もっと悪いことをしましょう

2018.04.06 Friday

0

     こんにちは、BakaFireです。先週の記事で『新幕』の第一報をお届けし、今週にも例外的な記事にてゲームマーケット2018春での出展内容の第一報をお届けしました。どちらも大きなお知らせですので、もしまだお読みでないのならば、是非とも先に読んでみてください。
     
     今回は『新幕』の第二報として、新たなボードとシンラの話をさせて頂きましょう。
     
     先日のゲームマーケット大阪で体験版を手に取った方の中には、ボードの左側に謎の物体があったことに気付いた方もいたかもしれません。そうです。ボードもよりボードゲームらしく、豪華で遊びやすい仕上がりとなるよう改良を行ったのです。ご覧ください。これが新しいボードです。
     
     


     お分かりいただけるでしょうか。左側にもジグソーが追加されており、ボードを拡張できるようになっているのです。どう使うのか? 計略ボード、ボードクローザー、それら全てが結合した姿をご覧ください。
     
     


     このボードのアイデアは、最初はサリヤのマシンタロットをボードにしたいというところから始まりました。タロットカードだとどこに置くのかが迷いやすいうえに、その上のトークンを動かす際に一緒に滑ってしまいがちです。そこで、十分な厚みと重さを持ったボードにして、本体のボードと結合できるようにしました。
     
     さらに嬉しいことに、このやり方には拡張性があります。サリヤのような特殊な要素を持つメガミであれば、このようなボードを1枚付属させればよいのです。ボードが広がりすぎてしまう心配もありません。自分側が宿すのは高々2柱ですからね。
     
     ではこの計略ボードは誰が使うのでしょうか。あなたならばお判りでしょう。そう、新たなシンラが用いるのです。シンラは11柱の中で唯一、『新幕』で特性が変化しました。このボードは新たな特性「計略」で使用するのです。
     
     少しばかりゲームデザインの話もしましょう。私どもは昔の特性「論壇」を小さな失敗と捉えています。魅力がないわけではありません。しかし「立論」では弱さの原因だったため取り除かれ、「引用」では意味はありますが論壇を使う必然性はなく、本当に魅力的なカードは「森羅判証」だけだと考えています。そして何よりも、「論壇」は概ね「機巧(付与)」です。
     
     そこで『新幕』に至るにあたり「論壇」は取り除き、シンラの新たな個性となる特性を加えることにしたのです。誤解しないでほしいのは、シンラが付与に注目するという個性は否定していないという点です。しかしそれは「森羅判証」を中心としたカードの効果で十分なのです。
     
     それではご覧ください。シンラの新たなメガミタロット、計略トークン、そして新たな「詭弁」をお見せしましょう。
     
     

     

     

     計略は秘密裏に企てられた陰謀を意味します。計略ボードは上側の枠が「使用」、下側の枠が「不使用」となっており、そこに計略トークンを裏向きで置いて使います。そして、計略を実行するカードを使用したらトークンを表向きにし、使用される効果を解決します。
     
     最大の特徴は、計略を実行したら、直ちに次の計略を準備しなければならないことです。つまり、次にどちらの効果が有効なのかは事前に判断しておかなくてはならないのです。一方で対戦相手にしてみれば、相手がどちらの計略を準備しているのかを読む必要があるとも言えるでしょう。
     
     もう一点。『第二幕』を遊んで頂いているのであれば、この「詭弁」がどう見てもおかしな強さをしているのはお判りでしょう。ご安心ください。これが『新幕』におけるカードパワーです。ライフの増加と離脱の追加(詳しくは『新幕』開発に関する記事にて)により、パワフルなカードを作れるようになりました(全力のように隙をさらすカードであればなおさらです)。『新幕』では本作の今の魅力を可能な限り残したうえで、より鮮烈な体験ができるようになるのです!
     
     
     本日はここまでとなります。次の更新は来週で、全国大会のレポートを予定しております。そう、明日はいよいよ全国大会の本戦です。サイドイベントはまだ席が空いておりますので、今からでも参戦は可能です。予選を通過されている方も、そうでない方も、あなたのご参加を心からお待ちしております!
     
    (クルル特集は早く書きたいのですが、まだ原稿が残っているのです。うぎごごご……)

    GM2018春はエリア出展します!

    2018.04.03 Tuesday

    0

       こんにちは、BakaFireです。先日の記事では本作の新シリーズ『新幕 桜降る代に決闘を』についての第一報をお伝えしたばかりではありますが、本日も例外的なタイミングで記事をひとつお送りさせて頂くことにいたしました。
       
       理由は2点あります。本日に本作全体を通して、いくつかのお知らせがあること。そしてゲームマーケット2018春のカタログの発売日が迫ってきていることです。そう、本日は春での出展内容を発表させていただきます!
       
       なぜわざわざ記事をひとつ使い、早いタイミングで告知をするのか。こちらをご覧になれば納得して頂けるでしょう。サークルカットをご覧ください!

       

       

       


       

       実に1ページ全体に渡る巨大なサークルカット! その通りです。次のゲームマーケット2018春ではBakaFire Partyはエリア出展を行わせて頂きます! 折角のエリア出展ですので、最高に楽しんで頂ける出展を目指して今から気合を入れております。私自身もとても楽しみです。そしてすごく胃が痛いです……おおう。
       
       当然のことながら、私一人の力ではこれは成し遂げられませんでした。出展にご協賛いただきました皆様にこちらにて深くお礼申し上げます。
       
       それでは、エリア出展では何を行うのでしょうか。大きく分けると3つあり、この記事ではそのうちの一つに注目してお伝えいたします。
       
       1つ目は『新幕 桜降る代に決闘を』の基本セットと達人セットの頒布です。こちらの内容については今後の記事で少しずつお伝えしていきますので、本日は割愛いたしましょう。
       
       2つ目は、様々なグッズの頒布です。以前のコミックマーケットでは扇子などのグッズを作成し、分かりやすくカードゲーム、ボードゲームで活用しやすいグッズではありませんでした。なぜなら、そのようなグッズは今回の『新幕』まで温存しておきたかったのです。
       
       つまり今回こそがその時です。今回の出展ではより魅力的なグッズを多数用意しておりますので、ご期待くださいませ! とはいえ、こちらについても本日に詳細をお伝えするわけではありません。今後の記事にて紹介する予定です。
       
       本日注目するのは3つ目です。改めてカットをご覧ください。今回はエリア出展という広さを最大限に活用し、様々なステージイベントを行わせて頂くのです。そしてこの記事では、ステージで何が行われるのかまでお伝えいたします。さあ、ご括目ください!
       
