第壱拡張プレリリースを開催します!

2018.07.07 Saturday

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    プレリリース開催!
    新幕 第壱拡張をいち早く体験しよう!

     

     

     こんにちは、BakaFireです。昨日にはクルル特集の後篇を更新したばかりですが、もうひとつあなたにお伝えしたいことがございましたので、本日も更新させて頂きます。似たような流れを先日の大規模大会の告知でも行いましたが、今回も大会関連の告知でございます。(ちなみに大規模大会は現在116名の方に参加申し込みを頂いており、残る席は12名となります。参加を希望され、まだお申込みいただいていない場合はぜひお早めに!)

     

     そうです。『第二幕』の拡張でも開催されてきたプレリリースについてお伝えする時がやってきたのです!
     
     『新幕』から新たにご参加いただいた皆様もいらっしゃるでしょうから、詳しく説明いたしましょう。プレリリース大会は次の拡張の先行発売直前に行われます。そしてプレリリース大会では拡張で参戦するメガミが使用でき、その遊び心地を一足早く体験できるのです。
     
    (とはいえ、申し訳ないながら実物のカードをお渡しすることはできません。そちらではプロキシカードを使用したイベントとなりますので、裏面が透明でないスリーブをご用意頂く必要があります。予めご了承ください)

     

     日程は8月4日(土)8月5日(日)となります。これら2日間はプレリリース期間となり、公式、準公式イベントとして全国でプレリリースイベントが開かれます。それぞれの地域での日程は以下の通りになります。


    東京 8/4(土)
    大阪 8/4(土)、8/5(日)
    愛知 8/5(日)
    福岡 8/4(土)、8/5(日)
    札幌 8/4(土)
    新潟 8/5(日)

     


    何が先行体験できるんだって?

     

     それでは今回のプレリリースでは、果たして何が先行体験できるのでしょうか。これまでの通例であれば次の拡張で新たに参戦するメガミが体験できるのが普通であり、『新幕 第壱拡張』ではウツロがそのメガミに当たります。
     
     しかし今回はより良い手段がありそうです。何せウツロは『第二幕』の『第参拡張』で参戦する際にもプレリリースが開かれているため大きな目新しさはありません。もちろん、『新幕』で参戦するにあたって様々なところが魅力的になるよう磨かれていますが、今回の場にベストかというと違うでしょう。
     
     今回は新たな試みについて、先行体験して頂こうと考えております。そう。『新幕 第壱拡張』に封入されるアナザー版メガミが使用できるのです! それも1柱ではありません。2柱が使用できるため、より多様なマッチングが期待できるプレリリースになるのです!

    (アナザー版メガミについて、今初めて聞いたという場合は以前の記事をご覧ください。こちらの最後辺りで詳しく書かせて頂いております)


     プレリリースのうち、「第壱拡張プレリリース:東京の部」は本日から申し込みが可能になっております。こちらのフォームに必要事項を記載し、お早めにお申し込みいただければ幸いです。あなたのご参加、心よりお待ちしております!

    狂気カラクリ博覧会(後篇)

    2018.07.06 Friday

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      イカれたカラクリを改造しよう!

       

       

       こんにちは、BakaFireです。今回の記事はクルル特集の後篇となります。前篇中篇をまだお読みでない方は、先に読まれることをお勧めします。
       
       このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は新シリーズ第2回にして累計第7回となります。

       

       前篇ではメガミ・クルルに関する歴史を説明し、彼女のキーワード「機巧」が生まれるまでの話をしました。中篇では『第二幕』での個々のカードに注目し、それらを通して彼女を語りました。そして今回の後篇では『新幕』における彼女についての話を行うことになります。
       
       このシリーズにおいて『新幕』の話を行うのはこれが初めてとなります。従って、『新幕』開発の流れを明らかにしつつ、そこで何があったのかをクルル中心の視点で語る必要がありそうです。
       
       それでは、さっそくはじめましょう!

       


      新幕はじめました

       

       『新幕』は『第二幕』の潜在的目標に由来するデザイン空間の枯渇を解消することを第一の目的として開発されました。さらに次いで問題解決を通して、気持ちよく爽快感のあり、同時に戦略性が保たれたゲームとすることも目的でした。
       
       詳しくは『新幕』開発の記事をお読みいただくとして、私どもはそれらの潜在的問題を改善するためにライフを10にして、離脱を追加し、メガミの適正距離を見直しました。
       
       それに合わせて必然的に変更すべき個所が生まれます。それは「ダメージの塩梅」です。当然の話ですが、ライフが10に増加するならば、カードが与えるダメージも増加しなくてはなりません。ダメージがそのままであれば当然プレイ時間は伸びることになり、もっさりとした、魅力的でないゲーム体験を与えることになってしまいます。
       
       事実、ライフを10にして離脱を入れたゲームを体験するための最初のテストでは適当にカードプールを作っていたこともあり、プレイ時間は50分にも及びました。ちなみにこの時点のテストでは、ユリナ、サイネ、ヒミカ、トコヨの基本4柱のカードプールのみでテストされていました。
       
       では、どの程度ダメージを増加させるべきでしょうか。本作を再構成が2、3回程度行われるゲームだと考えると、ライフは実質的には5〜6から7〜8へと変化しており、おおよそ1.25倍から1.4倍程度になっています。1ゲームのプレイ時間はある程度減らす方向に持って行きたいと考えているため、ダメージは1.4倍程度にするのが適切そうです。
       
       そうなると、全てのカードのライフへのダメージを1上げることはできません。ライフへのダメージを上げるべきカードと、そうでないカードを取捨選択する必要が生じます。

       


      メガミたちへと問いかけよう

       

       ここまでが分かった時点で4柱のカードプールについてダメージを吟味し、ひとまず遊んでみて楽しいと感じられる数字にできました(もちろん、バランスはまだまだ駄目ですが)。そして、ライフ10と離脱は間違いない判断だと確認できたのです。
       
       そこまできたら、全12柱のカードプールをいよいよ作ることになります。その時点で私は全てのメガミをじっくりと見直すため、以下の3項目について問いかけることにしました。

       

      • そのメガミの理念はどのようなものか
      • 変更すべきコンセプトはあるか
      • ダメージはどこで取るようにすべきか

       

