『半歩先行く戦いを』第6回:30秒で組み上げな

2018.02.02 Friday

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     こんにちは、BakaFireです。

     

     こちらの記事は本作の攻略記事の第6回となります。ルールは理解できているものの、今一歩勝利への道筋を掴みかねている方を対象として、理論立てられた基礎をお伝えしております。

     

     本シリーズは現在大会で活躍されているプレイヤーの中より、戦術の理論化、文章化に長けた強豪であるつきのみちさんに執筆して頂いております。それでは、早速今回も始めるとしましょう。

     


    著者紹介:つきのみち
     本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。本作の攻略が理論に基づき、これほどの分量を持って文章化されたのはその冊子が初めてのことである。

     

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     つきのみちさんがコミックマーケット93にて頒布した攻略冊子豪華版がボードゲームショップDDTとメロンブックスにて大好評委託頒布中です! デッキ構築、決闘、練習の基礎、各メガミの紹介、用語集などなど取り揃え、何と124ページの大ボリュームです。本作の腕前を磨きたいならば、ご一読してみてはいかがでしょうか。


     

    『半歩先行く戦いを』

    第6回:30秒で組み上げな

     

    著:つきのみち

     

     今回は眼前構築、すなわちデッキ構築について解説しようと思います。

     

     当初の計画ではデッキ構築について書く予定はありませんでした。なぜなら、デッキ構築は「とりあえず攻撃カード全部突っ込んだ」でもそこそこ回るデッキができ、実際自分の周囲には初心者の頃から「デッキ構築で何をすれば良いか全く分からない」という人は居なかったので、特に解説する必要を感じなかったためです。

     

     しかし、諸々の事情により考えを改め、やはり解説が必要と感じ今回の記事を執筆することにしました。その理由は主に以下の3つです。

     

    1. そもそも自分の周囲にいた人々は「TCG経験者」か「デッキ構築ゲーム経験者」ばかりだったため、ある程度デッキを組むという行為に慣れていた
    2. 最近交流会などで対戦した方からは「デッキの組み方が分からない」という声を度々聞いた
    3. 以上2点を踏まえると、大会での「眼前構築5分」という時間制限は初級者の大会参加に対する大きな障壁となっているのではないかという懸念

     

     今回の記事の目標は明確です。初級者でも30秒で「とりあえず決闘での使用に耐えるデッキ」を完成させられるようにすることです。実はこれはコツさえ分かっていればさほど難しいことではありません。

     

     30秒で「とりあえず決闘での使用に耐えるデッキ」を組めば、大会での眼前構築時間に大きな余裕を持つことができる上、叩き台となる基本のデッキを短時間で組めるため相手のメガミの組合せについて考えながらデッキを変えたり、詳しい戦略を練ることができます。また、もし途中で組もうとしているデッキの方向を見失っても、元の「とりあえず決闘での使用に耐えるデッキ」を復元すれば良いのです。

     

    1. とりあえず《攻撃》せよ

     

     基本に忠実ではないメガミも多いですが、「桜降る代に決闘を」の基本は間合いを合わせて《攻撃》を行い、相手のライフにダメージを与えてライフを0にすることにあります。とりあえずこのセオリーに忠実なメガミでのデッキ構築について解説を行いたいと思います。具体的に該当するのは、ユリナ*、ヒミカ*、オボロ*、ユキヒ、サイネ*、サリヤ*、ホノカです。*が付いているのはより顕著に該当するメガミです。

     

     これらのメガミでの「とりあえず決闘での使用に耐えるデッキ」の構築は、少なくとも通常札においては簡単に終わります。具体的な手順はたった3つです。

     

    1. 《全力》でない通常札の攻撃カードを全部入れる
    2. 《全力》の攻撃カードを0〜1枚加える
    3. 残った枠を、1.2.で入れたカードと相性のよさそう、あるいは単に生み出す利得が大きい行動・付与で埋める。この際、《全力》札が2枚を超えないようにする。