       
      舞台では発表からお祭りまで!

       

       1日目は様々な発表やイラストに関するイベントを、2日目にはゲームを遊ぶことを主としたイベントを開催します。それぞれ紹介しましょう。


       
      1日目 12:00-14:00 BakaFire Party大発表祭

       

       本シリーズ全体、つまりはアナログ版とデジタル版それぞれについての最新ニュースをお伝えします。一例としては『新幕』における拡張がどのようになっていくのかをお話しし、それに伴う未公開イラストやカードをお見せするつもりです。

       

       さらにこちらのイベントでは、ゲストとして本作のデジタル版でボイスをご担当頂く声優の方もお呼びしております。つまり、ボイス関連の発表もまた大きく行われるのです。

       

       そして発表があるのは本シリーズだけではございません。BakaFire Partyのもうひとつの看板作品である『惨劇RoopeR』シリーズにつきましても重大発表がございます。
       
       未来に続く様々な発表、是非ともご期待くださいませ!
       

       

      1日目 14:20-15:00 TOKIAME先生ライブドローイング

       

       本シリーズを見事なイラストで彩るTOKIAME先生に今回もお越しいただきました(但し、今回は2日目(日曜日)には他のイベントで出展しているため、1日目(土曜日)のみの参加となります)。
       
       14時20分からはTOKIAME先生のライブドローイングを行います。色紙にその場で本作のイラストを描いていただき、その手元をスクリーンにて上映いたします。すばらしいイラストがどのように生み出されているのか、ご括目くださいませ!
       
       
      1日目 15:20-16:20 TOKIAME先生サイン会

       

       こちらは厳密にはステージイベントではありませんが、TOKIAME先生のサイン会も開催いたします。これまでと同様、本シリーズに関するアイテムにサインして頂けますよ!

       


      2日目 11:30-16:00 決闘舞台:春ノ陣

       

       2日目は1日目とはうって変わり、ゲームを遊び、楽しむことに特化したイベントを開催いたします。土曜日に頒布されたばかりの『新幕』を用いたゲームでBakaFireに挑戦し、勝利すれば様々な賞品をプレゼント! さらにその戦いはステージ上で行われ、スクリーンに上映されるのです。
       
       それだけではありません。『第二幕』での実力者同士のエキシビジョンマッチも上映いたします。達人同士がどのように『新幕』へと取り組むのか。まずはその第一歩をお楽しみください!

       

       長いイベントではありますが、もちろん入退場自由ですのでご安心ください。心行くまで決闘舞台をお楽しみいただくとともに、ゲームマーケットというイベント全体も遊びつくしてしまいましょう!
       
       
       
       本日の速報はここまでとなります。金曜日には予定通り『新幕』のボードとシンラについての記事を掲載いたしますので、そちらもご期待くださいませ。それでは!

      新たな幕の「はじまり」

      2018.03.29 Thursday

      0

         こんにちは、BakaFireです。地獄のような原稿の修羅場を潜り抜け(いえまあ、まだ終わってはいないのですが……ですが……)、ブログへと帰って参りました。

         

         気付けば早いものでもうじきゲームマーケット大阪まで3日間。となれば、そろそろ頒布物の話をしなければならないでしょう。しかし、百聞は一見にしかず。まずはこちらをご覧ください――!


         

         


         そうです。新たな幕開けです。『新幕 桜降る代に決闘を』がここに始まるのです!

         

         『新幕』の発売は2018年5月、ゲームマーケット2018春となります。本日のブログ記事を皮切りに、情報を少しずつ出していきますのでご期待くださいませ。


         いくつか質問したいこともあるでしょう。ご安心ください。今お伝えできることは、こちらの記事でお伝えいたしますとも。

         

         まず『新幕』とは何なのか。これについては半年以上前よりお伝えしておりました『供焚勝法戮寮擬位松里箸覆蠅泙后『新幕』開発の動機や経緯につきましては、そちらでの記事にまとめておりますので、詳細が気になる方はご覧ください。

         

         ざっくり説明しますと、現行のシリーズである『第二幕』には今でこそ問題のないゲームですが、拡張性において問題がありました。そこでそれを解決するために新シリーズを開始することにしたのです。

         

         かつて『第一幕』が『第二幕』になった時のように『第一幕』をなかったことにするわけではありません。『第二幕』のサポートや、そちらでの大会などもしばらくは続いていきますので、ご安心ください。

         

         さてさて、次は内容へと進んでいきましょう。

         


        基本あって、達人あり

         

         パッケージをご覧いただき、気になるのは「基本(Basic Set)」という文字ではないでしょうか。その通りです。『新幕』は「基本セット(Basic Set)」「達人セット(Expert Set)」の2種類が発売することになります。

         

         目的は、初めて本作に触れる方にとって手に取りやすいものにする点にあります。ウツロ、ホノカが一時的に退場するとはいえ(彼女らは今年中には帰ってきますのでご安心を!)、新たなメガミも一柱加わり、『新幕』の初期メガミは実に12柱にも及びます。

         

         12柱分のカードやコンポーネントが入ると、そのボリュームは相当なものです。すでにあなたが、本作をやりこんで頂いた達人であれば歓迎すべきことかもしれません。しかしそうでないのであれば、逆に手に取り辛くなってしまう恐れがあります。

         

