『半歩先行く戦いを』第4回:攻めと守りに基本あれ

2017.11.13 Monday

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     こんにちは、BakaFireです。

     

     こちらの記事は本作の攻略記事の第4回となります。ルールは理解できているものの、今一歩勝利への道筋を掴みかねている方を対象として、理論立てられた基礎をお伝えしております。

     

     本シリーズは現在大会で活躍されているプレイヤーの中より、戦術の理論化、文章化に長けた強豪であるつきのみちさんに執筆して頂いております。それでは、早速今回も始めるとしましょう。

     


    著者紹介:つきのみち
     本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。本作の攻略が理論に基づき、これほどの分量を持って文章化されたのはその冊子が初めてのことである。


     

    『半歩先行く戦いを』

    第4回:攻めと守りに基本あれ

     

    著:つきのみち

     

     

    サマリー

    • 攻撃を振るより先に必ず防御手段を確保する。
    • 攻撃を振る時は目的を明確に。


     今回は「防御の基本」「攻撃の基本」について考えます。

     

     今回は今までの記事で説明した内容を基礎とした説明が多いため、第1回〜第3回を未読の方は、先に読んでから今回の記事を読まれることを推奨します。


     この攻略記事シリーズは、私の過去の対戦経験から抽出した「初中級者がよく陥りがちな失着」について、より正着に近い動きとその理由を説明するというスタンスを取ってきました。私が対戦した中でよく見た失着とその結末としては

     

    .ーラを惜しんで銃の攻撃をライフ受けし続けた結果全く接近できずに敗北

    ∋┐冒肝蝋況發鮨兇辰栃屬靴離拭璽鵑冒躪況發鮗けて敗北

    先に切札を使った結果、フレアが空になったところを切札で攻められて敗北

    ぅーラの管理を疎かにし、相手のライフはほとんど減らないのに自分のライフは減って敗北

     

      銑はそれぞれ過去の記事の内容と対応していることが分かると思います。では今回は?もちろん最後のい紡弍する記事となります。

     

     

    1. 防御は攻撃に優先する

     

     結論から言うと、現状のゲームバランスでは(重要)大半のメガミの組合せにおいて防御は攻撃に優先します。なぜ防御が攻撃に優先するのかというと、一言で言えば「ダメージ計算においてライフへのダメージは攻撃力の合計と防御力の合計の差分により決定され、現状のバランスにおいては大半のメガミの組合せにおいて攻撃力と防御力が拮抗しているから」です。何を言っているのか分からないと思いますので、詳しく説明します。

     

     全てのメガミには、共通する守りのリソースとしてオーラが与えられています。オーラがある限り、(オーラダメージが−であるものを除く)<攻撃>はライフの代わりにオーラでダメージを支払う権利を有します。逆に言えば、オーラが無くなってしまえばどんな攻撃もライフで受けねばなりません。それが1/1や2/3のような、オーラさえあれば軽微なオーラダメージで済む攻撃であっても、オーラが無ければ手痛いライフダメージとなって跳ね返ってくるのです。

     

      また、現状のカードプールにおいて各メガミのオーラへの攻撃力は抑えめに設定されており、1柱のカードのみで、間合いを動かすことなく、切札を使わずに、同一ターン中にオーラに5以上のダメージを与えられるメガミはオボロとヒミカしかいません。また可能な組み合わせの場合でも、オボロは設置と全力攻撃の組合せ、ヒミカは自らのライフを消費する必要があります。

     

     これらを総合すると、自分がオーラを5にしておくだけで、相手がオーラを削り切ってライフにダメージを与えるには最低でも以下のどれかを行う必要があることが分かります。

     

    • 複数のメガミのカードを組み合わせた連携攻撃
    • 切札の使用
    • 設置、自ライフ消費等の特殊条件を要する攻撃

     

     これらの条件を考えると、オーラを万全に保っているだけでも1ターン中にライフに2点3点のダメージを通すのは相当に難しいことが分かります。それは裏を返せば、一度大ダメージを受けてしまうと、守りをしっかりと固めた相手から2点3点のダメージを奪い返して逆転することは困難を極めることを意味します。一方、オーラによる防御を超過したダメージはそのままライフに直撃することから、一度守りを疎かにすればライフに2点3点といったダメージは容易に通ってしまいます。

     

     守りを疎かにしたプレーヤーは、攻めてもライフ1点程度のダメージしか与えられないにもかかわらず、軽い攻撃でライフに2点3点の大ダメージを受けてライフ差は広がる一方、といった展開となってしまいがちです。そのため、防御は攻撃より優先するのです。(攻撃力と防御力が凡そ拮抗している現環境においては、切札を使わずにデッキ1巡でライフに2ダメージ受けたら耐え難い激痛、3ダメージ受けたらほぼ死亡と考えて相違ありません)

     

     

    2. 具体的な防御の指針

     

     防御には大体3通りの方法が存在します。

     

    .ーラによる防御

    対応による防御

    4峭腓砲茲詼標

     

     各々について軽く解説します。

     

    .ーラによる防御

     

     全てのメガミに与えられた、基本的な防御の手段です。

     

     サイネの「響鳴共振」を警戒している場合および、前進方向への間合調節の自由度を残しておく必要がある場合(第一回参照)を除けば、オーラは常時5にしておくことが望ましいです。 相手の攻撃が苛烈を極めオーラ5をキープし続けられない場合、今のデッキ1週で残りどの程度の攻撃が来得るかを考え、最も許容できない攻撃を受け切れるオーラ量を目安にオーラを補充しましょう(相手がオボロであれば、最もライフダメージの高い「鋼糸」を受け切れる2オーラは最低でも残しておきたい、等)。

     

    対応による防御

     

     対応を持つカードを出すことで防御します。

     強力ですが、手札に無いことが割れてしまうと力を失うため、使いどころはよく考える必要があります。(例えば、シンラを宿していて「斬」に「反論」で対応すると、次のターンに「居合」が飛んできます)

     

    4峭腓砲茲詼標

     

     相手が攻撃可能な間合に接近することが不可能であれば、最も安全な防御となります。間合による防御の方法と対策については、第一回に書きましたので参考にするとよいでしょう。

     

     

    3. 攻撃は目的を持って

     

     防御の基本があれば、攻撃の基本もあります。攻撃の振り方は本格的に書くと膨大な分量になってしまうので、最も基本的な部分に的を絞って説明したいと思います。

     