       ここでまずはデザインの領分としてこれら3項目への解答を書かせて頂き、それを通してメガミたちに何があったのかを語ることにしましょう。


      そのメガミの理念はどのようなものか

       

       『新幕』にあたっての大きな試みとして、私は全てのメガミに対して「理念文書」の作成を行いました。これは以下の項目からなっています。

       

      目的

      • そのメガミを宿していてどんな気持ちよさを味わわせたいか

      コンセプト

      • どうやって目的を実現するか
      • キーワード能力はなぜ手段となるか
      • サブコンセプトは何で、なぜそれが必要なのか

      どのリソースにどれだけ触れるのか

      苦手なこと、できないことは何か

       

       この文章はここでは直接すべてをお見せすることは避けておきましょう。いつの日か、理念文書の話をより深くブログで行う日も来るかと思いますので、その時をご期待ください。
       
       この理念においてクルルは一切の問題なく「クレイジーな発明家の感覚を味わう」と答えられ、それは前篇でお話しした内容とほとんど同じでした。
       
       実際、この理念はハガネ、チカゲ、クルル、サリヤはスムーズに書けており、ハガネ特集やチカゲ特集でお伝えした「宿したプレイヤーにどのような楽しさを体験させたいのか」というコンセプトの再確認に過ぎません。つまりこの理念文書は『第一幕』初期からサイネまでの、明確な目的がまだ未成熟だったころのメガミたちのためのものとも言えます(とはいえ、いざ書いてみたら拡張4柱にもそれぞれ気づきはありましたが)。

       


      コンセプトは変更すべきか

       

       理念文書がスムーズに書けた点や、『第弐拡張』が『第二幕』において大成功であった点を加味すると、クルルのコンセプトで変更すべきところはデザインの時点ではありませんでした。
       
       クルルへと大きな変化が与えられたのはバランス調整チームによるプレイテストが行われた後になります。それについては、もう少し後でお話ししましょう。

       


      ダメージはどこで取るようにすべきか

       

       クルルのダメージの取り方はいかれているため、どうすべきかは難しいところです。とはいえデザインの時点での私は、全てのメガミについてライフへのダメージが増え(そしてオーラへのダメージは若干ながら増え)ているため、クルルもライフへのダメージを向上すべきだろうとは考えていました。
       
       そこで私は「クルルはほとんどが上手くいったが「とるねーど」と「びっぐごーれむ」だけはいまひとつ活躍できていないので、強くすることにしよう」と考えました。
       
       ええ、今改めて書いてみると頭がおかしいとしか思えませんが、誤解なさらないでください。このカードリストを作っていたのは2017年8月から9月。つまり『第弐拡張』の発売から1、2か月しか経っていません。この時点ではクルルといえば「えれきてる」と「いんだすとりあ」であり、「びっぐごーれむ」と「とるねーど」は使い辛いという評価がほとんどでした。「びっぐごーれむ」軸のデッキが大会で大活躍して第二回全国大会の予選を大いに揺らしたのは実にそれから半年近く後、2018年3月の話なのです。
       
       そこで私は「びっぐごーれむ」「とるねーど」を次のように変更したのです。


      びっぐごーれむ
      消費3 行動
      【使用済】機巧(全全):あなたの終了フェイズに相手のライフに1ダメージを与えてもよい。そうした場合、山札を再構成する。
      【使用済】あなたが《全力》カードを使用した時、その解決後に基本動作を1回行ってもよい。

       

      とるねーど
      行動/全力
      機巧(攻攻):相手のオーラに5ダメージを与える。
      機巧(付付):相手のライフに2ダメージを与える。

       


      バランス調整チームへの受け渡し

       

       これらの質問への答えを踏まえてカードリストを作り、楽しさを確かめました。ことクルルにおいて、この部分は簡単なものでした。すでに上手くいっており、楽しいと分かっているものを再確認するだけでしたので、すぐに合格となったのです。
       
       そして私どもデザインチームは、個々の戦略が強すぎるかどうかはさほど見ず、楽しさが保たれているかどうかに専念しました。なぜかと言えばその時点でバランス調整チームの発足が確定していたからです。
       
       このタイミングは2017年9月。ちょうど『第二幕決定版』に向けた調整が行われていたころです。バランス調整チームはこの調整を通して仮運用され、『第二幕決定版』発売後から本格的に『新幕』のテストを開始したのです。

       


      4ターンでお前を消す方法を思いついたぞ!

       

       

       バランス調整チームの運用はこうして始まりました。最初の時点ではまずは10ライフと離脱、そしてパワフルな(ええ、結果として印刷されたものと比べてもさらにパワフルな)カードプールへと慣れることに苦心するとともに、バランス調整チームはその過程を大いに楽しんでいました。
       
       さらに素晴らしいニュースもあります。前篇と中篇で『第二幕』のプレイテストでは「クレイジーな発明家」は私一人しかいなかったため、ほぼ一人での調整を強いられたとお話ししました。しかし『新幕』でのバランス調整チームには大変ありがたいことに、そのような発明家が私以外に2名も所属していたのです。
       
       しかし時は流れメンバーが『新幕』に慣れてきたころ(『第二幕』でも実は「びっぐごーれむ」と「とるねーど」が強力だったことからも分かる通り)、このカードプールに眠っていた愚かな地雷はマッドサイエンティストたちにより発掘されることになります。。
       
       ある日、一人のプレイテスターが(まさにクレイジーな発明家らしく)笑いながらデッキを用意して現れました。そのデッキはこの上なくヤバい代物でした。メガミはヒミカ/クルル。詳しい説明は省きますが、第2ターンと第3ターンと第4ターンに3ダメージを与えるデッキです。当たり前ですが残りライフは1ですので、その時点で再構成ができないため相手は蒸発することになります。
       
       こうしてクルルは当然の如く、調整が求められることになりました。

       


      コンボオンリーからの脱皮

       

       私どもは最初、「びっぐごーれむ」と「とるねーど」の機巧条件を厳しくする形で調整を試みました。具体的には「びっぐごーれむ」には対応が追加され、「とるねーど」のライフ2ダメージは行動2つと付与2つという機巧条件になりました。こうして先程のデッキは機能しなくなり、世界には仮初の平和が与えられました。
       
