2018年12月禁止改定

2018.12.03 Monday

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     私どもはバランス調整の宣言と、それに基づく理念に従い毎月第一月曜日にカードの禁止改訂を行います。この記事はその2018年12月のものです。禁止カードを出すことそのものについて疑問や不安を感じる方は、こちらよりリンクしている宣言か、それを要約した理念をご一読いただければ幸いです。

     

     

    2018年12月禁止カード

     

    ハガネ/『終章』ウツロで禁止

    大重力アトラクト

     

    ※ これらの禁止はシーズン3の間、即ち2019年5月下旬まで継続し、『第参拡張』でのカード更新を通して解除されます。

    ※ この禁止は『終章』ウツロ固有のものです。通常のハガネ/ウツロでは「大重力アトラクト」は使用できます。

     


     こんにちは、BakaFireです。シーズン3も開始し、新たな展開がはじまりました。今月は多数の更新と共に、改めて本作を魅力的にしていくための多数の試みをお伝えしていきます。ご期待くださいませ。
     
     シーズン最初の禁止改訂となりますので、まずは現状をお伝えします。とはいえ、まだ先行発売から10日程度しか経っておりません。なので環境の全体像についてお話しすることは不可能というべきでしょう。あくまで今の時点での観測結果ということにご留意ください。
     
     
    シーズン3バランスの現状評価
     
     この時点で新たな禁止カードを出さざるを得ないことから分かる通り、私どもはひとつ大きな過ちを犯していたことに気づいてしまいました。こちらへの謝罪や今後の対策は詳細を説明した後に行うものとして、それ以外の点についてどうなのかを先に述べさせて頂きます。
     
     後述する過ちを除いた、それ以外の全ては今の観測範囲ではうまく働いていると考えています(やや言い訳がましい言い方となってしまうのが悲しい限りですが)。
     
     特にカード更新は今のところ完璧に働いています。勝ち辛い点が懸念されていたサイネと、勝ち易く柔軟すぎることが問題だったオボロは共に適切なバランスへと移ったと言えます。シーズン2における禁止カードも問題なく解除でき、『旅芸人』トコヨ、サリヤともにバランスの問題は起こしておらず、魅力が消え去ったということもありません。
     
     問題点を除いた新たなメガミ、つまりはホノカとアナザー版オボロ、チカゲもまた今の時点ではバランスの問題はどちらの方向でも起こしていないと考えており、ゲームに新たな展開を与えています(※)。

     

     総じて、シーズン2で残された問題点の解決は上手くいっています。つまり私どもが向き合うべきなのはシーズン3で新たに生まれた問題点であり、それが改善されればシーズン2を超えた、ひいてはこれまでの本作で最良の環境が訪れるだろうと予見しています。
     
    ※ ただ、こちらについて今の時点で見解を固めるのはナンセンスです。今のところ、禁止カードを出すことはまずありえないように思いますが、カード更新での上方修正や下方修正はこのシーズンを十分に見守ったうえで、適切なやり方が検討されることでしょう。

     


    新たな問題についての説明

     

     問題を端的に述べるならば、私どもはアナザー版ウツロのバランス調整を間違えました。特に終焉の影を蘇らせるまでの早さは、私どもが想定していたものから(組み合わせごとに大小あれど)ずれていたと言えます。
     
     ただし、アナザー版ウツロのカードそのものに禁止を出していない点からも分かる通り、彼女は全体の禁止カードをこの時点で出さなければならないほどに危険な存在ではありません。いくつか補足しましょう。
     
    補足1:弱点は多い

     

     彼女はその特性からしてピーキーなメガミであり、弱点が多く存在します。オリジン版ウツロやシンラ、限定的ながらホノカなどはその最たるものであり、彼女は安定して実力を発揮し、大会で絶対的な正解になるようなタイプではありません。
     
     この辺りはシーズン1のサリヤ(※1)、シーズン2のオボロ(※2)とは対照的なところです。
     
    ※1 弱点があまりにもないため、二柱を選ぶ標準選択で常に正解となっていました。

    ※2 多くのメガミと自然にかみ合う上に強力なため、三柱一捨で正解となりやすすぎました。

     

    補足2:使い方が難しい

     

     彼女を使いこなすのは難しく、終焉の影を蘇らせたからと言って勝利できるわけではありません(逆に勝てなくなることすらあります)。
     
     ゆえに彼女を使いこなすには特化した練習と専門技術が必要であるため、多くのプレイヤーにとって彼女は宿して簡単に勝てるメガミではありません。

     

    補足3:受け手のリテラシーに強く依存する

     

