黒幕よ雄弁に語れ(中篇)

2018.09.28 Friday

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    秘密の議事録一挙公開

     

     

     こんにちは、BakaFireです。今回の記事はシンラ特集の中篇となります。前篇をまだお読みでない方は、こちらから読まれることをお勧めします

     

     このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は新シリーズ第3回にして累計第8回となります。

     

     前篇ではメガミ・シンラに関する歴史を説明し、彼女のコンセプトやキーワード「論壇」が生まれるまでの話をしました。中篇では『第二幕』での個々のカードに注目し、それらを通して彼女を語ります。『新幕』にまつわる話は後篇に行いますので、それまでお待ちください。
     
     
    カードの何に注目するか

     

     やり方もこれまでのものを踏襲します。以下にてまとめましょう。

     

    • カードの歴史と評価に注目する
    • 歴史とはカードが生まれた経緯を指す。
    • 歴史においてルールの変化が重要ならばそれも語る。
    • 評価はゲームにおける魅力、バランスの適切さ、メガミの気質の体現性の3点を見て行う。
    • 現在問題視している箇所や、カードへの否定的な見解も書く(出版から時間が経ち、皆様からのフィードバックを頂くと至らなかった点も見えてくるのです)
    • 否定的に書き、修正を匂わせたとしても、修正を急ぐつもりはない。

     

     『第一幕』から数えてもシンラは反省点が少ない部類のメガミであり、最終的なバランスにも大きく満足しています。特に、修正を要した多くのメガミが反省すべき愚かな過ちを持っているのに対して、シンラの修正はいずれも微調整だったのは喜ばしいことです。
     
     

     

     シンラの最も基本的な攻撃カードです。前篇でお伝えした通り、直接的な1ダメージはバランス上の問題があり、魔法攻撃のような感覚を出すために私どもは山札の破壊というやり方を取りました。
     
     そして同じく前篇で見たとおり、シンラのあり方には紆余曲折がありました。その流れの中でこのカードも当然変更され続けます。しかしながら、いつの時代でも山札を2〜3枚削るというコンセプトは変わりませんでした。たとえば、ブックがあった時代を見てみましょう。


    行動
    自カード⇒ダスト:1
    そうした場合、相手の山札を上から2枚を捨て札にする。

     

     ブックが没になった後は順当に攻撃カードになり、そして論壇が条件となるに際して削る枚数が3枚となりました。
     
     ここまでが発売前のことです。しかしこのカードは『第二幕決定版』での調整で上方修正が行われました。調整内容は2つ。論壇が取り除かれた代わりに削る枚数が2枚になり、山札がない場合は代わりに相手のオーラを削るようになりました。

     

     この調整は『第一幕』デザインでの失敗に端を発しています。私どもはその時点ではダストの価値を大きく見誤っていました。2年以上前にルールを作っている時点では、ダストを枯らすという立ち回りに気づいてすらいなかったのです。これらの戦略が確立していくにつれて、付与カードを使用することは思っていたよりも難しいと分かりました。

     

     そしてこの調整は、論壇の必然性を揺るがしました。『第二幕決定版』調整のタイミングは丁度『新幕』をデザインしていた真っ最中であったことも加え、この調整には歴史的な意味があったと言えます。この辺りは後篇で説明しましょう。

     

     


     

     シンラが攻撃カードを持ち、山札を削ると決まった時点でデザインされ、一度も変更されませんでした。
     
     シンラの山札や手札を支配するというコンセプトの時点で、彼女は幾ばくかのコントロール的要素を持つのは間違いありません。そうなると身を守る手段として相手の攻撃を打ち消すカードが必要でしょう。
     
     しかし単純に打ち消すだけでは強力過ぎます。そこで、相手にカードを1枚引かせることにしました。この効果はバランスを整えつつも、山札破壊という要素を防御的なカードに忍ばせられています。さらに言うなら一見して平等そうに見える一方、実際は全くもって平等ではない詭弁ぶりはまさしくシンラであり、彼女らしさもすばらしく体現していました。
     
     この時点ではルールはまだ変動し続けている段階でしたが、変化が起こるたびにこのカードの巧妙さは際立ちました。特に、焦燥や全力が加えられた際にこのカードはより魅力的になったと言えます。
     
