忍の道をいざ行かん(前篇)

2017.06.23 Friday

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    前回の好評、反響に深い感謝を。

     

     こんにちは、BakaFireです。5月下旬にから6月頭にかけてお届けしたトコヨ特集では、多くの反響ありがとうございました。作品としてニュースがあるという類の記事ではなかったため、実験的なものでしたが、好意的に受け取っていただけたようで安心いたしました。

     

     それを踏まえ、本日は続編として、次のメガミの特集を行うことにしました。前回のトコヨ特集を一部踏まえた内容となっておりますので、お時間があるならば先にお読みなることをお勧めします。

     

     そして前回同様、アンケートも行いました。

     

     

     129票のご協力ありがとうございました! 勝利を飾ったのはオボロとなりますので、今回の記事はオボロ特集となります。

     

     とはいえ、アンケートそのものは前回ほど魅力的ではなかったようです。新たなメガミとしてハガネを追加していたため無意味ではありませんでしたが、前回で一度結果が出たものを掘り返す形になってしまっていました。それを反省し、以降のこのシリーズ3回分ではアンケートは行いません。前回と今回の結果に即し、サイネ、ヒミカ、ハガネの順で進めていきます。

     

     さて、反省はこのくらいにして、早速はじめましょう!

     

     

    やり方は前回のままで

     

     どのようにメガミを語るかは、トコヨ特集のものを踏襲します。どういうものか、簡単にまとめておきましょう。

     

    • 前篇ではメガミの歴史を語り、後篇では個々のカードを語る。
    • 第一幕での六柱を語る際は、本作そのもののゲームデザインと紐付けて語る。

     

    桜が降るより前の話、その2

     

     トコヨ特集で触れたとおり、本作は最初は和風ではありませんでした。トークンが桜の花びらになるまでは、西洋風コロセウムの世界でラノベ風戦士が決闘するゲームだったのです。そしてトコヨはその頃に存在した3人目「盾」と6人目「扇」が融合した存在でした。

     

     では、オボロもまたその頃から存在していたのでしょうか。答はいいえです。強いて言うならばスピード&行動回数タイプである4人目の「スカーフ」が該当するかもしれません。スカーフって何やとお思いの皆様、試作段階のゲームの世界観などそんなものなのです。いえいえラノベ風世界ですしね。きっと格好良いはずですとも。

     

     とはいえカードリストを見直しても、オボロらしさは見当たりません。折角なので、カードリストを何枚か紹介しましょう。むしろユキヒの原型とも思える箇所が目立ちます。

     

    手裏剣    スカーフ

    《攻撃》    適正距離4    2/1   

    このターンのエンドフェイズにこのカードを手札に戻してもよい。

     

     どうやら手裏剣を投げているようなので、オボロの原型と捉えました。しかしこの効果は……、そう、やりすぎてしまったのです。

     

    暗殺    スカーフ    コスト6

    《攻撃》    適正距離0    -/5

     

     何の原型かはお判りですね。そしてこれがそのまま印刷されなかったことを偉大なるメガミに感謝します。

     

    顕現武器コンペティション

     

     オボロの話に戻りましょう。それでは世界が和風になった時、何が起こったのでしょうか。「刀」「銃」「扇」が採用され、残る3キャラの武器は考え直す必要がありました。そこで私どもはプレイテスター全体で、武器のコンペティションを行ったのです。

     

     やり方はこうです。まず全員で武器の名前をひたすらに出していき、リストを作ります。そして紙片を多数用意し、本作に必要と感じる武器に投票していくのです。他のメンバーの意見に影響されないよう、投票は秘密裏に行われました。さて、見事に1位を獲得したのは何だったのでしょうか。

     

     

     そう「忍者」です! 武器じゃねーじゃねーか。武器だって前置きしただろ。誰だよ入れたの! 俺も入れたけど。

     

     しかしこの結果は私どもにやるべきことを教えてくれました。和風の世界観であり、さらに現実に忠実でないファンタジー和風ともなれば、忍者を出さないのはありえないということです。即ちオボロは、忍者のメガミが必要だという世界観の要請から生まれたのです。

     

    閑話:伏せ札の話

     

     それではオボロのキーワードの成り立ちを話していきたいところですが、ご存じの通りオボロは伏せ札に強く関係づけられたメガミです。予備知識として、伏せ札についての昔話を行いましょう。

     

     

     トコヨの「境地」は集中力と共に生まれました。ではオボロの「設置」も伏せ札と共に生まれたのでしょうか。答えはこれまたいいえです。伏せ札というゲームシステムは相当に昔から存在していました。どのくらい昔かと言えば、西洋コロセウムなくらいには昔の話です。

     

     本当に最初のプレイテストの日、プレイテスターは前進も後退もできないスーパークソゲーを遊ぶ羽目になったわけですが、その際には当然の結果として、手札1枚をコストとした前進と後退が生まれることとなります(ちなみに纏いや宿しはこの時点では存在しませんでした)。

     

     その様子を観察していて、私はひとつのことに気付いたのです。コストとして手札を捨てるたびに、対戦相手がそれを強く注目するのです。対戦型カードゲームとして、それはおかしなことではありません。勝利のためには、わずかな情報すら見逃すべきではないのですから。使われたカードは表向きで捨てられるものなのですしね。しかし本作に限っては、その通例に従ってはいけないという確信めいた予感がありました。

     

     帰宅してからこの予感について分析したところ、問題点は2つあると分かりました。1つ目は基本動作という「ゲーム内で何度も行う操作」のコストであること。そして肝心の2つ目は「山札が8枚(当時は!)しかない」ということです。

     

     説明しましょう。山札が少ないということは1枚当たりの情報がより重要になるということです。何がデッキに入っているのか、何がもう使われているのか。30枚や40枚のデッキでも重要なのですから、いわんや8枚ではといったところです。それ故に、勝利に貪欲なプレイヤーは捨て札に注目します。

     