     攻撃の基本は、攻撃を振る前に一歩立ち止まって「何のために攻撃を振るのか」「今の手札でその目的を達成できるか」を考えることです。

     

     攻撃を振る目的は基本的には「相手のライフにダメージを与える」ことです。しかし、ライフに通る攻撃しか振らないのであれば相手に圧力(前回の記事を参照)を与えることは難しく、悠々とした展開を許してしまうでしょう。

     

     攻撃を振る目的には大体以下の3つがあると考えます。

     

    .薀ぅ佞縫瀬瓠璽犬鰺燭┐

    ▲ーラにダメージを与える

    B弍を吐かせる

     

     順に、各々が必要とされる理由と場面、振り方を解説します。


    .薀ぅ佞縫瀬瓠璽犬鰺燭┐

     

     先にライフが0になった方が敗北するゲームなので、ライフにダメージを与えることは当然最重要です。相手に効率よくライフダメージを与えるには、「梳流し」等のライフダメージが「-」になっている攻撃を用いるか、「斬」「薙斬り」などの3/1ダメージの攻撃が有効です。

     

     先に説明した通り、基本的に現環境では複数のメガミの連携攻撃にて、手札を2〜3枚使わなければ通常札だけではライフに攻撃を通せません。ライフにダメージを与えたいなら、手札3〜4枚の状態から一気に攻めると良いでしょう。3/1の攻撃を振る際には、「一閃」や「鋼糸」などの高いライフダメージを持つ札を所持している可能性を演出し、オーラで攻撃を受けるとライフにより大きなダメージを受ける危険性を匂わせましょう。未使用の切札で圧力をかけるのも有効でしょう。

     

    ▲ーラにダメージを与える

     

     ライフにダメージが与えられないことが分かっていてもオーラを削るためにあえて攻撃を振るべき場面も多々あります。具体的には以下のような理由が挙げられます。ただし、オーラ削りは後々相手のライフにダメージを与えるための布石か、自分のライフを守るための盾ということを忘れてはいけません。いたずらに攻撃をオーラ受けさせては相手のライフにダメージを与えられず敗北します。

    • 相手の後退を封じる

     特にヒミカ相手に有効です。相手のオーラを削ることで後退に使用するオーラを枯渇させ相手の得意間合いへ逃げる手を封じます。オーラを減らすのを嫌ってライフで受けてもらえれば、,量榲を果たせるため満足でしょう。

     

    • 相手に圧力を与える

     相手オーラ5の状態で相手にターンを渡すと、オーラを補充する必要が無いため手札も集中力も全て攻撃に回すことができます。また、全力の攻撃カードも手軽に使用されてしまいます。相手のオーラをある程度削っておくことで、全力攻撃を使用することに一定のリスクを与え、相手の手を曲げさせることができます。また、宿しに必要なオーラを削るため相手のフレア蓄積速度を削ぐこともできます。

     

    • 次のターンにライフに攻撃を通すための布石

     この理由で使用する攻撃で強いのは何といっても「居合」でしょう。各プレーヤーは原則として1ターンに集中力1と手札2枚で最低3回の基本行動が使用できますが、オーラに4ダメージを与える「居合」は1ターンで得られる基本行動の総量を超えるオーラダメージを与えるため、直撃すれば相手は1ターン完全に防御に徹するか、オーラがガラ空きの状態でターンを渡すかの二択を強いられます。ここで再構成から再度「居合」を振ったり、「斬」「一閃」等の連携攻撃を仕掛ければ相手のライフに一気に大ダメージを与えるチャンスとなります。

     

    B弍を吐かせる

     

     許容しがたい攻撃を放って対応を消費させ、より強力な攻撃を当てるための布石にすることがあります。例えば、「つきさし」で対応を消費させてからの「ゆらりび」が最たる例でしょう。また、相手のデッキに対応札が入っているかどうかを確認する為に、敢えて防がれそうなタイミングで攻撃を放つこともあります。例えば、相手のデッキに「turbo switch」が入ってなさそうな気がするけど7枚全部は割れていないので、入って無いことを確信したい時に試しに「居合」を振って確認しに行く等はあります。

     



     というわけで改めましてBakaFireでございます。


     さて、ここまで連載してまいりました攻略記事ですが、記事作成のつきのみちさんのご意向より、しばらくの間休載とさせて頂きます。再開は年明けを予定しています。


     しかしご安心ください。この休載はネガティブなものではございません! ではなぜ休載するのか。それはつきのみちさんがめでたいことに、コミックマーケット93に当選したためです! そしてそちらではコミックマーケット92で出版された攻略冊子を現在の仕様に合わせて改良したものを頒布されるとのことです(一応この冊子は公式の扱いではありませんので、ご注意ください)。その原稿のため、こちらの記事はしばらく休載する必要が生じたのです。
     
     つきのみちさんが出展されるのは一日目(12/29)、東と29aとなります。そちらの冊子も、本シリーズの再開も、それぞれご期待頂ければ嬉しいです! それでは、年明けにまたお会いしましょう!

     

     

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    『半歩先行く戦いを』第3回:切札は秘めてこそ

    2017.10.27 Friday

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       こんにちは、BakaFireです。

       

       こちらの記事は本作の攻略記事の第3回となります。ルールは理解できているものの、今一歩勝利への道筋を掴みかねている方を対象として、理論立てられた基礎をお伝えしております。

       

       本シリーズは現在大会で活躍されているプレイヤーの中より、戦術の理論化、文章化に長けた強豪であるつきのみちさんに執筆して頂いております。それでは、早速今回も始めるとしましょう。

       


      著者紹介:つきのみち
      本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。本作の攻略が理論に基づき、これほどの分量を持って文章化されたのはその冊子が初めてのことである。


       

      『半歩先行く戦いを』

      第3回:切札は秘めてこそ

       

      著:つきのみち

       

       

      ※今回はやや難しい話が含まれます

       

       今回は切札と圧力について考えてみようと思います。「切札」はご存知の通り、通常札7枚と別に構築を行いフレアを支払って使用する3枚の札です。「圧力」とは何か?それは後程説明することとします。

       

      1. 切札の基本

       

