第二の幕開けは近い:中篇、問題解決

2016.11.11 Friday

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     この記事は三本立てのうちの中篇です。前篇をまだ読んでいない方はこちらよりどうぞ。

     

     前篇では『第二幕』の発表と、現状の問題点の洗い出しを行いました。中篇では最大のポイントとなる、バランス面の解決についてお話しします。

     

    達人の領域、ここにあり

     

     まずは結論をお伝えしましょう。ルールがひとつだけ追加することで、構造上の問題は解決されました。そのルールは素晴らしいものですが、初めて遊ぶ際に意図が分かりづらいという欠点があります。そこで遊びやすさのために、修練ルールと決闘ルールを選べるようにしました。修練ルールは主に、初めて遊ぶ方へのルール説明を行いやすくするために利用されます(体験卓や初心者大会など)。

     

    修練ルール

     プレイヤーは「ユリナ」「ヒミカ」「トコヨ」「サイネ」の4種のメガミのみを使用できます。それ以外の変更点はありません。

     

    決闘ルール

     プレイヤーは全てのメガミを使用できます。そして、以下のルールが追加されます。

     

     現在の間合が2以下の場合、全てのプレイヤーは基本動作《前進》を行えない。

     

     誤解なきよう。禁止されるのは基本動作の《前進》のみです。あなたはカードの効果により、間合を1や0に変更できます。達人の懐に潜り込むためには、特別な技術が必要と考えれば不思議な話ではないでしょう。

     

     

    結論に向けた長い旅

     

     さて、どうするのかは話しました。次はその理由を説明していきましょう。

     

     直接的な原因は、前進と後退で比べると、前進の方が有利になるようにデザインされいる点にあります。ですが、それ自体は良いデザインです。初期の間合を最も遠い10とし、段々と前進していくことで、時間経過による変化が与えられています。そもそも《前進》や《後退》そのもののルールを変えても上手くいかないのは初めから分かっていました。 基本動作の内容は初版以前に、プレイテストを通して十分に吟味されていたのです。そして防御力不足で瞬殺されたり、延々と後退されていつまでも近づけないといったような悪夢を体験していました。

     

     新たな解答のためには、辛い境遇にあるメガミに目を向ける必要がありました。得意な間合が3、4辺りのメガミを想像しましょう。間合が0になると、自分の得意な間合に戻すだけでも多くのリソースを割かなくてはなりません。しかしそこまでして攻撃しても相手はオーラを回復させながら再度近づいてくるのです。

     

     そして私たちはこう結論付けました。「多くのメガミは間合2から6で戦う。しかし今のルールでは間合の焦点は0になり易くなっている。それこそが問題である」と。解答は、間合の焦点を変えることにあったのです。ではいくつにするか。私どもは2にすると決めました。焦点が2となれば、間合3、4へと何度も戻るのは現実的になります。後退を行うカードを併用すれば、より遠くに戻ることも可能でしょう。

     

     このルールにはもうひとつ素晴らしい点があります。これまでは《前進》が強すぎるために、前進を行う類のカードが作り辛かったのです。しかしこれにより、それらのカードには間合1や0に入れるという新しい付加価値が生まれました。さらに、間合1や0は特別な扱いになるため、それを利用したカードも作れるようになりました。カードをデザインするための空間が大きく拡張されたのです。

     

     

    新たな代のためカード調整

     

     ルールの変化だけで済めば最良でしたが、残念ながらそうはいきませんでした。新たなルールに合わせて、いくつかのカードを調整します。カード調整に関する私どもの考え方は7月に書いた通りです。そして再版を控えた今を逃す理由はありません。

     

     今回の調整の前に、7月の調整はいったん解除されます。いくつかのカードにはその上で同様の調整が行われます。

     

     ご要望を頂きましたので、調整したカードのpdfも公開いたします。こちらよりダウンロードしてください。

     

    一閃

     「一閃」は3/2から2/2になります。

     私どもは3/2のダメージを持つ攻撃の強さを過小評価していました。カードプールに3/1と3/2の両方が存在すると、3/1の方をライフで受けざるを得ない事態が頻発し、ストレスとなります。これを鑑み、私どもは以下の原則を定めることにしました。

     

     「1柱のメガミだけで」「5以下の共通の適正距離を持ち」「切札でも《全力》でもない攻撃の組み合わせで」「特殊な条件を満たすことなく」オーラへの合計ダメージが5を超えてはならない。

     

     これにより相手のオーラが5であると、どのメガミでも一工夫しなければライフへのダメージを与えられなくなります。それは独自のギミックを活用することかもしれませんし、メガミを組み合わせることかもしれません。少なくとも、今よりもメガミの特色を生かしたゲームとなるでしょう。

     

    逆打ち→遠当て

     「逆打ち」は消去され、新たなカード「遠当て」になります。

     理由は「一閃」同様、原則に従ったものです。中遠距離での攻撃はユリナにとって得意ではありませんので、「遠当て」は弱めに作られています。ですが、もう一方のメガミ次第では貴重なピースとして働くことでしょう。