     あるカードは使われたのであれば、それが捨て札に行ったかどうかは確認するまでもありません。実際に効果を適用したのですから。しかし、何かのコストとして捨てられたのであれば、何が捨てられたのかを確認する必要が生じるのです。そして基本動作というまさに基本の行為のコストなので、何度も起こるのです。本当に何度も! それはあまりにも鬱陶しいものでした。

     

     また、コストで使われたカードまで捨て札に行ってしまうと、8枚しかないデッキではあまりにも早く内容が割れてしまうという問題もありました。これではデッキを組む対戦型カードゲームが持つ、情報戦という魅力を捨て去ってしまっています。

     

     これらをどう解決したかは、ご存じの通りです。実際に使用される以外の方法で消費されたカードは、基本的に「裏向きで」捨てられるようにしたのです。こうして伏せ札は、わずか2回目のプレイテストの段階からずっと変わらずに存在しつづけたのでした。

     

    忍びの道は長き道

     

     さて、本題に戻り「設置」の歴史を語ることにしましょう。しかしこれは長く厳しい道程でした。ひとつずつ、紐解いていきましょう。

     

     まず最初の時点では、設置とはかけ離れたコンセプトが与えられ、オボロの原型とシンラの原型が共有していました。しかしそれには問題があったため没になりました。これはいつの日か芽を出すかもしれませんので、今は秘密にしておきます。

     

     ここでオボロが生まれた理由に立ち返り「忍らしい」能力が模索されました。結果として伏せ札に目が向けられました。忍とは密かに動き、秘密を隠すものです。伏せ札という秘匿情報はまさにフレーバーに即していました。

     

     それを活かすためにまず作られたキーワードが「罠」です。

     

    散らし鉄線    罠 

    罠:相手がダスト⇒自オーラを解決する。

    相手フレア⇒ダスト:◇1

     

     罠は伏せ札にある時のみ効果があります。相手が特定の条件を満たしたら伏せ札から使用でき、その効果を与えるのです。しかしこれはより上位のゲームデザインから見て問題がありました。割り込み要素なのです。

     

     本作の割り込み要素は「相手の攻撃への対応」に制限されています。プレイヤーが自分のターンで割り込まれずに自由に動けることはプレイ時間の短縮に役立ちます。しかしその一方で、一切の割り込みがないと駆け引きが不足してしまいがちです。

     

     本作はそれを巧妙に解決したと自負しています。攻撃されたならば、どのみちオーラかライフのどちらで受けるかを選びます。ゆえに優先権は相手へと移行し、そこで割り込んでもストレスはないのです。本作のデザインはその点において自信があったため、それを乱す罠は没になりました。

     

     次に、伏せ札の枚数を数えるというアイデアが出ました。

     

    忍者刀    攻撃    適正距離3    1/2

    伏せ札が2枚以上の場合、このカードは+1/+0となる。

     

     まあ弱いことはさておいても、魅力的なカードではありませんでした。伏せ札は簡単に置けるため、単にカードを伏せてから使えばよいだけで、展開が単調になるのです。この類で生き残ったのは1枚だけです。つまり……。

     

     

     

     次のアイデアは、伏せ札からカードを使うというものでした。

     

    口寄せ    消費6    行動

    あなたの伏せ札から《攻撃》を望む枚数だけ公開する。それらの《攻撃》をすべて行う(解決する順番は自由である)(射程が適正でない攻撃は解決されない)。

     

     この方向性は悪くはありませんでした。しかしこのカードも単にカードをたくさん伏せてから雑に撃つだけであり、さして魅力的ではありませんでした。しかし失敗だけではありません。傑作も生まれていました。

     

     

     

     ここまでの経緯は悪いものではありません。順調に魅力的なカードは揃いつつあります。しかしながら、あと一味足りないのです。パズルのピースは揃っているはず、あとは組み立て方です。

     

     これまでの成功を振り返ると「熊介」は伏せ札の枚数が多い時ほど危険性が上がり、「鳶影」は対応ゆえに伏せ札から奇襲できました。そう、伏せ札の有無を相手に意識させていたのです。理不尽な押し付けではなく、対処できうる形で。これはゲーム性を向上すると同時に、失敗した相手を罠にかけたという感覚が強まり、忍らしさも高めていました。

     

     罠はその要件を満たしています。しかし相手のターンの割り込みは相応しくなく、また通常札においては複雑性を下げるためにも条件を揃えたいところです。それでいて相手に対処の余地を与え、罠らしくしたい。悶々とした思考が渦を巻いていました。

     

     そんなある日。私は夢を見ました。私は夢の中で正体不明のゲームをやっていることがあります。そしてそれが魅力的であれば、そのまま興奮してゲームにすることもあるのです。例えば『モノポリー』のような円形のマップを周回し、各マスに『ドミニオン』のサプライにあたるカード群があり、止ったマスのカードを獲得してデッキビルディングをするゲームであったり。

     

     しかし今回の夢は明確に本作でした。私はオボロを使い―いやオボロかどうかは判然としませんが―伏せ札からカードを使っていたのです。開始フェイズに。開始フェイズ!?

     

     そこで飛び起きました。開始フェイズです。開始フェイズにあるものは何か? 集中力の増加? カードのドロー? いや違う、山札の再構成です! それならば直前に相手のターンがあるから相手は対処や準備の余地があります。さらに毎ターン必ず起こる訳ではなく、例外的な(山札が0や1でない時の)再構成をするならば、それは罠に嵌めた感覚を生むはずです。

     

     私はそのまま近所のドトールコーヒーへノートと共に向かいました。そして、しっかりと埋まったカードリストを片手に笑顔で帰宅したのです。長く厳しい忍の道も、ようやく終着点へと至りました。

     

     まだまだカード個々の物語は続きますが、「設置」の話はここまでで十分でしょう。

     

     

     

     次回の更新は来週、オボロ特集の後篇にて、現在のカード個別の話をさせて頂きます。ご期待くださいませ。

     また、今回の特集への感想や、他に行ってほしい特集などありましたらTwitter(@BakaFire)までお伝えください。あなたの一声が、今後の記事を変えるかもしれません。お待ちしております! 