     しかしながら、切札以外の何でも打ち消せてしまうようでは少しばかり万能すぎたため、『第二幕』調整では打ち消せる攻撃に制限が与えられました。その後は変更はなく、素晴らしいカードとして今も残り続けています。

     


     

     

     前篇で書いた通り、シンラは自分のリソースを差し出す代わりに、相手に不利益を与えるカードを持っていました。これです。


    呪いの火    《行動》
    自オーラ⇒相手オーラ:◇2
    そうした場合、相手に1ダメージを与える。

     

     しかし本作での1ライフは想像より重く、プレイテストの結果としてこのカードは取り除かれました。その後はしばらく行方をくらませましたが、ある機会に返ってきます。そう、全力カードの制定です。全力カードが生まれたのは比較的後の出来事だったのです。
     
     全力カードを取り入れると決めた時点で多くのメガミに全力カードが取り入れられていきました。シンラは初期には付与カードの上に桜花結晶を置く行動カードや、引用の原型などが与えられていましたが、それらは最終的には没になるか全力が外され、全力カードの枠からは除かれました。
     
     そして最終的にはシンラの全力カードの枠にはこのカードを改めて取り入れることになったのです。その際に攻撃カードとして、対応の余地や間合制限も加えられたほうが魅力的になると判断されました。
     
     このカードが選ばれた背景にはもう2つ要素があります。1つ目は「虚魚」です。当時は「虚魚」のテキストに魅力を感じていたため、無理やりそれを活用できるようなカードを入れようとしていました。オボロ特集でお話しした通り、それは失敗だったと考えています。
     
     もうひとつの狙いが前進の抑止でした。のちに他のカードでもお話ししますが、前進の方が後退より強く、それゆえに間合が近づきすぎてしまうという問題に私どもはある程度は気づいていたのです。

     

     その上で多様な戦略を生み出すために、相手のオーラを埋め、-/1のカードで削るという中遠距離戦略を取り入れようとしていました。このカードは2つの意味でそれをサポートすることができるため、有力な1枚だったのです。
     
     実際はフレアにリソースを溜めこみ、ダストを枯らす動きのためにその戦略は『第一幕』では全く機能しませんでした。これらの狙いは残念ながら失敗でしたが、幸いにしてこのカードそのものは魅力的であり、『第二幕』のバランス下で十分に活躍しました。

     


     

     

     シンラの移動カード枠です。移動カード枠についてはトコヨ特集をご覧ください。
     
     このカードそのものの歴史はとても古く、桜が降るより前の時点で共通カードに存在していました。しかしその時点ではヒミカ特集で書いた通り大剣(刀)と銃のシーソーは銃に傾いており、それを増長させていたこのカードは取り除かれ、現在の「バックステップ」の効果に置き換わることになります。
     
     そして時は流れ、移動カード枠が制定され、共通カードが取り除かれた時、このカードは改めて見直されることになります。その時点ではヒミカの危険な要素がかなり取り除かれ、シーソーはユリナに傾いていたため、戻しても問題ないと判断されたのです。
     
     では、誰のカードになるべきでしょうか。第一候補のヒミカはより相応しい「バックステップ」があったため違います。そこで我々はシンラの移動カード枠にすることにしました。
     
     2-7と広い間合を持っていますが、シンラはどちらかといえば後退方向を指向しています。その上で「相手に後退を行わせる」というフレーバー的要素がシンラに相応しかったのです。

     


     

     

     シンラが山札だけでなく、手札に干渉することも得意だということを表しています。しかしその際に、相手のカードを捨てたりするのでなく、そのまま使用してしまうのはどういうことでしょうか。
     
     この効果のヒントとなったのは当時私が強くやりこんでいた『ハースストーン』でした(※1)。そう、あの不愉快極まりないクソ聖職者です(※2)。私はヤツがこちらのデッキのコピーを2枚手札に加えるたびに叩き潰したいと……失礼、興味深いゲーム展開を生んでいると感じていたのです。
     
     その神髄は、本来自分ができないことを実現できる点にあります。このゲームはメガミ2柱を選び、それにより使えるカードが固定されるため、それ以上のカードは普通は使えません。そこで相手のカードを奪ってそのまま使えれば、普通でないことを起こせるのです。
     
