手によってはここでさらに設置攻撃による追撃等が入る)

    相手「天音揺波の底力」使用

    オーラで受け切れないためライフ5ダメージ、敗北

     

     このようなことにならないために、防御以外の分類の全力カードを使用する際は、以下の点に留意すると良いでしょう。

     

    • 自分のオーラは十分あるか(間合の都合上相手が攻撃できない場合を除く)
    • 相手は危険な対応を持っていないか(攻撃のみ)
    • 相手の得意な間合いに居ないか
    • 手札に「対応」を抱えておくと手堅い

     

     なお、防御分類の全力カードは非常に強力な防御効果を持つものが多いため、困った時にとりあえず使って防壁を築き、次のターンに手札4枚+集中力2を使って反撃を行ったり態勢を整えたりすることができるため、比較的雑に使っても大きな問題はありません。筆者は「無音壁」を心の中で「困った時の巻物」と呼んでいます。


    (余談ですが、「空駆け」「風舞台」等も困った時に引くと天の助け足り得るので困った時の巻物扱いしています)
     


    3. 全力攻撃から身を守りたい!

     

     全力攻撃は全力カードの中でも特にハイリスクなカードです。それ故に、オーラを全て破壊するとか、ライフに2点直撃とか(しかもこの2つの効果は両方とも同じカードが持っているのだ!)、4/3の攻撃とか、とにかくヤバい威力のカードのオンパレードです。これらは1回でもまともに受ければ体勢の立て直しだけで手一杯となり一方的に相手に主導権を握られ続ける事態となりかねません。よって、「相手に全力攻撃を使わせない」、あるいは「使われても大丈夫な盤面を構築する」ことが重要です。具体的には、2.3項で挙げた「全力攻撃すべきではない状況」に相手を追い込むことです。すなわち以下のような状態です。


    (上に書いてあることほど重要)

     

    • 間合をずらしておく(そもそも使用させない)
    • 相手のオーラを減らしておく
    • 打消し/間合ずらしによる無効化ができる対応札を持つ(実際に手札に無くても、持っているフリでも効果はある)
    • 未使用の対応切札があるメガミでフレアを潤沢に用意する(実際に切札に無くても、入れているフリでも効果はある)
    • 自分の得意間合いに居座る
    • 手札/集中力を潤沢に保つ(無理矢理攻撃してきた場合反撃で十分なリターンを得られるようにする)

     

     特に間合をずらしておくことと、相手のオーラを減らしておくのは重要です。ただし、間合いをずらすことで自身の集中力や手札・オーラを無駄遣いするくらいなら積極的に相手のオーラを削ったほうが得をします。オーラを減らした場合相手はオーラを補充するために手札や集中力を消費するハメになりますが、不自然な間合ずらしは相手に何ら消費を強いることができないためです。相手のオーラさえ削っておけば、仮に相手が全力攻撃を使ってきた場合でも、(場合によっては攻撃のライフ受けで増えた潤沢なフレアを使って)オーラの減った相手を攻め立てれば致命打を与えることができるでしょう。


     また、対応カードを持っている(フリでもよい!)ことも重要です。相手は1ターンに1枚しかカードを使えないのにそれが無効化されては大損ですので、手控えさせることができるかもしれません。

     

     

    4. 何点までならライフを犠牲にできるか?(上級者向け)


     新幕になり第二幕より全体の攻撃力が上がった関係により、相手の攻撃の適正距離範囲から明らかに外れている場合を除き「その他」分類の全力カードをノーリスクで使うことは難しくなりました(豊富かつ強力な対応と変形時効果の凶悪さで誤魔化せる「Julia's BlackBox」が限度でしょう)。相手の攻撃がより苛烈となったためにそもそもオーラ5を維持することが難しく、その後の追撃ダメージも痛烈な事が多いためです。

     

     これらのデメリットの大きさゆえ、「その他」分類の全力カードを使う場合、「使ったら勝ち」(シンラ+ユリナ<古刀>の「天地反駁」など)か、「使って次のターンが来たら勝ち」(「天地反駁」、「呼び声」+「天雷召喚陣」など)くらいの状況を構築することが望ましいです。この辺は要は決まればその時点で勝ちなので、それまでに死なない限りいくらライフを失っても構いません。デッキ構築時点で「何点までならライフを犠牲にできるか?」を考えておき、計画的にダメージを制御しましょう。

     

     新幕で全体的に攻撃力が増加した影響により、全力カードの不用意な使用による事故の発生率は二幕時代に比べ格段に跳ね上がっています。手札から黄色い札を出す前に、立ち止まって安全確認をする習慣を付けましょう。全力カードの適正使用と安全確認で、今日もゼロ災でいきましょう。

     

     全力カードについての攻略は以上となります。

     

     次回は「切札」について攻略しようと思います。

     

     

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