     この記事に関するツィートはこちらです。もしこの類の記事に魅力を感じて頂けたならば、いいねあたりを押して頂けると、好評と判断しやすくて助かります。

    今後の展望、2017夏

    2017.06.09 Friday

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       こんにちは、BakaFireです。2017年春にお伝えした展望は、今まさに実現しつつあります。本作はめでたく一周年を迎え、さらなる飛躍を目指して尽力しております。本日は次の一歩についての展望をお伝えしましょう。もしかしたら、驚きのニュースも含まれているかもしれません。

       

      全国大会、いよいよ開催!

       

       まずはこちらです。2017年春には夢として語った全国大会ですが、今はまさに実現に向けて走り出しています。数多くの皆様の協力のおかげもあり、日本全国で予選が行われているのです。

       

       明日明後日(6/10、6/11)の土日にも北海道、名古屋、大阪の3か所で予選が行われます。さらに、来週の水曜と土曜(6/14、6/17)には関東で予選が行われます。そして7/2(日)には東京で本戦が開催されます。

       

       さらに本日、新たな決定を行いました。地方から本戦までお越しいただくのは、時間や労力から見て大変なものです。それにもかかわらず、ご参加いただいた皆様に記念品をお渡しできないのは問題であると反省したのです。

       

       そこで全国大会本戦限定の参加賞を作成し、お渡しすることにしました。どのようなものか、ご覧いただきましょう!

       

       

       そう、プロモーション集中力カードです。全国大会本戦にご参加いただければ任意の片方をお贈りし、本戦で良い戦績(上位50%)を得られれば残る片方もお贈りします。今回はサイネとハガネの2柱となりますがご安心を。その他のメガミたちのものは今後のイベントにて入手できますよ!

       

       全国大会についてもっと詳しく知りたいですか? すばらしい! ぜひともこちらのページをご覧ください。

       

      電源ゲーム化、決定!

       

       あなたはゲームマーケット2017春にお越しいただいたでしょうか? 幸運にもお越しいただけたのであれば、試遊卓に置かれていたiPadをご覧になったかもしれません。

       

       そう、本作の電源ゲーム化が決定したのです! ゲーム画面ですか? ゲームマーケットでお見せした画面のキャプチャをご覧いただきましょう。ただ、まだまだ開発途中のものであることはご了承ください。

       

       

       もちろん、この発表はただの先触れに過ぎません。電源ゲーム版の正式発表は本年8月。電源版の公式サイトを公開し、コミックマーケット92のブースにてさらなる発表が行われます。ご期待くださいませ!

       

      次の流れを発表しましょう!

       

       発表すべきことはまだまだあります。引き続き、次の製品たちを紹介いたしましょう。

       

      第壱拡張、再版決定!

       

       

       あなたの応援のおかげで、第壱拡張はほぼ完売となりました。これは私の想像を大きく超えるペースであり、あなたをはじめとする皆様の応援には、どれほどの感謝を伝えても足りません。

       

       それを受けて、再版を行うと決定しました。再版分には「第二版」とパッケージに印字され、チカゲのカードは全て修正されたものとなっています。再版分の発売は7月上旬を予定しております。

       

      祭札通常版、発売決定!

       

       

       ゲームマーケット2017春で大好評を頂きました「祭札」ですが、そちらの「通常版」を作成することが決定いたしました。どういうことか。それぞれ説明しますので、慌てずご一読いただけると幸いです。

       

       まず、祭札そのものの再版は絶対にありえません。それは以下の2点によるものです。

       

      1. ゲームマーケット限定品として頒布した。
      2. 記念アイテムとして、無理をした製品である。

       

       ひとつめは当然のことです。ゲームマーケット限定アイテムとして頒布し、そちらまでお越しいただいた皆様へのお礼として、同じものを再版することはありえません。

       

       ふたつめは印刷上の問題です。「祭札」は記念品としてプレミアムにするため、カードを特殊な光沢のあるものとしています。これは様々な面で無理をしたつくりです。従って同じ仕様のまま再版することも、ゲームショップに置いていただくことも、困難と言わざるを得ないのです。

       

       それではどうするのか。「通常版」では以下の変更を行います。

       

      1. カードの印刷が通常の仕様となっている。
      2. プロモーションタロットが付属していない。

       

       ひとつめにより無理のない仕様となり、そして両方を通して「限定版」の限定アイテムとしての特別さを保持するのです。

       

       そして、そもそもなぜ「通常版」を作成することにしたのか。理由は3点あります。説明しましょう。

       

      1. 祭札そのものが好評であった。
      2. チカゲの修正カードを流通させる方法がもう1つ必要だと感じた。
      3. 第壱拡張の再版が決定した。

       

       ひとつめは単純なものです。ゲームマーケットには普段の2倍程度の個数を持ち込みましたが、想像を超える行列ができ、2時間足らずで完売となりました。本作の広がりを嬉しく思うとともに、供給が不足していたことを反省しました。

       

       また、頒布後のフィードバックを見ても「祭札」をお楽しみいただいている声が多く、製品そのものとしても好評だと判断しました。

       

       ふたつめは地方の方からのお声によるものです。ゲームマーケットに行くのが厳しく、自分の地方では大会が開催されていないため、修正カードの入手が難しいとのご意見を頂きました。その一件は解決したと認識していますが、潜在的な声は他にもあると判断し、祭札通常版を通して修正カードの配布をより円滑化できるようにします。

       

       その裏には第壱拡張が想定より早く完売したこともございます。それがみっつめです。説明しましょう。カード枚数が少ないこと、そしてカードの品質も本作の魅力ですが、それらが合わさると問題が起こってしまいます。第壱拡張の際に失敗として初めて認識しましたが、拡張1つだけの印刷ではコストが厳しいものとなってしまいます。

       

       ゆえに第壱拡張を印刷するにあたって、他のものも併せて印刷する必要がありました。そこで、祭札の通常版に白羽の矢が立ったのです。色々と説明しましたが、要はこれらの実現は皆様の応援の結果だということです。改めてお礼を伝えさせてください。ありがとうございます! 通常版の発売もまた7月上旬を予定しております。

       

      ※ 「通常版」作成決定に伴い、6月下旬に予定していたカードの公開は取りやめるものと致しました。申し訳ございませんが、ご理解いただけると幸いです。

       

      第弐拡張、ついに登場!

