シーズン1→2カード更新

2018.07.05 Thursday

0

     こんにちは、BakaFireです。今週には合計3本のゲームバランスに関する記事を予定しており、こちらはその3本目となります。いよいよ本日、『第壱拡張:神語起譚』の先行販売が行われ、そちらに封入されたカード更新パックにて初となるカードの更新が行われます。こちらの記事ではそれらの更新すべての意図を説明いたします。

     


     
     どの記事から読まれるかは分かりませんので、冒頭文は全ての記事で共通のものとしておきます。既にほかの記事でお読みの方は読み飛ばして頂ければと思います。

     

     

    冒頭文:シーズン1バランスへの全体評価
     

     これまではシーズン1の環境を楽しみ、研究を続けて下さったプレイヤーの皆様ができる限り楽しめるよう、私どもは可能な限りバランスに対して言及しないよう心掛けてまいりました。
     
     しかしながらシーズン1も終わり、シーズン2でのカード更新も目前に迫った今週には、今のゲームバランスに関する私どもの想いと考えを包み隠さず、可能な限り誠実にお話しさせて頂きます。
     
     6月の禁止改訂で軽く触れたとおり、現在のゲームバランスは(今後の拡張空間と引き換えに)もっとも整っていた『第二幕』の最終段階よりは崩れたものとなってしまっています。現状への評価を正直に申し上げますと『第二幕+第壱拡張』の時期(2017年3月〜7月)よりは良いバランスにあり、『第二幕決定版』(2017年10月〜12月)の時期よりは悪いバランスにあると考えています。『第二幕+第壱、第弐拡張』の時期(2017年8月〜10月)と比べるとどうなのかは微妙なところです。こういったバランス面の後退については私どもの力不足であり、深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
     
     このように書くとバランスについて酷くネガティブで、崩壊しているように感じられるかもしれません。しかし誤解なさらないでください。『新幕』はゲーム全体を派手で鮮烈なものにすることに成功した上で、十分に魅力的だった『第二幕+第壱、第弐拡張』の時期と同程度には多くのメガミが輝ける状況を作れています。あくまで最も理想的だった状態から後退したという話なのです。
     
     実際、全体としては『第二幕』よりインフレーションした方向で魅力的なゲームに仕上がっています。しかしながら、バランスが後退したという点もまた事実であり、インフレーションについていけていないメガミがいる一方で、インフレーションするにしてもやりすぎている箇所があり、そして今後に問題となりうる潜在的なリスクも存在しています。
     
     私どもが理想のバランスを目指し続けると理念を掲げており、これらの課題全てに真摯に取り組んでいく意志がございます。それゆえに宣言した理念に従いカード更新を行います。
     
     幸いにしてバランス上の問題やリスクのうち、今見えているものの大半に対しては今回のカード更新でメスを入れられています(3つの記事のうち1つはこのカード更新に関するもので、今の環境についてより詳しく言及し、全てのカード更新への説明を行います)。
     
     
    今シーズンにおける更新の目的

     

     まずは今シーズンにおける更新のコンセプトを説明いたします。『新幕』は多くの面で成功している一方で、私どもの力不足ゆえに大きな失敗から小さな失敗、あるいは失敗とまでは言えないものの改善できうる余地は多分に存在しています。
     
     これら全てを一度のカード更新で最善の形に持って行くことは不可能です。第一に、変更される枚数が多すぎて混乱が大きくなりすぎます。第二に、変化の過程で別の過ちを犯すリスクが高まります。第三に、そもそも印刷上の問題があります。
     
     そこでカードの更新については毎回のコンセプトを丁寧に定め、それに従った更新を行わせていただきます。今回のコンセプトは以下の4つになります。
     
    目的1:基本セットを可能な限り魅力的にする。
    目的2:攻撃力の基準を見直す。
    目的3:問題のあるメガミに調整を行う。
    目的4:潜在的リスクに前もって対策しておく。

     

     それぞれ説明しましょう。

     


    目的1:基本セットを可能な限り魅力的にする。

     

     『新幕』は『第二幕』と違い、初めから12柱ものメガミが存在します。それ自体はゲームを奥深くする面ですばらしいものですが、新たに本作を始めたプレイヤーにとっては障壁としても働いてしまいます。12柱分のカード内容を把握するのは簡単なことではなく、それゆえにイベントへの参加を尻込みする方がいらっしゃっても不思議ではありません。
     
