Ride on & Open the Gate!(後篇)

2019.02.01 Friday

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    Recall of Record II

     

     

     こんにちは、BakaFireです。今回の記事はサリヤ特集の後篇となります。前篇、中篇をまだお読みでない方は、こちらこちらから読まれることをお勧めします。
     
     このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は第二シリーズ第4回にして累計第9回となります。

     

     前篇ではメガミ・サリヤに関する歴史を説明し、彼女のコンセプトやルールが生まれるまでの話をしました。中篇と後篇のやりかたは今回から変更されています。中篇ではまず新幕における変化を軽くお話しし、N1からN4までの4枚のカードについての歴史を書きました。従って後篇では残るカードN5から原初札までをお話しすることになります。
     
     それでは、さっそくはじめましょう!

     

     

    第二幕

     

     中篇にて、通常札の中では「Steam Cannon」が定まるのが一番遅かったと書きましたが、「Stunt」はその次、6番目に決まった通常札でした。残る5枚はサリヤのコンセプトや戦い方を実現するため、ゲームデザインから必然的にカードプールに収まりましたが、「Stunt」はそうではありません。
     
     「Stunt」はフレーバーから来たカードです。サリヤの乗騎をバイク(のようなもの)になった以上は、バイクらしい格好よさを模索したいところです。そこでバイクに乗って戦闘中にやりそうで、他のカードがやっていないことを私どもは探したのです。
     
     そして見つかったのがウィリーなどをはじめとしたスタントでした。それをしたら何が起こるのかは少し難しい問題でしたが、意気を昂揚させる効果があると判断し、2回の「宿し」を行うカードにしました。これまでにありそうでなかったカードであり、ルールが複雑であるためサリヤのカードはシンプルにしたいという方針とも合致していました。
     
     プレイテストでも魅力的と判断され、一度も変更されませんでした。
     
    新幕

     

     『第二幕』の「Stunt」は少しだけ弱めという評価を受けたと認識しています。そこで強化するために、まずは2つでなく3つの桜花結晶を「宿し」できるようにしました。
     
     しかし問題がありました。「闇昏千影の生きる道」をはじめとした特定の切札を高速で使う類のコンボデッキで、過剰な結果を出してしまったのです。序盤から3回分の行動をカード1枚で実現できるとフレアの運用が極端に早くなってしまいます。序盤の間合で攻撃できるメガミは限られるので、コンボが早すぎるだけでなく安定するのも問題でした。
     
     「闇昏千影の生きる道」に限れば他での調整も可能ですが、これは将来的なカードのデザイン空間も大きく圧迫しています。私どもはそれを問題と判断し、やり方を見直しました。
     
     そこで用いた便利な道具が「畏縮」です。畏縮は『第二幕』における「大地砕き」が好評だったことを受け、その類の効果を記録しやすく、扱いやすくしたものでした。私は大成功と評価しており、新幕における発明のひとつと考えています(※)。
     
     しかし畏縮は注意して扱うべき道具でもあったため、私どもは通常札で畏縮を使う際にはルールを定めました。それは「安易な撃ち得にしないこと」です。そのために「そのカードを使うことが安定にはつながらない」あるいは「上手く使わないと単に畏縮させるだけで終わってしまう」という2通りの方法が考えられます。
     
     「Stunt」は前者の好例です。2回の「宿し」はアドバンテージを得ますが、オーラは間違いなく2少なくなります。つまり相手の攻撃が予見されるようなタイミングでは、「Stunt」は死への特急券かもしれないのです。
     
     こうして『新幕』での「Stunt」は良い調整ができました。しかしサリヤ全体として見ると、畏縮について私どもはひとつ失敗もしていました。それについては後ほどお話ししましょう。
     
    ※ 調整において1行動分のアドバンテージをカードに付随させたいことはよくあります。しかし本作では行動回数を増やす効果(カードを引く、集中力を得る)はおまけにしては強すぎ、カードを捨てる効果は相手の行動を妨害し過ぎてこれまた強すぎます。そこで、集中力を1だけ抑制する効果はカードのデザインをやりやすくするのです。

     

     

    第二幕

     

     燃料――造花結晶は基本的には使いきりですが、回復手段はあるべきだとも判断していました。そうすることで回復手段をデッキに入れるか入れないか、ひいてはいくつの燃料で戦うつもりなのかというゲームプランを計画する楽しさが生まれるのです。
     
     デッキに入れるかどうか、検討の幅を広げるには通常札に1枚、切札に1枚作るのが良さそうです(「Thallya's Masterpiece」では後から燃料回復が追加されました)。「Roaring」はその中の通常札の枠でした。
     
     しかしながら、通常札で単に燃料回復を行うのは良いデザインとは感じられませんでした。前篇を思い返せばその理由は明白です。サリヤの問題は燃料循環の繰り返しの感覚にありました。単に「燃料を2回復する」のようなカードを作ると、あるカードで燃料を消費し、このカードでその分の燃料を回復するという循環が山札1週の中で結局起こってしまうので、繰り返しの感覚を再燃させてしまう恐れがあったのです。
     
     そのため、燃料の回復には別の要素を絡め、リスクを伴わせるようにしていました。初期案は次のようなものです。


    付与 納5
    【展開中】あなたは基本動作を行えない。
    【破棄時】あなたの燃焼済の造花結晶を全て回復する。

     

     残念ながら不自由で苦しすぎたためにフィードバックは悪く、このカードは没になりました。しかしそのエッセンスは完成版にも生きています。基本動作を封じると結果的に、集中力の使用が封じられます。ならば逆に集中力を燃料回復に投じなければならないとすれば、先の案よりもマイルドに基本動作を抑制してリスクを与えられるのです。
     
     この時点で過去のサイネがコンセプトとしていた集中力をコストとするカードへと思い至り、そのアイデアを再発明することになります。こうして「Roaring」の半分は完成しました。
     
     もう半分が作られた理由は「Julia's BlackBox」です。このカードのコンセプトは魅力的なものの、造花結晶が0になるまで消費するのに時間がかかり、戦略に組み込むのが難しいという意見が上がったのです。そこで「Roaring」でも燃料を消費する選択肢を用意し、その補助としました。
     
     では燃料を消費して得られる効果をどうするべきか。カードの認知を簡単にするためには、カードの主張は一貫しているべきです。このカードは集中力と燃料を扱うカードなので、集中力を得られるようにするのが妥当でしょう。さらにそこから、両方を行うという第3の選択肢も用意するというアイデアにも至りました。
     
     最後に、相手の集中力を失わせるという効果が加えられました。この理由はトコヨへの対策です。当時はトコヨが極めて強力であったため、彼女を安易な正解にしないために、デザインしていたメガミに彼女への対策を与えるようにしていたのです。後に私はその指針を失敗と判断し、『第二幕決定版』においてトコヨへの下方修正を行いました。


    新幕

     

     「Roaring」の評価は「Stunt」に近く、良いカードだが少しだけ弱いという程度でした。そこで『新幕』では若干の強化を行うべきです。そこで私どもはこちらでも畏縮を採用しました。
     
     「Roaring」はすでに複雑なカードなので、燃料と集中力を扱うという一貫性だけは崩してはいけません。さらに燃料を消費する方の効果であれば、安易な撃ち得にはなりません。この2点を鑑みて、畏縮は最適な選択肢だったと言えます。
     
     しかし、私どもは小さな失敗をしており、さらに「Form:YAKSHA」にも相手を畏縮させる効果を加えてしまったのは致命的な失敗でした。「Stunt」「Roaring」「Form:YAKSHA」のいずれも単独のカードとしては畏縮を持つに相応しく、問題ありません。ですがこれらが1柱のメガミに固まっているのは問題でした。これはトコヨ、そして集中力を溜めたうえで一気に動く必要のあるメガミに対して大きすぎる相性上の問題を生み出してしまいます。

     

     シーズン3の現状においては「Stunt」と「Roaring」だけならば、辛うじてセーフであると判断しています。私どもはこれからも畏縮を使っていくつもりですが、今のサリヤ以上に1柱に畏縮の手段を集めることは決して行わないでしょう。


     

     

    第二幕

     

     2つの面から必然的に生まれたカードです。第一にバイクに乗って高速戦闘を行うのならば、機動力で攻撃をかわすカードはあるべきであろうこと。第二には燃料という縛りと引き換えに、攻撃力、防御力、機動力の全てを高水準にしたかったことです。

     そこで私は通常札でありながら、前進後退両方への移動を対応で行えるカードをデザインしました。このコンセプトはまさに大正解であったようで、プレイテストでも極めて魅力的と評価され、最後まで変更されませんでした……しかし、この変更されなかったというのは少し話が違います。
     
     告白しましょう。私どもは危うく愚か極まりない過ちを犯すところでした。その時に変更されず、印刷直前まで進んでいたカードは以下のようなものでした。


    行動/対応
    燃焼
    あなたは基本動作を1回行う。

     

     今の知識で言うと誰がどう見てもおかしいカードです。『第弐拡張:機巧革命』が入稿される直前に、私は全てのカードを見直したのです。クルル特集でお話しした通り、その際には「びっぐごーれむ」の消費も引き上げられました。
     
     私はもう1枚、「Turbo Switch」が明らかにおかしいことに気付いたのです。冷静になってみればあからさまに駄目でした。そこで私は緊急的に効果を差し替え、消費される燃料が2になるようにしたのです。
     
     本当に危ないところでした。「びっぐごーれむ」については結論が出るまで多大な時間がかかりましたが、もし「Turbo Switch」をそのまま出していたら発売当日には環境は破壊されたことでしょう。幸いにして、変更後の効果は絶妙なバランスでした。

     

    新幕

     

     このカードは『第二幕』の時点で十分に強力であり、完成されていました。変更すべき理由は全く見当たりません。

     

     

    第二幕

     

     サリヤの問題が解決され、併せて「Burning Steam」や「Waving Edge」で移動と攻撃を同時に行うことで機動戦闘を表現するという指針が示されました。「Alpha-Edge」はその時の会議でデザインされた一枚で、一度も変更されませんでした。

     サリヤは複雑なルールが多いものの、本質としては分かりやすいビートダウンのメガミですので、攻撃の切札が1枚は必要です。そのやり方は大別して2つ。使いきりの大技にするか、再起を持つ連続攻撃型にするかです。
     
     騎動を行って間合をずらしながら連続攻撃するというコンセプトからも、その武器の形状からも、後者が正解なのは明白です。そして再起の条件も、騎動こそが相応しいのは明らかでしょう。
     