     

    居合

     「居合」は4/3から4/2になります。

     今はほとんど活躍していないカードですが、今回のルール導入後の強さは目を見張るものでした。間合の焦点が2となると、適正距離2-3の《全力》はとても撃ち易くなります。結果として良いカードになりましたが、ライフへのダメージが3であると、当たった際にゲームを決定づけすぎてしまいます。これは雑にカードを撃つだけでも起こり得るため、ストレスが大きすぎると判断しました。

     

    気炎万丈

     「気炎万丈」の与える修正値は+1/+1から+1/+0になります。

     調整の理由は2つあります。1つ目は現在の環境で、ヒミカとの組み合わせが危険すぎるためです。「バックステップ」「バックドラフト」などと組み合わせて焦燥により決死を有効化し、「浦波嵐」「クリムゾンゼロ」などの攻撃を叩き込む動きは対策が困難です。しかし、コンボそのものを破壊してもゲームが退屈になるだけです。そこでライフへのダメージを緩和し、コンボの後に逆転の余地を残しやすいようにします。そうすればコンボを撃つ側も、タイミングを計ることがより求められます。

     もう1つの理由は、今後のカードのためです。サイネが《攻撃》を生成するカードを多数持つことはもうお察し頂けているかもしれませんが、今の「気炎万丈」はその類のカードを作り辛くしすぎています。

     

    月影落

     「月影落」の消費は5から6になったままです。

     理由も7月の調整から変わっていません。

     

    マグナムカノン

     「マグナムカノン」の適正距離は6-10から5-7になります。

     いくつかの組み合わせにおいて、ヒミカはゲームとしての対話を放棄しています。序盤数ターンで決着させる速攻戦略は否定すべきではありませんが、今はストレスの方が勝ってしまっています。ヒミカ同士のマッチアップも火力を撃ち合うだけで退屈です。これらを踏まえ、ヒミカの側にも前進する理由を与えることにしました。

     他方で、間合の下限は5に下げました。他のメガミと組み合わせやすくすることと、一度近づかれた後に再び攻撃する機会を増やすことが狙いです。

     

    梳流し

     「梳流し」の能力を解決するための条件に、境地が追加されました。

     今回のルールが導入された結果、「梳流し」の再利用は簡単になりすぎていました。特にヒミカとの組み合わせは危険な水準に至っています。しかしコンボは楽しいものであるため、始動を難しくする形で調整しました。始動には、集中力を使わずに間合を4に合わせる必要があります。

     

    しこみび/ねこだまし→ふりはらい/たぐりよせ

     「しこみび/ねこだまし 」は消去され、新たなカード「ふりはらい/たぐりよせ 」になります。

     当たり前の話ですが、修正前の「しこみび/ねこだまし 」は存在が許されるカードではありません(このカードについて私にできることは謝罪のみです)。一方で今回のルールにより、ユキヒは自力で(《全力》を使わず)間合0に向かう手段を失い、傘を開いた戦法が成立しづらくなってしまいました。ユキヒ単独で容易に間合0に行けてはいけませんが、手段は必要なのです。そこで、潤滑油として働くカードを追加することにしました。

     

    どろりうら

     「どろりうら」は《全力》を持つ付与札を破壊できないままです。

     この調整は大会環境を上手く動かし、良く働きました。そして今後のカードをデザインするにあたっても、この縛りは付けたままにしておくべきと結論付けられました。

     

    反論

     「反論」が打ち消せるのは、オーラへのダメージが3以上の《攻撃》に限られるようになりました。

     問題点は常に腐らない汎用性にありました。適正距離が広く確定で打ち消せるため、極めて安易に採用できます。そのくせ相手には山札の枚数や、攻撃のタイミングを強く意識させるのです。間合の焦点が2となるとその悪質さはさらに増します。

     そこで打ち消せる《攻撃》に縛りを加えました。この縛りには別の意図もあります。それは眼前構築に新しい視点を与えることです。つまりシンラを相手取る際には、3/1よりも2/1の方が優れている場合もあるということです。

     

    オボロの「設置」

     「設置」は任意の枚数が任意の順番で使えていましたが、1枚だけになりました。

     信じられないことかもしれませんが、今回のルールによりオボロは一日だけ最強になりました。間合の焦点が2となると、設置を持つ《攻撃》カードが非常に使いやすくなるのです。プレイテストの結果、あまりにも危険なので直ちに修正されました。

     開始フェイズが長くなりすぎて混乱を与えうることや、設置カードはほぼ伏せておけば正解になるといったプレイングの狭さを解決する狙いもあります。

     

    「ふりまわし/つきさし」と「ゆらりび」について

     これらのバランス調整は完全に解除されます。これらが強かった原因は、間合0を維持しやすい点にありました。それが崩された今、もはや問題はありません。

     

     

     これにて調整は全て完了しました。想像以上に大きな改革となりましたが、より素晴らしいゲームとなりましたので、ご期待ください。

     後篇ではここまでをまとめ、ゲームマーケットでの出版物を発表します。お見逃しなく!