     さらに付け加えるならば『基本セット』だけをお求めいただいている方もいらっしゃるはずです。私どもは『達人セット』の購入が前提となりつつある現状には良くない側面もあると考えており、その改善を図ろうとしています(もちろん、最終的に大規模大会などの競技的なイベントまで進む方は『達人セット』もお求めいただくことを想定しています)。
     
     そのため、使えるカードプールを基本セットに限定したイベントを開催するべく、計画を進めています(場合によってはウツロも使用可能としてもいいかもしれません。彼女も難しいルールを含んでおらず、『第壱拡張』をお求めいただくのは『達人セット』より簡単です)。
     
     しかし、そのような方向で進めていくとなると『基本セット』の内容は他と比べてより重要になります。確かに『基本セット』には環境に悪影響を与える形で目立っているメガミはいませんが、基本セットのバランスもそれはそれで懸念すべきところは多いのです。そこで、今回のカード更新では『基本セット』の更新を優先して進めるものとしました。
     
     『達人セット』のメガミも目的3や目的4のような急ぎ整えるべき点は直しますが、より深く彼女らと対話するのは次のシーズンとなります。


     

    目的2:攻撃力の基準を整える

     

     今回の更新にて攻撃力に関するバランスを改めて見直します。正直に懺悔すると開発中の間は、私どもバランス調整チームはダメージのバランスへの変化を正確に見定められていませんでした。
     
     『新幕』はライフを10に増やし、その上でゲームスピードの向上を目指す必要がありました。それゆえにライフへのダメージを増やすか、ダメージを通しやすくするのは必要な変更です。しかしその際に、前者の方向へと舵を切りすぎたのは失敗でした。3/2や2/2の枚数が増えすぎたために一部のメガミで塩梅を見誤り、乱暴さや理不尽さが目立ってしまったのです。
     
     私どもは今後、ライフへのダメージが2以上の攻撃へとルールを定め、慎重に取り扱うようになります。具体的には認められるのは以下の事例に限られます。
     
    ・1枚目である。

     

    どのようなメガミも1枚目の2/2(飛苦無など)や、正しく調整された3/2(マグナムカノンなど)などを持つことができます。

     

    ・1/2である。

     

    1/2はバランスを壊しづらいため、2枚目のライフダメージ2として持ち得ます。もちろん、他のカード次第ではありますし、3枚目はやめておくべきでしょう。

     

    ・連続攻撃に制約がある

     

    間合の管理が難しかったり、対応でしか使えなかったり(返し刃)すると、2枚の2/2や3/2が共存することがありえます。逆に連続攻撃が容易な場合はライフダメージ2以上の攻撃を持ち辛くなります。

     

    ・全力である。

     

    全力は十分な欠点であるため、高いダメージにできます。今後はこの方向性でライフダメージを取りやすいようにバランスを調整する可能性は高いと言えます。

     

    ・適切な消費を持つ切札である。

     

    切札は正しい消費が与えられればどのようなダメージすら持ち得ます。

     

    ・その他の構造に弱みを持つ。

     

    例えばヒミカは2枚の3/2を持っています。しかし、近づかれた後に戻ることが難しいという間合における弱みと、対応を1枚も持たないという弱みが与えられているため許されているのです。

     

    余談:
     この件で象徴的な誤解をひとつ挙げるとすれば、3/1と2/2の価値変動がまさにそれでしょう。『第二幕』では3/1と2/2は互角に近く、やや3/1の方が優勢でした。ライフへのダメージを当てることそのものが難しいゲームだったため、ライフ受けが安定しやすい3/1は強いと見なされていたのです。ですが『新幕』ではライフが10に増えたために1ダメージの価値が下がり、結果として2/2の方が強力になっていました。 
     驚いたことに、-/1ですらもはや過剰に強力ではなくなっていました。この点はデザイン空間の拡大として好意的に捉えています。

     
     
    目的3:問題のあるメガミに調整を行う。

     

     目的2で挙げたダメージ面の問題を中心に、ゲームバランスに問題を生じさせていたメガミを調整します。これは強さや理不尽さの面だけでなく、勝ち辛いという逆の問題を持つメガミへの調整も含まれます。
     
     今回の更新では、元来行いたくはない下方修正が想定以上に必要になってしまいました。これらの問題あるカードを作成してしまった点につきまして、深くお詫び申し上げます。
     

     