       しかしこのカードプールに埋まっていた地雷はひとつだけではありませんでした。流石に先程のデッキよりはましではありますが、愚かな事態を引き起こしそうなデッキは次々と発見されていったのです。
       
       そしてその「愚かな事態を引き起こしそうだけど自明に愚かではない」デッキが大丈夫かどうかテストしつづけ、その結果を観察した結果、もうひとりの発明家から大きな提言がなされました。クルルは『第二幕』でも相性への依存が比較的大きいメガミでしたが、今のクルルはその依存が大きくなりすぎているというのです。
       
       それはデータからも明らかでした。それらのやばそうなデッキはユリナ/オボロなどのビートダウン的なデッキとぶつかると大体は粉砕され、実際は適正にも見えます。しかしこれらのマッチアップはプレイテストにおいてはある程度恣意的に作られています。
       
       問題となるのはコントロール的なデッキとのマッチアップです。その時点では「えれきてる」にも若干の上方修正があった点も含め、行動カードによる不可避かつ正確なダメージクロックにより、それらのデッキはクルルとマッチングした時点で自動的に敗北するのです。
       
       本作のような非対称の対戦ゲームにおいて、キャラクター間の相性は存在して然るべきです。しかしながら、それが行き過ぎてしまうのは問題です。少なくとも、見た時点で決着してしまうようなマッチアップは可能な限り少なくする必要があるのは確かでしょう。
       
       そこで私どもはクルルに抜本的な改革を行うことにしたのです。当時のクルルは綿密な事前準備によってクレイジーなコンボを成立させ、凶悪なダメージを打ち込むメガミになっていました。しかし、コンボがここまで強力だと先述した相性上の問題が発生します。
       
       他方でコンボを単に弱めると、今度は宿す価値のないメガミが誕生します。ビートダウンには10割勝てず、コントロールには五分ではゴミもいいところでしょう。そこで私どもは「えれきてる」や「とるねーど」のダメージ水準を昔の形に戻し、その代わりにクルルにはトコヨやシンラに代表されるようなコントロール的な立ち位置を幾ばくか与えることにしたのです。
       
       こうすることでビートダウンに対してはコントロール的なカードでいなすことで猛攻をしのぎ、コンボを成立させていくチャンスが生まれます。同時にコントロール側もコンボから刻まれる打点が緩和されるため、対処するチャンスが生じるようになるのです。
       
       しかし、メガミの間の差別化は意識しなくてはなりません。クルルがコントロールの要素を持つとはいえ、トコヨやシンラと近すぎる方向の内容とすると没個性へと繋がります。同時にクルルらしく、奇妙である必要があります。さらに注意点としてコントロールのダメージを妨害し過ぎない必要もあります。コントロールのデッキが攻める際は連続攻撃はあまり行わない傾向にあるため、逆に連続攻撃に対して強いデザインであるのが好ましいでしょう(但し『第二幕』の「音無砕氷」はダメです)。
       
       そのために開発されたのが『新幕』における「くるるーん」と、新たなカード「りふれくた」です。実際にプレイテストした結果、これは期待した通りの影響を与えていました。こうして、クルルはクレイジーなコンボだけではなく、新たな武器をもって『新幕』の舞台へと降り立ったのです。

       

       


      これまでの1か月半を踏まえて

       

       こうして『新幕』は無事に発売し、そして1か月半の時間が流れました。折角ですのでこの記事ではこの1か月半を踏まえた今の見解も気になる所です。
       
       しかしこの辺りを深く語ろうとすると、今のゲームバランスやカード更新にまつわる話まで踏み込むことになります。今回の主題からは外れますので、ここでは軽く触れる程度にとどめておきましょう。こちらは今後のカード更新に関する記事でお話しさせて頂きます。
       
       特に厄介なことに、クルルは他のメガミと比べて本質をつかみづらいメガミです。「第二幕」の際にも最初のフィードバックは「弱い」という意見が多く(実際はかなり強力なメガミでした)、あらゆる構築の全体像が見えるまでには実に半年近い時間がかかっています。それゆえに、今の時点で『新幕』で見えている物事が真実とは限らず、ことクルルに対してはより慎重な態度であるべきなのです。

       

       その上で今の環境に触れるならば、コンセプトは上手くいったように見え、良い魅力が出ているとうれしく思っています。全体的に、かなり成功しているのは間違いありません。
       
       しかし他方で、少しばかり上手くいくのが早すぎることに対して強く警戒しています。今後のカード更新において、クルルを改めて見つめ直す必要性は生じるだろうとも予見でき、その他の改善点の影響も踏まえると併せてすぐに更新すべき個所もあるだろうと考えています。しかし他方で先述の通り、総合的には慎重な態度で検討するべきなのは確かでしょう。

       

       

       これにて3回に渡るクルル特集は閉幕となります。正直なところ、『新幕』開発で最初に語らなければいけなかったのがこいつだったことには頭痛を禁じえませんでしたが、どうにか面白いお話ができていれば幸いです。
       
       次回の更新は明日。短い記事ではございますがプレリリース大会についてお知らせいたします。

      舞台は大阪、大規模大会に挑戦しよう!

      2018.06.22 Friday

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        炎熱の大交流祭で、今こそ燃え上がろう!