     これは最高にワクワクするもので、ゲームに広がりを与えるものであったため、指針はそのままで印刷されることになりました。もちろん調整には紆余曲折があり、今よりも強力な代わりに全力カードだったり、より制限が厳しかったりしたことがありましたが、最終的には論壇を加える形で落ち着きました。
     
    ※1 今もやっていますが、あまり時間が取れない上に1ゲームに時間のかかるデッキを使っているため、低ランクでまったりやっております。最近は奇数ウォーリアかトグワグルドルイドを使っています。

    ※2 「デスロード」から出させられた「シールドメイデン」「ブーム」「シルヴァナス」やらを「埋葬」されて山札2枚差をつけられるたびに不愉快さで吐きそうになったのは良い思い出です。え? お前はアーマーを山ほど積んでいるだろうって? ははは、私は良いんですよ。

     


     

     

     抗弁は『第二幕決定版』の調整によりカードそのものが変更されており、もとは「壮語」というカードでした。「壮語」と言っても『新幕』における「壮語」とは似ても似つかず、納2で展開中に相手の基本動作《前進》を禁止するという効果でした。
     
     その「壮語」が生まれたのはデザインの末期であり、ここで語ったどのカードよりも原案が生まれたのは遅かったと言えます。「皆式理解」で後に書きますが、付与札の桜花結晶を回復する通常札が、その枠にはずっと存在していました。
     
     しかしそれが取り除かれ、私どもは代わりにカードを1枚追加する必要が生まれました。そこでデザインも末期だったこともあり、その時点でのゲームバランスに注目することにしたのです。
     
     ヒミカ特集で書いた通り、『第一幕』のデザインから、実際の『第一幕』環境までは実際のところユリナを中心とした接近戦と、ヒミカを中心とした遠距離戦のせめぎあいだったと言えます。しかしその時点ではシーソーはユリナの側に傾いていました。基本動作の前進の方が後退より強く作られている点は、今の『新幕』に至ってみれば全くもって正しいデザインだと感じていますが、この時点では洗練不足ゆえにバランスの問題も引き起こしていたのです。
     
     そこで私は前進を抑止し、中遠距離の戦いをサポートする1枚をここに追加することで、シーソーの傾きをましにしようとしたのです。結果としてバランスが十分なものになるとまではいきませんでしたが、この一枚は有意義に働き『第一幕』の戦いを見事に彩りました。
     
     しかし『第二幕』のバランスもある程度整い、環境が変遷した後はこのカードはもはや役割をほとんど失っていました(※)。そしてシンラがやや活躍し辛かった点と、強力な連続攻撃を行うデッキが(バランス調整をするほどではないものの)存在していた点を鑑みて、「抗弁」へと変更されたのです。

     

    ※ 納2の「森羅判証」の弾だった点を除いて。

     

     

     

     語る内容に重なりが多く、さらに都合がいいことに並んでいますのでまとめてお話ししましょう。

     

     どちらも同名のカードはかなり長い間リストに存在しておりましたが、効果は異なるものでした。シンラの山札破壊の側面を強調するもので、「完全論破」は相手の山札が0枚ならば追加のダメージを与えるという効果です。「論破」はそれに繋がるよう、今の「立論」の立ち位置にありました。
     
     この条件は決死、境地などの条件にも似ているため、一時は掌握という名前でキーワードにもなりました。しかし、一般的な手段で(※)能動的に条件を満たせない点や、相手がケアできてしまう点、逆に言えば相手にケアを強要してしまう点。これらの要素が快適なゲーム体験を生まないと判断され、没になりました。
     
     その後、論壇が取り入れられることになり、併せて多くのカードが大きく変化します。その際に「完全論破」は今の効果となり、消費が3から4になったことを除いて一度も変更されませんでした。
     
     申し訳ないながら生まれた瞬間の動機はもはや覚えていませんが、シンラに論壇を取り入れ、山札を操作するという点でどういう魅力を出すかをデザイン班でブレインストーミングした際に出たアイデアだったのだろうと認識しています。
     
     「論破」も同時に作られ、こちらは通常札である代わりに、時間制限のある封印として差が与えられました。この際に「完全論破」の廉価版なので名前は「論破」になり、併せて今の「立論」には「立論」という名前が与えられることになります。