    目的4:潜在的リスクに前もって対策しておく。

     

     3に近いですが、問題が顕在化していない点が異なります。バランス調整チームが調整後の環境でプレイテストを行い、このまま更新を行うと問題があると判断した箇所も先んじて整えておくのです。
     
     
    各メガミへの見解と調整内容

     

     ここからメガミ1柱ずつに今シーズンにおける見解を書き、結果としてどのカードにどのような調整が行われるのかをお伝えいたします。


    ユリナ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当
    2:攻撃力の基準を見直す:ある意味で該当
    3:問題のあるメガミに調整を行う:やや該当
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     ユリナを調整する理由は多岐にわたります。1から3まで順に、一つずつ説明しましょう。

     

     目的1においては、使われ辛いカードがいくつかある点に問題を感じています。それゆえに構築が少しばかり固定化しやすく、眼前構築におけるせめぎ合いで少しだけ魅力が乏しくなっています。
     
     目的2についてはユリナはその立ち位置ゆえに、攻撃力の基準となるべきメガミです。ユリナは主人公である上に防御力、移動力は平均以下で、攻撃方向以外の搦め手もほとんどないのですから。私どもはユリナこそが、特別なリスクを負わない範囲での攻撃力の上限だと定めました(そして上限とするには、僅かに火力不足とも言えます)。

     

     目的3について、強さにおけるユリナの現状を一言で言うと、半歩足らずであると考えています。確かに強力なカードは存在し、十分に戦うことは可能です。しかしながら私どもが観測してきた範囲に限れば、二柱選出での大会でユリナの存在感は乏しく、僅かな力不足が感じられます。

     

     大規模大会においてユリナは大きく躍進したと言えます。しかしながら、それは三拾一捨という特殊な環境と、あの場でのメタゲームが大きな影響を与えています。細かく説明すると長くなりすぎてしまうため割愛しますが、私どもバランス調整チームはこの調整は正しいものだと信じています。


     

     

     居合は適正距離2でも使用できる代わりに、2で使用した場合は3/2になるようになります。
     
     目的1の側面としては「居合」は使い辛さゆえに、デッキに入らなくなりすぎてしまいました。適正距離2で使用できない攻撃/全力は相応の何かが求められますが、そうなると対応不可を付けるなどのやり方で、居合の弱点すら全て消してしまい魅力的ではありません。ゆえに適正距離に2を加えるのが正しいやり方となります。
     
     他方でユリナが安易に間合2に潜ることを正解としたくはありません。そこで間合2で使用すると損をするようにしました(ネガティブなテキストを用いているのも、そのための意図的なものです)。それでも間合2に潜るケースはある程度はあるでしょうが、間合3に居座ることが正解である場面が増えるだけで十分です。
     
     目的2の側面でユリナの攻撃力が僅かに不足していると書きましたが、「斬」「一閃」「柄打ち」「圧気」「月影落」のいずれか1つでも上方修正したら、ゲームは破壊される可能性があると考えています。そうなれば直すべきなのはこのカード以外ありえないでしょう。攻撃力の調整方法として、全力カードを推進していくという指針とも合致しています。

     


     

     

     足捌きは本来の効果に加え、現在の間合が1以下であれば2歩の離脱効果が追加されます。
     
     「足捌き」はユリナにとって必要なカードですが、必要なケースがやや少ないために少しばかり残念なカードとなってしまいました(上手く使えるケースに限れば強力です)。
     
     さらに、このカードはライラの「風走り」と比較して下位互換です。私としてはメガミが異なる時点で下位互換と言う概念はありえないと考えていましたが、発売時点でのフィードバックは良いものとは言えませんでした。この点についてはワクワクできるものにするという感情面で失敗したと考えており、今後は下位互換のカードはよほどのことがない限りは作らない見込みです。
     
     調整の方向としては、使えるケースが少ないのが問題なので、別のパターンでも使う価値のあるカードにしました。他方でこのカードをいつでも便利なカードにはしたくはないため、適度な使い辛さは維持しております。
     
     
     

     

     浮舟宿は消費が2に減少します。その代わりに再起は即再起になり(ライフを回復しない限りは)1回しか未使用に戻せなくなります。
     
     「浮舟宿」は消費が3だと使い辛さが目立ちます。他方で消費を2にすると、毎ターン未使用に戻し続ける動きが理不尽な防御力を生んでしまいます(消費が3であっても相手によっては理不尽な防御力になってしまうのも小さな問題です)。そこで、それらを全て解決するためにこのような更新を行いました。