         

         こんにちは、BakaFireです。本日はクルル特集の中篇を更新いたしましたが、もうひとつあなたのお耳に入れておきたいことがございましたので、追加の記事を書かせて頂きました。何度か当ブログでも触れておりました、シーズン1を締めくくる大規模大会についてです。
         
         初めてご覧になった方のために、もう少し説明いたしましょう。本作はある製品が発売してから、次の製品が発売するまでの間を1シーズンと定めています。そしてシーズンの間で拡張によるカードの追加、既存カードの更新、禁止カードの解除(これらの理念は詳しくはこちらをご覧ください)が行われるのです。
         
         そして現在は『新幕 基本セット&達人セット』の発売から『新幕 第壱拡張』の発売までという、シーズン1の途中というわけです。
         
         私どもは各シーズンの終盤に、そのシーズンを締めくくり、頂点を決めるための大規模大会を1回は開催します。それらの大会は関東以外の地方で開催される見込みです(シーズンによっては全国大会を開催します。そちらは全国で予選が開催され、本戦を関東で開催します)。
         
         本日お知らせするのはシーズン1の大規模大会です。そして『新幕』シリーズ最初の覇者を決める決戦の舞台は、大阪となります。
         
         経緯、背景についてはこんなところでしょう。それでは続けて、イベントの概要を紹介いたします。
         

         

        炎熱の大交流祭

         

        日時:2018年7月28日(土) 11:40〜20:00 (11:00開場)
        会場:難波御堂筋ホール ホール8A
        バージョン:新幕
        参加費:500円
        定員:128人
        当日受付:有(予約を強くお勧めします
        レギュレーション:三拾一捨、5回戦+決勝トーナメント

         


        真剣勝負のレギュレーション
        三拾一捨を楽しもう!

         

         本大会では普段よりも実力が試されるレギュレーション、三拾一捨が用いられます。『新幕』で新たに本作に触れ、初めて見たという方もいらっしゃると思いますので、説明いたします。
         
         三拾一捨では当日の受付に際して、メガミを2柱ではなく3柱申請して頂きます。そして各試合において相手の3柱を確認し、お互い秘密裏にその中から1柱を取り除くのです。その上で同時に公開し、残った2柱で対戦します。
         
         この構造ゆえに、普段の大会では見なかったようなマッチングも頻発します。より多様な対戦に対応する実力が試される戦いになるのです。
         
         こうして聞くと厳しそうに感じるかもしれませんが、ルールが複雑ということはありません。多彩なマッチングに触れあえる、楽しさという点でも魅力的なレギュレーションですので、ぜひともこの機会に挑戦してみて頂けると嬉しい限りです。
         

        定員は本作初の128人規模!

         

         定員は本作初となる128人規模となります。ここまでの拡大ができたのも、ひとえに応援して頂いている皆様のおかげです。この場を借りてお礼申し上げます。この勢いを維持していくためにも、是非とも今回もご参加いただけると嬉しい限りです。
         
         128人とはいえ、7回戦をやるには本作は厳しいものです。そこで今大会は5回戦の上で、上位4名による決勝トーナメントを行います。決勝トーナメントの前に上位表彰式は行いますので、それ以降は観戦をお楽しみいただくもよし、フリー対戦を行うもよし、お時間が厳しい場合はお帰り頂いても問題ございません。


        交流祭形式なのでドロップもOK!
        カジュアルにも楽しめます。

         

         こうして聞くと真剣勝負すぎて苦しく感じる方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。交流祭形式を採用しておりますので、各試合の間に自由に大会を離脱し、フリープレイに移ることができます。最も魅力的に感じるやり方で、本イベントを自由にお楽しみください。


        覇者にふさわしいゴージャスな賞品もございます。

         

         そして大規模大会では普段の大会と違い、よりゴージャスで魅力的な賞品も用意しております。紹介しましょう。
         
        上位賞(4勝1敗以上)

        • プロモーション集中力カード:シンラ
        • 限定アクリルフィギュア:ヒミカ

         

        ベスト4

        • 上位賞の内容
        • 任意のプロモーションタロット1枚

         

        優勝

        • 上位賞の内容
        • 全てのプロモーションタロット1枚ずつ
        • 全てのプロモーション集中力カード1枚ずつ
        • TOKIAME先生描き下ろし色紙

         

         限定アクリルフィギュアは大規模大会でしか手に入らない特別なものです。ちびメガミが描かれ、背面では世にも珍しいメガミの後姿を見ることもできます。毎回の大規模大会で異なるメガミとなりますので、そのメガミが入手できる機会は極めて限られます(もしかしたら未来で復刻はあり得ますが、大規模大会の上位という条件は変わりません)。
         
         プロモーション集中力:シンラは大規模大会の上位賞です。変更の予定はなく、大規模大会上位の証と考えてください。
         
         大規模大会での勝利は過去のプロモーションタロットを入手する大チャンスでもあります。ユリナ、ヒミカ、トコヨ、オボロ、ユキヒ、シンラのいずれも可能です。特にユリナ、オボロ、シンラは今後はこの方法以外では入手はできません(ヒミカ、トコヨ、ユキヒは復刻の可能性はありますが、いずれも大会の優勝賞品という形になります)。
         
         そして見事優勝した暁にはこれらすべてに加え、TOKIAME先生描きおろしの色紙をお贈りいたします。
         
         
         以上となります。大規模大会は本日より申し込みが開始しております。こちらのフォームに必要事項を記載し、お早めにお申し込みいただければ幸いですあなたのご参加、心よりお待ちしております!

        狂気カラクリ博覧会(中篇)

        2018.06.22 Friday

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          イカれたカラクリ開発秘話

           

           

           こんにちは、BakaFireです。今回の記事はクルル特集の中篇となります。前篇をまだお読みでない方は、こちらから読まれることをお勧めします

           

           このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は新シリーズ第2回にして累計第7回となります。

           

           前篇ではメガミ・クルルに関する歴史を説明し、彼女のキーワード「機巧」が生まれるまでの話をしました。中篇では『第二幕』での個々のカードに注目し、それらを通して彼女を語ります。『新幕』にまつわる話は後篇に行いますので、それまでお待ちください。

           

           

          カードの何に注目するか

           

           やり方もこれまでのものを踏襲します。以下にてまとめましょう。

           

          • カードの歴史と評価に注目する
          • 歴史とはカードが生まれた経緯を指す。
          • 歴史においてルールの変化が重要ならばそれも語る。
          • 評価はゲームにおける魅力、バランスの適切さ、メガミの気質の体現性の3点を見て行う。
          • 現在問題視している箇所や、カードへの否定的な見解も書く(出版から時間が経ち、皆様からのフィードバックを頂くと至らなかった点も見えてくるのです)
          • 否定的に書き、修正を匂わせたとしても、修正を急ぐつもりはない。


           クルルへの反省点は、とても驚くべきことに小さなものです。これほど難解なメガミを、しかもたった一人でプレイテストする羽目になったにも関わらず、僅か1枚の調整で済んだ(いや、当然調整は望ましいものではなく反省すべきではあるのですが)のはむしろ奇跡的です。