     

    以上。とても簡単ですね。具体的な例をオボロ・サイネで見てみましょう。

     

    1. 「鋼糸」「影菱」「薙斬り」「八方振り」
    2. 「斬撃乱舞」
    3. 「忍歩」(「鋼糸」「影菱」と非常に相性がよく、対応としても使える)「無音壁」(1枚の通常札でオーラを4個発生させる、非常に利得の大きいカード)

     

     3.については、経験がないと今一つ何を選べばよいか分からないと思いますが、特に正解は無いので、「自分がどのような意図を持って採用したか説明できる」ことが重要です。実際に使ってみて意図の通りに働けば成功、働かなければ、なぜ働かなかったのか考えて改善すれば、次回はより良いデッキを構築することができるでしょう。

     

     切札の選択については知識がモノをいう領域となりますので難しいですが、攻撃力が魅力のメガミを選ぶのであれば1枚は攻撃切り札を入れておくと良いでしょう(ただしオボロは攻撃切り札が使いにくいため、外す選択肢はあります)。私であればとりあえず攻撃力の高い「律動弧戟」、対応力の高い「鳶影」、あわよくば当てるポーズの「熊介」、万能防御札「音無砕氷」あたりを相手と気分に合わせて選びます。「律動弧戟」まであれば攻撃力は十分なので、他2枚は気分と言いますか、どうやって相手にトドメを刺したいかを考えながら趣味で選べばよいと思います。それで勝ったり負けたりしたら、通常札のと同様にその結果を分析して改善し、より最適解に近い切札構成を編み出せばよいのです。
     

     

    2. メガミの強さを最大化せよ

     

     ここまででは、攻撃力の高いメガミはとりあえず攻撃カードを大量に入れておけば大間違いはしない、という話をしました。実はこれはより広い「メガミの強さを最大化する」という考え方の一部なのです。攻撃力の高いメガミはそのまま「攻撃力が高い」ことが「メガミの強さ」となり、それを最大化するための最も手っ取り早い手段が「とにかく攻撃カードを入れる」ことであるため、攻撃カードをとにかく突っ込んだデッキは(最適解であるかは別として)デッキとして最低限の機能を保証されるのです。


     メガミの強さとは何か。特殊勝利を除けば「相手のライフを0にする力」と「自分のライフを0から遠ざける力」です。どんなに面白い動きをしても、相手のライフを減らすか、自分のライフの減少を抑えられなければ意味はありません。メガミの強さを考えるにあたっては、「デッキ1巡で相手のライフに何点ダメージを与えられるか」「デッキ1巡で自分のライフを何点温存できるか」で評価すると良いでしょう。


     メガミの強さを最大化するためには、以下の2点が重要と考えています。

     

     .瓮ミ持つ強さを正確に理解する

     

     そのメガミがどのような強さを持っているかを把握しないことには、その強さを最大化することは難しいです。どのような手段を用いれば、どのようなメガミに対してどの程度の速度でライフダメージを与えられるか、これを正確に理解すると構築力が高まります。例えば前のセクションで挙げたメガミであれば「攻撃カードによる攻撃力が高い」ことが強さの成分となります。これについては残念ながら、上手い人に聞いたり決闘で実際に使われて地道に覚えるしかないと考えています。上位プレーヤーの強さの秘訣の一つは、メガミの持つ強さについての知識が豊富であることと言えるでしょう。

     

    ◆,匹Δ笋辰鴇,舛燭いビジョンを明確にし、それ以外への欲望を断つ

     

     非常に顕著な例がシンラとクルルですので、シンラを例に説明します。

     