         新たなプレイヤーが参入しないゲームには未来はありません。新シリーズとなった今、新たに本作を始める皆様を心から歓迎する仕様にするべきなのです。

         

         そこで、初めて本作に触れる方を最優先したセットと、熟練した方を最優先したセットを切り分けることにしました。本日はそのうち基本セットについて説明いたします(達人セットは今後のブログ記事で紹介します。こちらもまた、すんばらしい仕様でございますのでご期待を!)。

         


        4柱? その通りではありますが……、

         

         次に注目すべきは、描かれたメガミたちです。ユリナ、サイネ、ヒミカ、トコヨの4柱が実に魅力的な姿で描かれております。

         

         しかし、少しばかり少ないと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか? ええ……、基本セットでは彼女ら4柱が収録されているということになります(そして達人セットには残る8柱が収録されております)。彼女らは特性も「○○すればいくつかのカードが強化される」というシンプルなものであり、まだ慣れていないプレイヤーにとって最適と言えるでしょう。

         

         では、基本セットは単に少ないメガミしかおらず、ダウングレードしているのでしょうか。

         

         いえいえ、そんなまさか!

         

         基本セットは、初めて本作に触れる方のことを最優先した作りとなっているのです。紹介いたしましょう。「はじまりの決闘」を!

         


        これが「はじまりの決闘」だ!

         

         簡潔にお伝えすると「はじまりの決闘」とは大いに改善された初期デッキのことです。詳しく説明しましょう。

         

         『第一幕』において、初期デッキは明確に問題でした。『第二幕』では大きく改善しましたが、それでもまだ課題はあり、そして無視できない歪みも生まれていました。

         

         課題とは、理解の難易度のことです。いくつかのカードは理解が難しく、また理不尽でした。「雅打ち」のために集中力を保つ立ち回りは初プレイでは難しすぎます。「月影落」が「久遠ノ花」で打ち消されるのは、知らなければ不可避であり、また理不尽です。ゲーム展開の制御も不十分です。「フルバースト」が山札の底に沈めば、期待していない展開が生まれてしまいます。

         

         歪みとは、メガミのデザインへの影響です。ユリナ、サイネ、ヒミカ、トコヨの4柱は初期デッキに用いるため、そのためのシンプルなカードのデザインを強要されていました。しかし本作は僅か11枚でメガミを表現し、適切なバランスにする必要があります。ここには無理があり、いくつかの問題へと繋がっていました。

         

         そこで抜本的な解決に乗り出すことにしました。初期デッキ専用のカードを作ってしまえば良いのです!

         

         「はじまりの決闘」には合計28枚のカードが含まれており、それら全てが専用のものです。いずれも初期ゲームの体験に特化してシンプルに調整されており、大会などでの使用は想定されていません。そして全3回のゲームを通し、ゲームのルールからデッキの構築までを簡単に学ぶことができます。

         


        桜降る代を彼女らがご案内

         

         では「はじまりの決闘」で登場するメガミは誰なのでしょうか? ユリナら4柱? いいえ、同一セット内で彼女らのカードが共存するのは混乱を招くと判断しました。では全くの新メガミ? いいえ、新たなメガミが登場するとなれば大会などで使いたくなるのは当然であり、使えないとなれば文句を言いたくなるでしょう。私だって言いたくなりますとも。

         

         それでは? ええ、まさに最適なメガミたちがいたのです。紹介しましょう。桜降る代の入口をご案内するのは、彼女たちです!

         

         

         その通り。桜降る代に初めてやってきたあなたを歓迎するため、ウツロとホノカがその力の一端を貸し与えてくれるのです。武器も異なり、ウツロの欠片は影の短刀を、ホノカの欠片は桜刀を使います。そして彼女らはあくまで「欠片」ですので、少しばかり普段よりも可愛らしい姿をしております。

         

         ここまで紹介したからには、「はじまりの決闘」でのカードをご覧になりたいのではないでしょうか。ええ、2枚お見せいたしましょう!

         

         


        大阪ゲームマーケットで

        「はじまりの決闘」を体験しよう!

         

         すばらしいニュースです。この「はじまりの決闘」をいち早く体験する方法があります。すでに本作に親しんでいる方はもちろんのこと、今まさに本作に関心を持っているあなたにとっては最高のニュースかもしれません。

         

         来たる2018年4月1日ゲームマーケット2018大阪、A13「BakaFire Partyにて、『新幕』の先行体験版が配布されるのです。価格? いえいえ、本作の魅力を体験して頂きたいのですから無料ですとも。但し、可能な限り多くの方に触れて頂くため、おひとり様1部限定とさせていただきます。

         

         体験版では「はじまりの決闘」が完全な形で収録され、お楽しみいただくことができます。ただし無料体験版であるため、カードの断裁を行って頂く必要があり、また下敷きとなるカードと共にスリーブに入れて頂く必要があります。その辺りにつきましては、予めご了承くださいませ。

         


         次回のブログ更新は来週となります。来週は、ボードについての新しい仕様と、さらに魅力的で悪質になったシンラの話をさせて頂きます。ご期待ください!

         

        (余力があればクルル特集も書きたいところですが、そちらはそこまで期待しないでください。うごごごご……)
         

        細音雪花がDL版で帰還

        2018.03.12 Monday

        0

           こんにちは、BakaFireです。本日は皆様に少しばかりのお詫びと、すばらしいお知らせをお持ちしました。

           

           お詫びについては、お待たせしてしまい申し訳ありませんでしたというものです。すばらしいお知らせについては、ついに形となり、無事に発売へと至ったというものです。

           

           何の話かって? ええもちろん、『幕間:細音雪花 DL版』の話ですとも!

           

           


          そもそも細音雪花とは?