           
           

           

           えれきてるが正しい意味で生まれたのは機巧というキーワードが誕生したのと同時でした。前篇で機巧のアイデアが浮かび、そのまま次のプレイテストに向けてカードリストを作り直したと書きましたが、その際のリストに最初から存在していたのです。
           
           最大の目的はクルルに独自性のある勝利手段を与えることでした。クルルのターゲットである「クレイジーな発明家」は(ほかならぬ私自身を含め)型にはまることを嫌います。それゆえ、勝ち筋もまた異常であるべきなのです。
           
           本作は「間合を合わせて攻撃し」「ダメージを与える」ゲームです。そこで私は、そろそろ1柱くらいは前者の型を完全に壊してもよいだろうと考えたのです。つまり、攻撃でない手段でライフにダメージを与えます。
           
           もちろん、無条件でライフにダメージを与えられる行動カードを作るのは明白に危険です。しかしその点でもクルルは完ぺきでした。まさに今、機巧というキーワードが誕生し、それを用いたカードを作っているところなのですから。
           
           そこで併せて素晴らしいアイデアが浮かびました。クルルは一切の攻撃カードを持たないようにするのです。こうすれば明らかな異常性を強調でき、さらにこの勝ち筋をプレイヤーに分かりやすく伝えられます。同時に攻撃カードを使うことを露骨に難しくでき、機巧の調整がやりやすくもなるのです。
           
           最後に考えるべきなのは機巧が求めるカードタイプをどのようにするかです。ここまでで、攻撃に頼らずに勝つというコンセプトは明白なので、攻撃は条件に入れるべきではありません。むしろ、攻撃は強いカードタイプなので攻撃カードをできるだけ入れないようにしたいという感情を呼び起こすべきです。そこで逆に、数多くの行動カードを求めるようにしました。このように調整することで、攻撃でなく「えれきてる」で勝つという戦略を力強く推進できるのです。
           
           続けて、そういったカードはどんなデッキに入るのかを考えてみました。まず考えたのが対応カードを用いるコントロールのようなデッキです。トコヨの「梳流し」は分かりやすい類似例です。このカードも相手のオーラを無視できるため、幾ばくか近い側面があるのです。
           
           しかし当時の時点でトコヨの強さから(やや過小評価していましたが)「梳流し」への危険性も感じていました。ゆえに、対応カードをふんだんに盛り込んだコントロールデッキが「えれきてる」を用いることには危険もあると感じたのです。
           
           ですが驚いたことに、機巧の便利さは私の予想を超えていました。それこそ対応を機巧の条件にしてしまえば良いのです。対応カードを捨て札や使用済の切札にするということは、そのカードで対応できないということを意味します。結果として「えれきてる」を撃つ瞬間には対応を構えづらく、隙ができるのです。
           
           こうしてクルルの勝利手段として、まずはルールを破るダメージ手段が発明されました。驚いたことにカードリストに入ってから、一度も変更されませんでした。

           


           

           

           クルルの初期妄想の時点で「全力を全力でないタイミングで使用できるようにする」カードは存在していました。前篇でお伝えした通り、ルールを破りクレイジーなことをすると同時に、他のカードへの依存性が高いこのカードは発明家にとって最高のおもちゃです。
           
           しかし機巧が生まれるより前にはバランスの問題より、実装できていませんでした。「クイックドロー」は原初札として(カードを引かなければ)そこまで強力な方ではありませんが、無条件で存在すれば明らかにゲームを破壊します。
           
           それについても機巧の発明が解決してくれました。機巧を適切に調整できれば、このカードも問題なく実現できるのです。
           
           それでは、どのような機巧条件にするべきでしょうか。この手のクレイジーな効果で第一に考えるべきなのは、この効果を悪用した際に最も凶悪となる状況です。私は連続攻撃の中に全力攻撃を混ぜた場合だと判断しました。「斬」「一閃」「居合」が1ターンの間に全て飛んできたら悲しいことに人は死にます。
           
           これについてはクルルが攻撃カードを持たないという構造から、かなり緩和されています。そこで私はそれに加えて、機巧条件で行動や付与を要求することでタイミングを抑止しつつデッキ構築にも縛りを加え、危険性を抑止したのです。

           


           

           

           このカードは機巧よりも昔、初期のカードプールから原案が存在していました。ご覧いただきましょう


          行動/対応
          【常時】このカードは対応でしか使用できない。
          カードを2枚引く。

           

           本作で「カードを引く」効果には大きな危険性があります。理由は2つあります。1つは通常札が追加のコストを要求しないこと。もう1つは山札が7枚しかないため、引き切りが容易であることです。
           
           それゆえにこの類のカードはヒミカ以外が持つことはできませんでした。しかし拡張も『第弐拡張』まで進んだ頃ともなれば、そろそろこの類の効果が再び作りたいところです。さらにフレーバーとしても良好です。本作のドローは刹那的な思考をイメージしているため、感情と紐付けられたヒミカが持っていますが、クルルが持つのもまた自然です。発明家は外因的な刺激で思考をスパークさせ、認識を拡張させるものなのですから。
           
           これはそういった経緯でデザインされ、問題を見事に回避していました。行動回数の増加にせよ、引き切りにせよ、動くべきターンに過剰な行動ができるから問題となります。対応でしか使用できないならばカードを引けるタイミングは相手に依存するため、相手はケアができるのです。
           
           そして機巧が導入された後もこのカードは残りました。実に奇縁なことに「対応でなければ使用できない」効果が機巧と絶妙な相性だったのです。
           
           クルルはある程度単独で機巧を揃えられる必要があるので対応カードを持つべきですが、他方で攻撃カードを持たないというコンセプトも存在しています。そうなると行動か付与の対応となるのですが、それらは攻撃と違い、いつでも使用できます。しかしそうすると安易に自分のターンに使用するだけで機巧条件が満たせてしまい、メガミを組み合わせる魅力に乏しくなってしまうのです。
           
           ところがこのカードであれば、使用できるタイミングが相手に依存するため、機巧を安易に揃えづらくなるのです。グッドデザイン!
           