       

       そしていよいよ、これについて語る時が来ました。本作は今年中に3回の拡張を予定しております。1回目は3月に無事行われ、ハガネとチカゲが追加されました。祭札は番外編のお祭りアイテムなので除きます。では次の拡張は……?

       

       お知らせしましょう。第弐拡張は8月11日から13日のコミックマーケット92、ならびに8月13日の東京ボードゲームコレクションにて先行頒布を行う予定です。7月下旬には、プレリリース大会も予定しておりますよ!

       

       それぞれ補足しましょう。コミックマーケットでの頒布には問題を感じた方もいるかもしれません。janコードの付いた製品の頒布は好ましくないとされているのですから。ご安心ください。本作を頒布する場所は企業ブースを予定しています。とはいえ、BakaFire Partyが企業ブースで出展するというのはさすがにありません。こちらの委細については8月にお伝えしますので、今しばらくお時間を頂けると幸いです。

       

       一方でコミックマーケットには興味はなく、ボードゲーム関連のイベントで入手したい方もいらっしゃるでしょう。そんなあなたはぜひとも、東京ボードゲームコレクションにお越しいただければと思います。というかみんなコミケで買ったとかそういう流れになると、こちらのブースが大変むなしいことになるので、お越しになる方はぜひ弊方のブースに立ち寄って頂けると嬉しい限りです。いやマジで。

       

      現状のバランスにつきまして

       

       最後に、現状のバランスについての見解も述べさせて頂きます。

       

       現在の環境は『第二幕』環境を超え、これまでの中で最良のものであると判断しております。問題であったゲーム時間にも幾ばくかの改善が見え、多様な戦略のある魅力的なゲーム展開が実現できていると感じています。

       

       しかしながら、一点だけ大きく問題であると判断している箇所があります。それは断じて最強ではなく、ゲームを破壊しているわけではないのですが、好ましくないことも間違いありません。そこで、カード1枚への調整を行う見込みです。

       

       ですがその調整は急ぐ必要のないものです。混乱を避けるため、そちらの調整は第弐拡張の頒布と同時、8月11日より行おうと考えております。もちろん、調整されたカードは第弐拡張に封入され、公式、公認大会での配布も行います。

       

       

       

       以上となります。次の目的地は7月の全国大会、そして8月の第弐拡張や、電源ゲームにまつわる様々な動きとなります。ご期待くださいませ! そして引き続き、お付き合いいただけると嬉しい限りです。

       

       次の展望はそれらがひと段落した本年9月にお届けします。来週の記事はお休みをいただき、再来週はふたたびメガミ特集を行います。もちろん、どのメガミを特集するかのアンケートも行っていますよ。ご期待ください!

      悠久不変に舞い踊れ(後篇)

      2017.06.02 Friday

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        舞の続きをご覧あれ

         

         

         こんにちは、BakaFireです。今回の記事はトコヨ特集の後篇となります。前篇をまだお読みでない方は、こちらから読まれることをお勧めします。

         

         これらの記事は本ブログ初の試みとなります。あなたにニュースをお届けするのではなく、特定のメガミに注目して、本作のデザインについてを語るのです。どのメガミに注目すべきかはTwitterのアンケート機能で決められました。結果、トコヨが1位となったので、今はトコヨ特集を行っています。

         

         前篇ではメガミ・トコヨに関する歴史を説明し、彼女のキーワード「境地」が生まれるまでの話をしました。後篇では個々のカードに注目し、それらを通して彼女を語ることにしましょう。

         

        カードの何に注目するか

         

         カードのどこに注目するのか、ある程度のルールを決めておきましょう。この記事では「カードの歴史」と「カードへの評価」に注目することにします。

         

         歴史とは、どのような経緯を経て現在のカードが生まれたかを意味します。この際、最初の6柱が持つカードはルールの調整と併せて変化していたことにはご注意ください(トコヨもその中の1柱です)。また、本作は初版から第二幕の間でも大きな調整が行われています。必要であれば、そこにも触れることでしょう。

         

         評価は、現在そのカードを振り返ってみて、私がどのように感じているかを意味します。主に以下の3点より評価します。

        • そのカードはゲームを魅力的にしているか
        • そのカードのバランスは適切か
        • そのカードはメガミの気質を体現しているか

         印刷に至るまでの間、私どもは個々のカードを最善のものとできるよう努力を重ねておりますし、現在も多くのカードに満足しています。しかし残念ながら、出版から時間が流れ、コメントや大会の結果といった多くのフィードバックを頂いていくと、私どもの至らなかった部分もまた見えてくるものです。

         

         したがってこの記事では、カードに対して否定的なことも書きます(特にトコヨは他と比べて反省点の多いメガミです)。だからといって、それらのカードが直ちに調整されるわけではありません。私どもはゲームをより魅力的にしていく計画を持っていますが、急ぎ過ぎるべきではないとも考えています。

         

         前置きはこのくらいにして、早速はじめましょう。

         

         

         防御的なメガミをデザインする上で難しいのは、ただ防御的にしてしまうとゲームが停滞するだけで面白くないことにあります。ゆえに彼女には、他の攻撃的なメガミとは違う印象の攻撃性が必要でした。

         

         その結果「蝶のように舞い、蜂のように刺す」というコンセプトへと至りました。それを実現するのが直撃攻撃(オーラへのダメージが「-」である攻撃)でした。相手の隙を突き、防御を無視してダメージを与えるのです。代わりに隙間を縫うような巧妙さが必要ですので、適正距離は細く、簡単には戻り辛い4となりました。

         

         また、《攻撃》カードの枚数を少なくすることで彼女の個性を強調しました。しかしそうなると彼女を攻撃戦略のメインに採用しづらくなるため「梳流し」には使いまわしの効果が与えられたのです。

         