           

           本作を説明する前に、『幕間:細音雪花』について説明いたしましょう。

           本シリーズは2016年5月に『初版(第一幕)』にあたるバージョンが出版されました。しかし、そちらはゲームの基本構造こそ今と同様に魅力的なものでしたが、ゲームバランスには大きな問題がありました。

           そこで私どもは本作に大きなてこ入れを行うことにしました。ルールを調整するとともに、多くのカードへと変更を行ったのです。そして2016年12月に『第二幕』として新たに発売しました。

           しかしそこには問題があります。5月に発売したゲームを12月に大きな修正をして再版し、5月にご購入いただいた方に再び購入して頂くのはあまりにも不親切なのです。

           そこで、どういったルールが調整されたかの説明と、調整されたカードのみが封入された差分セットを作成することにしました。そしてそれだけでは色気がないため、そのセットは画集、設定資料集を兼ねることにしたのです。

           

           こうして出版されたのが『幕間:細音雪花』でした。これらの流れについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧いただければと思います。


          それではDL版とは何者か?

           

           それでは今回の『幕間:細音雪花 DL版』とは何なのでしょうか。

           皆様もご存じの通り、本作はすでに『第二幕』が主流になっており、『細音雪花』の差分セットとしての役割は完全に終わっていると考えています。しかし他方でありがたいことに本作がご評価いただけた結果として、画集、設定資料集としての需要はむしろ広がっていると分かったのです。

           しかし、フルカラーの冊子として単純に出版するには不安要素が多く、また流通をどうするべきかも難しいところです。何せ画集、設定資料集となるとゲームとしては全く遊べなくなるため、これまでお世話になっている様々なショップ様にも、なんとも置きにくい代物となるのです。

           そこで私は閃きました。ダウンロード販売にしてしまえばいいのです! こうしてこの度の『幕間:細音雪花 DL版』は発売となりました。しかし画集、設定資料集に特化して再版するとなると、昔のままというのもつまらないですよね。

           ええ、次は内容について紹介いたしましょう!


          以前の内容に加え、書き下ろしを10ページ追加!

           

          基本セットの7柱にまつわる様々な設定をご紹介!

           

           まずは以前からの内容として、その時点で登場していたメガミ7柱(ユリナ、ヒミカ、トコヨ、オボロ、ユキヒ、シンラ、サイネ)についての設定を紹介しております。理解が深まれば、彼女らの魅力がより深まること間違いなし!

           

          彼女らの切札イラストをフルアートで掲載!

           

           さらに彼女ら7柱の持つ切札カード全てについて、それらのイラストをフルアート仕様で掲載しております。カード上ではテキスト枠などの都合で隠されていた部分も全て公開され、完全な形でイラストをお楽しみいただけます。

           

          ユリナの紹介ページ。切札イラストも全てがフルアート仕様!

           

          神語りの設定資料集を書き下ろしで追加!

           

           そしてDL版では公式小説『桜降る代の神語り』に関する設定資料集を追加しております。サブキャラの設定に初公開となる彼らのイラスト。さらには桜降る代の地図も公開し、その地図を通して物語で登場した地域の解説も行っております。ボリューム溢れる10ページをぜひともお楽しみください。

           

          書き下ろしの追加ページ。神語りをさらに楽しむための情報が盛りだくさんですよ!

           

          販売はDLsite.com専売となります!

           

           それでは本作はどちらで頒布しているのでしょうか。ええ、お察しの良い皆様にはお分かりかもしれませんが、DLsite.com様での専売となります! 我々のような完璧で幸福な市民にとっては、靴を舐めることは基本スキルなのですよ。ハハハ。



           こちらのページよりアクセスし、ご購入いただけます。もし桜降る代のより深い世界に興味を持っていただけましたら、是非とも手に取って、お楽しみいただければ嬉しい限りです。

           本日はここまでとなります。そして大変申し訳ないながら、現在私は『供焚勝法戮慮狭討あまりにも慌ただしく、危険な状況にあります。そこで申し訳ないながら、私の記事はまたしばらくお休みさせて頂きます。ご容赦くださいませ。

           次回の記事は『供焚勝法戮僚虔鵑搬膾絅押璽爛沺璽吋奪箸砲弔い討、クルル特集のどちらかになります。ご期待のうえ、お待ちいただければ幸いです。

           

           

          外套の裏には歪な心(後篇)

          2018.02.10 Saturday

          0

            毒は静かに躰を蝕む

             

             

             こんにちは、BakaFireです。今回の記事はチカゲ特集の後篇となります。前篇をまだお読みでない方は、こちらから読まれることをお勧めします。

             

             このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は新シリーズ第1回にして累計第6回となります。

             

             前篇ではメガミ・チカゲに関する歴史を説明し、彼女のキーワード「毒袋」が生まれるまでの話をしました。後篇では個々のカードに注目し、それらを通して彼女を語ることにしましょう。

             

            カードの何に注目するか

             

             やり方もこれまでのものを踏襲します。以下にてまとめましょう。

             

            • カードの歴史と評価に注目する
            • 歴史とはカードが生まれた経緯を指す。
            • 歴史においてルールの変化が重要ならばそれも語る。
            • 評価はゲームにおける魅力、バランスの適切さ、メガミの気質の体現性の3点を見て行う。
            • 現在問題視している箇所や、カードへの否定的な見解も書く(出版から時間が経ち、皆様からのフィードバックを頂くと至らなかった点も見えてくるのです)
            • 否定的に書き、修正を匂わせたとしても、修正を急ぐつもりはない。

             

             前篇でも語った致命的な過ちのために大きな修正を入れることになってしまいましたが、現時点でのチカゲへの反省点は小さなものです。また、チカゲもハガネと同様に当時の環境や知見が意識されていました。当時の環境についても簡潔にまとめ直しましょう。詳しくはハガネ特集をご覧ください。

             

            • 『第二幕』になり、暴力的火力の支配からは解放された
            • しかし結果としてトコヨが最も強くなり、防御的で抑制的な環境となった。
            • 競技性はまっとうなものになったものの、これはこれでつまらないと感じる方もいると考えられ、問題だった。
            • 結果、『第壱拡張』のメガミにはトコヨへの耐性が求められた。

             