    ※ もちろん、シンラ固有のカードであれば満たしに行けるのですが、あまりに狭く、同時にそれらのカードが重要になりすぎてしまいます。

     


     

     

     ブックが没になり、付与カードが(細部のルールには紆余曲折がありながらも)定まっていく中、シンラは特に付与カードに注目しているメガミとしてデザインされていきました。
     
     そうなると必然的に、付与札に桜花結晶を置く、即ち付与札の期間を延長するカードというアイデアが生まれます。デザイン期間中のカードプールにはそのようなカードは多数存在しており、それゆえ書式も自/付与札といったように矢印効果で活用できるようにもなっていました。ダスト→自/付与札はもちろんのこと、自/付与札→自/付与札のような移動もあったのは興味深いところです。
     
     しかしプレイテストを重ねるうちに、この類の効果はより慎重に作らなければならないと分かりました。付与札のバランスやルールが整ううちに、最初はかなり適当に決められていた納の値が必然性を伴うようになり、下手に延長すると破綻するようなカードが現れ始めたのです。
     
     最終的にはこれらの効果の大半は没になり、切札に1枚だけ、比較的派手な効果で残すという形になりました。繰り返し付与札を伸ばし続けるようでは様々な問題が懸念されますが、ゲーム内に1回だけ派手に伸ばすくらいならば問題となり辛いのです。
     
     それでもまだひとつ、頭を悩ませる問題が残っていました。切札として1回しか使えない以上、2ターン、つまり桜花結晶4つ程度は伸ばさないとカードとして応用の幅が狭すぎます。しかし納2の付与札は原則的に1ターンしか残らないことを前提に設計されているため、これらの付与札を2ターンも伸ばすことには危険が伴いました。
     
     そこで閃いたアイデアが、置かれる桜花結晶の個数を、置く先の納の数で決めてしまうというものでした。これは素晴らしい解決策であり、それを取り入れてこのカードは完成となったのです。

     


     

     

     付与に桜花結晶を置くと決まり、ルールが紆余曲折している途中、その中の比較的早期からカードプールに存在し、カードの行う意図としては一度も変更されないまま印刷に至りました。
     
     カードをデザインした時に考えたのは、このようなルールを掻き乱すカードを用意するとロマンティックで楽しそうなことが起こるだろうという程度のものでした。
     
     しかしこのアイデアは私の想像をはるかに超えて大成功でした。様々な実用性のあるアイデアが『第一幕』から現在の『新幕』に至るまで生まれつづけ、ただの一度としてカード内容を変更されることなくカードプールに残り続けています。
     
     私はこのカードは単純なアイデアというだけでなく、「森羅判証」と併せてシンラのあり方の一つを定めた偉大なカードの1枚だと考えています。この辺りは、後篇でお話しさせて頂きましょう。

     


     

     

     シンラの最も象徴的なカードにして、様々な歴史を生み出した名カードと言えます。このカードの歴史を辿るには、あるフレーバーを満たすための存在という側面の歴史と、付与カードのボスであるという今の効果の歴史のそれぞれを見ていく必要があります。
     
     まずは前者から始めましょう。世界が和風になり、そしてメガミたちのキャラクターがゆっくりと定まっていき、人格が与えられ始めたころの話です。ユリナは主人公と定まりましたが、他のメガミたちにもそういう物語的位置づけを簡単には考えていました。
     
     『第一幕』の時点ではこの点の失敗として、ライバル(例えばリュウに対するケンのように)の不足があったのはサイネ特集でお話しした通りです。しかし他方で、主人公に対するラスボス、勇者に対する魔王は存在するべきだと考えていました。
     
     それこそが主人公のユリナに対する魔王のシンラです。ただし補足させて頂くと、この時点では公式小説『桜降る代の神語り』は始まるどころか企画すらされておらず、ストーリーのようなものはまともに決まっていませんでした。つまり、何をもって魔王であり、何においてユリナと対立してるかは当時はまるで決まっていなかったのです。
     
     しかしながら、シンラを魔王的な存在としてデザインしようという試みはこのような理由により、早期に始まりました。ですが魔王といっても色々あります。そしてシンラは中でも表舞台に立たず、裏で知略を巡らせる存在です。
     