       切札の基本は「切札は先に見せるな、見せるなら更に奥の手を持て」というとある漫画の名言がそのまま当てはまります。先に発動することで持続的に効果を得られるものを除けば、基本的に切札は「自分のライフが0になる時」か、「相手のライフを0にできる時(正確には、自身の勝利を確定できる時)」以外には使わない方が良いです。その理由は以下の通りです。

       

      .侫譽△鮠暖颪垢襪海箸納らの行動の選択肢が減る

      攻撃札であれば、相手にフレアを与えてしまう

      切り札を公開することで情報を失う

       

      各々について少し詳しく説明します。

       

      .侫譽△鮠暖颪垢襪海箸納らの行動の選択肢が減る

       

       例えば自分がユリナを宿していると仮定したとき、自フレア6から「月影落」を使用したとします。こうして自分のフレアが0になった状態で相手にターンを渡してしまうと、自フレアが0のため「浦波嵐」によって相手の攻撃を軽減するという選択肢を自ら放棄しているのです。すると相手は容赦なく強力な攻撃切り札を使用可能となってしまいます。相手もユリナを宿しているとするならば、自オーラ5からでも「一閃」をオーラで受けた瞬間に「月影落」をライフに直撃されてしまいます(「月影落」で済めばまだマシで、下手をすれば「天音揺波の底力」の直撃を食らって即死します※1)。

       

       攻撃札であれば、相手にフレアを与えてしまう

       

       相手のライフにダメージを与えることと相手のフレアを増加させることはほぼイコールです。強力な切札攻撃は当然相手に大量のフレアを供給するため、相手の選択肢を増やします。,塙腓錣擦襪函∩蠎蠅料択肢を拡大して自分の選択肢を狭めることになり、総合的には不利となることが多いです。

       

       攻撃をライフで受ければいつでもフレアは貯まるのだから、殊更切札を強調する必要は無いのでは?と思われたかも知れませんが、攻撃をライフに通しても相手のフレアが貯まらない瞬間は、実は全てのメガミに等しく与えられています。相手のライフを0にする瞬間です。相手にいくらフレアがあろうとも、使う機会が無ければ無いに等しいのです。それゆえに、強大な威力を持つ切札攻撃はできる限り相手のライフを0にする瞬間に使い、相手のフレアを大量に無駄にさせることが重要です。

       

       ただし、消費フレアが少なく威力も低い切札攻撃であれば上記´△良塒は少ないため、先に打つのも一つの手です。特に、消費フレアが少なく威力が低めの切札は中距離・遠距離に多く存在するため(そのメカニズムについては、第一回を参照すると理解が深まるでしょう)、打てる機会を逃すと次に機会があるかどうか分からない場合には、先に打つのも手でしょう。

       

       例えば、「千歳の鳥」ならば山札が空で間合3-4かつ相手が防御不能というタイミングは1回の決闘で1回あるかどうかですし、「レッドバレット」は間合5まで離れる必要があるため、メガミや切札の組み合わせによっては打つタイミングを一度逸すると次は難しい場合があります。

       

       ただし、これらのような切札は先に打つことで上記´△砲茲詆塒は比較的少ないですが(全く無い訳ではないので注意)、次のの理由による不利は変わらず受けることを考慮する必要があります。

       

      切り札を公開することで情報を失う

       

       伏せられた切札は、その正体が分からないがゆえに相手に対処を強いることができます。特にこれが顕著なのはサイネなので、サイネを例に説明します。

       

       サイネの切札は、単純な攻撃カードである「律動弧戟」を除けば癖が強く、対処を万全に整えれば被害は少ないものの、対処を怠れば致命的被害を受けかねない危険なカード揃いです。例えばユリナ/サイネを宿していて、相手の切札が2枚以上残っている際に起こり得る即死シナリオはおぞましいほどに多彩です。

       

      ・オーラが少ない状態で攻撃している場合

        →「音無砕氷」でターンを飛ばされ、「律動弧戟」「月影落」等の強力な切り札攻撃で死亡

        →切札攻撃ならば「氷雨細音の果ての果て」の直撃を受け即死

       

      ・オーラ5で2間合でターン終了

        →「響鳴共振」でオーラを削られ、「薙斬り」「八方振り」「遠当て」「律動弧戟」等を立て続けに食らい死亡

       

      (切札3枚ならさらに追加で「浦波嵐」が入ることすらある)

       

       これらは、各々のカード1枚を防ぐだけであれば極めて簡単です。「響鳴共振」はオーラを4にしておけば良いし、「音無砕氷」は集中力と手札をあらかじめ適切に使用してオーラや間合いを調節した上で攻撃すれば良い。「氷雨細音の果ての果て」はオーラを5にして切札を使えばライフにはダメージが通りません。

       

       しかし、切札が伏せられている場合は相手はこれらすべての可能性を考慮しなければなりません。考慮しなければ死ぬからです。切札が伏せられているだけで、相手はあるかどうかも分からない切札への対策の為に集中力や手札を無駄に消費したり、敢えて防御を手薄にしたり、打てば倒せるタイミングの切札を打ち損ねたりします。これらは自らの集中力も手札も消費することなく相手の手を曲げさせる(相手が本来やりたかったことを妨害する)ことが可能なためとても強力です。

       

      2. 「 圧力」を意識しよう

       

       切札の基本を説明したところで、冒頭で説明を保留した「圧力」の話をしようと思います。「圧力」とは何か。それは先の「切り札を先に使ってはいけない理由」ので挙げた「自らは何ら消費せず相手の手を曲げさせる」力です。

       

       例えば、自分がユリナ/チカゲ、相手がオボロ/トコヨを宿している状態で、次のようなボード状況を仮定します(説明のための図ですので、実現可能性については目を瞑ってください)。相手の手札は1枚、こちらの手札は「飛苦無」「斬」「一閃」、自集中力は1とします。相手は伏せ札が6枚あり、相手の切札は「壬蔓」1枚が開いているのみとします。

       

       

       自分はオーラが万全かつ手札も攻撃カードが3枚揃っているため、「飛苦無」→前進→「斬」「一閃」と畳みかけて相手のオーラとライフを削りたいところです。

       

       しかし、「飛苦無」の後の「斬」に対応で「詩舞」を使われてしまうと、自分は集中力0、間合3、オーラ5となってしまい、間合3-4から脱出することが不可能になります。もし、次のターンに相手が再構成をせずに「熊介(伏せ札6枚)」を使用したならば、ライフに4〜5点という致命的な大ダメージを受けてしまいます。