             ハガネと比べ、チカゲはより特定のメガミへの対策を意識してデザインされたカードが目立ちます。今としては、そのように対策的なデザインを行うのは良いやり方とは考えていません。ですが当時の歴史的資料として、何への対策として作成されたのかも書くことにしましょう。

             

             

             

             現在でこそ適正距離は3-5ですが、修正前は1-3でした。1-3でも単独のカードとして強すぎはしないのですが、近距離であることそのものが問題であるため修正されています。

             

             毒化結晶が没になり、原案の毒のルールに変更された時点で作成され、一度も変更されませんでした。このようなシンプルなカードはメガミ全体の複雑さを制御するためにデザインされます。メガミのコンセプトを伝えつつシンプルなものとなることも多いですが、毒を送るカードはあまり多くは作れないため、チカゲは能力のない《攻撃》カードを持つことになりました。

             

             デザインは理にかなっており、「斬」と比べてオーラへのダメージが1小さく、代わりに間合に3が追加されています。ダメージは意図的に小さくデザインされました。いくら近距離問題への把握が不十分と言えど、近距離にダメージが大きい攻撃を追加してはいけないことくらいは分かっていたのです。

             

             

             現在の適正距離は5ですが、修正前は1でした。

             

             毒を送る基本カードです。毒はとても魅力的なルールですが、毒を送られる頻度が多すぎるとあまりにも不愉快です。それゆえに、この類のカードは通常札に2枚、切札に1枚が限界と考えており、事実その通りだったようです。

             

             さらに、普通の《行動》カードでも問題のあるストレスレベルです。そこで2枚の通常札はそれぞれ「毒を送り辛くする工夫」を行う必要がありました。

             

             「毒針」の解答は《攻撃》カードの攻撃後効果にするというものです。《攻撃》ならば間合によって使用できるタイミングが制限され、相手は《対応》カードで対処できる余地が生まれるのです。

             

             ではその間合をいくつにすべきか。結果としては大失敗でしたが、私は1を試してみることにしました。この動機は間合1への挑戦にあります。『第二幕』ルールの導入で、間合0と1には特別さが与えられることになります。中でも間合1単独の間合を持つ《攻撃》は、その攻撃を行うためには他の移動カードを使う必要があり、さらには前後どちらに移動する対応でも避けられてしまいます。これらには組み合わせる魅力、構築する魅力、相手との相性を考慮する魅力と、双掌繚乱、眼前構築の魅力が詰まっているように感じられました。

             

             それゆえに間合1単独にすることで強力で魅力的なカードをデザインできると当時の私は考えていました。「毒針」は駄目でしたが、未来では一応の解答は得られています。その辺りは、サリヤ特集でお話ししましょう。

             

             今振り返ると、これは動機そのものに誤りがあったとも考えています。間合1の魅力を無理に探そうとするのではなく、やろうとしていることが自然に間合1を求めるまで待つべきだったのかもしれません。

             

             

             

             チカゲは死の恐怖に怯えており、転じて高い生存欲を持ちます。当然、逃げることにも彼女にとっては得意なことなので、逃げるような《対応》カードがあるべきでしょう。

             

             初期案は「間合⇒相/オーラ:2」の行動/対応という極めて愚かなカードで、当然没になりました。ではその枠にどのようなカードを入れるべきでしょうか。

             

             当時の環境として最も問題であったのはトコヨですが、彼女と最も有力な形で組み合わせられていたユリナへの問題が感じられなかったかと言うと、当然そのようなことはありませんでした。ユリナとユキヒの組み合わせはまだまだ一線級であり、「斬」「一閃」「月影落」などの《攻撃》は当時はまだ問題があるのではないかと懸念していたのです(実際は近距離問題というより上位の構造の問題でした)。

             

             そこで、これらの攻撃、そして前進に対して刺さりうる対応カードとしたのです。結果として、近距離型だったチカゲとのかみ合いが奇妙だったのは反省点ですが、このカードそのものの出来や、中距離型となった後の仕上がりは良好でした。強いて言うならば、近距離問題ゆえに近距離型のメガミが作れず、結果としてこのカードが刺さる相手そのものが少なくなってしまったのは反省点です。

             

             

             

             毒化結晶がある時点から存在し、適正距離が0-4から0-3になった以外は一度も変更されませんでした。毒化結晶にせよ毒袋にせよ、チカゲは(当時としては)追加ルールが多く、複雑さがありました。それゆえにテキストのない《攻撃》カードがもう1枚あるべきと考えられたのです。「飛苦無」と違う印象にするため、《全力》カードになるのは必然です。

             

             当時はチカゲは近距離型としてデザインされていたため、適正距離に0-1を含むべきでした。しかし、『第一幕』での「つきさし」の強さやクリンチ戦略の脅威から、単純にその間合で火力の高い攻撃は危険です。

             

             そこで、適正距離をさらに広げる代わりに、オーラへのダメージを小さめに設計しました。全力を使ってオーラを2だけ削るのはあまり強くない動きです。こうすることで適正距離としては安易に使えるものの、安易に使うだけで成果が得られるわけでもなくなるのです。

             

             さらにこのダメージは、チカゲの暗殺者としての側面を強調しています。暗殺者は正面から腕力で斬りかかる力は弱いものです。しかし相手が隙をさらしているならば、命を刈り取る一撃を撃ちこめるのです。オーラへのダメージよりライフへのダメージが高いとはそういうことなのです。

             

             この側面はもう少し強調しても良いかもしれません。しかし『第二幕』ではライフが8しかないために、それは実現できませんでした。つまり……。

             

             

             

             チカゲの移動カード枠です。元々は先ほど「遁術」で述べた愚かなカードがその役割を担っていましたが、それが没になったため、こちらでも新たなカードが必要となりました。

             

             そこでいくつかの案を試しましたが、2歩の前進ではクリンチ戦略の危険が大きすぎ、前進より弱ければ魅力に乏しすぎると分かりました。そこで模索の結果、前進そのものをカードにしてみることにしたのです。