     


    サイネ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当
    2:攻撃力の基準を見直す:ごく僅かに該当
    3:問題のあるメガミに調整を行う:やや該当
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当

     

     サイネは実に厄介な形で問題を抱えています。少しだけ問題のあるカードを多数持っているのです。そしてこれらの問題ゆえに『基本セット』における体験を歪めてしまっている恐れもあります。
     
     他方で、シーズン1では活躍不足が目立ちました。私どもの分析ではこれはサイネの問題ではなく、問題のあったオボロ、サリヤ、ライラのいずれも(しかも問題のある個所が)サイネにひどく刺さっていたためだと考えています。
     
     サイネは打点の幾らかを「返し刃」に依存しています。しかしオボロの「影菱」やライラの攻撃全般は間合2であるためサイネ側は打点が苦しくなり、しかもオボロやライラが使っているカードはまさしく問題のある攻撃力そのものなのです。
     
     サリヤはそうではありませんが純粋にハイスペックなうえ、「Thallya's Masterpiece」を駆使してクリンチを仕掛けられ続けるのがサイネにとっては苦しすぎます。
     
     他方でこれらの問題が解決されると、サイネの存在には一定のリスクがあります。実際、カード更新を適用した環境におけるプレイテストで、サイネを用いて中距離戦を狙ういくつかの組み合わせは結果を残し、強力過ぎる懸念があると判断されました。

     


     

     

     律動弧戟の消費は6になります。
     
     まずは謝罪と共に断言しますと、このカードを純粋に単独で見た場合、適正な消費は6です。しかしカードはメガミ全体で見られるべきであり、サイネの他のカード次第では5のままでも許される可能性はあると考えていました。
     
     しかし、後述する「響鳴共振」の調整において、消費が5のままだと組み合わせたリーサルが早期から安定してしまうと分かりました。他方で「響鳴共振」の消費をさらに1上げるのは全くもって魅力的ではありません。これらの事情を加味し、私どもは「律動弧戟」の消費を適正なものに変えることにしました。
     
     
     

     

     響鳴共振は本来の機能を残しつつも、全く別のカードへと変化します。
     
     深い謝罪と共にお伝えしますと、このカードを印刷したのはひどい失敗であり、私どもは強く反省しています。シーズン1末期でこそサイネそのものの活躍が不足したため強く話題になりませんでしたが、初期のフィードバックは悪く、私どもとしても大きな過ちだと早期に認識しました。
     
     『第二幕』の数値バランスでは適切な読み合いが機能していましたが、『新幕』では理不尽じゃんけんとしか言いようがありません。このカードがデッキに入っている時にケアを怠ると、シンプルに即死するのです。合計消費6でオーラを3削られ、そこから「律動弧戟」をはじめとした連続攻撃が打ち込まれるのは明らかに不当です。
     
     他方でサイネ側からしてもケアをされてしまうと切札の枠を1枚潰されてしまい、安定したゲームプランが組みづらくなってしまっています。「返し刃」にせよ「響鳴共振」にせよサイネ側は相手依存という不安定さにさらされ続けており、どこか不当な弱さを感じてしまいます。
     
     その上で、サイネにとって相手のオーラを間合へと送る挙動は必要なものです。そこでこの動作を安定させつつもマイルドにして、両者にとって納得しやすい形でゲームプランを構築しやすくしました。
     
     
     

     

     音無砕氷は1/1の攻撃カードとなる代わりに、消費が2になります。
     
     これもまた強化と弱体化それぞれの理由があります。
     
     強化の側面としては攻撃力の向上が目的です。サイネは「返し刃」が当たり辛い相手に対しては攻撃面で苦しい立場に立たされがちです。そこでもう1枚だけ攻撃カードを切札から入れる余地を加えることにしました。
     
     弱体化の側面は、コントロール的な立ち回りへの相性の緩和が目的です。「音無砕氷」は3/1や-/1を駆使して1点ずつリードを重ねていく勝ち方を強く咎めています。その上で消費が1であると繰り返しの使用がやりやすすぎるのです。他方で2/2など相手にはそこまで強くないため、2/2、3/2などのカードで殴り続ける立ち回りをゲーム全体で推進し過ぎているという側面もあり、それも緩和すべきと考えました。
     
     
     

     