       

       これを未然に防ぐためには、2距離で「斬」を使わずに1ターン待ち、相手が再構成を終えて伏せ札が無くなる、もしくは自分の手札と集中力が充実し、相手が「詩舞」を使っても2距離か5距離に逃れられる状況となるのを待つ必要があります。

       

       これは「熊介」の持つ「圧力」によって、本来行いたかった「「斬」「一閃」で攻撃する」という手を、「「斬」「一閃」を手札に抱えて2距離に留まる」という形に曲げさせられたこととなります。仮に相手の切札に熊介が入っていなければ、あるいは相手の手札に「詩舞」が入っていなければ、強気に攻撃を振った方が得です。しかし、入っていた場合の致命度が高いために、退却を強いられることになります※2。この「入っていた場合の致命度の高さ」が高いほど、相手に与える「圧力」が強まるため、如何に「致命度が高い(ように見える)盤面を構成するか」が「圧力」の高い盤面を構成する上で重要です。

       

       「素直に打ちたい手を打つと致命的な状況が起こり得る」状況を作り出し、相手を自ら退かせることが「圧力」の本質です。 私の個人的な対戦経験から言いますと、強豪プレーヤーほどこの「圧力」の扱いに長けています。「圧力」の高い盤面を構築し続ける力が、中級と上級の境界であると私は考えています。

       

      3. 相手の「圧力」が高い!

       

       相手の切札や見えない手札の「圧力」が高くて手を曲げさせられ続け勝ちを逸した、以前は大技を躊躇なく決めて勝てていたのに、最近は僅差で勝ちを逃すことが増えてきた。そのような経験が、ある程度経験を積んだプレーヤーならあるかもしれません(ない人も多いと思います)。しかし、相手の「圧力」に屈して負けるからといって、決してあなたが絶対的に弱いわけではありません。相手から「圧力」を受けているということは、少なくともあなたが相手の手札や切札1枚1枚が脅威であることを把握し、闇雲に攻めない慎重さを身に着けている証だからです。自分のやりたいことばかりを考えて相手がどんな恐ろしい攻め手を繰り出してくるかに全く考えを巡らせていない段階よりは明らかに強いと言えるでしょう。

       

       しかし、相手の「圧力」に怯えて手控えているだけでは一方的に不利を押し付けられ敗北するのは道理なのもまた事実です。そこで、相手の「圧力」をどうやってかわすかを考える必要があります。方法はいくらかありますが、例を挙げると以下の2つが考えられます(他にもあります)。

       

      〜蠎蠅亮蠅鮴騎里貌匹濱擇蝓許容できるラインを見極める

      逆に「圧力」をかけて拮抗させる(やられたらやり返せる盤面を作る)

       

      少し詳しく説明します。

       

      〜蠎蠅亮蠅鮴騎里貌匹濱擇蝓許容できるラインを見極める

       

       まず、そもそも相手の手に入っていないカードに怯えていないでしょうか?相手が今までに使ったカードをきちんと把握し、相手のデッキに入っていないカードに怯えないようにしましょう。相手のデッキが割れれば、そのデッキと相性の悪いカードは入っていないと読むことができ、そのカードからの「圧力」を無視することができます。

       

       また相手の場を観察し、捨て札や手札の枚数、集中力を数えて相手の放てる最大の手を計算しましょう。その上で、ギリギリ許容できる範囲までしか手数を支払わないようにすれば、「圧力」に屈した場合でも損失を抑えられます。例えばヒミカを宿している時は間合を離せば離すほど安全になりますが、離れるために攻撃カードを全て伏せてしまっては意味がありません。相手の攻撃が避けられるギリギリのラインを見極め、残りの手札は反撃の為に残しておく必要があるのです。

       

      逆に圧力をかけて拮抗させる(やられたらやり返せる盤面を作る)

       

       2.で説明した盤面において、自分がユリナ/チカゲではなくユリナ/オボロを宿していた場合、仮に2距離で「斬」や「一閃」を「詩舞」で防がれて間合3から脱出不可能になったとしても、相手は早々「熊介」を振ることはできません。「熊介」を振った場合、「熊介」をライフで受けて増加したフレアを活用して「浦波嵐」でオーラを減らされた上に設置「鋼糸」からの「天音揺波の底力」でライフを7点削られて即死するためです。このように、より脅威度の高い盤面を作り上げる(つまり、やられてもやりかえせる盤面を構築しておく)ことで逆に相手に「圧力」を与え、相手から受ける「圧力」と拮抗させて不利を回避することができます。

       

      補足. 奥の手を忍ばせよう

       

       「切札は先に見せるな、見せるなら更に奥の手を持て」と最初に言いましたが、奥の手がある場合に関しては切札を先に使っても良い場合があります。

       

       例えば、自分がユキヒ/ハガネを、相手が後退力に乏しいメガミを宿していて相手のライフが4以下の時に、敢えてオーラ受け前提の「ゆらりび」を放ったとしましょう。これは切札を先に見せてしまう悪手とも考えられます。しかし、ここでオーラを砕いた上でさらに「大破鐘メガロベル」でライフを回復させたとすると、あとは「めぐりあい」「大地砕き」あたりを連打しているだけで相手は一生0距離から抜け出すことができず、「大破鐘メガロベル」でついたライフ差を逆転できません。オーラの辛さゆえに、その場にとどまってオーラを回復させれば「つきさし」、後退すれば「遠心撃」の直撃という非常に厳しい二択を迫ることができます。これは0距離貼り付きと「大破鐘メガロベル」によるライフ回復による圧倒的な盤面の優位という「奥の手」を忍ばせることで、切札を先に見せることを許容しているのです。

       

       切札を先に見せたいときは、構築時点で奥の手を仕込んでおきましょう。

       「切札と圧力」についての攻略は以上となります。次回は「守りの基本」について攻略しようと思います。

       

       ※1 互いにフレア6の状態から、プレーヤーAが手札と集中力を使い切った状態で「月影落」を打った場合、プレーヤーBが「浦波嵐」を使ってライフで受けると、プレーヤーBがフレア6、プレーヤーAがフレア0、オーラが3以下となるため、プレーヤーBが「底力」を使うとプレーヤーAは直撃を受けて死にます。

       