     一工夫したのは適正距離です。これはクルル特集でお話しした離散間合を再利用しました。額面の異常さから海の向こうという特殊性を表現できているのも魅力ですが、それ以上に「Alpha-Edge」では離散間合にきちんとした意図があるのが素晴らしいと言えます。
     
     間合が連続していないので「Alpha-Edge」を使用してから騎動を行うと「Alpha-Edge」の間合から必ず外れます。ゆえに滑らかにコンボを繋ぐには、もう一工夫が必要となるのです。他方で間合が離散して広いため、コンボの起点を固定しないので、間合を渡り歩くコンセプトも邪魔しません。

     

    新幕

     

     カードを全体的に強化する過程で、私どもは一度だけ消費を0にして試しました。結果として愚かだったため、すぐに戻りました。

     

     

    第二幕

     

     「Roaring」が通常札の燃料回復ならば、これは切札の燃料回復です。切札である以上、その効果は通常札よりも極端で、ゲームに1回しか使えない点を意識すべきです。初期案は次のようなものでした。


    消費0 行動
    あなたの燃焼済の造花結晶を全て回復する。

     

     これは燃料を12にして長めに粘るという意思表示であり、意図としては明瞭なカードでした。しかしどこか煮え切らず、プレイテストでの評価も必要性は認められるが面白いという評価は下されないというものでした。
     
     そこから「Omega-Burst」を救ったのは「Julia's BlackBox」のデザイン過程、ひいては燃料を消費することに報酬を与えるというアイデアでした。燃料消費は基本的にはデメリットであることを守りつつも、それを純粋なデメリットにしないようなカードを入れることで、より複雑で楽しいジレンマが生まれるのです。
     
     「Julia's BlackBox」の草案が完成した後、私はお風呂に入りながらぼんやりと考えていたらふと閃いたのです。その閃きは直ちに多層に渡ってアイデアを結び付け、1枚のカードが生まれました。それこそが今の「Omega-Burst」そのものだったのです。私はそれを直ちに文章に起こし、一目で大ファンになりました。複雑なジレンマが絡み合い、実に玄妙なゲーム体験が期待できそうではありませんか!
     
     そしてプレイテストでの結果も期待通りでした。当然ですが、そのまま印刷されましたとも。強いて失敗を言うならばサリヤのカードでは唯一、半歩だけバランスを壊していたことです。他の弱めのカードを少し強くして、その上で「Omega-Burst」は消費を5にしたほうが理想的だったかもしれません。

     

    新幕

     

     コンセプトが明瞭で完璧なカードなので、効果で直すべきところはありません。『第二幕』での反省と、『新幕』ではライフが2多いゆえにフレアも溜めやすいことから、消費を5にして始めました。
     
     しかしその途中で、中篇にてお話しした通り造花結晶の数が5に変更されました。こうなると「Omega-Burst」の運用は露骨に難しくなります。どうするべきかは簡単な話で、消費が4へと戻りました。

     

     

    第二幕

     

     メガミの中で元は人間であったメガミたちは、その人間時代の神髄を体現するようなカードを持っており、それらは彼女ら自身の名前を冠しています。「天音揺波の底力」「氷雨細音の果ての果て」「闇昏千影の生きる道」がその例です。
     
     このカードはサリヤの名を冠するカードであり、彼女の神髄を表現するものです。彼女が最も優れているのは運転技術であるため、それを表現するためにカードの効果をデザインしました。

     

     しかし残念ながら、私の中での評価は低いカードです。また、私が聞いた範囲のフィードバックにおいてもサリヤのカードの中では珍しく魅力的ではないというものでした。

     

     その原因としては、他のメガミの攻撃と騎動を紐付けることがメリットとなる機会が少ないということが挙げられます。攻撃できているならば当然望ましい間合にいるはずであり、そこから改めて(燃料を使ってまで)移動したい場面は少ないのです(例外は対応で攻撃する場合で、トコヨとの組み合わせでは活躍していました)。

     

    新幕

     

     『第二幕』での結果を踏まえ、私どもは「Thallya's Masterpiece」のデザインをやり直しました。しかしそれは茨の道でした。アイデアをいくら並べても絶妙なものにはならず、ともすれば最も難産となった枠かもしれません。
     
     最終的にはシーズン1における「Thallya's Masterpiece」のようなものができ、それまでのアイデアの中では最も楽しかったため、この方針で行くことになりました。

     

     新幕のシーズン3まで至って、もしかしたら問題の本質は「Julia's BlackBox」にあるのではないかと考えつつあります。この1枚が広域にわたる効果を持ちすぎているために、1柱のメガミの範囲において、もう1枚として使えるデザイン空間が狭くなっているのです。しかしながらこれはもはやコンセプトの話であるため、受け入れて最善を尽くすほかないでしょう。

     

     ここまでが悩みと反省の話です。ここからは『新幕』最大級の愚かな過ちの話をしましょう。これまでの禁止カード改訂やカード更新の記事で、これに対する謝罪はやりつくしました。折角の特集記事ですので、この先はひとつ、小噺としてお聞きくださいませ。
     
     ご存知の方も多いかもしれませんが、「Thallya's Masterpiece」はシーズン1から2においてゲームを破壊し、禁止カードとなりました。しかし最近の禁止改訂で少し触れましたがこのカード、バランス調整の間に実に4回もの下方修正を受けているのです。
     
     それでは、初期案は果たしてどれほど愚かだったのでしょうか。ご覧いただきましょう。


    消費2 行動
    【使用済】あなたの開始フェイズに、あなたは騎動を1回行ってもよい。
    【使用済】あなたが騎動を行うたびに「間合⇔ダスト:1」

     

     本作に慣れていれば慣れているほどにやばさがにじみ出てくる1枚ですが、最もやばかったのは「闇昏千影の生きる道」との組み合わせでした。当時はなぜか未使用に戻らなかった消費0の「Julia's BlackBox」も併せて、5ターン目に100%「生きる道」を成功させるデッキが生まれてしまったのです(対ヒミカは除く)。
     
     そして「生きる道」への調整のために消費が上がっていきました。しかし次は「大天空クラッシュ」との組み合わせで暴れはじめ、最終的には1つ目の効果が取り除かれことになりました。そりゃそうだ。


     

     

    第二幕

     

     前篇でお話しした通りサリヤは再編され、問題は解決し、カードプールは魅力的に整ってきました。しかし私は僅かに不足を感じていました。もう一つ、脳天を突き抜けるようなジューシーさが欲しいのです。

     

     そんなある日、ふと思いました。バイクが変形したら格好いいのではないかと。

     

     この発想はかつて、スーパーロボットたちを愛していた私の心を躍らせました。何を隠そう私は『真ゲッターロボ 世界最後の日』の大ファンなのです。3つの変形した姿を使い分ける。何と格好いいのでしょう!(※1)
     
     問題はどのように変形を実装するかですが、素晴らしいアイデアはすぐそこに転がっていました。最初期のクルルの切札は、自らに追加パーツを付けることで追加の基本動作を得る(※2)というものでした。このアイデアは切札として魅力的なバランスを見つけられなかったため没になりましたが、今回はまさに今がその時だと言えるのではないでしょうか?

     

     では、変形のための条件はどうするべきでしょうか。それはピンチ、それもスーパーピンチに陥った時に間違いありません(話は変わりますが私は『スクライド』の大ファンでもあります)。サリヤのデザインに当てはめると、造花結晶が0の時とするのが良さそうです。
     
     こうして仕上がった1枚を試してみると、素晴らしいプレイ感でした。特に燃料を消費することにメリットも見いだせるようになった点が絶妙な相互作用を生んでおり、後の「Omega-Burst」にも繋がりました。変形した3つのフォルムの内容は何度か調整されましたが、コンセプトはこのまま完成へと至ったのです!

     

    ※1 なぜ3つなのかと言えば、特に考えるまでもなく3つだと確信していました。当然ですが『ゲッターロボ』のせいです。一応後付としてゲームにおける選択は、3択にしておくと丁度よいという理屈もあります。チカゲの毒も同様ですね。

     

    ※2 そして山札の再構成で再起します。この場合の再起はデメリットですが、当時のクルルには駆動ギミックがあったため、それを活用することもできました。

     

    新幕

     

     『第二幕』では間違いなく興奮するジューシーな1枚でしたが、実際のところの強さはそこまでではなく、相手を選んだテックカードに留まりました。
     
     そこで私どもは3つのTransFormそれぞれの強さを底上げし、より積極的に変形させられるように調整しました。結果としては少しばかりやりすぎてしまったのは否めません。シーズン1→2、シーズン2→3での2回の調整を経て、今の「Julia's BlackBox」は良い塩梅に仕上がったと感じています。

     

     

     原初札は基本的には「メガミに挑戦!」で使用されるものです(メガミと挑戦者で対戦し、メガミ側は原初札を用いる代わりに1柱しか使えず、挑戦者は相手のメガミを見たうえで宿す2柱を選ぶ)。そのため、そのメガミ単独での戦いを実現できるようにデザインされます。特に通常札は、その戦いの円滑化が目的となります。
     
     サリヤの弱点は明白です。彼女のカードは強力ですが、その大半が燃料を要求します。しかし造花結晶が6つしかないという事実は変わりませんので、彼女は単独で戦うと瞬く間にガス欠に陥ってしまいます。
     
     燃料を回復する手段を増やすのが安易な解決手段です。しかし、単に燃料をいくつか回復するカードを入れた場合、何も考えずに山札1周で1回そのカードが使われるだけであり、全くもってゲーム体験が膨らまず、魅力的ではありません。
     
     さらに小さな問題として、サリヤは攻撃力も防御力も高いとはいえ、1柱の範疇を超えてはいません。サリヤ単独で戦う場合、ほんのわずかに攻撃力も防御力も不足しているのです。
     
     それらを総合して生まれたのがこの1枚です。1/1の攻撃とすることでほんのわずかな攻撃力不足を補い、対応で騎動を選べることで防御力を補いました。興味深く、またバランスを整えているのはその文面ほどには防御力は高まっていない点です。
     
     「Turbo Switch」から分かる通り、対応での騎動は極めて強力な対応です。しかしこのカードで騎動を行うと、燃料が明らかに不足するという大本の弱点を補うべきカードで燃料を回復できないという事態に陥るため、そう安易には騎動を選べないのです。

     

     