     氷雨細音の果ての果ては消費が5になります。
     
     サイネ単独では消費が4のままで問題ありませんが、同じ中距離で十分な攻撃力を持つメガミと組んだ際に問題が生じました。オーラで受けられてしまったとしても、そのままオーラを5削ったことから連続攻撃を通し、勝ててしまうのです。
     
     これらのリスクを考慮し、他の切札と組み合わせづらくするために消費を1上げて調整します。

     


    ヒミカ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当するも調整なし
    2:攻撃力の基準を見直す:該当せず
    3:問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     ヒミカは十分な存在感があり、他方で問題があるとも言えません。『基本セット』の枠内でも、強すぎるとも弱すぎるとも言えません。それに加え、ウツロが参入したうえでなければ、遠距離攻撃を中心とした戦い方を正しく評価できないという側面もあります。
     
     これらを総合的に考慮し、ヒミカの調整は不要と判断しました。

     


    トコヨ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当
    2:攻撃力の基準を見直す:ある意味で該当
    3:問題のあるメガミに調整を行う:強く該当
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     トコヨはある意味で本作における最大の失敗だと評価しています。改めて深くお詫びをさせてください。誠に申し訳ございませんでした。
     
     サリヤなどは強さの面で明確な問題がありますが、トコヨは逆に弱さの面で明確な問題があります。かつての記事で、『第二幕』におけるトコヨは潜在的問題に愛され過ぎたために強力だったと書きました。しかし『新幕』になり潜在的問題が取り除かれた今、トコヨはその強みの多くを失いました。『第二幕』当時の強すぎるイメージを私も、バランス調整チームも引きずっており、彼女の調整へと慎重になりすぎてしまったのです。
     
     トコヨを輝かせるには、攻撃力か防御力の向上が必要です。しかし防御力を上げすぎてはいけません。冷静にカードリストを眺めると、トコヨの防御能力はすでに相当のものであり、ここから防御力に大きな上方修正を加えるとデザイン空間におけるひどいリスクが生まれます。つまり、高い防御力を持つメガミが未来永劫デザインできなくなる可能性があるのです。結果として、攻撃力を中心とした調整を行うことになります。

     


     

     

     梳流しの適正距離は4になり、集中力が2でなくても使用でき、山札に戻るのは集中力が2の時のみになります。
     
     これはつまり『第二幕』初期で問題であり、調整対象となった「梳流し」そのものです。あの時の問題を知っている方からすれば本当に大丈夫なのかと問いただしたくなるかもしれません。しかしプレイテストを重ねた結果、どうやら大丈夫どころか、このくらいしなければトコヨは十分に機能しないようです。
     
     先程、トコヨは攻撃力を上方修正すべきと書きましたが、当然-/2にしてはいけないことは理解しています。攻撃の当てやすさを中心に調整することで、定期的な-/1でリードを広げていき、相手の2/2などを捌くことでコントロールして勝つという立ち回りを実現します。

     


     

     

     晴舞台は完全に別のカードになります。
     
     昔の「晴舞台」は私の大好きなカードです。しかし、残念ながらいくつかの欠点のために、使用に堪えない水準のカードだったようです。置いただけでは一切の利得が得られず、納5ゆえにダストを十分に用意するのが難しく、さらにその上で効果のために追加のダストが必要です。
     
     まず、これらすべての欠点を払拭しました。しかしそうなると問題として、カードの複雑性が『基本セット』のカードとしては上がりすぎてしまいました。そこでそのカードはアナザー版トコヨへと旅立つことになります。
     
     代わりに「晴舞台」はトコヨがオーラを高める方向で、防御力を向上できるカードとしました。トコヨの防御力を上げすぎてはいけませんが、この1枚は問題のない枠内で機能しています。
     
     集中力を得る効果は畏縮などへの対策です。畏縮をキーワードにした時点で、この機能がトコヨを咎めることには気づいたため、「詩舞」を通した対策を図りました。しかしまだ不足しているようなので、二方向からこの問題への解決を図ります。もう一方向についてはサリヤの項目でお話しいたします。

     


     

     

     無窮ノ風は適正距離が3-8になり、対応不可を得ます。
     
     残念ながら今の「無窮ノ風」は完全に失敗しています。使用に耐えるカードパワーではありませんでした。必要に応じて定期的に使用するには間合に無理があり、このカードへの対応、特に間合をずらすものはトコヨの立ち回りをひどく阻害します。そこで、これらの欠点を払拭することにしました。