       ※2 非常に高度な戦法ですが、「熊介」が入ってないと決めつけて強気に攻めるという選択肢もあります。ただし闇雲に守りを切り捨てるのではなく、平素の打ち筋から相手の精神構造を分析し、どのようなデッキを組んでいるのか逆算した上で決めつけましょう。相手のデッキを決めつけることで、その範囲外のカードから受ける圧力を減らすことが可能です。全国上位レベルの強さを目指すならこの辺の情報戦、所謂メタ読みも視野に入るでしょう。なお、私は記事の連載を始めてから露骨なメタ読みを通されて負けることが増えました。

       

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      『半歩先行く戦いを』第2回:全力で行こう

      2017.10.13 Friday

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         こんにちは、BakaFireです。

         

         こちらの記事は二週間前に始まりました、本作の攻略記事となります。ルールは理解できているものの、今一歩勝利への道筋を掴みかねている方を対象として、理論立てられた基礎をお伝えしております。

         

         本シリーズは現在大会で活躍されているプレイヤーの中より、戦術の理論化、文章化に長けた強豪であるつきのみちさんに執筆して頂いております。それでは、早速今回も始めるとしましょう。

         


        著者紹介:つきのみち
        本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。本作の攻略が理論に基づき、これほどの分量を持って文章化されたのはその冊子が初めてのことである。


         

        『半歩先行く戦いを』

        第2回:全力で行こう

         

        著:つきのみち

         

         

         前回の「前進」と「後退」に続き、今回は全力について解説しようと思います。

         

         全力カードは強大な効果を持つものが多い一方で多大なデメリットを内包しているハイリスク・ハイリターンなカードです。このデメリットを最小化しつつメリットを最大化しなければ、全力カードを使っても大きな有利を得ることは出来ません。今回は、如何に全力カードの効果を引き出すか、逆にいかにして全力の攻撃から身を守るかを考えたいと思います。 

         

        1. 全力の基本

         

         全力とは何か。「全力」と書かれた黄色いカードを使用することですが、これをルール的に厳密に解釈すると以下のような流れとなります。

         

        1. 自らのメインフェイズ開始時に「全力カードの使用」を宣言する。
        2. 手札もしくは未使用の切札からサブタイプ《全力》を持つカードを1枚使用する。
        3. カードの効果を解決し、メインフェイズを終了する。

         

        《全力》を持つカードを使用する場合、メインフェイズ開始時にしかその宣言ができないこと、カードの効果を解決すると即座にメインフェイズが終了してしまうことから、《全力》を持つカードを使用するにあたっては以下の制約が付きます。

         

        1. メインフェイズ中に当該《全力》カード1枚以外のカードを使用できない。
        2. 基本行動ができない。

         

         これらの性質により、全力を宣言したプレーヤーは以下のようなデメリットを背負うこととなります。

         

        1. 手札や集中力が溢れる
        2. 攻撃前に間合い等を調節できない(攻撃のみ)
        3. 使用後に間合い・オーラを調節できない

         これらのデメリットが及ぼす影響とその対策について、使う側と使われる側の双方から考えてみます。

         

        2. 全力カードを使いたい!

         

         単に全力カードと言っても、その効果の方向性によって使用時に注意することは変わります。そこで、大まかに3種類に全力カードを分類して考えてみたいと思います。

         

        分類1:攻撃

         カードタイプが「攻撃」である。

         

        分類2:防御

         次のどちらかの効果を持つ:「自オーラを増やす」「間合を変化させる」

         

        分類3:その他

         分類1と分類2以外の全て

         

        2.1 手札と集中を無駄にしないためには?(全分類共通)

         

         自ターン終了時に手札の枚数が2枚を上回っていた場合、2枚になるまで伏せ札にする必要があります。全力カードの使用を宣言すると、選択した全力カード1枚以外一切のカードを使用できないため、全力カードの使用を宣言した時点で手札が3枚より多く(全力の切札を使用する場合、手札を一切消費しないため2枚より多く)存在すると手札の損失が発生します。ターンの開始時に手札を2枚引くことを考えると、手札を無駄にしないためには、手札1枚以下でターンを開始する(全力切札の場合、手札無しでターンを開始する)ことが条件となります。

         

         同様に、自ターンの開始時に集中力が2だった場合、新たに集中力を得ることができず無駄にしてしまいます。次ターンの開始時に集中力を無駄にしないためには、全力カードの使用を宣言した時点で集中力が1以下である必要があります。毎ターン開始時に集中力は得られるので、全力カードを使った際に集中力を無駄にしないためには、全力カードを使う前のターンに集中力を0にしておく必要があります。

         

         ただし、これを露骨に狙うと全力カードを構えていることがバレバレになってしまうため、使用するタイミングがバレてもあまり関係のないカード以外では、手札や集中力を無駄にしてでも打つべき場面が来たら打ちましょう(確定で「つきさし」が決まる時など)。

         

         また、全力カードを使った次のターンは、原則手札4枚+集中力2の状態になります。

         

        2.2 攻撃前に間合は調整できない。オーラも削れない。手札も減らせない。(攻撃)

         

         この弱点は全力カードの構造的な都合上、全力を使用する側から解消することは難しいです。逆に、間合いを外した状態で相手にターンを渡すことで簡単に回避することができるため、全力の攻撃カードは暴虐的なまでの威力を持つことが許されているのです。

         

         全力攻撃の構造的な弱点なので解消はできないため、全力カードを持つ側としては無理に相手に全力攻撃を当てることより、全力カードの存在を利用して相手を委縮させ、代償を得ることが重要となります。例えば自分がユキヒ(閉)、相手が近接系のメガミを宿している際に、相手のオーラが3〜5程度残った状態で間合6で相手にターンを渡したとしましょう。すると、相手は前進して「ふりまわし」の間合から脱することが不可能なため、自らの集中力とオーラを勝手に消費して後退するか、前進して「ふりまわし」を受けるかの二択を迫られるのです。

         

         このように、全力の攻撃カードは撃つ前に間合を調整することはできませんが、全力の攻撃を回避するために相手に無駄な手札や集中力を消費させることで有利を取れる場合があります。

         

         (なお今回の教材には「ふりまわし」を用いましたが、熟練したプレーヤーを相手にする場合、前回の攻略記事で説明した「力を溜めて駆け抜ける」移動を応用して被害を軽減してくるため、「ふりまわし」だけではそうそう大きな有利を取らせてもらえません)

         