         これらの個性は舞踏らしさを感じられ、芸術を体現しています。伝統的な芸術は繰り返しの美学でもあるのです。実に彼女に相応しいものと言えるでしょう。

         

         魅力的である一方、「梳流し」はいくばくかの問題を抱えているとも感じています。第一幕では適正距離4があまりにも弱かったため見過ごされてしまいましたが、私どもは直撃攻撃の強さをいくらか見誤っていました。ただ、ゲームを破壊するほどの強さではなく、さらにトコヨが自らの戦略をゲームを終わらせる方向に用いる重要なパーツであるため、大きく問題視はしていません。

         

         

         彼女が「盾」であったころから存在してきたカードです。防御的なメガミとして生まれてから、《攻撃》を打ち消すもっとも基本的なカードとしてカードプールに存在していました(たまにいなくなったりしましたが、最後は帰ってきています)。

         

         カードの存在意義や、彼女らしさについては言うことのないカードです。彼女は堅物の芸術家であり批評家なので、打ち消すのは大得意なのです。

         

         他方で、数多くの調整がなされたカードでもありました。主な調整は適正距離とダメージで、それと並行して打ち消しに条件が与えられることもありました。1/1では攻撃としての魅力が低いこと、トコヨは適正距離3-4というデザイン指針であったこと、複雑性を下げられることなどの理由で現在の形に落ち着きました。

         

         しかしどうやら、それは誤った決断だったようです。「雅打ち 」は大きめの問題を抱えています。それは強さというよりも、環境を悪い形で歪めてしまっていることにあります。

         

         初版から比べて3柱ものメガミが追加され、さらに第二幕のルールが反映された結果として、適正距離が3や4である《攻撃》はより重要かつ魅力的なものとなりました。しかし「雅打ち」はそれらのカードを咎めすぎています。結果、それらの戦略がやり辛くなりすぎてしまい、ゲームの可能性を狭めてしまっているのです。

         

         調整の回数が多いことを私どもは反省しています。それさえなければ、この問題は急ぎ解決したいと考えています。理想をいえば第二幕の時点で調整されるべきでしたが、当時はより暴虐的な暴力に支配された世界であったため、このカードまで考えが至りませんでした。これは大いに反省すべき個所と捉えています。

         

         

         トコヨの移動カード枠です。移動カード枠? ええ、説明しましょう。

         

         実はあるタイミングまでメガミ固有の通常札は5枚であり、代わりにどのメガミでも使用できる共通カードが存在していました。その中には「前進」や「後退」をより効率的に行うカードも含まれていました。

         

         しかしプレイテストを重ねた結果、共通カードは不要と判断されました。そしてメガミ固有の通常札を増やし、そこに「移動カード枠」を作った方がメガミごとの個性が強調され、多様なゲーム展開が楽しめると分かったのです。

         

         トコヨは間合3や4で戦うため、後退が必要です。そこで2歩の後退を彼女に与えることにしました。しかしそれがいつでも行えると、相手はいつまでも前進できずにストレスを感じることは分かっていました。ゆえに間合の制限が加えられたのです。

         

         それ以降の調整はありませんでした。仕上がりにも満足しています。舞踏のような動きであると同時に、慌てて跳ねるように動くという動作は、彼女の子供らしさを強調しています。彼女は永遠性ゆえに、老練な芸術家であると同時に、たいへん子供らしい精神も持ち合わせているのです。

         

         

         詩舞の歴史は前篇でも触れています。これは元々、風流というコンセプトのカードでした。風流に問題があると分かり、それらのカードは2つに分かれました(ところでその片方は「詩舞」であるわけですが、もう片方が何なのか分かるでしょうか?)。

         

         そして、このカードの持つ2つの効果を意味あるものとするために対応が付けられ、そこからはカードプールにずっと存在しつづけました。

         

         環境を観察して得られた後付の着想ではありますが、このカードこそが彼女を対応のメガミたらしめていると考えています。《対応》カードは「打ち消し」「回避」「防御」に区分できますが、「雅打ち」とこのカードで3区分全てをカバーしているのです。代わりにこのカードは2区分を強い形でこなしてはいません。その辺りまで含めて、よい塩梅のカードです。

         

         

         私は全てのカードを愛していますが、このカードは特に好きなものの一つです。私は『ハースストーン』のプレイヤーでもありますが、一番好きな瞬間はウォリアーとしてアーマーを積む瞬間です。「盾」のキャラクターをデザインするに際し、そういう気分になるカードを必ず作ろうと考えていました。そうすれば私と近い気質のプレイヤーは必ず喜ぶはずです。

         

         そのためのアプローチは、オーラの回復と山札の回復でした。事実、その類のカードは最初の最初からずっと存在していたのです。しかし、オーラを回復し続けるといつまでも攻撃が通らず鬱陶しすぎ、山札の回復は複数種類があると容易にループするため、今後のデザイン空間を狭めすぎていました。

         

         そんな中で《全力》カードという発明がなされました(《全力》の登場も集中力と同じくらいには新しいものなのです)。結果、両方のアプローチを無理なく共存させられたのです。トコヨらしさとして見ても、芸術家として精神を整え、繰り返しを実現するという意味でそれらしいものとなっています。

         

         

         トコヨを《対応》のメガミとすると決めた時点で、対応することにより何かを誘発させるカードはずっと存在していました。それにより「対応デッキ」が存在するようにしたかったのです。例えばしばらくの間は、対応するたびにオーラを回復するというものでした。

         

         それでは魅力に乏しかったためいくつかのバージョンを経て、現在の形に落ち着きました。ライフにダメージが入るとなれば、メリットは十分です。やや強力過ぎたため境地の条件をつけることにしました。相手のターンで参照されるようにすれば境地の縛りを強調できるため(次のターンに集中力を得られないというデメリットも生まれる)、良くかみ合っています。

         

         しかし結果としては失敗だと考えています。対応デッキは成立しませんでした。ライフへのダメージほどのデメリットがあるとなると、攻撃しないことが正解になるのです。そもそも効果が誘発しなければ、コンセプトとしてお話になっていません。

         