     原初札の切札も同様のコンセプトで作られますが、こちらは「刺激的で特殊な舞台を作る」ことを意識してデザインされます。
     
     このカードはこれまでの原初札における切札を強く意識してデザインされました。それは「頭が悪く、インパクトのあるテキストを入れること」です。交流祭という舞台を盛り上げ、興奮するような体験にするには、思わず笑ってしまうようなパンチの効いたテキストが有効なのです(※)。

     

     事実、それまでで成功した原初切札は「X/Xの攻撃」「集中力と手札の最大値を変更する」「ライフへのダメージを2倍にする」そして「相手のメガミを封印する」という狂ったテキストが含まれていました。ならばサリヤはどうしましょうか。このような意識の下で日々を過ごした結果、幸いにも天啓は降りてきました。「あなたは3回TransFormする」のです。

     

     他の効果についてはそのテキストを含めたうえで、どのような効果であれば魅力的になるのかを考え、実装しました。すばらしいことに「サリヤに挑戦!」も成功しました。傑作とは呼びづらいですが、欠点もなく、まさしく佳作と呼ぶにふさわしいでしょう。

     

    ※ 当たり前ですが、より重要なのは「メガミに挑戦!」というゲームが面白いことです。ウケ狙いや奇をてらうことに執心し、より重要な課題を忘れてしまわないようにも注意していました。

     


     本日はここまでとなります。来週以降はルールガイドを完成させ、PC版サイトにおけるメガミ一覧やカードリストの最新化に向けた作業を進めるためにブログ記事としてはお休みをいただきます。

     

     皆様に対して可能な限り誠実であるため、もうひとつ簡単にお知らせいたします。現在、私は大きな転機を迎えつつあり、今はそのために必要な努力を重ねているところです。まだお話しできないのが申し訳ない限りですが、拙作にお付き合いいただいている皆様を裏切るようなことにはならないよう尽力しておりますので、なにとぞ暖かく見守って頂けるとありがたいです(※)。

     

    ※ 念のため補足しますと、『桜降る代に決闘を』シリーズの展開には影響はありません。ただ、少しばかりブログ更新に割ける時間が減るかもしれません。

    Ride on & Open the Gate!(中篇)

    2019.01.18 Friday

    0

      Recall of Record

       

       

       こんにちは、BakaFireです。今回の記事はサリヤ特集の中篇となります。前篇をまだお読みでない方は、こちらから読まれることをお勧めします。

       

       このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は第二シリーズ第4回にして累計第9回となります。

       

       前篇ではメガミ・サリヤに関する歴史を説明し、彼女のコンセプトやルールが生まれるまでの話をしました。中篇と後篇のやりかたは今回から少しだけ変更し、中篇ではまず新幕における変化を軽くお話しします。その上で個々のカードについて第二幕、新幕両方を踏まえてお話しするのです。全てのカードについて書くとあまりに長くなってしまうため、今回はN1からN4までの4枚を扱います。
       
       
      5→6

       

       『第二幕』においてサリヤが持つ造花結晶の数は6でした。これはどのように決まったかと言えば、特筆するほどの理由はありません。単純にこのくらいが強くて気持ちよく、また適正なバランスだと判断したためです。
       
       前篇でお話しした全ての問題解決が終わり、サリヤの概要が固まった後の話です。最初は桜の花のイメージから造花結晶5つから試しましたが、どうにも不自由さを感じて気持ちの良いゲーム展開になりませんでした。そこで単純に燃料を6にしたところ、丁度よい感覚が得られたのです。
       
       そして『第弐拡張:機巧革命』が発売し、フィードバックが届き始めました。何度か触れてきましたが、最初のフィードバックにおいてサリヤは強力過ぎるという意見が多数を占めました(逆にクルルは弱すぎるという意見が目立ちました)(※)。以前にも書いたと思いますが、当時の私はひどくナーバスになったものです。
       
       その際には多くのプレイヤーからサリヤの調整についての意見も届きました。当時の私の中で最も有力な案は「Omega-Burst」の消費を5にするというものでしたが、その中には造花結晶の個数を5にするという意見もありました。
       
       多くのプレイヤーが調整はもはや前提という感覚を示しており、私もまたそのつもりでいたのです。(チカゲで犯した失敗と違い)プレイヤーは幸いにして楽しんではいたため、1、2ヶ月様子を見て、最終的な調整案を発表するつもりでした。

       

       しかしサリヤへの見解は思いもよらない方向に進みました。その数か月間の間にプレイヤーの間での「対サリヤ」において燃料を無駄にするための立ち回りが研究され、結果としてサリヤの強さが実は適正であったことが明らかにされていったのです。最終的に『第二幕』のサリヤには一度の調整も入らず、完璧なバランスでした。
       
       今回のサリヤとクルルの騒動から、私は「受け手のリテラシー」と「使い手のリテラシー」という要素を大きく学びました。つまりサリヤは使い方がやや簡単で受け方が難しいメガミであり、クルルは使い方が難しいメガミだったということです。今ではこれらの要素はゲームバランスの調整においても重要だと捉えております。
       
      ※ その弱すぎるクルルが、初期には見向きもされなかった「びっぐごーれむ」を駆使して『第二幕』最終段階の環境を大きく荒らしていたのですから面白いものです。『第二幕』のクルルは禁止や早急な修正が必要なものではありませんが、今のようにカード更新というシステムがあったならば、間違いなく更新されたでしょう。

       


      6→5

       

       そして時は流れ『新幕』のバランス調整が始まりました。サリヤはクルルと同様に、コンセプトが明確かつ大成功しているメガミです。それゆえその在り方はほとんど変わらないことは明らかです。私どもは火力をどこで上げるべきか。そして僅かに存在していた使い辛いカードをいかに魅力的にすべきかに焦点を置いていました。
       
       しかしその中で、バランス調整チームから大きな提言がなされました。造花結晶を今回は5にしてはどうかというものです。過去においては結果として必要なかった案でしたが、確かに可能性としては納得した案でもあります。そうなると、確かに今回こそありえるのかもしれません。私はその提言はなぜ行われたのか、そしてどのような効果を狙ったものなのかについて傾聴しました。
       
       その根幹には『新幕』の思想である、全体的なゲームスピードの向上がありました。『第二幕』は間違いなく魅力的なゲームですが、(特にデジタルゲーム化するにあたっては)少しばかりゲーム時間の長さに難があると私どもは判断していたのです。
       
       実際のところ、シーズン1やそれ以前であるプレイテスト中のバージョンではゲームスピードは明白に早いものでした。それゆえにゲームは山札3周目の頭にはほぼ決着していました。
       
       しかしこうなるとサリヤには幾ばくかの問題があります。『第二幕』においてサリヤの燃料が6で絶妙だったのは、長いゲームが多く、それゆえに燃料を消費する機会が多かったためです。ゲームスピードがここまで早いと、燃料を使い切る頃に相手を倒すか、あるいは倒されているかという2択しかなく、燃料のジレンマが消えてしまっていたのです。

       

       これらの理由に私は納得し、燃料は実に1年以上の時を経て5へと戻ることになりました。シーズン2や3に向けたカード更新を経た結果としてゲームスピードの話においては幾ばくかの怪しさが生まれていますが、造花結晶を5にしたことそのものは正しかったと今は考えております。

       

       


       

       

      第二幕

       

       問題解決を終えてサリヤのコンセプトが明確になると共にデザインされ、一度も変更されませんでした。
       
       燃料の制限があるためにカードは強力であるべきです。それは攻撃カードを強くするという意味でもありますし、フレーバーから明らかに高い移動力を持つゆえに移動カードを強くするという意味でもあります。
       
       しかし、ただ強力な攻撃カードと移動カードをデザインしても魅力的になるとは思えません。『第二幕』に残されたデザイン空間では容認できるバランスのカードがあまりにも作り辛く、さらにそれらのペアを手札に揃えて連続で使うことが明らかな正解になってしまい、ゲームがワンパターンにもなってしまうのです。
       
       そこで至った結論は攻撃+移動というカードです。どちらのカードとしても弱めながらぎりぎり及第点の強さにした上で、その両方を行えるようにするのです。そして移動を騎動で行うことで、燃料も必ず消費するよう整えました。
       
       これは前篇で書いた「騎動を強調するために間合を離散的にする」という指針ともかみ合ったものです。これなら離散した間合を渡り歩きながら攻撃でき、コンボ技を決めるような感覚も鮮明なものになります。さらに騎動した結果としてもう一柱の間合に踏み込めればさらに利得を得られるため、二柱を組み合わせる感覚も強くなるのです。
       
       間合を離散させるため、3枚の攻撃カードは同じ間合をもってはいけません。そこでこのカードは4-5を担当し、シンプルにコンセプトを見せられるようになりました。結果はご存知の通り、大成功と言えるでしょう。
       
      新幕

       

       新幕では適正距離が3-5に広がりました。新幕では攻撃カードは全体的に強力にするべきですが、何も考えずにライフへのダメージを上げ続けると愚かなことになります。特にサリヤは連続攻撃が得意であるため、そのリスクは大きいものでした。
       
       他方で、一部のカードだけ強くするという手段も駄目です。『第二幕』のサリヤの攻撃は絶妙なバランスに整っていたため、その手段を取ると強化されたカードは明らかに強く、されていないカードは『新幕』についていけなくなってしまうのです。
       
       そこで、私どもは全ての攻撃に対してそれぞれが許されるやり方で小さな強化をばら撒くやり方を選びました。このカードは間合を拡大し、より連続攻撃をやりやすくしました。離散した間合というコンセプトについても、3枚の攻撃が1ずつしか重ならないよう散っていれば『新幕』のカードパワーの基準では筋が通っていると判断しています。

       

       

       

      第二幕

       

       「Burning Steam」と同時にデザインされ、これまた一度も変更されませんでした。離散した間合として「Burning Steam」が4-5を担当するならば、これは必然的に2-3を担当し、デザインを明確にするために同じテキストを持つことになります。
       
       しかし適正距離4-5と2-3を並べると、明らかに2-3のほうが強力です。前進は後退よりも強いため、間合は2の近傍に収束します。さらに『第二幕』では離脱がなかったため、その働きは『新幕』よりも大きなものなのです。
       
       そこでその差を埋めるため、燃焼という一言を付け加えました。これはバランスを取ると同時に燃料管理というコンセプトを際立たせるためのものです。結果はこれまた成功でした、さらに言うならば対サリヤの立ち回りにおいては「Waving Edge」で燃料が2消費されることが重要であるため、私どもの設計していた燃料管理は最終的なバランスにおいても絶妙なものであったと言えます。
       
      新幕

       