     


    オボロ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:強く該当
    3:問題のあるメガミに調整を行う:該当
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     オボロは今回のシーズンで強い問題があったメガミです。では、その問題がどこから生じているのかというと、私どもは攻撃力の高さにあると判断しました。
     
     『第二幕』から(特に『決定版』から)ずっと、オボロは設置を経由した攻撃による高い攻撃力を持ち続けていました。しかし今回の失敗を踏まえ、改めてオボロのあり方を見つめ直したところ、このような暴力的火力は忍らしくなく、より忍者として相応しい形で調整されるべきだと判断しました。忍はここまで暴力的でなく、より巧妙であるべきなのです。

     

    余談
     他方で、『第二幕』と比べるとデッキ構築の楽しさと言う側面では大きく向上しました。『第二幕』でのオボロは明確に「全体的に弱いために使い辛いカード」を何枚も抱えており、そのために構築が硬直的になりすぎていました。特に切札はひどく、「鳶影」以外は(一部の極端なデッキを除き)選択することに高いリスクを背負わなければなりません。

     『第二幕決定版』での調整以降はオボロは環境で活躍するようになりましたが、全体的に弱いカードを多数抱えていたがために「忍歩」は過剰なパワーを持つ形で調整せざるを得ませんでした。やむを得なかったとはいえ、これは最善の形でなかったのは確かです。
     『新幕』のオボロはこの面において全てのカードが使用に値する状況にあり、多彩なデッキ構築の広がりを獲得しています。


     

     

     影菱は常時効果を失い、代わりに(伏せ札から使用した場合に限り)相手の手札を伏せ札にする攻撃後効果を得ます。

     

     攻撃力を整えるにあたって候補となるのは「影菱」と「鋼糸」ですが、対応不可の絶対性と、3/2というゲームを終わらせる力や理不尽さの大きさから「影菱」に軍配が上がります。
     
     オボロの方向性そのものを切り替えるため、設置によるダメージの上昇そのものを取りやめます。そして代わりに設置で使用した時に限り、相手の手札を破壊できるようにし、オボロには別の強みを与えることにします。

     


    ユキヒ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:該当せず
    3:問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     ユキヒは魅力を示しているうえに、良好なバランスにあると判断しています。細部で気になる所はゼロではありませんが、いずれも優先順位は低いものばかりです。

     


    シンラ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:該当せず
    3:問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当

     

     シンラは強さの面ではほとんど問題はありません。しかしながら、彼女には極めて大きな潜在的リスクがあります。サイネ/シンラの5(4)カードデッキを中心とした森羅判証デッキです。この類のデッキはバランス調整チームでも発見されており、発売後初期に注目すべきデッキとして懸念されていました。
     
     しかしながら、実際はほとんど結果を残しませんでした。理由は極めて簡単です。オボロとライラに弱く、さらに言うならオボロ/ライラに対して最悪と言ってよいほどに相性が悪いのです。彼女らもまたシーズン1で結果を残し、同時に問題のあるメガミです。
     
     ですが結果を残していないと言っても、サイネ/シンラが問題のあるデッキであることは間違いありません。オボロ、ライラへの調整が行われた次のシーズンで、このデッキを放置するというリスクは避けなくてはなりません。
     


     

     

     皆式理解の神算効果は新しいものになります。

     

     サイネ/シンラのデッキを調整するにあたり、候補となるのは「森羅判証」そのもの、「壮語」、そしてこの「皆式理解」です。どれを調整すべきか。私どもの考えをお伝えしましょう。
     
     「森羅判証」そのものについては、カード単独での強さは極めて適切です。さらに、弱くするやり方が見つけづらく、またシンラにとって象徴的であるこのカードが単純に弱くなるのは魅力的ではありません。
     
     「壮語」はカード単独では適正かつ面白みのあるものです。「森羅判証」との組み合わせについても、『新幕』のライフ水準では「壮語」からの安定したダメージがなければ「森羅判証」は機能し辛いと判断しました。
     
     では何が問題なのか。私どもは「森羅判証」を最速で立てる動きが正解になってしまう点に問題があると判断しました。「皆式理解」があれば納を実質12とできるため、「壮語」からの確定6点と、その他の付与を合わせて十分に相手を倒せます。この安易さと、対処できないどうしようもなさにこそ問題があるのです(対処するにはそれこそ、オボロやライラのような不当な火力を用意しなくてはなりません)。また、「森羅判証」「皆式理解」パッケージが安定し過ぎてしまうという構築の硬直性も小さな問題です。
     