         「ふりまわし」以外にもう一つ例を挙げるとすると、相手に与えるプレッシャーの高いカードの最たるものとして「居合」が挙げられます。「居合」はその絶大な威力と、前進で脱出できない2-3という適正距離も相まって強烈なプレッシャーを放っており、「居合」をかわす手段を持たないメガミは常にその行動を束縛されることになります。具体的には、「居合」を回避するためのカードを抱え続けるために手札全てを消費するような大胆なコンボができない、オーラ回復を強制させられる、オーラを消費して後退させられる等、非常に窮屈な動きを相手に強いることができます。

         

         また、当然のこととして、全力攻撃前には相手の手札を見たり捨てさせするカードも使用できないため、相手が全力攻撃を打ち消したり間合をずらして回避してくる対応を持っている場合、1ターンに1枚しか使用できない全力カードをドブに捨てる事態になりかねず非常に厄介です。こういう場合は、そもそも全力攻撃カードをデッキに入れないか、相手の再構成直後を狙って「無窮の風」や「砂風塵」で捨て札に送り、相手が再構成するまでの間に全力攻撃を使うと良いでしょう。

         

        2.3 攻撃後にも何もできない(攻撃・その他 攻撃で特に重要)

         

         「雑な居合は死を招く」という格言があります。全力カードは宣言した瞬間から先、下手をすると次の自分のターンまで自分に行動の選択権が与えられない状態が続くため、「使用した次のターンに致命的な打撃を受けないか」は常に考える必要があります。特に「居合」と「斬撃乱舞」は、その適正距離範囲内に高い攻撃力のカードが集中しているため、何も考えずに使用すると致命的な反撃を受ける可能性が高く、注意が必要です。

         

        例えば雑な居合が死を招く典型例としては以下のような流れがあります。

         

        相手ライフ6、自分ライフ5で自分が「居合」を使用

        相手「浦波嵐」で対応した上でライフ受け(自分オーラに2ダメージ)

        相手ターン開始時に再構成を宣言

        (相手によってはここでさらに設置攻撃による追撃等が入る)

        相手「天音揺波の底力」使用

        オーラで受け切れないためライフ5ダメージ、敗北

         

         このようなことにならないために、防御以外の分類の全力カードを使用する際は、以下の点に留意すると良いでしょう。

         

        • 自分のオーラは十分あるか(間合の都合上相手が攻撃できない場合を除く)
        • 相手は危険な対応を持っていないか(攻撃のみ)
        • 相手の得意な間合いに居ないか
        • 手札に「対応」を抱えておくと手堅い

         

         なお、防御分類の全力カードは非常に強力な防御効果を持つものが多いため、困ったときにとりあえず使って防壁を築き、次のターンに手札4枚+集中力2を使って反撃を行ったり態勢を整えたりすることができるため、比較的雑に使っても大きな問題はありません。

         

        3. 全力攻撃から身を守りたい!

         

         全力攻撃は全力カードの中でも特にハイリスクなカードです。それ故に、オーラを全て破壊するとか、ライフに2点直撃とか(しかもこの2つの効果は両方とも同じカードが持っているのだ!)、4/2の攻撃とか、とにかくヤバい威力のカードのオンパレードです。これらは1回でもまともに受ければ体勢の立て直しだけで手一杯となり一方的に相手に主導権を握られ続ける事態となりかねません。よって、「相手に全力攻撃を使わせない」、あるいは「使われても大丈夫な盤面を構築する」ことが重要です。具体的には、2.3項で挙げた「全力攻撃すべきではない状況」に相手を追い込むことです。すなわち以下のような状態です。

         

        • 間合をずらしておく(そもそも使用させない)
        • 相手のオーラを減らしておく
        • 自分の得意間合いに居座る
        • 手札・集中力を潤沢に保つ(無理矢理攻撃してきた場合反撃で十分なリターンを得られるようにする)
        • 打ち消し・間合ずらしによる無効化ができる対応札を持つ(実際に手札に無くても、持っているフリでも効果はある)
        • 未使用の対応切札があるメガミでフレアを潤沢に用意する(実際に切札に無くても、入れているフリでも効果はある)

         

         特に間合をずらしておくことと、相手のオーラを減らしておくのは重要です。ただし、間合いをずらすことで自身の集中力や手札・オーラを無駄遣いするくらいなら積極的に相手のオーラを削ったほうが得をします。オーラを減らした場合相手はオーラを補充するために手札や集中力を消費するハメになりますが、不自然な間合ずらしは相手に何ら消費を強いることができないためです。相手のオーラさえ削っておけば、仮に相手が全力攻撃を使ってきた場合でも、(場合によっては攻撃のライフ受けで増えた潤沢なフレアを使って)オーラの減った相手を攻め立てれば致命打を与えることができるでしょう。

         

         また、対応カードを持っている(フリでもよい!)ことも重要です。相手は1ターンに1枚しかカードを使えないのにそれが無効化されては大損ですので、手控えさせることができるかもしれません。

         

         

         全力カードについての攻略は以上となります。

         次回は「切札」について攻略しようと思います。

         

         

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        『半歩先行く戦いを』第1回:前進と後退

        2017.09.29 Friday

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           こんにちは、BakaFireです。先日の展望でもお話ししました通り、当ブログは新たな方向性の記事を計画していました。そう、本作の攻略記事です。
           
           混乱を避けるため、対象を明確化しておきましょう。このシリーズは本作の初級者から中級者を対象に書かれています。つまり、少なくともルールは理解しており、ゲームを1回は遊んだことがあるべきです。
           
           あなたならば問題ありませんね? しかしどうでしょう。友人との対戦にせよ、大会での戦績にせよ、今一歩勝利への道筋を掴みきれないということはないでしょうか。そう感じたことが少しでもあるならば、このシリーズはまさにあなたのためのものです。シリーズで学べる様々な基礎を使いこなせば、勝率を大いに向上できる可能性があります。

           

           もしそうでないなれば、釈迦に説法という側面も出てくるでしょう。あなたがそれだけの達人でも、基本を振り返る気持ちでお読みいただいても良いかもしれません。基本は重要ですし、もしかしたら漠然とした感覚のまま用いていた技術が、うまく具体化するかもしれませんよ?