           しかしある程度プレイテストをした結果、どうにもこの効果のままでは使い辛いと分かりました。対応で2ドローをすると山札が1枚以下になることが多く、次のターンの再構成で機巧を崩さざるを得ないのです。
           
           そこで効果を機巧にとってより便利なものにすることにしました。山札の序盤に引いたため、機巧カードを伏せ札にせざるをえないことはよくあります。そこでそれらを山札の底に戻し、使用できる機会を得られるようにしたのです。

           

           ちなみにもうひとつの効果はトコヨへの対策です。当時はトコヨが極めて強かったため、そこへと対策するカードを多くのメガミが持てるように進めていました。『第二幕決定版』調整でお分かり頂ける通り、私は後にそのやり方が誤りで、そもそもトコヨを弱体化すべきだったと判断を改めました。
           

           

           

           このカードは「えれきてる」と共に、攻撃に依存しない勝ち筋として設計されました。同じように「ライフにダメージを与える」「行動カード」となるため、それ以外のところで体験に違いを与える必要があります。そこで全力カードにして、さらに条件を付与2枚とすることで「えれきてる」との差別化を図りました。
           
           しかし全力カードとなると、これだけではやや力不足にも感じます。そこで別のルートとしてクルルで「攻撃カードで勝利するルート」を検討できるようにもしました。クルルの全てがクルル中心で組むわけではありません。組み合わせた際に他のメガミを中心として戦える余地を残した方が構築の幅が広がり、魅力的なのです。
           
           クルルと組んで攻撃する際の問題は、攻撃の枚数が足りないため十分に相手のオーラをはがせないという点にあります。そこで、オーラへと5ダメージを与えることでその問題を解決するのです。
           
           これに近い効果はユキヒの「ふりまわし」が行っていますが、あれには間合制限があり、さらに対応も可能です。両方の弱みを払拭したカードを安易に作るのは、当然ですが危険です。
           
           しかしここでも機巧が巧妙に解決しました。攻撃2枚を条件とすれば、「とるねーど」でオーラを空けて、そこから滑らかに攻撃を連打する動きは極端にやり辛くなります。同時に攻撃カードが必要だと強調され、このカードがどういうカードなのかというメッセージが強まります。
           
           これも驚いたことに、機巧導入時の最初のデザインから一度も変更されませんでした。

           

           

           

           前篇でお見せした通り、「切札を未使用に戻す」カードは駆動ギミックにおいても、クレイジーな発明家を興奮させる意味でも重要と考えていました。問題はバランス調整のやり方です。とりあえず全力にしておくのは初めから確定しており、そこにどのような制限を付けるかが問題でした。
           
           機巧がデザインされた後は単純にあらゆる切札を未使用に戻せるようにして、機巧条件を正しく設定すれば十分だと考えました。そこで考えるべきなのは「あくせらー」と同様、一番やばいのはどういう時かということです。
           
           まず私は全ての切札を見直し、何が未使用に戻るとヤバいのかを検討しました。様々なロマンティックなアイデアが浮かぶ素晴らしい時間でしたが、ダントツでヤバいのは明らかに1つでした。「大破鐘メガロベル」です。
           
           本作において回復する効果は強力です。消費3の切札を何度も使うのは簡単ではありませんが「大破鐘メガロベル」は例外です。なぜならダメージでライフはフレアへ移動するため、実質的に消費は1なのです。
           
           もうひとつヤバそうなのは「あくせらー」との組み合わせです。明らかに危険なカードであるため全力にして隙を生むようにしているのに、これらと安易に組み合わせられるのにはリスクがあります。この2点を鑑みて機巧条件を考えるべきなのは間違いありません。
           
           まず、より危険な前者から始め、ハガネのカードプールを慎重に観察しました。そこでかつてのハガネのデザインは良い方向に働きます。彼女は対応カードを持っていないので、対応を条件にすればよいのです。さらに彼女の攻撃カードも「砂風塵」以外は使い辛いことにも気づきました。ゆえに攻撃を条件に加わります。
           
           ありがたいことに、後者も自動的に解決しました。「あくせらー」と一切の条件が重なっていないので、組み合わせた動きがやり辛いのです。もしそうなっていなかったら、「あくせらー」の条件をいじる必要があったでしょう。
           
           これらを踏まえ、私はハガネ/クルルを検証しました。これは実に楽しく、他にない体験であり、私はこのデッキの大ファンになりました。あるゲームでは合計12ライフを稼ぎ出し圧殺した一方で、他のゲームではなんだかんだ負けたのです。機巧条件は完璧でした。どうにかデッキが成立する一方で決断をプレイヤーに求めていました(例えば、安定して対応を揃えるには「どれーんでびる」が必要ですが、そうすると他の入れたい切札を諦めねばならないのです)。
           
           しかし、本当にこれで大丈夫と私は確信できませんでした。これはまさに、ヤバそうでヤバくないかもしれない少しヤバいデッキだったのです。また、これがデッキとして成立してほしいとは心から思う一方で、環境上位の強さには絶対になってはいけないと確信していました。これはゲームを遅延させて相手を怒らせて勝利するデッキであるため、使われる側がひどく不快になる恐れがあるのです。
           
           そのような状況のまま悩み続けていた中、私は別の問題にも気が付きました。「大破鐘メガロベル」を戻す分には強みがある反面、他のどれを戻してもかなりのゴミなのです。「完全論破」「滅灯の魂毒」などロマンを感じる構築を試しましたが、どれも苦労には見合っていませんでした。これではカードのデザインとして失敗です。
           
           私は考えに考え、巨大な結論にたどり着きました。未使用に戻すという挙動を辞め、消費を踏み倒して切札をその場で使用できるようにすればよいのです。「完全論破」にせよ「滅灯の魂毒」にせよ、4や5という重い消費をもう1度支払うから無理が生まれます。ならばそこを解決すれば、様々なロマンが現実的になります。
           
           そしてこのアイデアは無限メガロベルデッキへの懸念も払拭しました。メガロベルの消費を踏み倒すようにすると、桜花結晶がフレアへと滞留するようになります。こうすればメガロベルによりライフにするダストを不足させられるようになり、相手としても対処の余地が広がるのです。
           
           すばらしい解決手段は、複数の問題を一度に解決するものだとどこかで聞いた覚えがありますが、これはまさにそれです。こうして長い苦闘の末、このカードは完成したのです!