       「Burning Steam」同様に小さな強化が加えられました。適正距離が1-3となり、3/1になっています。それぞれ説明しましょう。

       4-5が3-5になるのとは違い、2-3が1-3になってもさほど撃ちやすさに変化はありません。これにはカードの相互作用を増やすという狙いがあります。「Waving Edge」で間合0に行けるようになれば、サリヤと間合0を活用するメガミを組み合わせる面白みが増すと考えたのです。
       
       ダメージについては総合的な判断によるものです。造花結晶が5になった点、離脱の追加で2-3と4-5の間の差は『第二幕』よりは小さくなった点、間合1の追加はそこまでの強化ではない点、サリヤのライフへのダメージを増やすことへのリスクの大きさなどを鑑みて、3/1こそが適切と考えたのです。


       

       

      第二幕

       

       離散的な間合で連続攻撃というコンセプトを考えると、攻撃が2枚だけというのは少ないと言えます。しかしすでに2-3と4-5は使っており、6-7としてしまうとあまりに使える組み合わせが限られてしまいます(そしてヒミカとの組み合わせで明らかな火薬臭がします)。
       
       加えて、少しばかり時間を遡りましょう。前篇でお見せした通り、昔のサリヤには乗騎で突撃するという要素がありました。これは実に格好よく、サリヤらしいものです。
       
       この2つの要素を総合的に鑑みて、私はひとつの確信を得ました。今こそチカゲの「毒針」での失敗へのリベンジを果たす時です。そう、間合1への再挑戦です。今回は「毒針」のように何となくで決めたわけではありません。間合は2-3とも4-5とも重なってはならず、そして突撃した瞬間の間合は極めて近いものです。構造としても、フレーバーとしても間合1が望まれていました。
       
       しかしチカゲでの失敗は余りにも痛烈であったため、私はさらに深く考え込むことにしました。結果として3つの要件が浮かび上がりました。
       
       第一にクリンチ戦略を増長させてはいけません。「毒針」最大の失敗を繰り返すことだけは避けなくてはならないのです。離脱なき『第二幕』においては間合0や1はあまりにも危険な領域でした。
       
       第二に「Burning Steam」や「Waving Edge」と同様に移動カードとしても働くべきです。サリヤの移動しながら連続攻撃するコンセプトは一貫しなくてはなりません。
       
       第三にはサリヤ自身が間合1に行く手段を持っている一方で、簡単であってはならないというものです。手段が必要なのは「クリムゾンゼロ」の失敗から明らかです(※)。他方で簡単にすると自己完結性が高まりすぎてしまいます。他のメガミの力を借りれば簡単になるからこそ、2柱を組み合わせる楽しさが高まるのです。

       

       そしてそれら全ての要件を満たすように知恵を絞った結果がこれです。幸いなことに私の定義した要件は正しかったようで、この1枚も見事な大成功でした。
       
      ※ 『第二幕』で間合2以下で前進できなくなった結果としてヒミカは自力で「クリムゾンゼロ」を撃てなくなり、「クリムゾンゼロ」はほとんど使われないカードになってしまいました。

       

      新幕

       

       『第二幕』でのコンセプトから見ても間合は広げられません。また、この効果は実に整っており、どのように変更しても不自然さが付きまといます。
       
       他方で「Sceild Charge」は連続攻撃に活用し辛いカードであるため、この1枚はライフへのダメージを上げてもリスクは低いと考えられます。こうなれば、3/2にする以外ありえないでしょう。


       

       

      第二幕

       

       サリヤの問題を解決した後、私どもは7枚の通常札について考え、必要な骨格とフレーバーの両面からカードのコンセプトを決めていきました。結果として6枚は滑らかに決まったのですが、残り1枚に関してはこれだと確信できる案に至れずにいました。それこそがN4、「Steam Cannon」の存在している枠です。
       
       そこで私どもは他の6枚を見て、それらが存在するという制限を踏まえて必要なカードを逆算したのです。まず注目したのはカードタイプとサブタイプです。4枚目の全力でない攻撃にはリスクがあり、また4枚目の行動カードはもはや不要です。「Turbo Switch」と「Omega-Burst」はいかにも強力そうなので対応カードもやめておくべきでしょう。他方で、付与カードがない点も注目すべきです。
       
       結論として、カードタイプとサブタイプは攻撃/全力、付与、付与/全力の3択になりました。1枚は付与があるべきではないかという感覚からいくつかの付与カードを先に考えましたが、しっくりくる案にはなりませんでした。
       
       その理由は2つありました。第一には「Julia's BlackBox」が存在していたこと。そして第二に騎動で2ターンに渡る間合変化が起こることがすでに付与札的な挙動であり、同時に通常札の付与カードに相応する複雑さを生んでいたことです。
       
       第二の理由は特に重要なものでした。サリヤの持つルールは初期案から見ると実にスマートになっていましたが、それでもまだ複雑なのです。サリヤを遊びやすく楽しいメガミにするためには、その分カードはシンプルであるべきです。そして付与カードはその構造ゆえに複雑になりやすいのです。
       
       そして私どもは付与カードを取りやめ、シンプルな攻撃/全力のカードをデザインするという道を選びました。結果として、広い適正距離を持ちつつ高めの素直な打撃力を持つという、ありそうでなかった攻撃カードが誕生したのです。

       

      新幕

       

       この1枚もまたテキストを下手に加えると美しくなく、サリヤが難しすぎるメガミになってしまう懸念もありました。間合も元から十二分に広いため広げる意味はありません。
       
       他方で全力であるために連続攻撃の懸念は小さなものです。ならば「Sceild Charge」と同様に、この位置こそがライフへのダメージを上げるべき場所でしょう。
       
       サリヤはシーズン1において実に愚かな過ちを犯した(詳しくは後篇で)メガミではありますが、こと攻撃カードの強化のやり方という面では大成功だったと判断しています。ライフへのダメージを上げるべきカードとそうでないカードを適切に見極めたからこそ、オボロやライラのように火力面で問題を引き起こさなかったと言えるでしょう。
       
       
       本日はここまでとなります。全国大会関連で慌ただしいことと、来週はルールガイドを完成させたいことから記事はお休みをいただきます。そして再来週にはサリヤ特集の後篇にて残り9枚のカードと3つのTransFormの話をいたしましょう。ご期待くださいませ!

      イベント今昔、そして第四時代へ向けて

      2019.01.04 Friday

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         新年あけましておめでとうございます。BakaFireです。現在はサリヤ特集を進めておりますが、このタイミングでお伝えしたいことがありますので一週だけ間を空け、今週はイベント関連の記事を書かせて頂きます。
         
         昨年12月にお伝えした最新の今後の展望において、私はイベント関連における様々な計画をお伝えしました。私どもは少しずつ準備を整え、いよいよこの一週間でのサイト更新で様々な告知ができる段階に至ったのです。ならば、それらの試みについてこのブログでもお伝えするべきでしょう。
         
         さらに、読み物としても楽しめるものにするため、本作のイベントにおける歴史もお話しするつもりです。それでは、早速はじめましょう!

         


         

         

        第一時代:公式大会の幕開けと衰退

         

         もはやその頃から本作を遊んで頂けている方は数限られているかもしれません。本作の始まりは2016年5月、ゲームマーケット2016春で発売された『第一幕』でした。そしてその数週間後の5月22日、本作初となる大会イベントが開催されたのです。
         
         その頃はまだ規模は小さく、人数上限は僅かに24名。それでもありがたいことに満席で開催され、大いに盛り上がりました。今思えば、僅かに24名規模の中でTOKIAME先生にお越しいただき、色紙まで提供されたのですから豪華なイベントだったと言えます。
         
         そしてその後も毎月イベントを開いていくと発表し、公式大会が開催されていきました。第一時代の始まりです。

         

         では盛り上がりは続いていったのでしょうか。過去の記事でも書いたためご存知の方もいるとは思いますが、残念ながらそうはなりませんでした。参加者は日に日に減っていき、『第一幕』末期には毎回8名集まるかどうかで肝を冷やしていたのです。正直なところ、そこで本作は終わってもおかしくない状況でした。
         
         その原因は3つあったと言えます。何より最大の原因はゲームのバランス、そして面白さにありました。2つ目は賞品の印刷が終わっていなかったため、実体がなかったことです。これらの問題はどちらも『第二幕』の印刷でひとまずの解決をみましたが、ここでは本題ではありませんので割愛します。
         
         ここでお話しするのは3つ目の問題、イベントそのものの魅力についてです。その頃の私どもはただ単純に二柱を選ぶ形で大会を行い、優勝者を決め、それで終わっていました。十二分に面白いゲームならばそれだけでも十分だったかもしれません。しかし当時の本作はバランスに大きな問題を抱えていたこともあり、それだけでは満足して頂けるイベントになっていなかったのです。

         


        第二時代:三拾一捨の設立

         

         私どもは深く検討し、2つの方向の取り組みを行うことにしました。それこそが本作が今も大事にしている「競技志向で真剣に取り組める場の提供」と「カジュアルに祭りを楽しめる場の提供」です。
         
         前者については「三拾一捨」というルールが開発されました。これは大会開始時に3柱のメガミを選択し、対戦前に相手にその3柱を渡し、相手がその中から1柱を取り除くというものです(※)。
         
         このルールには相性から生まれる理不尽さを軽減するとともに、問題のある戦略を取り除く働きがありました。さらに多様なマッチアップに遭遇するため、ゲーム展開も飽きにくいものになるのです。これは間違いなく本作の競技的な魅力を一段階掘り下げ、初めて施行された「第一幕最終大会」では大好評で受け入れられました。
         
         そして三拾一捨は今も大規模イベントなど、競技的な場で活用され続けています。しかし常に三拾一捨を採用するのは明らかな誤りです。さきほど「大好評で受け入れられた」第一幕最終大会の参加者は合計8名であり、本作の厳しい状況に最後までお付き合いいただけた猛者たちなのですから。彼らは余りに猛者であるため、基準にするには危険を伴うのです。
         
         新たなプレイヤーが入らない作品に未来はありません。本作を続けていくためには、カジュアルな楽しさを優先したい方のためにイベントを改革しなくてはなりません。そこから、後者に向けた取り組みが始まりました。

         

        ※ これはやむを得ない状況で生まれたルールでもありました。『第一幕』ではユリナ/ヒミカが最強で、特定の戦い方をすればあらゆるデッキに必ず勝てると分かってしまったためです。これは6柱しかいないという理由もあり、例えばサイネがいれば無敵ではありませんでした。

         