             

             『第二幕』ルールにより、カードでの前進は基本動作での前進と違い、間合1以下に踏み込むという価値があります。そして書式もシンプルです。『第二幕』後の最初の拡張にシンプルで、それでいてセンセーショナルなカードとして登場させるには相応しいと考えたのです。

             

             結果として、そもそもの近距離問題のために愚かな結果となりました。ただ、修正されていないことから分かるようにこのカード自身のせいではありません。

             

             その際の修正でチカゲが中距離型のメガミになると決まった際、併せて「抜き足」と「泥濘」も修正すべきかどうかは検討されましたが、それについては不要と判断しました。チカゲには「生きる道」が存在しているため、《攻撃》が中距離になったとしても至近距離に隠れるインセンティブは十分にあるのです。

             

             

             

             毒を送る基本カードです。「毒針」同様に「毒を送り辛くする工夫」が必要でしたので、こちらでは極めて単純に《全力》カードにして実装しました。《全力》カードは使う際に隙をさらしてしまうため、かなり使い辛いものです。しかしこのカードを使えば相手のドローの1枚は毒カードになるため、その隙が程よく緩和されるのです。これは双方にとって適切な塩梅といえるでしょう。

             

             結果、作成されてから一度も変更されませんでした。毒の強さはこのカードを基準となると考えて間違いありません。

             

             

             このカードの枠は幾度となく変更されました。途中で一度この「泥濘」になった後で没になり、その後再びこの「泥濘」に戻りました。

             

             強力な「前進」を抑止する「壮語」と比べ、カードとしての存在に幾ばくかの疑問はあります。しかし、当時は近接距離であった点や、「生きる道」を活かすための隠れる動きの補助となる点を考慮し、これでよいだろうと考えたのです。

             

             今でも幾らか疑問はあります。しかし近距離での打撃力が乏しく、他方で「生きる道」を持つチカゲでなければ、このカードを持つことはできないのも確かでしょう。

             

             

             

             毒カードのデザインで重要なのは、毒を選ぶ行為を有意義なものにすることです。

             

             しかし最初はできておらず、初期案は単に嫌そうな効果を3つ並べただけでした。麻痺毒の原型、幻覚毒そのもの(このカードは1度も変更されませんでした)、そして弛緩毒は単に毒袋に戻すという効果だけを持った《全力》カードでした。

             

             この初期案から毒カードの楽しさは見いだせましたが、カード効果としては失敗も感じていました。最たる原因は「弛緩毒」であり、毒選択の9割でこの毒が選ばれるほど、安定してしまっていたのです。そこで旧「弛緩毒」は没にし、改めて毒に求められるものを考えてみました。

             

             結果、毒は相手がやりたいことを妨害する一方で、それを狙っていない相手は簡単に使用して取り除けるものであるべきだと分かりました。こうすれば毒を送る側は相手の狙いを類推しなくてはならなくなり、意思決定が有意義になるのです。

             

             では、妨害すべき3種の「やりたいこと」とは何でしょうか。重なりはあっても構いませんが、重なりが大きくてはいけません。考えに考え、「基本動作」「切札の使用」「攻撃」がその3つであると私は結論付けました。「基本動作」は「麻痺毒」で、「切札の使用」は「幻覚毒」で担えます。そこで残る「攻撃」を抑止する手段として新たな「弛緩毒」をデザインしました。

             

             現状の毒3種はそれぞれが程よく、有意義な選択を演出できていると感じています。

             

             

             「毒袋」というコンセプトが出来上がった時、切札でも毒を送るカードがあるべきと考えるのは自然です。そして切札からは特別な毒を送れた方がワクワクするのも間違いないでしょう。コンセプトや効果は変更されず、消費は途中で4から5に引き上げられました。

             

             では、毒の特別さはどのように設計されるべきでしょうか。単純に効果が強い、つまりはより悪い効果の毒というのはうまいやり方ではありません。毒を使うかどうかは相手次第です。逆に言えば、相手が毒を使うのか、それとも手札にため込むのかという選択権を持っているからこそ悪質な効果を持たせられ、魅力的な毒になるのです。

             

             そこで、毒袋に戻らない毒を作ることにしました。一度入れられたら、恒久的にデッキを蝕むのです。イメージとしては「完全論破」にも近いかもしれません。その辺りは一度しか使えない切札であるという点ともかみ合い、良いデザインになりました。

             

             ちなみに、毒袋に2枚の「滅灯毒」があるのは「生体活性」などの再利用のためのロマンです。本作が、メガミの組み合わせを楽しむゲームでもある以上、ロマンの余地はできる限り残すべきなのです。

             

             

             ギリギリ、それも入稿当日まで吟味が続けられた1枚です。最初の案は次のようなものでした。

             

            叛旗の激毒    消費3

            攻撃/対応    適正距離0-10    2/2 

            【常時】このカードは対応でしか使用できない。

            【攻撃後】対応したライフへのダメージが3以上の《攻撃》を打ち消す。

             

             これについても、ユリナを意識したデザインになっています。最初にデザインされた時点では『第二幕』も始まったばかり。ゆえに警戒対象はトコヨというよりもユリナでした。ユリナ/ヒミカで『第一幕』を焼き尽くし、ユリナ/ユキヒでの活躍もほぼ確約されている以上、当然と言えるでしょう。しかしどうにもこのカードはぱっとしませんでした。

             

             そんな中、『第二幕』初期の環境も見定められ、ユリナ/トコヨこそが極めて強力であり、同時にゲーム展開を遅くしているという問題点もあると分かってきました。その時点で警戒対象はユリナだけではなく、トコヨとユリナという形になったのです。

             

             さらにもう一点の懸念点もありました。後に述べる「闇昏千影の生きる道」です。本作初となる特殊勝利カードであるため、バランスは強く気にしてデザインされました。細かくは当該カードで語りますが、結果として十分な強みがあり、その一方で安易な成功手段はないと考えられる仕上がりになったのです。