           

           

           

           機巧導入より前は「かさまわし」に近い効果で、切札が未使用に戻るたびに手札から見せることで、基本動作を1回行えるカードでした。
           
           機巧導入時は一時的に姿を消しました。しかし、しばらくしてこの類の効果がなければクルルは余りにも苦しいということに気が付きました。クルルは機巧を完成させるためにカードを使用しなくてはなりません。逆に言えば、基本動作をするためにカードを伏せ札にし辛いのです。いずれの基本動作もリソースを確保するには重要で、クルルはリソースを必要とします。そうなれば、この効果が帰ってくるのは必然でしょう。
           
           元のデザインと同様、歯車がかみ合うような感覚を補強するため、何かを条件に誘発する効果にするべきです。しかし駆動条件は多用すべきでないとすでに結論付けられていました。それでは問題は、何に誘発すべきなのかどうかです。
           
           そこで私は、機巧がカードタイプ、サブタイプに注目していることに気付きました。つまりクルルは全体としてそれらの情報に注目するメガミなのです。ならば、これまで注目されたことのないタイプを強く見るというのはどうでしょうか。
           
           攻撃は数多くのメガミが気にしており、またクルルと相反しています。付与はシンラが注目しており、対応はトコヨが注目しています(当時はヤツが健在だったのです……)。残りは行動と全力で、どちらもクルルの個性には合っていそうです。そこでこのカードでは行動カードに注目し、全力は別のカードに任せることにしました。
           
           カードとしては最高に上手くいき、気持ちの良い出来でした。クルルのリソース不足も解決し、実に魅力的なカードとなったと言えるでしょう。
           
           さて、ここからは発売後の話です。デザインとして多くの面で成功した「もじゅるー」でしたが、他方でクルルのカードの中で唯一カード調整を必要とした失敗談を抱えたカードでもあるのです。
           
           この手の話題の時は自戒と反省を込め、当時の感情を振り返るのが常ですが、しかしどうにもこのカードを悪く言うのは難しいものなのです。ひとつ、ひどく感情的な昔話をお許しください。
           
           今でこそ『第弐拡張』は『第一幕』『第二幕』シリーズにおいて最も成功した拡張だと確信していますが、発売直後はフィードバックにひどく苦しみ、精神的にナーバスになっていました。サリヤに対しては「強すぎる」、クルルに対しては「弱すぎる」というフィードバックが届き、私はチカゲの時のようなひどい失敗を繰り返したのではないかと不安で夜も眠れませんでした(マジで眠れませんでした)。
           
           私が救われたのは、発売翌週の大会です。そこにひどく病みながら視察に行った私は、プレイヤーたちが楽しげにクルルを回しているのを見たのです。環境がサリヤ一色でひどいものになっているという覚悟に満ちた予測も外れました。サリヤは適度にしか支配的でなく(実際は適正な強さでした。その辺の話は未来のサリヤ特集にて)、またクルルを用いたデッキが強豪プレイヤーの操るサリヤを打ち破っていたのです。
           
           いやまあ、そのデッキこそが後に修正を要した「無限音無」デッキなのですが。まあそんなわけで、私は感情的にあまりこのカードを悪く言うことはできないのです。
           
           この失敗は『第二幕決定版』調整で認め、修正しましたが、その修正もまたとても気に入っています。危険な動きを抑止する一方で上方修正でもあるため、プレイヤーがワクワクするものだったのです。今後に『新幕』で行われるカード更新も、可能な限りこのようなものにしていきたいと強く考えています。

           


           

           

           クルルの移動カード枠です。間合を「6−間合」にするという効果は最初から存在し、一度も変更されませんでした。このカードによる間合の体験は実に奇妙で、クルルらしいクレイジーさがあったのです。
           
           しかしゲームバランスの面では厄介でした。最初は単なる付与でしたが、しだいに悪用のやり方が多く、条件がないと強すぎると分かってきました。そこで切札にしてみたり、機巧条件を付けてみたり様々な変遷を経て、最終的には今の形に落ち着きました。
           
           『第二幕』がひと段落した今となって見直してみると、このカードはクルルの中で一番の失敗だと考えています。効果そのものに独自の魅力はあるのですが、クルル自身は攻撃を持ちません。機巧条件もうまいものではなく、間合を合わせる方向でこのカードを活用するのが難しすぎました。そして最終的に『新幕』では取り除かれることになります。
           
           いつの日か、きちんと攻撃カードを活かせる形で帰ってくると信じています。その時にクルルのカードであるかどうかは分かりませんが。

           


           

           

           クルルの戦略を想定し、必要性を計算してデザインしたカードです。このカードもまた、機巧導入時に誕生し、一度も変更されませんでした。
           
           まず、切札のサブタイプ対応という位置づけからスタートしました。前篇で語った通り、機巧における切札は拡大再生産のような側面があります。クルルのいくつかのカードは対応を求めるため、それを切札から提供できるという選択肢は魅力的なのです。
           
           次に戦略的意義を考えます。対応を必要とする以上、分かりやすいのは「えれきてる」です。このカードを用いる戦略はややコントロール的なものです。しかしその戦い方には欠陥があります。長期戦となりやすいくせに攻撃を行わないため相手のオーラをダストに送れず、ダストを枯らされることによるリソース不足に陥ってしまうのです。
           
           それを解決するには、相手側からリソースを奪うような効果が必要です。そうなれば、その行き先が自分のオーラとなるのは必然でしょう。対応として相手の攻撃を受け止めるにも使えるため、対応カードらしさが増すのですから。
           
           しかしコントロールで使うとなると、複数回使えなければ意味がありません。他方で再起を付けるのは拡大再生産というコンセプトに沿っていません。考えた結果、以前のコンセプトだった駆動ギミックをこの位置に導入することにしました。結果として大成功でした。クルルらしい誘発効果にしたことでこのカードがより大きなシステムの中で働く、絶妙な部品として感じられるようになったのです。

           


           

           