        第二時代:交流祭の誕生

         

         それこそが今もなお続く「交流祭」です。初となる交流祭である「仲秋の交流祭」は第一幕最終大会の実に1週間後、2016年10月29日に開催されました。この時点では公式大会とは切り分けられており、いくつかの催しを含んだフリープレイ会のようなものでした。
         
         最初の交流祭で催されたのは「大乱闘」(※)と「メガミに挑戦!」でした。

         

         「大乱闘」は様々な特殊ルールを適用し、狂った環境のゲームを楽しむというものです。これまでで実に18種類のルールが生まれ、大改革とも呼べる素晴らしいルールから二度と遊びたくないクソゲーまで多種多様な乱闘が繰り広げられました。これは今も人気のイベントとして続いています。
         

         

         「メガミに挑戦!」もまた大きな試みでした。これはメガミ自身を担当するプレイヤーと挑戦者が対戦するというルールです。メガミ側は一柱のカードしか使えませんが、明らかに壊れた強さのカード「原初札」を使うことができます。他方で挑戦者は原初札の内容を踏まえて宿す二柱を決め、最大限に対策したデッキを構築できるのです。
         
         これもまた大好評で受け入れられました。ゲームとして魅力があっただけでなく、メガミのキャラクター性が原初札を通してより深まったのも大きいでしょう。その影響は大きく、公式小説『桜降る代の神語り』には「メガミへの請願としての挑戦」として取り入れられ、逆に小説の伏線を交流祭内での「メガミへの挑戦!」で扱うこともありました。「ユキヒに挑戦!」はその最たるものです。

         「メガミに挑戦!」は定期的に休みを挟みつつ、オボロ、サイネ、ヒミカ、トコヨ、ハガネ、シンラ、サリヤ、チカゲ、クルル、ユキヒ、ウツロ、ホノカ、ユリナの順で開催され、2018年3月に『第二幕』と共に完結しました。その後どうなったかは第三時代でお話ししましょう。

         

         

         こうして初となる交流祭は成功に終わり、実に数か月ぶりにイベント参加人数は上向きました。まだまだ予断を許す状況ではありませんが、私どものイベント改革計画は、まずは成功として第一歩を踏み出したのです。

         

        ※ 正確には大乱闘は狂った大会としてそれ以前にも開かれていました。これもバランスの問題ゆえに、ルールを捻じ曲げて環境をごまかさなくてはならなかったという側面もあります。

         

         
        第二時代:全国への広がり

         

         そんな中で時は流れて2016年12月、『第二幕』が発売します。さらにプロモーションタロット「ユリナ」と「ヒミカ」も無事に印刷され、大会で賞品も配布できるようになりました。
         
         これらの効果は劇的でした。ゲームバランスは大きく改善し、魅力的なものになりました(※)。賞品もまたプレイヤーのモチベーションを大きく高める助けをしてくれたと言えます(本来はそれが当たり前ですが)。

         

         その甲斐あって、イベントの参加人数は大きく上向きを示しました。交流祭という試みも大いにそれを助け、公式イベントすらも開催を危ぶまれるような状況から脱出を果たしたのです。
         
         その結果、さらに嬉しい発展がありました。日本全国にイベントが広がったのです。『第一幕』では東京と大阪でしか開かれず、大阪ではほぼ人が集まらない状況にまで陥っていました。しかし大阪も息を吹き返し、さらに北海道、福岡、新潟などの各地でもイベントが開かれるようになりました。
         
         それを受け、東京以外の地方でも交流祭を開催し始めました。この時点では交流祭は本作には欠かせないものとなっていました。ゲームが面白くなっても交流祭があればより面白いのは変わりません。毎月新しい発見があり、わくわくするような新展開に出会えるのですから。
         
         そしてそれがストーリーなど本作そのものの展開とも紐付くならば、それを東京だけで独占するのは愚かとしか言えません。地方で本作を遊んで頂いているプレイヤーの皆様にも、本作を最大限に楽しんで頂きたかったのです。
         
         こうして交流祭とともに各地が歩んでいく、第二時代が確立されました。

         

        ※ 正確には『第一幕』と比べると著しく改善したものの、ユリナ/トコヨ(特にトコヨ)などの強さゆえにまだまだ問題を抱えた環境でした(全国大会では明確にユリナ/トコヨ/ユキヒが正解になりすぎていました)。とはいえ、僅か3か月後には『第壱拡張:夜天会心』が発売してハガネとチカゲが追加され、環境を揺らしながらどうにか盛り上げ続けられたと言えます。

         


        第二時代:初の全国大会

         

         そして地方が活気づいてきた頃、2017年5月に本作は一周年を迎えました。一周年を記念して様々な企画が催されましたが、その中でも最大のものは第一回全国大会です。

         

         全国各地で予選が行われ、それを勝ち上がった強豪たちが東京に集い、頂点を決めるのです。初めての試みであったためにいくつかの力不足や過ちもありました。しかし全体的にはこの試みもまた大きく盛り上がり、成功に終わったと言えるでしょう。

         


        第三時代:戦乱之陣の開幕

         

         全国大会も終わり一段落、時は2017年8月、『第弐拡張:機巧革命』が発売されます。『第二幕』で最高の成功作である傑作拡張であり、その力もあってイベントは盛り上がり続けていました。
         
         しかしそんな中、地方の交流祭において主催を務めていただいている方から意見が届きました。それは交流祭がカジュアルなイベントでなく、実質的に大会となってしまっており、一部のプレイヤーが疲れ始めているというもので、同時に新規のプレイヤーが入り辛くなっているというものでした。
         
         私はそれを由々しき問題だと捉えました。新たなプレイヤーが入らない作品に未来はありません。私は交流祭をもう一度見直し、よりカジュアルに楽しめるものにしていく必要があると判断したのです。
         
         その主催の方と話し合い、たどり着いた結論は「大会に参加せずともフリーで楽しく遊べば、それだけで賞品が手に入るイベント」でした。さらに交流祭には先述したような特殊ルールの催しも多数存在します。大会に出るのではなく、それらの催しを回るという選択もまた魅力的であるべきでしょう。こうして新たなイベント「戦乱之陣」は形になり、今も交流祭で続いているのです。

         


        第三時代:地方大規模イベントの開催

         

         『第弐拡張』環境においても、全国大会のような環境を締めくくるイベントが望まれていました。しかし全国大会は各地で予選などを管理する必要があり、開催期間も長いために運営、プレイヤー共に疲れてしまいます。
         
         そこで私どもは地方で大規模イベントを開催するというやり方を選びました。なぜ地方なのかと言えば、全国大会は東京で必ず行われるため、この類のイベントでは地方の盛り上げを促進できるようにしたかったという理由です。
         
         最初の地方としては名古屋が選ばれました。名古屋は第一回全国大会の予選で初めてイベントが開かれ、そこからコミュニティが成長し始めていました。交流祭も開かれはじめ、大きな刺激を与えるには最適と考えたのです。

         


        第三時代:第二回全国大会

         

         そして2017年10月の『第二幕決定版』、2017年11月の『第参拡張:陰陽事変』が発売し、今のバージョンである『新幕』の開発が発表されました。
         
         『新幕』発表時に書いた通り、『第二幕』もそれはそれで面白いゲームであるため、全く遊ばれなくなるわけではありません。しかしイベントの主流は『新幕』に移さざるを得ない以上、『第二幕』でも最後にもう一花、全国規模のイベントで盛り上げるべきでしょう。
         
         こうして2018年4月。再び全国で予選を行い、それを勝ち抜いたプレイヤーが『第二幕』の頂点を目指す、第二回全国大会「第二幕大決戦」が開催されました。とはいえ行ったことは第一回全国大会とほぼ同じで、前回と同じ失敗を避けるための工夫を行った程度です。うまくいっているものは変える必要はないのですから。
         
         結果としてより広がったコミュニティの中でさらに大きな盛り上がりを得られ、イベントは大成功に終わりました。

         


        第三時代:新幕と物語テーブル

         

         2018年5月。いよいよ現在のバージョンである『新幕』が発売しました。私は『新幕』と合わせ、(主にゲームバランスを中心とした)スケジュールに関するルールを整備しました。

         

         製品ごとにシーズンを区切り、シーズンの間でカード更新を行う(そしてシーズン間の問題は禁止カードで対応する)というやり方や、シーズンの終盤にはそのシーズンを締めくくる地方での大規模イベントを開くという計画です。

         

         この試みは今のところ成功していると考えています。『第二幕』では調整は突発的に行われており、コミュニティに不安と混乱を与えてしまっていました。またカードの調整もやや付け焼刃のようなものとなってしまい、完全に望ましいものにはできていませんでした。厳格なスケジュールの約束がこれらの問題を改善したのです。
         

         地方での大規模イベントもシーズン1では大阪で、シーズン2では福岡で開催され、成功したと言えます。


         交流祭においては完結した「メガミに挑戦!」に代わって「物語テーブル」が始まりました。これは公式におけるストーリーと紐付いた形で、様々な特殊ルールでのゲームを楽しめるというものです。
         
         こちらも今のところ大成功していると考えています。中でも協力型のゲームである「叶世座公演」と「忍の里防衛戦」は本作の新しい面白さを開拓し、大好評を頂いています(「メガミに挑戦!」のようにメガミ役を用意しなくてよいため、よりカジュアルに楽しめるようになったのも良い点です)。

         


         
         このシリーズは現在は公式小説『桜降る代の神語り』を模した神話再現シリーズとして続いています。しかしながら、あと数か月後には新たな流れも生まれてくることでしょう。
         
         こうして『第二幕』で様々な試みを積み重ね、『新幕』でその積み重ねを洗練しました。そして今、2019年1月。イベントは第三時代として、安定した流れを続けられています。

         


        そして第四時代へ

         

         ここまでで本作のイベントにおける歴史を振り返りました。しかしながらここで改めて懺悔します。既にいくつかの記事で触れてはいますが、2018年5月の『新幕』以降、私はイベントに十分な力を注ぎきれていませんでした。代わりにデジタルゲーム版の実現のために力を入れていたのです。

         

         ですがデジタル版は本年に延期することが決まってしまいました。だからこそまさに今、本作のイベントは次の時代へと進まなくてはならないと私は確信しています。
         
         その動機はこれまで、第一時代から第二時代へ、そして第二時代から第三時代へと進んだときとまったく同じです。新たなプレイヤーが入らない作品に未来はありません。私どもはより初心者やカジュアルなプレイヤーに親切にあるべきであり、そしてそのための試みへと着手すべきだと判断しました。
         
         今の本作の状況は良好です。しかしこのまま一切の手を打たなければ3か月後、半年後に同じ状況が続くとは言い切れないのです。

         

         私どもの試みのいくつかは既に公式サイト上で現れ始めています。この記事の結びとして、第三時代から第四時代へと移るための試みを紹介しましょう。

         


        全国で初心者体験会を実施します。

         

         全国のゲームショップ様にて初心者体験会を定期開催します。こちらのイベントは手ぶらで参加可能であり、その場でルールの解説を受けて「はじまりの決闘」を体験して頂けます。
         
         今は以前に初心者体験会を開いていただいた全国のイエローサブマリン様でのみ開催予定が定まっています。次はすでにお世話になっているゲームショップ様にお声掛けを進めていきます。そしてそれらの店舗での実施を通し、体験会を安定したものにするためのシステムを洗練していくつもりです。
         
         初心者体験会のための特設サイトは今週頭に公開いたしました。こちらをご覧くださいませ。実に2日後の6日に、最初の初心者体験会が実施されますよ!
         