             

             しかしそこで気付きます。「闇昏千影の生きる道」は確実に「久遠ノ花」で止まってしまうのです。そのような状況で「生きる道」戦略に十分な強みが見いだされてしまったら、それこそトコヨを宿すことが絶対の正解になってしまいます。

             

             以上より、ユリナ/トコヨに刺さりつつ、それでいて「久遠ノ花」に対策できるカードが求められました。その結果としてできたのが次のカードです。

             

            叛旗の激毒 消費3

            相手は自身の切札から消費が5以上かつ未使用の切札を全て公開し、使用済にする。そうした場合、それらの枚数だけ相手のライフに1ダメージを与える。

             

             これは激毒の名に恥じぬほど、ユリナ/トコヨを苦しめました。しかし試すにつれ、余りに多くの問題を抱えたカードであるとも分かったのです。まず証明の問題があります。さらに、余りに一部のカードのみを咎めているためユリナ/トコヨ側の眼前構築が不自由になりすぎ、気分の悪い読み合いを強いられてしまいます。

             

             以上よりこれも没になりました。しかしながら多大な問題として、その時点で入稿の締め切りであり、次のカードを試している時間がなかったのです。選択が必要でした。結論として、ユリナへの対策は諦めることにしました。すでに「遁術」があるため、無理にこれ以上の対策を行う必然性はないと判断したのです。そして、「生きる道」のために「久遠ノ花」への耐性を与えることを最優先事項としました。

             

             そしてその場で即興的に作られたのがこのカードです。「生きる道」と正しくかみ合うよう納は6と整えられ、他の使いどころもあるようにあらゆる「-」を持つ《攻撃》を対象としました。正直に告白しますと、私どもにはこのカードをテストする時間はありませんでした。もちろんその場では最善を尽くし、リスクが小さくなるよう知恵を振り絞りましたが、一度も実際のゲームでは回されていないのです。結果として、良好なテックカードとして働いたのは幸運にも恵まれたと言えます。

             

             

            現在の適正距離は3-7ですが、修正前は1-5でした。

             

             本作のようなゲームには相互作用とジレンマが欠かせません。チカゲが毒カードと言うギミックを活用する以上、そこからそれらを生じさせるように他のカードで演出する必要があります。

             

             毒カードは当然ですが、使用したいカードではありません。そして使わないことを選んだら手札で滞留します。それだけでも連続攻撃や対応の阻害ができるため、十分な意味があります。しかし、それだけではゲーム的な気持ちよさを濃縮できていません。

             

             毒が手札にたまると、必然的に手札を2枚以上持ってターンを終える頻度が上がります。その際に悪いことが起こるようにするのです。こうすれば毒を送った側は自分の行動が良い結果に繋がったという相互作用の楽しさを得られ、毒を送られた側は毒を使うべきか使わざるべきかと言うジレンマをより強く感じ、ひりつくような意思決定を味わえるのです。

             

             これらの理念、そしてカード単独の試みは魅力的でした。しかし残念ながらバランスはダメだったようで、各種攻撃カードと共に中距離間合へと移されることになります。その後はバランスの面でも丁度よく、良い仕上がりのカードとして気に入っています。

             

             

             本作初の特殊勝利カードであり、チカゲ――闇昏千影のあり方を象徴するカードでもあります。

             

             ご理解いただけることでしょうが、このカードのバランス調整には高い注意集中が払われました。まず、初期案を紹介しましょう。

             

            v1

            消費4 納4 付与/全力

            破棄時:あなたは勝利する。

             

             この時点では、隙を切札の《付与》カードに持たせようという試みがなされていました。通常札の隙と同様にあらゆる1以上のダメージで失敗しますが、その際は未使用に戻ります。特殊勝利を狙うデッキが、軽々しく一度失敗しただけでゲームに勝てないようではつまらないので、失敗してもチャンスが残るようにしました。この時点で十分な魅力が感じられ、コンセプトとしては完成していると判断しました。

             

             しかし、バランス調整には多大な吟味が必要なのは明白です。事実、問題はすぐに発見されました。消費が4だとあらゆる組み合わせで先手第2ターンに使用できてしまうのです。先手第2ターンでは間合はまだ十分に離れており、大半の組み合わせが攻撃を間に合わせられません。そこでまずは、消費が4から5へと引き上げられます。

             

            v2

            消費5 納4 付与/全力

            破棄時:あなたは勝利する。

             

             こうなれば2ターン目の使用はほぼ不可能です。唯一、オボロと組み合わせれば後手第2ターンに使用できますが、オボロは後退は不得意であり、また後手であるために先手側には前進の時間が十分に与えられています。この案ではバランスは壊さないだろうと考えられていました。

             

             しかししばらくのプレイテストの末、逆の問題があると分かりました。悲しいことに、全く成功しないのです。《全力》の付与を貼り、2ターンもの間、一切の攻撃に当たらないようにする。これはどれほど対応が得意なメガミと組み合わせても、はっきり言って不可能でした。成功しない特殊勝利は、まったく魅力的ではありません。

             

             成功のためのハードルを下げる必要がありました。そしてしばらくの模索の末、オーラへのダメージでは失敗しないようになったのです。この時点で隙からは大きく離れましたので、隙と言う名前を使うのは辞めました。

             

            v3

            消費5 納4 付与/全力

            展開中:あなたがライフへのダメージを受けた時、失敗して未使用に戻る。

            破棄時:あなたは勝利する。

             

             結果、十分に成功するようになりました。そしてさらに素晴らしいことに、ゲーム展開も魅力的になったのです。オーラで防げば失敗しないのですから、チカゲ側はオーラをできる限り5に近づけ、相手が攻撃し辛い形にした上で貼るのがベストになります。それゆえ、成功のために様々な工夫ができるようになりました。一方で貼られる側はライフに攻撃を通すために、十分な連続攻撃を準備しておくことで対策できます。これらによって、このカードを巡ったせめぎ合いが熱いものとなるのです。