           

           さて、早速はじめましょうと言いたいところですが、実は本シリーズを書くのは私ではありません。理由は2つあります。1つ目は、ゲームデザイナーの視点から攻略を書くとデザイン上の意図やその説明に目が行ってしまい、本来の狙いからそれてしまいがちであること。2つ目は、プレイヤー皆様の実力はもはや、私を超えているということです(ええ、まだまだそう簡単に負けるつもりはないと、謎の仮面は告げていますが(誤解なきよう補足しておくと、仮面が出現するのは1年に一度程度を想定しています))。
           
           他方で記事を書くとなると実力が全てとは言えません。実力は勿論のこと、文章力や技術を理論化する力が必要です。しかしそこで、素晴らしいニュースがありました。本年8月のコミックマーケット92にて、初めて本作の攻略同人誌が出版されたのです。

           

           ここまで言えばお判りでしょう。本シリーズはその同人誌の作者である、つきのみちさんに依頼して書いていただくことになりました。それでは前置きはこのくらいにして、今度こそ始めるとしましょう。よろしくお願いします!
           



          著者紹介:つきのみち
           本作を発売から今日にかけて遊んで頂いている古株のプレイヤー。具体化された理論に裏付けられたプレイングと、丁寧なメタ読みを得意とする。2017年8月のコミックマーケット92では本作の攻略冊子を同人にて作成、頒布した。本作の攻略が理論に基づき、これほどの分量を持って文章化されたのはその冊子が初めてのことである。

           


           

          『半歩先行く戦いを』

          第1回:前進と後退

           

          著:つきのみち

           


           今回は「桜降る代に決闘を」の最も基本的な動き即ち基本行動から、「前進」と「後退」について考えてみようと思います。

           

          1. 前進と後退の基本

           

          「前進」は間合からオーラへ桜花結晶を1個動かす基本行動、「後退」はオーラから間合に桜花結晶を1個動かす基本行動です。「桜降る代に決闘を」の基本は「間合を合わせて攻撃カードを使う」ことであるため、間合を合わせるための基本行動である「前進」と「後退」は非常に重要です。

           

          「前進」「後退」は以下のような性質を持ちます。

           

          • オーラが5の時は「前進」できない(オーラ5から「前進」する場合、先にオーラに空きを作る必要がある。)
          • オーラが0の時は「後退」できない(オーラ0から「後退」する場合、先にオーラを補充する必要がある。)

           

           ここまでは「桜降る代に決闘を」を遊んだことがある方であれば、おそらく誰でも知っているルールの話です。しかし、間合が合わなければ攻撃できない仕様上、間合の移動を制するものは一方的な攻撃の権利を有するに等しく、前進と後退を如何に巧く活かすかは有利不利に直結します。そこで、「前進」「後退」の基本性質から導き出せるセオリーをいくつか解説したいと思います。

           

          2.  接近したい場合のセオリー

           

          A. 相手が中距離の場合

           

          力を溜めて駆け抜けるように

           

           「前進」を行う為にはオーラに空きが必要であるため、相手の致命的な攻撃を防げる程度のオーラを確保したらあとは空けておくと移動の自由度が上がります。まだ前進を続けたいタイミングでオーラを5にしてしまった場合、「足捌き」などの移動カードが無ければ不本意な間合に居続けなければなりません。たとえそれが相手の絶好の攻撃間合だったとしても……

           

           特にトコヨ相手に間合4オーラ5状態は最悪で、「梳流し」で一方的に攻撃される上に「前進」するには「宿し」が必要で効率が悪く、「後退」すれば相手に無償でオーラを献上してしまいます。

           

           こうならないようにするためにはどうするか。まずは相手の攻撃が届かない遠距離で「宿し」を行ってオーラに大量の空きを作っておきます。そして、集中力2、手札4枚の状態から一気に前進を行い、相手の得意間合いを駆け抜けてしまうのです。特にユリナは驚異的な前進力を誇り、5回の前進と足捌きで間合9からでも一瞬で間合2まで詰めることが可能です。

           

          B. 相手が遠距離特化の場合

           

          オーラを失うことを恐れてはいけない。

           

           主にヒミカ相手の場合に言えることですが、「マグナムカノン」などのライフ打点の高い攻撃を防ぎたい、3/1の攻撃はオーラ消費が大きいためライフで受けたい、等の理由で攻撃をライフで受け続けた結果、全く接近できずに死亡する例をよく見かけます。ヒミカ相手の場合、たとえ「マグナムカノン」を食らおうとも、相手の攻撃をどう捌くかはとりあえずオーラが0になってから考える程度で良いです。開始フェイズに得られる前進力は、特定の前進カードを除けば手札2枚と集中力1の合計3のため、最低でもオーラに3個空きを作っておかないとこのうち1回の「前進」は不可能になってしまうためです。多少のライフを失っても、攻撃で相手のオーラを巻き上げた上で2距離に貼り付いてしまえば相手はほとんど何もできません。遠距離相手には接近は最大の防御であり、多少のライフを支払ってでも行う価値があります。

           

           ただし、一部の火力の高いヒミカデッキ(ヒミカ/サリヤが筆頭として挙げられます)相手にこれを行うと驚異的な火力でライフを蒸発させられ死んでしまうため、相手は選ぶ必要があります。

           

           相手のオーラを枯らそう

           

           「後退」に必要な桜花結晶の源泉である相手のオーラを枯らしてしまえば、相手は1歩間合を離するために「纏い」「後退」を両方行わねばならなくなり、極めて間合いを離すことが難しくなります。「浦波嵐」等の強力なオーラ削り攻撃を当てて至近距離に接近すれば、勝利は目前でしょう。

           

          3. 後退したい場合のセオリー

           

          無用な攻撃は慎む

           

           「前進」はオーラに空きがなければ行えないため、攻撃で相手のオーラを減らしてしまうと、減った分だけ前進されてしまいます。相手のライフにダメージを与えられない攻撃は相手のオーラに空きを作り、前進力を高めるだけの結果しか生みません。後退を行いたいのであれば、攻撃は必ず相手のライフを削るという強い意志のもとで行うべきです。相手のライフにダメージが通らないと考えたなら、素直に様子見するか、後退しながら手札を整えましょう。

           

           オーラは命より大事

           

           相手の(2/1)程度の攻撃は、近距離を得意とするメガミの場合は後続に強力な攻撃が続かないのであればオーラで受けてライフダメージを軽減したいところです。しかし、ヒミカのような遠距離メガミがいたずらにオーラで攻撃を受け続けると「後退」に必要なオーラが切れてしまい、反撃の機会そのものが根こそぎ奪われてしまいかねません。死なない程度であれば、ライフを消費してでもオーラの消費を抑えた方が最終的に勝ちの目はあります。

           

          間合を開けることこそ最大の防御

           

           間合9〜10に留まり続けられるなら、究極的にはオーラは0になっても構いません。ヒミカ以外にこの間合でまともな攻撃を行えるメガミはそもそも存在しないからです。半端にオーラを持ち続けるよりは1歩でも「後退」しましょう。

           

          4. 「後退」より「前進」が強いのはなぜ?