        交流祭への導線を明確化します。

         

         ここまでお話ししてきた通り、交流祭はカジュアルに楽しむことを中心としたイベントです。そして公式、準公式の運営であるために安心して楽しめ、人も集まりやすい状況になっています。
         
         それゆえに初心者体験会を終えたばかりのプレイヤーにとって、交流祭は次のイベントとして最適です。私どもは様々な工夫を通し、初心者体験会→交流祭という導線を明確化していきます。
         
         その後には各地のショップでのイベントを活性化する試みも進めたいところですが、申し訳ないながらそのやり方はまだ見つけられていません。

         

        交流祭の開催地域を拡大します。

         

         交流祭は本作の流れそのものを楽しめる重要なイベントです。だからこそ、多くの地方の皆様に楽しんで頂きたいという想いがございます。しかし現在では東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、新潟の6か所でしか開かれていません。
         
         そこでより幅広い地方で交流祭を開けるよう検討し、すばらしいことに本年2月には四国地方は高知にて交流祭が開かれることになりました。好評であれば継続していきますので、四国地方にお住いの方は是非ともご参加いただけると嬉しいです。
         
         さらに中国地方での計画も進んでいます。上手く進めば、近いうちに良いお知らせを届けられるかもしれません。

         

        第三回全国大会「天音杯」を開催します。

         

         そして3回目となる全国大会も開催します。初心者やカジュアルなプレイヤーにより親切にすべきとはいえ、これまで遊び続けて下さったコアな皆様もまた本作にとってこの上なく貴重な存在です。そのような皆様が最大限に楽しめ、盛り上がれるように最も熱く競技的な場を用意するのです。
         
         特設サイトはまさに先日、1月1日に公開されたばかりです。こちらよりご覧くださいませ! 1月26日から3月3日に予選は開催され、多くの予選は1月7日から予約が開始します。

         

         

        宣伝:1月と2月の交流祭には特典があるぞ!

         

         ここまでを読み、交流祭に興味を持っていただけたのでしたら素晴らしいお知らせがあります。1月と2月の交流祭では、普段の賞品に加えて参加賞としてプロモーション集中力「クルル」をプレゼントいたします。

         


         
         1月の交流祭はすでに全ての地方で受け付けが始まっております。是非ともこちらよりお申し込みくださいませ。あなたのご参加、心よりお待ちしております!

         

         今回の記事はここまでとなります。来週はサリヤ特集の中篇をお送りします。ご期待くださいませ!

        Ride on & Open the Gate!(前篇)

        2018.12.28 Friday

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           こんにちは、BakaFireです。本日の記事は好評のシリーズ、メガミ特集の9回目となります。このシリーズで取り扱うメガミはTwitterでのアンケートにて決められ、今回は第2シーズンで最後となるサリヤ特集となります。
           
           これまで行ってきたトコヨ特集オボロ特集サイネ特集ヒミカ特集ハガネ特集チカゲ特集クルル特集シンラ特集を踏まえた内容でもあります。お時間がありましたら、これらのシリーズもご一読いただけると嬉しいです。
           
           それでは、さっそくはじめましょう!

           


           
           
          第二幕第弐拡張二柱目の流れ

           

           彼女をいかに語るかについては、時期を同じくするクルル特集に概ね準じます。しかし、これまで『新幕』になってからの特集を書いてきた知見を踏まえ、少しばかりやり方を変えることにします。以下のようになります。
           

          • 前篇ではメガミの歴史を語る。
          • 歴史については2017年2月から6月ごろ、彼女がデザインされた頃の話をする。
          • 中篇では新幕における大枠での変化を語る。
          • 中篇と後篇2回にわたり、『第二幕』と『新幕』それぞれのカードを並べて、カードの歴史と変化について語る。

           

           つまり前篇では『第二幕』が中心の話となります。『新幕』から本作に触れて下さった皆様は、昔話としてお読みくださいませ。
           
           
          ある協力者にして友人のお話し

           

           サリヤの始まりはどこにあるのでしょうか。それは意外なことに最も大昔、桜は降るよりも前、コロセウムでラノベ風の闘士たちが戦っていたころに存在していたのです。サリヤは海の向こうからやってきたイレギュラーですが、その生まれ方すらも実にイレギュラーなものでした。
           
           「私ども」と私が書く際に数えられている、私の素晴らしい協力者の1人について話をしましょう(BakaFire Partyは多くのことを私が行っていますが、私一人ですべてを回すことはとても不可能です。この上なく貴重ですばらしい協力者の皆様のおかげで本作は回っているのです)。彼は『アリストメイズ』『ルイナス』あたりの過去作品から協力してくれており、幾度となくすばらしい助言を頂いていました。そしてもちろん、本作でもご協力頂いていたのです。
           
           他方で彼は、自分の趣味嗜好と欲求に極めて素直でした。私がコロセウムな世界観の中、6人のキャラクターの設定を考えていた時の話です。彼はファミレスで自分の趣味嗜好に溢れた設定を伝えてきました。細かく語るのは避けますが、まあ様々なところでサリヤ的なものだったと伝えておきましょう。
           
           そして彼は本作に全力で協力するので、自分の趣味に即したキャラクターを出してほしいと私に頼んできたのです。誤解なきように伝えておきますと、彼の助力は本当に素晴らしいものでした。おそらく彼がいなければ、本作は皆様が今楽しんでいるようなものにはならなかったでしょう。
           
           しかし彼にとっての悲劇はその1か月後に起きました。世界に桜が降り、和風になったのです。褐色銀髪西洋鎧は、彼にとって必要不可欠なものでした。
           
           
          彼女がいるべき場所はどこか?

           

           多くの特集でお話ししてきた通り、世界には桜が降り、名前もフレーバーも与えられていなかった「トークン」は桜花結晶になりました。そしてキャラクターはメガミとなり、彼女らは当然和風でした。
           
           そうなると西洋ファンタジー風のキャラクターを入れるにはいくばくかの工夫が必要になります。今から振り返ると不可能ではなかったようにも思えますが、(当時は彼がいわゆる剣士を所望していた点も含め)難しいという判断を下しました。
           
           しかし他方で、彼との約束を完全に違えるというのは私の中の友情に反しています。そこで私は、西洋風のメガミを未来の拡張で出すためのやり方を考えることにしたのです。そして本作を続けられるかどうかという危機も乗り越え(※)、『第二幕』から本格的にその検討を始めました。
           
           『第二幕』は三回の拡張を通し、起承転結をイメージした骨組みを考えていました。こう考えると彼女のあるべき場所は明白です。「転」すなわち『第弐拡張』以外ありえないでしょう。西洋風という意外性は、順当な流れの中に魅力的な驚きを与える効果が期待できます。
           
           これは消去法でも明らかです。「起」にあたる『第二幕』では主人公であるユリナのライバルを出すと決めていましたが、それを西洋風にしてしまうと本作の王道をどこに置くのかがぶれてしまいます。「承」の『第壱拡張』ではある意味で予想通りな拡張が望まれるため、ここでいきなり奇をてらうのも誤りです。「結」の『第参拡張』は物語を締めくくる必要がありますが、そういう働きは期待できません。 
           
          ※ 『第一幕』は様々な面で不十分な作品だったため、そもそも本作を続けられるかどうかという瀬戸際にあったのです。幸いにしてそこまで待ったことで公式小説を通して世界観がより固まったため、海の向こうという概念が考えやすくなりました。この辺りの詳しい話はサイネ特集で語っております。

           


          海の向こうがやってくる時

           

           こうして私は西洋風のメガミを『第弐拡張』で出すという制限のもとで、世界観、物語のアイデアを膨らませていきました。私が尊敬するある方が「制限は創造の母」という言葉をよく引用していますが、それは事実であると強く感じさせられます。この制限により、物語は様々な面でうまくいったのですから。
           
           やり方についての最初の気付きは、チカゲから得られました。物語を魅力的にするためには、物語の時点で人間であるキャラクターはユリナとサイネ以外にも必要だと彼女を通して考えるようになったのです。ならば、「海の向こう」というこの「桜降る代」とは別の場所を用意し、そこに住む人間がメガミになるというストーリーはありえるのではないでしょうか。
           
           こうして世界に「海の向こう」が生まれました。最初こそ使い方に難儀していましたが、物語の吟味を進めるにつれて、本作において必要不可欠なものになっていったのです。
           
           特に重要だったのは敵方の存在、即ち瑞泉やクルル、ウツロなどを考えるにあたって、彼ら彼女らを正しく敵として働かせるやり方においてでした。物語をお読みでしたらご存知でしょうが、彼らは神渉装置というカラクリを用いてメガミの力を奪い、複製装置を用いて神座桜の下以外でもその力を行使できるようにしたのです。
           
           そうなると主人公であるユリナたちは、異なる方法で対抗できるようになる必要があります。そんな中、海の向こうはまさに絶妙な存在でした。彼女たちの協力によって融和した技術を用いるというのは、実に自然で正しく見えるのです。
           
           こうして物語の要請から、海の向こうは形作られていきました。神座桜の力がこの地と比べて弱いというのは元々決まっていましたが、それゆえに科学技術や金属加工に優れるという設定、桜花結晶の力が弱いためにそれを単なるエネルギーとしてしか見なしていないという設定などが加わっていったのです。
           
           そして技術の力でユリナたちを助けるのですから、科学者が必要です。その結果としてジュリアが生まれました。この上で科学者には戦闘能力はあるべきではありません。そこで西洋風の世界観を補強するためにも技術に携わる特権を持つ貴族と言う設定に繋げ、彼女を守護する騎士としてサリヤが誕生したのです。
           
           実に長い道のり! しかしこうして、海の向こうのイレギュラー、サリヤは物語へと降り立ったのでした。

           


           
          乗騎はどこから来た?