             

             カードとしての魅力はすでに相当のものです。しかし、カードの使い方を考えているうちに、恐ろしいことに気づいてしまいました。切札の対応、具体的には「久遠ノ花」や「音無砕氷」を構えてしまえば、容易に成功できそうに思えたのです。

             

             次のプレイテストで実験し、まさにその通りでした。さらに言うならフレアを5つ最速で溜めて撃つ動きそのものも危険であり、根本的な強さにも問題を感じます。

             

             困ったことになりました。私は悩み苦しみます。相手に十分な時間が与えられ、その上で通常札での対応の範囲では、このせめぎ合いは魅力的なのです。どうにか切札の対応だけを、スマートなやり方で使わせないようにし、さらにこのカードそのものの使用を遅らせられないでしょうか。

             

             そんな苦悩の中、テスト中のリストを見ていた私はあるカードに気が付きました。ええ、もうお分かりでしょう。それはチカゲのカードではありません。ハガネの「大破鐘メガロベル」です。

             

             ハガネ特集で語った通り、「大破鐘メガロベル」に「他の切札が使用済ならば」という条件が付いているのは別の理由によるものです。しかしなんたる巡りあわせでしょうか。この文言は運命的なことに「生きる道」の問題を2つとも解決し、救済できるのです。

             

             第一の問題である対応の切札は、守りきらなくてはならない2ターン目だけは、その前に切札を消費しなくてはならないため解決されます。これは逆に1ターン目は切札の庇護を受けられるため、工夫の余地も与えています。第二の問題である最速で貼る動きは、他の切札2枚も使用しなければならないことから合計フレアが増えるため解決されます。

             

             こうして「生きる道」はいよいよ今の姿にたどり着きました。しかし、これでバランス調整は終わりではありません。第一の問題はともかく、第二の問題が本当に解決されたかはすぐには分かりませんでした。そこで私は、他の全てのメガミとチカゲを組み合わせ、「生きる道」を狙う場合の切札構成を考えてみました。そしてその中で有力な組み合わせだけを取りだし、丁寧にテストしたのです。

             

             長い苦心と努力の末、「生きる道」は素晴らしいバランスに仕上がりました。本作のベストカードのひとつと言っても過言ではないでしょう。たったひとつ失敗があるとすれば、このカードにこれだけ入れ込んだ結果として、他のバランスが幾らかおろそかになってしまったのは否定できない点です。

             

             

             原初札は基本的には「メガミに挑戦!」で使用されるものです(メガミと挑戦者で対戦し、メガミ側は原初札を用いる代わりに1柱しか使えず、挑戦者は相手のメガミを見たうえで宿す2柱を選ぶ)。そのため、そのメガミ単独での戦いを実現できるようにデザインされます。特に通常札は、その戦いの円滑化が目的となります。

             

             チカゲの問題は決定力の不足にあります。『第壱拡張』の初期でこそバランスに多大な問題がありましたが、調整後は攻撃力が控えめとなりました。しかしここで輝くのが「生きる道」です。攻撃力が控えめでも突然に特殊勝利を狙われるリスクがあるので、ゲームがスリリングで魅力的になっているのです。

             

             しかし単独となると問題が浮き彫りになります。組み合わせるメガミの攻撃能力を組み合わせられないので決定力不足は自明であり、チカゲだけでは防御力も不足しているため「生きる道」も夢物語です。

             

             そこで通常札と切札それぞれで防御、攻撃を補うことにしました。攻撃と「生きる道」の天秤がチカゲの魅力である以上、「メガミに挑戦!」でもそれは活かされるべきでしょう。防御カードが確定で存在していると固すぎてストレスになるため、通常札が防御を担当することになります。

             

             もう一工夫したのは、手札に毒があるかどうかを見るというギミックです。これによって相手は毒を使うモチベーションが高まり、より毒を意識したゲームとなるのです。このギミックは今後は原初札に限らず、利用できるのではないかと期待しています。

             

             

             原初札の切札も同様のコンセプトで作られますが、こちらは「刺激的で特殊な舞台を作る」ことを意識してデザインされます。上記の通り、切札では攻撃を担当することになります。しかし、安易な攻撃カードでは原初の切札ではありません。チカゲらしさを煮詰めたようなものである必要があります。

             

             第一に見いだされたのが、手札の2倍のダメージを持つという効果です。「大天空クラッシュ」で書いた通り、変数は何度も使うと混乱を招きますが、ここぞというときに使うと素晴らしい効果があります。チカゲのカードが相手の手札を閾値として見ることがある以上、これはチカゲ的です。

             

             次に、新しい毒を作り、それを攻撃後効果で加えるようにしようと決めました。この理由は単純です。原初札と言う特別な場所で新たな毒が登場するのは格好よく、センセーショナルだからです。「残滓毒」の効果については、安易な回答を抑止するものにしました。「生きる道」はシンラやクルルに脆弱性があります。そこで、彼女らの得意とするカードタイプを咎めるような効果にしたのです。

             

             ここで悩ましい事態に陥りました。新しい毒は1ターンでも早く送りたい。しかし貴重なリーサル手段を早々に切ってしまうとダメージ不足が深刻である。ならば再起を付けたいが、そうなると消費が問題となります。消費が低いと強すぎる一方で、消費が高いと序盤に毒を送る目的がそもそも果たせないのです。

             

             そこまで来てさらに閃きました。消費もXにしてしまえばよいのです。事実、これは素晴らしいアイデアでした。消費0の0/0、消費2の2/2、消費4の4/4、そして消費6の6/6、すべてに意味があるのですから。

             

             

             

             これにてチカゲ特集は閉幕となります。様々なカードに秘められた物語をお楽しみいただけたら嬉しい限りです。

             

             私自身の作業があまりに立て込んでいるため、申し訳ないながら2週間ほど私の記事はお休みをいただきます。休み明けには、細音雪花が帰ってくる話をいたします。ご期待くださいませ!