         現在では優位に蓋をするカードとして評価されてはいます。しかし、攻撃を大きく抑止し過ぎるためにゲームを遅延させ、快適なゲーム体験を妨げているとも感じられます。致命的な問題か言われるとそうではないのですが、可能であれば改善したい箇所の一つです。

         

         

         舞踏家のステップを体現するカードです。また、展開時効果と破棄時効果の時間差から魅力を出すことを狙ってもいます。

         

         β版では全く異なるカードで「再構成のダメージを増やす」ものでした。しかしこれは実質1ダメージのようなもので、特殊な制限のない1ダメージはゲームの魅力にならないと我々は判断しました。そこで空いたカード枠に収まるよう、動きのイメージからカードをデザインしたのです。

         

         第二幕でのルール変更により、前進効果は間合2よりも前への前進を可能になったため、独特の魅力が生まれました。もともと面白みのあるデザインになっていたのが、追加のルールにてようやく適切に働くようになったと言えるでしょう。現状の仕上がりには満足しています。

         

         

         「雅打ち」同様、「盾」であったころからずっと存在したカードです。そしてこちらは正真正銘、一度もリストから外れずに残り続けました。

         

         対応は攻撃にのみ行えるというルールになった時点で、切札含めたあらゆる攻撃を打ち消せる切札は必ず存在すべきでしょう。しかし問題として、相手の大技を打ち消すため、ゲームを遅延させる可能性がありました。そこでライフに1ダメージも与えられるようにして、ゲーム展開を前に進めるようにしたのです。

         

         本当の最初から、一度も効果は変更されませんでした。唯一変化したのは消費です。3から始まり直ちに4になり、そしてしばらくの時間を経てから5になりました。

         

         必然性から生まれたカードではありますが、まさしく彼女を体現したカードです。未来永劫、このままあり続けるカードだと信じています。

         

         

         繰り返しを好む永遠性という彼女の気質や、防御的な要素を入れるというデザイン方針から、トコヨは山札回復をサブコンセプトとしたメガミでもありました。

         

         そのため「あなたの山札を再構成する」というテキストのカードは定期的にリストに入っていました。しかしこの効果は存外に扱いが難しいものでした。単にそれしか行わないのでは魅力に乏しく、かといって再起を付けたらゲームを著しく遅延させてしまいます。

         

         解決方法は単純で、攻撃に付けて攻撃後効果にするというものでした。攻撃しているのでゲームは前に進み、間合の制限があるので撃ちたい時に撃てるとも限らない、程よい塩梅のカードに仕上がったと考えています。

         

         

         前篇で語った通り、かつては「逆さ風」というカードが切札に存在していました。そしてメガミの設定を煮詰めるに際し、トコヨの切札の名前が花鳥風月に整えられた際に、そのまま風の枠へと収まりました。

         

         しかし風流は没になり。「逆さ風」は然るべきどこかへと移住することになり、風をイメージとしたカードをカード名から考える必要が生じました。その結果として生まれたのがこのカードです。急な突風で攪乱し、相手の選択肢を削ぎ落すのです。

         

         魅力的なことにこのカードは、境地を絶妙な形で生かしています。切札として1回撃つだけでは魅力的ではないですが、使いまわせるとなると見事な鬱陶しさを与えます。しかしカードの使用と再起でフレア1と集中力1を支払っているため、ただ乱用しただけではアドバンテージにはつながりません。使用者の実力がしっかり出るカードになっているのです。

         

         気になる点もあります。これは対応への対策となるカードです。対応への対策を、対応が得意なメガミが持つのが正しいのでしょうか。今も私の中で答えは出ていません。境地との相性や、カード単独の出来から、今はこのままであるべきと判断を保留しています。

         

         

         前篇で集中力が生まれるまでを語りました。このカードは勿論、それに伴って生まれたものです。トコヨは集中力を2に保ちたいメガミですが、それでも基本動作をしたい場面はあり得ます。このカードがあれば、それを実現できるのです。

         

         しかしながら、現状を見るとやや魅力に乏しいカードになってしまったと考えています。「梳流し」のコンボを円滑にできるため、出番が全くないわけではないのですが、もう少し何かのおまけをつけるべきでした。

         

         

         原初札は基本的には「メガミに挑戦!」で使用されるものです(メガミと挑戦者で対戦し、メガミ側は原初札を用いる代わりに1柱しか使えず、挑戦者は相手のメガミを見たうえで宿す2柱を選ぶ)。そのため、そのメガミ単独での戦いを実現できるようにデザインされます。特に通常札は、その戦いの円滑化が目的となります。

         

         トコヨの問題はダメージソースの不足にあります。彼女はダメージをライフに直撃させるのが得意なので、そういった効果になりました。しかし、単にダメージを飛ばすだけでは無粋ですので、付与札の破棄時効果としました。展開中効果は防御的なものとして、彼女の「蝶のように舞い、蜂のように刺す」を強調したつくりにしたのです。

         

         

         原初札の切札も同様のコンセプトで作られますが、こちらは「刺激的で特殊な舞台を作る」ことを意識してデザインされます。トコヨが最も注目するのは集中力なので、その部分のルールを打ち破る効果になりました。また、《対応》カードを構えるのも彼女らしいところなので、手札のルールも打ち破ります。

         

         喜ばしいことにどちらも上限は2なので、どちらも3にするという形で流麗かつ分かり易いものとできました。カードとしての美学や、彼女らしい美的センスから見ても重要なところです。

         

         これだけでは原初札としては弱いので、逆の効果を相手に与えることにしました。これによって、挑戦者は異なるゲームをやっている感覚を得られ、挑戦がより魅力的なものになります。

         

         結果「トコヨに挑戦!」はこれまでの中で最も適切なバランスで魅力的なものとなったと考えています。

         

         

         これにてトコヨ特集は閉幕となります。様々なカードに秘められた物語をお楽しみいただけたら嬉しい限りです。今回の特集への感想や、他に行ってほしい特集などありましたらTwitter(@BakaFire)までお伝えください(前回はコメントありがとうございました!)。

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         次回の更新は来週、今後の展望、2017夏でお会いしましょう。

        悠久不変に舞い踊れ(前篇)

        2017.05.26 Friday

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          新たな試みへの協力に感謝!