     彼女がどの程度脅威となるかは、彼女への対策や、弱点となる立ち回りをどこまで知っているかどうかに強く依存します。正しく対処すれば、逆にほとんど働かせずに勝つことも可能です。

     

    補足4:ゲームの新しい開拓としては大成功である

     

     彼女を用いた、あるいは用いられた際の本作の体験は、これまでのゲーム体験とは大きく趣が異なります。強大な存在となる感覚、逆にそれを討伐する感覚は素晴らしく楽しく、魅力的な拡張という側面では大成功とすら言えます。

     

     このような開拓への挑戦を行わなければ、拡張はどれも同じようになり、いずれは常に陳腐で面白くないものになってしまいます。私どもはその点について上手くやりました。
     
     しかし新しく楽しく王道でない体験は上位の強さではないほうが望ましいものです。私どもはその点においていくらか誤ったといえます。

     


     ここまででアナザー版ウツロの概要はご理解いただけたと思います。それを踏まえ、なぜ今月の時点で禁止カードを出したかを説明します。
     
     それは上記の補足全てを打ち破るような組み合わせと戦い方がここ数日の間に発見されてしまったからです。その組み合わせはハガネ/Aウツロであり、私どもは有志の協力も含めてこの土日で十分な回数の検証を行いました。その結果、この組み合わせは致命的に問題があると認めざるをえなかったのです。
     
     5フレアを溜め、1ターンで「大重力アトラクト」から「残響装置:枢式」「砂風塵」「重圧」と使えば一連の動作で間合0に入り、ダストを10作り、相手の手札を落とし、畏縮させられます。こうして終焉の影を蘇らせれば、ほぼ全ての組み合わせに対して優位に立つことができます。

     

     それに加えてハガネ/Aウツロが他に持つコンボや立ち回りがいくつか存在する弱点を潰しており、組み合わせとしての総合力がさらに高まっています。
     
     これらを総合すると弱点はほとんどなく、補足1、補足3はほぼ無意味です。動きを知っていれば使うのは簡単で、補足2も働きません。圧倒的すぎるため楽しくないので補足4も無いも同然です。
     
     他のアナザー版ウツロと違い、この動きはカジュアルな場でも、競技的な場でも魅力的な結果を生みません。この事実に今の時点で気づいた以上、イベントを可能な限り楽しいものにするためには、ここで禁止カードを出すべきだと私どもは決断したのです。

     

     このデッキを咎めるにあたって意味を成す禁止は「大重力アトラクト」か「残響装置:枢式」の2つです。そのうち「残響装置:枢式」を禁止すればこのデッキは完膚なきまでに消滅しますが、私どもが「大重力アトラクト」なしでテストをした範囲ではこのデッキの強さは問題なく、むしろ魅力的な水準でした。そこでデッキの選択肢を可能な限り残すためにも「大重力アトラクト」のほうを禁止にします。
     
     私どもはアナザー版ウツロに対して引き続き警戒しています。ですが少なくとも他の組み合わせは上記の4つの補足が成り立っており、直ちに禁止を行う理由がありません。また現状では使い手も、使われる側もリテラシーは完全ではなく、この時点で急ぎ過ぎた措置をしても過ちを重ねる可能性が高いと言えます(※)。
     
    ※ 例えば『第二幕』のサリヤは強すぎるという意見が発売直後に殺到しましたが、受け手のリテラシーが成熟した結果、全く問題のない強さだと分かりました。
     

     

    謝罪と今後の対策

     

     私自身、今回こそは完全なバランスを世に出せると強く期待していたため、ショックを受けております。今回もまた過ちを重ねてしまい、誠に申し訳ございませんでした。その上でこのような中で、本作を遊び続けて下さっている皆様にはお礼の言葉以外ありません。重ね重ねお詫びと共に、お礼申し上げます。
     
     それでは今回の原因は何であり、それを踏まえて私どもはどのような対策を行うべきでしょうか。まずは前回に禁止カードを出した際に書かせて頂いた対策について報告しましょう。
     
     まず、カード更新において現行のプレイヤーの皆様からの意見をより取り入れるという点においては、大いに成功しました。より洗練したカード更新が行えたのは勿論のこと、大阪の方々から強く意見を集めた最初の試みであったために新しい発見があり、次回以降のカード更新に向けた様々なヒントも得られました。
     
     他方で、その試みを通してバランス調整チームを未来のカードに専念できるようにするという点においては、今回の失敗も含めて完全には機能しなかったと言えます。試みをした上でも更新の内容についてバランス調整チームは考えないわけにはいかず、劇的な効果はありませんでした(小さな効果はあったと考えています)。
     