     以上より、「皆式理解」を「森羅判証」の引き伸ばしには使えないようにしました。一方で弱体化になってしまわないよう、応用の幅も少し広げます。

     


    ハガネ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:該当せず
    3:問題のあるメガミに調整を行う:該当
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     ハガネは『第二幕』でも今一歩ふるいませんでしたが、『新幕』においてもその状況を引きずっています。決して弱すぎるというわけではないのですが、どうにもくすぶり続けているのです。
     
     極度に熟練した方はある程度の強さで使用できています。しかし多くのプレイヤーにとって彼女が選択肢に昇らないのは、大規模大会の使用率を見ても明らかでしょう。
     
     この状況を打開し、より魅力的なメガミとするためにも、ハガネには根幹にあたる1枚へと調整を施します。

     
     

     

     遠心撃は攻撃後に集中力が0になる代わりに、相手の手札も伏せ札にするようになります。但し、一連の効果が生じるのはあなたのターンである場合のみとなります。
     
     ハガネの今一歩振るわない状況を解決するため、様々なカードへの上方修正を検討しました。しかしどれもいまひとつジューシーではなく、根本的な解決につながっていません。
     
     そこでバランス調整チームで検討した結果、ハガネの根幹にある「遠心撃」の使い辛さこそが問題であると判断されました。但し、「鐘鳴らし」の存在を考慮すると、ダメージを増やす方向の調整だけは行ってはいけません。
     
     「遠心撃」の問題はどこにあるのでしょうか。検討の結果、要点は2つだと分かりました。第一に「遠心撃」の準備から使用までの過程で相手はオーラを5用意できるため、「遠心撃」だけでは永久にライフへのダメージを与えられない点。第二にライフへのダメージを通したら、反撃でハガネ側がそれ以上の被害を被る可能性が高い点です。
     
     それらを解決するために、攻撃後効果で相手の手札もまとめて吹き飛ばすことにしました。こうすれば相手は纏い1〜2回分のリソースを失うため、オーラの回復が間に合い辛くなります。さらに反撃のための手札を吹き飛ばせるので、後者の問題も解決します。
     
     本当に大丈夫かと思ったかもしれませんが、私も最初にこの案を見た時はそう思いました。そして高い警戒心をもってプレイテストを重ねたところ、驚くべきことに問題なかったのです。
     
     但し、オボロ/ハガネの「鳶影」からの「遠心撃」だけは駄目でした。その問題を解決するため、フェイズ終了や手札の伏せ札などすべてを含め、一連の効果は自分のターンにしか発生しなくなります。

     


    チカゲ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:該当せず
    3:問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     チカゲは十分に魅力的であるだけではありません。驚くほどに絶妙なバランスなのです。他の全てのメガミは(今回調整されていないメガミも含め)、どこかは調整したい箇所が見つかるものです。しかしチカゲは全てのカードに対して、完全な納得をほぼ全員が示しているのです。
     
     チカゲの調整は今のところ100点と評価しています。全てのメガミについて、彼女と同じ水準の成功に至れるよう努力を重ねてまいります。

     


    クルル

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:該当せず
    3:問題のあるメガミに調整を行う:見送り
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当

     

     『第二幕』でもクルルの全容が明かされるまでは半年を要しており、彼女の研究には十分な時間が必要です。その事情を鑑みると、今シーズンの時点で調整を行うのは早計と判断します。
     
     『新幕』発売から1か月程度の間はこの文章を書いて終わりにするつもりでいました。しかし、『第二幕』で研鑽を重ねたプレイヤーの研究速度は向上していました。予想に反し、今の時点で大会で一定の成果を出しつつあります。
     
     そしておそらくは、この結果はまだ全容ではありません。クルルが現時点で存在感を示している時点でリスクが生まれていると判断し、最も懸念すべきカードに調整をかけておきます。
     

     

     

     びっぐごーれむの消費は4になります。
     
     「びっぐごーれむ」はサイネ/クルル、オボロ/クルルなどで不穏当な結果を出しており、強く回った際のライフ差などを見ても高いリスクがあると評価せざるを得ません。
     
     そこでクルルの山札1週目の動きをいくらか阻害するために「びっぐごーれむ」の消費を1引き上げます。カードの挙動を踏まえると、山札1週目で「びっぐごーれむ」の効果が使用できないと動きは制限されます。それゆえに、この増加は十分な制約となると期待しています。