           

           こんにちは、BakaFireです。今回の記事に向けて、ひとつの新たな試みを行ったことをあなたはご存知でしょうか。そう、今回の内容はTwitterのアンケート機能によって決められたのです。当該のツィートはこのようなものでした。

           

           

           

           

           204票ものご協力をありがとうございました! 結果、僅差でトコヨが勝利しましたので、今回の記事はトコヨ特集となります。この記事が好評であれば同じ試みはまた行いますので、他のメガミにご投票いただいた皆様もご安心ください。

           

           

           さて、一柱のメガミに注目するとなると、次のやり方が思いつきます。

           

          • 過去の歴史を語る
          • 個々のカードを語る

           

           悩んだ結果、この記事では両方やってしまうことに決めました。しかし、1つの記事にまとめると内容が薄くなってしまうため、前後篇に分けることにします。というわけで今回は前篇であり、トコヨの歴史を語るとしましょう。

           

          旧い話をいかに語るか?

           

           第一幕での六柱(ユリナ、ヒミカ、トコヨ、オボロ、ユキヒ、シンラ)の歴史を語るうえで厄介なのは、彼女たちはそもそものルールと共に変遷しているということです。彼女たちの「古い」カードを1枚抜き出して語ろうにも、そのカードは現在のルールで働いているとは限らないのです。

           

           そこで彼女らの話には、『桜降る代に決闘を』というゲームそのもののデザインにおける昔話を盛り込むことにしました。そしてこのシリーズが続くことになれば、結果としてゲームデザインの断片的情報が多数生まれます。それらを繋ぎ合わせていくのは、実にロマンティックで楽しいだろうと期待しています。お楽しみいただけたら嬉しいです。

           

          桜が降るより前の話

           

           トコヨを語る最初の一歩は、彼女はいつ生まれたのかという点にあります。その答えは「初めから」です。まだ名もない彼女は、本作の最初のバージョンに名を連ねていました。まずは接近戦型として「大剣」が生まれ、それと対比するように「銃」が生まれました。そして3人目として、防御型の「盾」が、6人目として回避型の「扇」が生まれたのです。

           

           大剣? 盾? 何かがおかしいと感じたかもしれません。そう、本作は最初はそもそも和風ですらありませんでした。コロシアム的な場所で、ラノベ風西洋ファンタジーな決闘を行うゲームだったのです。しかし、32個の特別なトークンを用いることは決まっていました。それらのトークンをどのようにすれば魅力的なのかを模索し、「桜の花びら」とアイデアが出た瞬間に、世界は和風へと変化したのです。

           

           「大剣」は直ちに「刀」になりましたが、「盾」は悩ましい立場に立たされました。思索の結果、防御型のキャラは2人も必要ないと判断し「盾」のコンセプトは「扇」へと吸収されました。もともとオリエンタルなイメージで「扇」を持っていたキャラがいたため、和風への転換は想像以上に簡単でした。

           

           その際に、これまで武具を通した記号だったキャラクターに、幾ばくかの設定が与えられました。「扇」は芸術家としての気質を強く帯び、かくして芸術のメガミ、トコヨが誕生したのです。

           

           折角ですので歴史のカケラとして、当時のカードをいくつかお見せしましょう。文章は敢えて原文ママにしております。これらを通し、歴史の想像をお楽しみください(こういったカードは、今とルール面で差があることにご注意を)。

           

          盾の壁    盾    -    《対応/攻撃》   

          適正距離0-8    0/0    対応した攻撃を打ち消す。

           

          深呼吸    盾    -    《行動》

          ダスト⇒自オーラ:◇2

          このカードを山札の一番底に置く。

           

          カウンタースマイト    盾    コスト3    《対応/攻撃》

          適正距離0-10    --/1    対応した攻撃を打ち消す。

           

          演舞:雪    扇    コスト4    《付与》

          あなたが対応を行うたび、以下を行う。

          ・ダスト⇒自オーラ:◇1

           

           何かの原型として、今も生きているカードたちです。結果として死んだカードたちは、いつか日の目を見る時のため、お見せしないことにします。

           

          風が吹き、花弁は舞う

           

           幾らかの時が流れ、キャラクターたちは「メガミ」となり、性格を持つようになり始めました。その頃に、全てのメガミにコンセプトとなるキーワードを入れていこうという指針が定まりました。

           

           トコヨに初めて与えられた特性は「風流」というものでした。扇で風を起こし、相手の方に桜花結晶を吹き散らすのです。正確には「自/フレア→自/オーラ、自/オーラ→間合、間合→相/オーラ、相/オーラ→相/フレア」から1つを選びます。それを聞いても、相手の方に吹くというイメージが沸かないかもしれませんね。補足として、β版のボードをご覧いただきましょう。

           

           

           例えば、こんなカードがありました。

           

          扇ぎ払い    扇    対応/攻撃   

          適正距離1-5    1/1    【攻撃後】風流を行ってもよい。

           

          舞い散らし    扇    行動

          風流を2回まで行ってもよい。

           

           また、風流が逆になると極めて強力です。こんなカードもありました。何の原型かは自明でしょう。

           

          逆さ風    扇 消費3    付与

          チャージ:2

          【展開中】あなたのカードの効果でマーカーを動かすとき、本来とは逆の向きに動かす。

           

           しかし風流には問題がありました。特に問題なのは「相/オーラ→相/フレア」の部分です。無条件でオーラを削り取れると、後ろに控えている大技を確定で当てられてしまいます。これがメガミに1枚程度ある分にはそういう小技として問題ありませんが、一柱のメガミにまとまった枚数、コンセプトとして存在するには厳しいものでした。

           

           その結果「相/オーラ→相/フレア」の部分が削られ、複数の効果から1つを選ぶという「選択」コンセプトのメガミとなりました。その部分は、今も「詩舞」あたりにそのまま残っています。