     このような魔王になりきるにあたり、センセーショナルな瞬間はどのようなものでしょうか。私はそれは表舞台、戦いの場に立つ瞬間であり、それこそがいわば「第二形態」のようなものだと考えたのです。「森羅判証」は即ちシンラが黒幕であることを辞め、第二形態として戦いに立つというカードなのです。
     
     それゆえカードの効果は第二形態らしいものになります。要素は2つ。超常的なパワーを獲得できることと、一定時間が経過したら敗北することです。前者は当然ですが、後者もまた安易な変身が防止できたうえで緊迫感が出るため、重要な要素です。
     
     プレイ感はとても良く、コンセプトは完ぺきでした。しかしながら効果で得られる超常的なパワーの内容は中々に決めるのが難しく、何度か世界を滅ぼしながら(※)変遷していくことになります。
     
     一方で後者、付与カードのボスとしての歴史が始まったのはデザインの期間としてはかなり遅い時期となります。現在の効果は論壇が取り入れられた際のブレインストーミングで、「完全論破」らと同時に生まれました。

     

     この効果もまたシンラが付与を強く嗜好しているというだけではなく、彼女の勝ち筋の部分に強く関わっており、それゆえに魅力的なカードとなりました。こちらも「天地反駁」と同様に後篇でお話ししましょう。

     

    ※ ゲームバランスが著しく破壊されることを「世界を滅ぼす」と現在のバランス調整チームは読んでいます。最近の例ですと、『新幕』ウツロは世界を何度か滅ぼしています(未来のウツロ特集をお楽しみに!)。そして「森羅判証」でもあらゆるデッキに10:0を付けるふざけたデッキが生まれたりしていたのです。

     


     

     

     原初札は基本的には「メガミに挑戦!」で使用されるものです(メガミと挑戦者で対戦し、メガミ側は原初札を用いる代わりに1柱しか使えず、挑戦者は相手のメガミを見たうえで宿す2柱を選ぶ)。そのため、そのメガミ単独での戦いを実現できるようにデザインされます。特に通常札は、その戦いの円滑化が目的となります。
     
     シンラの欠点は、付与札の欠点と隣り合わせにあります。ダストがなければ付与札を出すのは難しく、それに加えてシンラは相手のオーラやフレアを削る手段が不足しています。ゆえにひどく脆い防御力をさらけ出さなければ強みが生かせず、ただ暴力によりボロカスにされるのです。
     
     そこでダストがなくても張れる付与であり、その上で相手のリソースを剥奪する効果が必要でした。私はそれに対してシンプルな回答を用意しました。付与札に置かれる桜花結晶を置くもととなる位置を、相手のオーラやフレアにしてしまうのです。
     
     ただで相手のオーラを5削り取れるカードははっきり言って意味不明であり、本来であれば「メガミに挑戦」であってもありえないカードです。しかしシンラの攻撃はほとんど相手のオーラを参照しないため、こと彼女に限れば驚いたことにバランスが取れているのです。
     
     
     

     

     原初札の切札も同様のコンセプトで作られますが、こちらは「刺激的で特殊な舞台を作る」ことを意識してデザインされます。
     
     正直にお伝えしますと、このカードの原案はデザイン班の誰かが出したものだったかと思います。私はそのカードを見た瞬間に一目ぼれし、これはシンラの原初札に違いないと確信したのです。そして私はこのベースアイデアをもとに、再起や納の値などを整え、「メガミに挑戦!」という舞台で適正なバランスに仕上げました。
     
     特にすばらしいのはテキストの頭の悪さ、そしてそれにも関わらず一見して意味が理解しやすいことです。この頭の悪さは「メガミに挑戦!」ではかなり重要な要素であり、そしてその上で意外にもバランスがとれているという結果になれば、それこそ傑作となるのです。

     

     実際、このカードは大成功でした。独特のプレイ感を持ちつつ、その上で攻略は可能。さらにメガミを言葉の力で封印するというシンラの権能もまた完璧に再現していたのです。「メガミに挑戦!」のなかでも屈指の一枚といっても過言ではありません。

     

     


     今回はここまでとなります。来週はシンラ特集の後篇をお送りします。ご期待くださいませ。

     

     


    前篇の付与札クイズの答え:アグリコラ
    桜花結晶を畑に埋めて増やすのです!