     


    サリヤ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:やや該当し、禁止カードで対応
    3:問題のあるメガミに調整を行う:強く該当し、禁止カードで対応
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     サリヤは結果として、シーズン1では最も大きな問題があったメガミです。具体的な問題については禁止改訂の記事にて書いておりますので、そちらをご覧ください。
     

     

     Form:YAKSYAは変形時効果で手札を捨てなくなる代わりに相手はカードを1枚しか引けなくなり、集中力を0にする効果を失います。

     

     「Form:YAKSYA」と「Thallya's Masterpiece」の2枚がゲームバランスにおける問題のあるカードです。重要なのは、両者を適切な塩梅で整えなければサリヤは魅力的な調整とならない点です。
     
     「Form:YAKSYA」は変形時効果を緩和する形でそれを実現しました。単純にこれまでの変形時効果が理不尽すぎたのは確かですが、なぜこのような塩梅になったかを説明しましょう。
     
     まず、「Form:YAKSYA」を使う側も対ビートダウンではリスクを背負っています。全力を使ったうえで守りを固められないため、返しで蹂躙される恐れがあるのです。そのリスクを緩和するためにも、相手のリソースを削る効果はある程度は残すべきです。
     
     他方で、元の効果はコントロールに対して致命的すぎます。手札を全て捨てさせられては対応カードでBeta-Edgeを捌く立ち回りが全く機能せず、ただただ蹂躙されてしまうのです。これら二点を踏まえ、手札を捨てる効果を除き、新しい形式の効果を実装したのです。
     
     もう少し語るとすれば、手札破壊が増えすぎないよう制御したという側面もあります。今回のカード更新では手札破壊が少しばかり多めとなったため、他方で相応しくない位置の手札破壊は減らすべきだと判断したのです。
     
     集中力を0としないようにしたのは、トコヨ側の事情です。畏縮は何とでもなりますが、集中力が0になりつつ畏縮するのはトコヨにとって本当に駄目です。
     
     畏縮は良い塩梅の効果ですが、サリヤという1柱のメガミの中にそれらの効果を増やしすぎた点は失敗だと判断しています。今後は畏縮は1柱に多くて1枚、本当に大きな理由がある場合のみ2枚というくらいの使い方になるでしょう。

     


    ライラ

     

    1:基本セットを可能な限り魅力的にする:該当せず
    2:攻撃力の基準を見直す:該当
    3:問題のあるメガミに調整を行う:該当
    4:潜在的リスクに前もって対策しておく:該当せず

     

     ライラはオボロと並び、火力面で問題のあるメガミです。バランス面での問題はほぼ全てがそこに集約されますので、今回の目的に従って攻撃力を見直すことにします。
     

     

     獣爪は適正距離が1-2になり、ダメージが3/1となります。
     
     今回の目的や理念に従うと、「獣爪」か「風雷撃」を調整することになりますが、より根本的な解決に繋がるのは「獣爪」の方です。まずは2/1を考慮してみましたが、残念ながら弱すぎたため、3/1がふさわしいと判断されました。
     
     それに加え、適正距離から0を除くことにしました。「獣爪」を間合0で使用できることには幾ばくかの不当さがあります。一度調整したカードを再び調整する事態には陥らないようにしたいため、この機会でそこにもメスを入れておきます。

     


    次のシーズンに向けた今の指針

     

     以上で、今回のシーズンの更新は終わりとなります。お読みいただきありがとうございました。新たな環境をお楽しみいただければ嬉しいです。
     
     最後に次の更新について今の意識を書いておきます。
     
     ユリナ、サイネ、ヒミカ、トコヨ、オボロ、ユキヒ、ハガネ、チカゲ、ウツロは今のところは次に重く扱う予定はありません。もちろん、問題が見つかった場合は別です。
     
     サリヤは大きな宿題を残してしまったため、必ず重く扱われ、更新されます。
     
     シンラ、ライラはバランス上の大きな問題は落ち着いたとみていますが、面白さにおける改善点が残されていると考えています。その点を見直す見込みです。
     
     クルルは例外で、次のシーズンこそが彼女の本質と、然るべきあり方を見定めるタイミングだと考えています。それゆえに、重く扱われることになるでしょう。

    関連する記事