     シンラには「天地反駁」「森羅判証」という二つの強力な切札が存在します。「天地反駁」で勝ちたいなら「天地反駁」で勝利するためのカードは1枚も抜いてはいけません、「森羅判証」で勝ちたい場合も同様に、必要なカードを抜いてはいけません。例えば、ユリナ・シンラで「天地反駁」で相手を倒すにあたっては、限られた展開時間で最大限のダメージを与えるために必要な「圧気」「浦波嵐」「反論」は最低限抜くべきではありません。同様にシンラ・サイネやトコヨ・シンラ等で「森羅判証」で勝つ場合にも、基本的には入れる付与の枚数をケチってはいけません。「森羅判証」の強さは付与を出すたびにダメージを与えることにあり、その強さの最大化は、付与札の枚数の最大化を意味するためです。

     

     ある勝利への道筋を選ぶにあたって、絶対に必要なカードの組合せのことを私は「必須パーツ」と呼んでいます。どうやって相手に勝ちたいのかを選んだら、まずその勝利手段の威力を最大化するための「必須パーツ」を選り分け、他にどんなにやりたいことがあっても、「必須パーツ」に手を付けてはいけません。変な欲望に走り必須パーツに手を付けると、結局何がしたいデッキか分からなくなり戦略が崩壊します。横道にそれるのは、デッキを組んだ際に桜花決闘の展開が凡そ予想できる程度の想像力が身についてからでも遅くはありません。特に初級者のうちは半端なデッキを振るっても虻蜂取らずになる可能性が高いので、どうやって勝つのかを決めたら一点突破のデッキを組むと良いでしょう。そうすることで、桜花決闘中も考えるべきことの的を絞ることができ、やるべきことが分かりやすくなります。


    必須パーツの例

    • 攻撃を当てて相手のライフを0にするデッキ(所謂ビートダウン)における《攻撃》カード(枚数は多いほうが良い)
    • 「天地反駁」を利用するデッキにおける、ライフダメージが「-」の《攻撃》(枚数は多いほうが良い)
    • 「森羅万象」を利用するデッキにおける《付与》(枚数は多いほうが良い)
    • クルルの機巧を利用する際の、機巧の条件となる札


    3. さらに高度な構築の為に

     

     今回解説したデッキの組み方はあくまで基本です。よりメガミとカードへの理解が深まってくれば、一見必須パーツだと思えていたものが実は必須ではなくなることや、相手メガミに応じて必須パーツが追加されることはよくあります。例えばユリナの「遠当て」は、攻撃カードであるため攻撃力を最大化するためには必要ですが、実際には間合の微妙さなどから採用しない方が強いことが多いです。これらの「理屈上必須パーツであると考えられるもの」を抜く場合、「なぜ不要なのか説明できる」または「実戦で使用して明らかにより重要なカードがあった」ことが重要です。相手のメガミの組合せを見て本当に必要なカードと不必要なカードが吟味できるようになれば、複数の勝利手段を複雑に組み合わせたデッキを組むことができるようになります。そこにこそ眼前構築の醍醐味が眠っていますので、是非色々なデッキに挑戦してみてください。

     

     

    終わりに

     

     今回で攻略記事の連載は終わりです。第1回〜4回で勝利のためのプレイングの基礎、5回で知識の一片、そして今回で構築について解説しました。

     最近でも大会で「相手が第〇回で解説した理論をもっと深く理解していれば勝てなかった」と思った決闘の記憶は多いので、ある程度自分が強くなったと感じたところでもう一度記事を読んでみることをお勧めします。同じ理論でも、ゲームをより深く理解していれば、新たな理解が得られることもあるかと思います。

     


     

     そんなわけで、改めてBakaFireでございます。上記の通り、つきのみちさんによる攻略記事は今回が最終回となります。つきのみちさん曰く、これにて基礎として伝いたいことは全て伝え終えたとのこと。折角ですので、ここで改めて通読して頂くのもよいのではないでしょうか。

     

     さて、それではこれで攻略記事は終わりとなるのでしょうか。いえいえ『第二幕』の攻略記事は、もう1シリーズほど用意しております。再来週、2/16(金)より全6回からなる、全く新しい攻略記事のシリーズが開始いたします。次の展開にもご期待くださいませ!

     

     

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