           

           「桜降る代に決闘を」において、基本行動の「前進」は「後退」より明確に強くデザインされています。そのため、同じ力を持つのであれば(重要)「後退」を多く行う遠距離型メガミより、「前進」を多く行う近距離型のほうがより強力です。「前進」が「後退」より強い理由は「前進」が自らのオーラを増やすのに対し、「後退」は減らしてしまうことにあります。そのため、一般的には遠距離型のメガミほどオーラを増やしにくく、近距離型のメガミほどオーラが増やしやすくなります。「オーラの増やしやすさ」の差によって生ずる影響には、以下のようなものがあります。

           

          〜蠎蠅らの攻撃への耐性


           一部の特殊なカードを除けば、相手のオーラダメージより多くのオーラが残っている限り《攻撃》はオーラとライフのどちらかを選んでダメージを受けることができます。しかし、オーラが無くなってしまえば全ての《攻撃》をライフで受けざるを得なくなります。1/1(「ふりはらい/たぐりよせ」)や2/2(「鋼糸」、「一閃」)のような、オーラダメージの割にライフダメージが高い攻撃は、オーラがあれば少ないオーラ消費でダメージを抑えられますが、ライフでの受けを強制された場合大きなダメージを受けてしまいます。


          ▲侫譽△涼めやすさ


           フレアは「宿し」を行うことでオーラを消費して貯めることができます。「後退」にオーラを消費してしまう遠距離型では「宿し」でフレアに変換するオーラの余裕が無いため、フレアは貯めにくくなります。特に「ヒミカ」は典型的な遠距離型メガミであることに加え、「マグナムカノン」で自らのライフをフレアではなくダストに移動させてしまうため、さらにフレア状況が深刻になります。


          いずれ後退できなくなる


           相手からの攻撃などによりオーラが減っていくと、いずれは「纏い」でオーラを補充するのが精いっぱいとなり「後退」を行う余力が無くなるため、後退自体を行えなくなります。また、単純にどちらも攻撃を行わなかった場合でも、「前進」はルールが許す限り無限に行うことができますが、「後退」は自らのオーラとダストが尽きた時点で行えなくなるため、いずれにせよ「後退」を行える回数には限度があります。

           

           これらの特性を踏まえて、「後退」効果を持つカードは「前進」に比べてやや強めにデザインされています。「バックステップ」や「ヴァーミリオンフィールド」が良い例でしょう。

           

           また、同じ威力の攻撃であれば適正間合が近いほうがより強力となります。これは、同じ間合から攻撃を行いたい場合に、適正間合が遠い場合は後退してオーラを消費せねばならないのに対し、近い場合はそのままの距離か、または前進してオーラを補充することが可能なためです。

           

          5. 遠距離型メガミと近距離型メガミのデザインを読み解く

           

           先述した特徴を考えた上で、今度は遠距離型と近距離型のメガミの持つカードに注目し、どのようにメガミがデザインされているか考えてみましょう。


           今回は、最も得意な間合が0-2のメガミを「近距離型」、3-5のメガミを「中距離型」、6-10のメガミを「遠距離型」と定義します。


           近距離型のメガミにはユリナ、ユキヒ(傘開)、中距離型にはトコヨ、ユキヒ(傘閉)、オボロ、サイネ、チカゲ、遠距離型にはヒミカが挙げられます。


           ハガネは攻撃札の間合だけ見ると中距離ですが、「遠心」のため実際の挙動は近距離型のメガミに近くなります。


           サリヤは満遍ない間合の攻撃を持っているため、全ての型に当てはまります。


           クルルは攻撃を全く持っていないためどの型にも当てはまりません。


           ここで代表的な近距離型、中距離型、遠距離型のメガミとしてユリナ、サイネ、ヒミカの3柱を、その切札、特にシンプルな攻撃の切札に着目して比較してみましょう。

           

          ユリナ:月影落(消費6) 4/3
          サイネ:律動弧戟(消費4) 4/3(1/1+1/2+1/1)
          ヒミカ:レッドバレット(消費1) 3/1

           

           近距離になるほど消費が大きく、威力が高く設定される傾向にあることがわかります。これは必然的な理由があります。


           先述の通り遠距離型のメガミはフレアを貯めにくいため、仮に大威力であってもフレア消費が大きい切札は使う機会がありません。そのため、切り札として存在する価値があるのは低消費でコストパフォーマンスの良い切札となります。一方で、遠距離型のメガミは決闘の開始直後から一方的に相手を攻撃することが可能なため、近距離型のメガミは接近する頃には満身創痍です。一方でライフを消費している上に「前進」を多く行っているためフレアは潤沢にあります。このような状態で必要になるのは多くのフレアを消費してでも一撃必殺の威力を持つ逆転の切札となります。中間の間合いを持つメガミの場合は、その中間の性質にデザインされているものが多いです(「千歳の鳥」「はらりゆき」等)

           

          おわりに:決闘ルールへの誘い


           ここまで書いたことを読んで、鋭い方なら「前進が後退より強いのであれば、最も得意間合いが0に近く前進力も高いユキヒとユリナを宿して無限に前進し続ければ勝てるのではないか?」という発想に至ったかもしれません。実を言うとその通りです。第弐拡張の登場によりやや緩和されましたが、少なくとも第壱拡張までの段階においては、際限ない「前進」を許すと最終的にユリナ・ユキヒがほぼ最強になります。これはここまでで説明した「前進」が「後退」より強いことに起因します。


           この領域まで至った方には是非「決闘ルール」を遊んでみて欲しいと思います。「決闘ルール」を用いることで間合1以下への「前進」ができなくなるため、単純に近距離を得意とするメガミが強いだけとならない、奥深い決闘を楽しむことができます

           

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