     総じて、完全な成功ではないものの良い結果を出したことは間違いないため、今後も近い試みを続けていくつもりです。
     
     しかし現状はこの試みだけでは足りていません。現時点で本作の組み合わせは203通りに至っており、正直に申し上げると私どもは膨れていく組み合わせ爆発に圧殺されつつあります。
     
     今回のハガネ/Aウツロに関しても、プレイテストで回されたことがないわけではありません。しかし数回のテストでは私どもは完全に正しくこの組み合わせを扱えず、その際は不幸なことにとても魅力的な接戦となったのです(しかもハガネ/Aウツロ側が負けました)。
     
     これが私どもの実力不足であることは事実です。しかしそれ以上に全ての組み合わせに熟達することはもはやできないという、膨大な組み合わせとゲーム空間がもたらす構造上の欠陥に由来しています。ですが厄介なことに、その欠陥は同時に魅力でもあるのです。
     
     これに対して私どもの取れるアプローチは2つあります。魅力と欠陥を共に失わせるか、欠陥と上手く付き合っていくかです。前者の道を選ぶならば、なにかしらの方法で使えるメガミに大きな制限をかけることになります。
     
     しかしその道は本作を魅力的にするとはとても思えません。本作は広大な世界にこそ魅力があり、その強みを活かしていくべきなのです。ならば私どもは直面している欠陥に対して、上手く付き合うやり方を探す必要があります。
     
     私どもはそのために以下の3つの試みを行います。

     


    試み1:組み合わせ単位の禁止カードへの見方を変える。

     

     今回、私どもは組み合わせ単位での禁止カードを再び出すことにしました。それはゲームを幾らか魅力的でなくすることは間違いありませんが、今や組み合わせは203通りあります。その中の1つにおいて制約がかかっても、ゲームをひどくつまらなくするわけではありません。
     
     私個人の意見として、シーズン2での「Thallya's Masterpiece」禁止はサリヤの魅力を明らかに損ねましたが、「二重奏:吹弾陽明」の禁止は『旅芸人』トコヨの魅力をさほど失わせませんでした。むしろ、明確な正解が消えたために彼女を他の組み合わせで使う工夫が活発化したほどです。
     
     なので私どもは組み合わせ単位の禁止について、もう少しだけ寛容になることにします。
     
     ただし、それを踏まえて決して誤解してほしくないことがあります。同時に、私たち自身も絶対に誤解してはならないことであり、ここに強く戒めとして残そうと思います。
     
     ここに寛容になるからと言って、バランス調整に手を抜いて良いということは絶対にありえません(※)。私どもは発売前の段階で全力を尽くし続けることを、引き続きここに約束します。
     
    ※ そもそも今回も全力を尽くしたからこそ、このくらいの過ちで済んだという見方もまた正しいのです。

     

     

    試み2:バランス調整チームを増員する。

     

     今回の失敗を受け、バランス調整チームを少数ながら増員しました。これによりプレイテストの頻度を増やしやすくして、組み合わせの爆発に可能な限り抵抗します。
     


    試み3:直前フィードバックチームを結成する。

     

     アナザー版ウツロは『第弐拡張』における他の3柱と違う点があります。それはバランス調整を通して強くなったメガミであるという点です。
     
     アナザー版オボロとチカゲは調整を通していくらか弱体化されており、ホノカは大きく弱体化されています。他方でウツロは私の出した初期案が弱かったため、大きく強化が行われたのです。私どもはその結果、彼女が魅力的なゲームを生むようになったことで満足してしまい、どこかで臨界点を超えていたことに気づきませんでした。
     
     近い例として「Thallya's Masterpiece」も同様です。このカードは初期案から4回の弱体化が行われました。その時点で私どもはまともに見えるようになったことで満足しましたが、結果は愚かなものでした。
     
     これらが告げている事実は、私どもは実際に印刷されるまでの変化を知っているために、その変遷に判断が曲げられてしまうことです。
     
     そこで新たに直前フィードバックチームを結成します。これは入稿の2,3週間前に初めてカードリストを見て、それに対して素朴なフィードバックを伝えるというチームです。彼らがいればこれまでの変遷という色眼鏡なしでカードが見られるため、発売後の結果を先行的に予測できるようになります。
     
     そしてそのフィードバックと、これまでの歴史をつき合わせ、それらを総合的に判断して最終的なカードリストを確定するようにします。
     
     
     本日は以上となります。次回の禁止改訂は1月7日(月)となります。現在はシーズン3の序盤であるため、私どもは引き続き環境の観察を強く続けています。その結果をそちらでご報告差し上げることになるでしょう。

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