           

           ここまででサリヤ個人への理解は深まってきました。しかしまだ語るべきことは尽きません。ここからはゲームシステムも含めて、話を進めていきましょう。
           
           デザインの前段階では、彼女は西洋剣を持っている想定でした。しかし問題はすぐに見つかりました。『第二幕』の時点では刀の間合は1-2であり、その間合は離脱がなかったゆえに危険でした(※)。

           

           そこで素直な西洋剣ではデザインが不可能と判断し、かの友人とイメージのすり合わせを行いました。その結果、馬に乗っている騎士という方針が得られました。こういう戦い方をするメガミは確かにいないため、十分な独自性があります。
           
           西洋で馬といえば槍もまたそれらしい武器です。そこでまずは馬上で槍を操り、機を見て突撃するという方向で最初のカードリストを進めることにしました。

           

          ※ ユリナとユキヒはどうにか上手くやっていけていましたが、これ以上その間合にメガミを増やすにはあまりにもリスクが大きかったのです。

           


          海の向こうの桜花結晶とは?

           

           イメージとは別に、彼女の持つ特殊なルールについても検討されました。彼女のルールは、チカゲから引き継がれる形で始まります。
           
           チカゲ特集で書いた通り、チカゲは最初は悪い結晶――毒化結晶を持つというアイデアを試されていました。しかし得られる面白さに対してルールが複雑すぎ、入稿までに間に合わせることは不可能と判断して没にしました。
           
           サリヤは彼女からその知見を引き継ぎ、海の向こうの結晶(※)――冠花結晶を使えるようになりました。これは大体は桜花結晶ですが、サリヤを宿していないといくつかの面で上手く使えず、最大の特徴として山札の再構成でボードから消え、手元に戻ってくるのです。

           


           
           何回かのプレイテストでのフィードバックは良好でした。特にこのルールで間合に冠花結晶を置くという動きには独特な面白さがありました。間合に結晶を増やせるので4-5辺りの槍らしい中距離で戦え、再構成のタイミングで一気に結晶が消えるため、槍を構えて突撃というフレーバーが実現できていたのです。
           
           当時のカードを2枚ほどお見せしましょう。

           

          造花壁 行動/対応
          自/マシン→間合:◇1

           

          突撃攻撃 攻撃/全力
          適正距離0-1 5/2

          【常時】現在の間合がターン開始時の間合より近づいていないならば、このカードは使用できない。
          【常時】この攻撃は対応されない。

           

           しかし、このまま簡単に完成とはいきませんでした。ルールとして、ゲームとして、世界観として様々な問題が生まれ、サリヤはもう一度だけ大きな転生を必要としたのです。

           

          ※ この時点ではまだ海の向こうの世界観は固まっていませんでした。

           


          持ち上がる数多の問題

           

           問題は多角的で複雑で、当時はひどく混乱したものでした。今はもはや整理されているので、この記事では切り分けてお伝えしましょう。

           

          問題1:まだルールが難しい

           

           冠花結晶は間合だけでなく、オーラにも、フレアにも、ダストにも、めったにありませんがライフにも置かれていました。それに加えて特殊なルールもあり、(毒化結晶よりははるかにましとはいえ)まだルールが複雑すぎたのです。
           
          問題2:デジタルゲームとの相性が悪い

           

           この時点で本作にはデジタルゲーム化の話が持ち上がりつつありました。しかしあらゆる領域に冠花結晶が置かれてしまうと、それはデジタル版を遊ぶ上で耐えがたい問題を引き起こします。
           
           例えばオーラに2つの桜花結晶、2つの冠花結晶が置かれた状況で2/1の攻撃をオーラで受けたいならばどのように受けるのでしょうか。はたまた間合に冠花結晶がある時に、基本動作で前進しようとしたらどうなるのでしょうか。
           
           アナログゲーム版であれば、単に結晶を動かすことが意思表示になるので問題ありません。しかしデジタルゲーム版ではあらゆる場面でポップアップを表示させなくてはなりません。これは余りに不愉快で、スマートフォンを布団に叩き付けるには十分すぎるものでしょう。
           
          問題3:繰り返しのつまらなさが見え隠れしていた

           

           最初のフィードバックこそは良好でしたが、プレイテストを繰り返すうちに何名かのテスターからは不満の声が生まれました。山札の再構成は周期的なものです。そして冠花結晶を配置して活用し、取り除いて突撃技を撃つという立ち回りは同じ周期をもっていたのです。その結果として同じ展開が繰り返されやすくなり、ワンパターンゆえのつまらなさが問題視され始めたのです(※)。

           

          ※ 今だから明確化していますが、当時は「何か面白くない」という分かり辛いフィードバックであり、言語化にも苦労しました。


          問題4:海の向こうの設定が決まった

           

           プレイテストと並行して、海の向こうが物語でどのような役割を果たすべきかという設定の制約も固まりつつありました。先述の通り科学技術、機械工学、金属加工というイメージが求められたため、サリヤもまたある程度はそれを体現する必要があります。しかし現状では十分ではありません。

           


          サリヤ2.0

           

           これらの問題へと全力で取り組み、様々な解法を試しては崩し、サリヤは形になりました。こちらも整理してお伝えしましょう(こうして整えると簡単そうにも見えますが、当時は同時多発的に問題が襲い掛かってきたため、混沌と苦難の中で知恵を絞ったものです)。

           

           

          解決1:バイク(のようなもの)に乗せた

           

           改めて書くとクレイジーですが、物語の要請を踏まえると理に適っています。機械工学的なイメージを持たせるには機械の乗騎に乗せるのが自然です。その上で騎士のイメージを辛うじて壊さないためには、これしか選択肢はないでしょう。
           
           しかし、バイクと直線的に書いてしまうと世界観を壊しすぎる恐れがあります。そもそも桜降る代にバイクはありません。そこで1つしか存在しない特別なものとして乗騎ヴィーナという名前を与え、バイクとは作中では呼ばないことにしたのです。
           
           ちなみにこの時点で槍よりも乗騎のほうが象徴的になったため、象徴武器が「乗騎」に決まりました。

           

          解決2:造花結晶という名をつけ、燃料にした。

           

           乗騎をバイクにした時点で、特殊な結晶は燃料にするのが自然だと分かりました。海の向こうの世界観から見ても、サリヤがその結晶をゲームに持ち込んでいる理屈を正当化するためにも、これは明らかに正しい判断です。
           
           そしてこのタイミングで名前は造花結晶に改められ、世界観に即したものとなりました。さらに燃料は原則的には使い捨てであるべきなので、ボードから取り除かれる際に戻らないようになり、併せて燃焼を持つカードが作られました。
           
          解決3:結晶が置かれる場所を間合に制限した。

           

           問題1や問題2とにらみ合い、その上で冠花結晶がどうなっていると面白いのかを分析しました。その答えは2つありましたが、最終的にサリヤはそのうちの片方だけを採用することになりました(※)。
           
           それこそが間合に冠花結晶を置いた場合です。これは上記の通り面白いだけでなく、置かれるときと取り除かれるときで間合が劇的に変化していくために機動戦闘の感覚が出せており、サリヤらしさにかみ合っているのです。

           

           間合だけに制限すれば問題1は解決です。そして間合に置いた造花結晶は動かせないようにして「間合+1トークン」と「間合−1トークン」という形でまとめ、問題2も解決できたのです。

           

          ※ もうひとつの答えはまだ活かされていませんが、いつの日か皆様にお見せできるだろうと期待しています。

           

          解決4:サリヤらしい戦い方を再定義した。

           

           解決1から3がなされた上でなお問題3は残り続けました。そこで私たちは改めて話し合いに臨んだのです。そして「繰り返し感」こそが問題だと把握し、再構成で造花結晶を取り除くのは誤りだと結論付けました。
           
           間合はもっと目まぐるしく変化したほうが機動戦闘らしいと言えます。そこで造花結晶が取り除かれるのは自分の開始フェイズと定めました。
           
           そして最後に、それらを踏まえてサリヤはどう戦うべきかを再検討しました。こうしてたどり着いたMasterpieceこそが「離散した間合」です。彼女の攻撃の適正距離は中距離に固めるべきではありません。数多くの間合に散らすのです。そうすることで連続攻撃のために移動が必要になり、機動戦闘という感覚を強められるのです。

           

          おまけ:鞭の如き剣

           

           これらの解決の結果、槍には問題が生まれました。第一に槍には間合を使い分けるイメージがありません。第二に大きな槍が果たしてバイクの上で使えるのかという違和感があります。
           
           そこでバイクの上で使えそうで間合が可変しそうな武器として、あの一風変わった剣が生まれたのです(※)。
           
          ※ 後にイラストのTOKIAME先生とお話しした際に、似たような武器としてウルミというものがあると分かりました。それを聞いて、まあ実際にあるなら大丈夫だろうと最終的なGOサインを出しています。まったくの余談ですが、TransFormがインド的な名前なのはウルミがインドの武器であることに影響されています。

           


           本当に長い旅路でした。海の向こうのイレギュラーはその生まれ方もまさしくイレギュラーなものだったのです。実際、サリヤというメガミは私の作家性からは生まれづらいキャラクターであり(※)、独自の魅力があります。このような形で世界を広げてくれた友人に、改めてこの場で感謝いたします。

           

          ※ デジタルゲーム版の台詞を考える際には特に苦労しました。

           

           本日はここまでとなります。来週は中篇ではなく、イベント関連の記事を一本書かせて頂きます。そして再来週には中篇をお届けすることになるでしょう。それぞれご期待くださいませ!

          今後の展望、2018冬

          2018.12.14 Friday

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             こんにちは、BakaFireです。本日の記事では向こう三か月における本作の展望を書かせて頂きます。初めてご覧になる方のために少し補足しましょう。私どもは3か月に1回この類の記事を掲載し、今後3か月間における計画をまとめ、説明させて頂いているのです。
             

             

            前回の展望のおさらいをしよう!

             

             展望シリーズでは毎回、前回の展望を見直し、それらがどうなったかを確認していました。今回もそれに従いましょう。

             


            デジタルゲーム版に大きな動きがあるぞ!