           しかし、どうにもメガミのキャラクター性を体現したものではなく、さらに「選択」はカードのデザイン空間が広く、一柱のメガミに納めてしまうには相応しくありません。そういった悶々とした状態のまま、トコヨはしばらく取り残されていました。

           

          芸術家の境地へとたどり着け

           

           再び時は流れます。微妙な立場のまま放置されたトコヨですが、ある発明が彼女を救い出しました。それこそが「集中力」です。

           

           疑問符を浮かべたかもしれません。そう、今では当たり前の存在である集中力ですが、意外や意外、生まれたのは比較的後のことだったのです。具体的には、β版のリリースが見え始めていた時期でした。

           

           もちろん、基本動作が必要なのは早々に分かったため、基本動作そのものはずっと存在していました(ちなみに、本当に最初のコロセウム時代ではマジで前進も後退もありませんでした。クソゲー! 当然、最初のプレイテストで手札1枚を捨てて前進や後退ができるようになりました)。

           

           そして、基本動作が手札だけのコストでは行動回数が少なすぎ、展開が退屈になることも早めに発見され、最初は「ターン中に1回無料で行える」「開始フェイズに1回無料で行える」などの方法でそれを補っていました。しかし、無料の基本動作をもう行ったか分からなくなったり、基本動作をやり忘れてドローしてしまったりといった問題が頻発し、解決策が模索されていました。

           

           その結果生まれたのが集中力です。正直、本作はすでに管理すべき要素が多く、この時点ではさらに別のゲージを増やすという解決法には懐疑的でした。ですが、いざ導入してみたら、思ったよりもストレスはありませんでした。

           

           そしてその瞬間に大きなひらめきを得ました。最大値を2にするのです。こうすることで、リソースの蓄積や運用といった、新たな考えどころをゲームに追加できます。そしてそれ以上に、これはフレーバーに即したものでした。集中力を溜める「静」の時間と、それを使って行動する「動」の時間。武道における静と動のリズムを体現できたのです。これは和風の決闘において、欠かせないと確信しました。

           

           

           集中力を使うと決めたら、そこにさらなる意味を与えたくなるのは当然のことです。そして脳髄に電撃が走りました。芸術家は集中力を極限まで高め、その時に新たな境地を垣間見るものです。つまり、芸術家である彼女こそが、集中力が最大、2であるときに強化されるべきなのです。

           

           すべてのピースが絵画へと収まった瞬間です。そして彼女は静かに微笑んでいました。

           

           

           これにて芸術と永遠のメガミ、トコヨの在り方は完成へと至りました。その後もカード個々の調整は続きましたが、彼女の昔話としては、これで十分でしょう。 お楽しみいただけたら幸いです。

           

           

           

           次回の更新は来週、トコヨ特集の後篇にて、現在のカード個別の話をさせて頂きます。ご期待くださいませ。

           また、今回の特集への感想や、他に行ってほしい特集などありましたらTwitter(@BakaFire)までお伝えください。あなたの一声が、今後の記事を変えるかもしれません。お待ちしております! 

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          ゲームマーケット2017春まとめ

          2017.05.12 Friday

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             こんにちは、BakaFireです。

             いよいよゲームマーケット2017春まで、残り2日となりました。本日は大きな新情報があるというわけではありません。ゲームマーケットでの頒布物、そして企画を改めてまとめさせて頂きます。イベント前の確認にご利用ください。

             

             私どもはA32「BakaFire Partyにてお待ちしております!

             

            限定セット『祭札』

             

             

             『祭札』はカジュアルに楽しむための4つのルールと、それで用いるカードを封入した、ゲームマーケット限定セットです。さらに限定のプロモーションタロット2017年3月31日に施行されたチカゲの調整カードも封入されております(調整カードは公式、公認イベントでも入手可能です)。

             

             本セットについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

             

            基本セット、幕間、第壱拡張ももちろん頒布

             

             申し訳ないながら品薄となっていた基本セットは、今回のゲームマーケットにて再版されます! さらに3月のゲームマーケットが初出である第壱拡張『夜天会心』も用意しております。

             

             そして幕間『細音雪花』については、製品の仕様や目的を鑑みると再版が難しいと考えております。従って、今回のゲームマーケットが幕間を手に入れる最後のチャンスとなる可能性が高いです。入手をお考えならば、早目にお越しいただければ幸いです。

             

             本作からは外れますが『惨劇RoopeR』シリーズ基本セットや、拡張全種も取り揃えております。時間を遡り、惨劇を打ち破るボードゲームとなっております。もしよろしければ、そちらも併せていかがでしょうか。

             

            全ての方に紙袋をプレゼント

             

             いずれかの製品をお求めいただいたすべての方に、本シリーズの紙袋をプレゼントいたします! 大きめのサイズに作成しており、ゲームマーケットで購入した様々な力作を収めるのには持ってこいと言えるでしょう。ぜひとも、ご利用いただければ幸いです。

             

            TOKIAME先生サイン会も開催

             

             本シリーズを素晴らしいイラストで彩るTOKIAME先生のサイン会を開催いたします。開始時刻は13:00ごろを予定しております。詳しくは、当日ブースの案内をご覧ください。

             

             また、本ブースでのサイン会であるため、サインを行えるのは『桜降る代に決闘を』シリーズ(基本でも拡張でも大丈夫です)の外箱、カード、タロットのいずれかに限定させて頂きます。ご容赦、ご理解いただければ幸いです。

             

            さらなる新情報も……?

             

             最後に、本ブースにお越しいただいたあなたのためのサプライズとして、新たな展開についての速報も用意しております。ご期待ください!

             

             

             以上となります。本ブースでは様々な催しとともに、あなたをお待ちしております! 繰り返しになりますが、ブース番号はA32「BakaFire Party」です。もしあなたが幸運にもゲームマーケットにいらっしゃるのであれば、会場にてお会いしましょう!

             

             次回の更新は二週間後を予定していますが、まだ書く内容は確定しておりません。Twitterにて次の記事についてのアンケートを行っておりますので、ご協力いただけると嬉しい限りです。