             

             この件について繰り返すのは苦しいものです。しかし、ここでもう一度お詫びだけは改めてお伝えしておきます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
             
             また、12月20日から第1回となるクローズドテストが開始されます。12月の交流祭にご参加いただいた皆様には来週頭を目途にメールをお送りしますので、詳しい案内につきましてはそちらをご覧ください。
             

             

            新幕の攻略記事や動画を開始するぞ!

             

             初心者向けの動画シリーズ『桜降る代のいろは道』、初級者から中級者へのステップアップのためのヒント集『新幕 半歩先行く戦いを』の連載がそれぞれ開始しました(おおっと、そういえば来週は『いろは道』の第2回も更新されますよ!)。
             
             
            シーズン2大規模大会の舞台は福岡だ!

             

             無事に成功に終わり、大いに盛り上がりました。大会のレポートも掲載しておりますので、よろしければご覧くださいませ。
             
             
            ゲームマーケットでは『第弐拡張』発売!
            そして様々なニュースを公開だ!

             

             『第弐拡張』が無事に発売し、いくつかのニュースをゲームマーケットで発表しました。それらこそが次に私が全力で挑戦していくことですので、まさに本日の展望でいくつかをお伝えすることになるでしょう。
             
             


             前回までの展望はこのようなものでした。シーズン3ではシーズン2に残されたバランス上の課題も解決され、ゲームとしての魅力は研ぎ澄まされています。幾ばくかの過ちこそ見つかってしまいましたが、過ちの規模はシーズンを経るごとに小さくなっており、この点においては少なくとも改善の傾向にあると考えています。
             
             そのうえで本作は一つの大事な時期、転機にあると考えています。第一に大きな逆風として、本来予定されていたデジタルゲーム版のリリースが延期となってしまいました。第二にストーリーなどのこれまで進めてきた流れがもうじき大団円を迎える点です。これからも本作は続く以上、より魅力的な新展開を用意するのは当然でしょう。
             
             もうひとつ反省を付け加えるとすれば、デジタル版を前提としていたため、シーズン2ではアナログ版の展開に十分な時間を注げなかったのも確かです。

             

             そこでシーズン3ではイベント展開に最大限の力を入れるよう計画しています。これはデジタル版を欠いた状態でも最高に盛り上げて、魅力的なイベントを皆様に楽しんで頂くためのものであり、そして来たるべき次の流れに備えるためでもあります。


             私どもの計画を、ひとつずつ紹介しましょう。

             


            初心者向けイベントに力を入れていくぞ!

             

             新たに本作を始めようと考えている方がよりスムーズに、分かりやすく楽しめるよう、初心者講習などのイベントに改めて力を入れてまいります。
             
             まずは1月にイエローサブマリン様での初心者講習イベントを再び開催します。その上で今後は1、2か月程度に1回のペースで定期的な開催を行っていくつもりです。もちろんこちらのイベントでは前回同様、プロモーション集中力カード「ユキヒA」が入手可能です。

             


             
             そしてこのイベントがある程度軌道に乗ったら、他の初心者向けイベントも増やせるようにしていきたいと考えております。様々なボードゲームショップやボードゲームカフェの皆様にご助力をお願いすることもあるかと思います。その折には、お力添え頂けるとありがたい限りです。

             


            交流祭にいくらかの変化があるぞ!

             

             交流祭は現在、実にうまくいっているイベントです。その上でさらなる改善の余地はあるため、それを進めていきます。
             
             方針として、私どもは交流祭を「本作のイベントに参加するか迷っている方が安心して最初の一歩を踏み出せる場所」にしたいと考えています。そのために交流祭は、これまで以上にカジュアルで安心感のあるお祭りを目指します。
             
             しかし注意が必要なのは、交流祭の状況やあるべきあり方は地方ごとに異なるということです。交流祭は東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、新潟で開催されていますが、会場の利用形態も平均的な参加人数も異なります。そしてそれらの状況ごとに、どのようにすればご参加いただいた皆様が最も楽しめるのかは異なるのです。

             

             第一の試みとして、交流祭に向けた告知を強化します。本作をとりあえず手に取った方が交流祭の存在を知りやすいようにするのです。すでに最近のポスターやチラシでは交流祭の情報を必ず記載するようにしており、その試みは始まっています。さらに今後は、地域別のイベントへの案内なども作れればと考えております。
             
             第二の試みとして、適切な地域では「大会なし」「大会あり」を分けるやり方を進めます。東京で始まったこのやり方は大成功であり、大会を楽しむ層と、大会に出るのは少し苦しく感じる層の両方がイベントを楽しめるようになりました。これを進めることで、大会に出ろと言われると正直参加をためらうけれど、イベントには興味があるという方も交流祭に参加しやすくなります。
             
             第三の試みは東京だけのものです。1月の交流祭では(試験的に)大会を「通常選択」と「三拾一捨」に分割してみます。この試みはまずは後述する全国大会のために、競技的に楽しんでいる方のためのものです。しかしこれは逆説的に大会には出たいものの、そこまでの競技性を求めていない方のためのものでもあります。
             
             第四の試みは物語との連動です。現在、物語テーブルによる特殊なゲームは大好評を続けています(つい先日は1対3で遊ぶふるよにTRPG(の戦闘パートのような何か)が用意され、大いに盛り上がりました!)。後述する新たな物語の流れも含めてこの方向を推し進め、ストーリーとしても楽しめるようにします。

             

             これはまだ願望でしかありませんが、お楽しみいただける地方を増やし、地方と関東の格差を埋めるためにも東北地方、四国地方、中国地方などのまだ交流祭が開かれていない地方でも交流祭を開きたいとも考えています。

             


            来月の交流祭は

            プロモーション集中力「クルル」入手のチャンス!

             

             ここまでの話を見て、交流祭に参加してみたいのでしたらまさに今が大チャンスです。本日より1月の交流祭の申し込みが始まっているだけでなく、1月に参加すればプロモーション集中力カード「クルル」(※)が獲得できるのです。

             


            ※ クルルはゲームマーケット2018春の購入特典でした。このようなイベント限定特典は地方への配慮のため、配布から半年ほど後に交流祭で復刻します。

             

             

            BakaFire BoardGame Partyを開催するぞ!

             

             よりカジュアルなイベントも計画を進めています。それこそがBakaFire BoardGame Partyです。交流祭の最大の魅力であり、同時に最大の欠点は一日中本作を遊ぶという点です。
             
             本作を遊んでくださっている皆様の中には、間違いなく本作を遊びたいが、一日中本作だけを遊び続けるとなると微妙であるという方もいらっしゃると思います。一日中遊べる方も、たまには他のゲームも遊びたいかもしれません。逆に本作を遊んでいない方の中にも、本作に触れてみたいという方もいるでしょう。
             
             この試みはそういった皆様のためのものです。本イベントはBakaFire Partyのゲームを中心としたボードゲームイベントです。私の代表作である本作や『惨劇RoopeR』はもちろんのこと、『OWACON』『アリストメイズ』『ルイナス』『ライデマイスター』『フラムルルイエ』も用意しております。入退場自由で、お望みのゲームを自由にお楽しみいただけます(『惨劇RoopeR』だけは時間を固定します)。
             
             それだけではありません。以前の記事で触れたとおり、私は作りかけのまま止まってしまっているゲームや、リメイクの計画などがございます。それらのアイデアの中で、特に長大な計画が必要そうなものや、非常に惜しいところまで進めたものの凍結されているものなどを用意し、モック版を体験できるようにもいたします。本イベントを通し、開発をライブ的に楽しめるのです。
             
             第1回は次回の惨劇RoopeRコンベンションを拡張し、そちらの運営の皆様と共同する形にて1月20日(日)に開催します。参加を検討されている方は、ぜひともこちらのTwiPlaをご覧ください。こちらが上手くいきましたら、今後は3か月に1回程度のペースで開催を続けていく見込みです(※)。

             

            ※ 今のところはこの試みは東京で行うつもりです。しかし地方で要望があり、その上で実現可能であれば、他の地方での開催も検討しております。

             


            最大規模の全国大会が開催されるぞ!

             

             ここまではカジュアルなイベントについてお話してきました。しかしそれだけではありませんとも。本作を競技的に楽しんでいる皆様もご安心ください。
             
             3月30日(土)、これまでを越えた最大規模での全国大会「天音杯」池袋サンシャインシティ、文化会館特別ホールにて開催いたします。予選は全国各地で1月26日から3月3日までに開催され、そちらにご参加いただければプロモーションタロット「ハガネ」を入手できます。

             

            ※ プロモーションタロットの特別さを保護するため、小さいサイズかつsampleの文字を入れて掲載しております。
             
             こちらの詳細は特設サイトにて掲載いたしますので、本日に語りすぎることは避けておきます。ご期待頂ければ幸いです。

             


            カジュアルな新製品『祭札二〇一九』が発売!

             

             全国大会は競技的なだけの場ではありません。カジュアルに遊ぶための新製品『祭札二〇一九』が会場にて先行販売されます。これまでに交流祭で遊ばれたカジュアルルールの中で特に好評なものを厳選し、そして洗練してお届けいたしますよ!
             
             そして全国大会会場ではこの製品を用いたカジュアルなサイドイベントも開催されます。残念ながら予選を通過できなかったとしても、そもそも競技的な場に興味がなくても楽しめるイベントにいたしますのでご安心ください。

             

             残念ながら全国大会までお越しいただくのが難しい方もご安心ください。『祭札二〇一九』は先行販売から1、2週間後に全国ゲームショップ、ネットショップでの販売が開始いたします。

             


            新たなストーリーに向けて
             
             本作の公式小説『桜降る代の神語り』は先週から終章が開始しました。つまりそう遠くないうちに完結し、大団円を迎えることになります。
             
             それでは本作の物語はこれで終わりなのでしょうか。いえいえご安心ください。すでにいくつかのアイデアがあり、そのための計画を進めております。さらに魅力的かつ新しいやり方で、本作を盛り上げられるよう尽力いたしますとも。
             
             その計画が本格的に始まるのはむしろ次回の展望、4月以降となりますが、3月の時点でもそのための第一歩は踏み出されます。ご期待くださいませ!
             

             
             以上となります。今回の展望を踏まえ、本作の挑戦を楽しんで頂ければ嬉しい限りです。今回の展望は3月末までの内容を含んでおりますので、次回の展望は少し遅らせ、2019年4月にお届けします。
             
             来週はWebサイトにおける他の更新に力を入れたいため、私の記事としてはお休みをいただきます。そして再来週からはサリヤ特集をお送りいたします。ご期待くださいませ。