           機巧導入してから、しばらくの時を経て生まれたカードです。先述の通り「もじゅるー」は行動カードに注目し、クルルは行動と全力に注目するのが魅力的だろうと判断したため、併せて全力に注目するカードとしてデザインしたのです。
           
           まずは全力2つを機巧条件として、終了フェイズに1ダメージを与える切札を考えました。しかし危険であることは明白であり、試すまでもありません。条件を満たした後で放置しておけばそのうち相手が死ぬからです。
           
           全力2つでダメージを与えるべきだが、その際に機巧条件が崩れる必要がある。そう考えれば答えはすぐに出ました。ダメージと同時に再構成をすればよいのです。こうして誕生し、誕生後は効果は変更されませんでした。
           
           もうひとつ、私はこのカードのバランスについて印象深く、同時に心に刻んでいるエピソードがあります。お話ししましょう。
           
           このカードはデザイン時点では消費は2であり、そして本当に最後、入稿の直前まで2でした。入稿前の最後に近いタイミングで私はひどく悪い予感をこのカードに感じ、消費を3に差し替えたのです。
           
           発売直後はこのカードはあまり活用されておらず、使い辛いという評価が多いものでした。そのため私は判断の誤りも感じ、少しばかり気に病んでいました。しかし発売から半年が経過して研究が進み、第二回全国大会を迎えた時、このカードを活用したデッキは環境を大きく揺らしたのです。
           
           結果として、消費を2で出してしまっていたら環境をひどく歪め、全国大会に悪い影響を与えていたかもしれません。その時に私は、上振れの可能性が大きく、使い手のリテラシーを強く求めるカードは、プレイテストの時点ではやや弱く感じる程度に調整すべきという学びを得ました。
           
           事実として当時、一人でクルルを調整していた時の私の勝率は悪いものでした。しかしこのカードを初めとして、プレイヤーの技術が熟練したら高い上振れを示す可能性を感じてもいました。こういう時はプレイヤーの創意を信じるべきです。そしてプレイテスト時点の私が勝てないからといって、安易に強くすることは避けるべきなのです。この点において結果論ではありますが、クルルはかなり高い水準で成功していました。

           


           

           

           「あくせらー」「りげいなー」など、クルルは他のカードに依存するとともに、クレイジーな効果を持つカードが導入されていることは、これまで語ってきたとおりです。このカードもまた、その1枚と言えるでしょう。
           
           機巧導入と同時に「あっぷぐれーど」というカードが作られました。使用すると手札のカードを封印するとともに、そのカードを強化したカードがデッキに加わるというカードです。例えば攻撃カードを封印したら、以下のカードが加わります。


          狂化攻撃    攻撃/対応
          0-10    1/1
          【使用後】「あっぷぐれーど」に封印された《攻撃》1枚を使用する。その《攻撃》は対応されない。その後、その《攻撃》を再び封印する。

           

           封印したカードを強化するという考え方には強い魅力を感じました。しかしその反面、このカードにはどことない失敗も感じていました。しばらく悩んだ末、原因は「あくせらー」とプレイ感が重なりすぎていることだと分かりました。このカードは全力カードを封印するのが明らかに強く、同じ結果になりやすいのです。
           
           そこでコンセプトをそのままに考え直し、カードを質でなく量で強化することにしてみました。そうしたらとても魅力的であると同時に、同じカードが1枚しか入らないというルールを破る点でクルルらしく、さらにはカードの量が増えることで機巧を揃える助けにもなりました。
           
           アイデアが固まってからは結果として変更されませんでしたが、バランス調整には頭をひどく悩ませました。
           
           やるべきことは「あくせらー」「りげいなー」と同じです。増やすとやばそうなカードを全てリストアップし、その中で特筆すべきものを検証するのです。プレイテストの結果、最終的には問題がないと判断しました。今この時に至るまでゲームは破壊されておらず、どうやら私の決断は正しかったようです。

           

           それともうひとつ、おもしろい小噺もしましょう。『第弐拡張』と『第参拡張』を同時にデザインしたことは失敗した面の方が多いのですが、このカードが「でゅーぷりぎあ」の名前を変更しないようにできた点では大成功に働きました。そうしていなければ、ホノカのデザインでは一悶着があったことでしょう。

           


           

           

           ストーリーにおいて極めて重要な立ち位置を持つ、ストーリー再現枠とも呼べるカードです。神渉装置という装置の本当の意味で細かい設定は物語の流れと共に、ストーリー部門の打ち合わせを通して決まっていきました。しかし神渉装置という装置でメガミの力を奪い、それを瑞泉が手にするという漠然とした流れはこの時点で決まっていました。
           
           それゆえにクルルをデザインする時点でカードプールに取り入れられることになります。最初は相手の使用済の切札を使用するだけのカードでしたが、今一歩力不足が感じられたことと、機巧が導入されたことより、相手の切札を見て、使用済にする効果が加えられました。これは本来の効果とも美しく相互作用するとともに、メガミの力を奪うというフレーバーにもかみ合うものです。
           
           私個人の思い出としてみると、この効果がついに印刷されたのは感慨深いものです。『第一幕』開発中のカードプールに何度か姿を見せたことがありましたが、当然ながら全て没になりました。機巧、それも特に難しい7枚必須という条件をもって、どうにかこの効果が適正なバランスになったのです。

           


           

           

           原初札は基本的には「メガミに挑戦!」で使用されるものです(メガミと挑戦者で対戦し、メガミ側は原初札を用いる代わりに1柱しか使えず、挑戦者は相手のメガミを見たうえで宿す2柱を選ぶ)。そのため、そのメガミ単独での戦いを実現できるようにデザインされます。特に通常札は、その戦いの円滑化が目的となります。
           
           クルルの単独での不足点は明白です。自分で攻撃と対応が捨て札に置けなければ、機巧が組み立てられないのです。それゆえ、攻撃/対応のカードであることはすぐに確定します。
           
           それ以上に強い決断が必要だったのは、「クルルに挑戦!」をどういうゲームにしたいのかどうかです。クルルの精巧に機巧を組み立て、綿密なプレイングを行うという側面を強調するならば、切札にも機巧条件を定め、難解なゲームを作ることになります。
           
           しかしそのようなゲームは「メガミに挑戦!」に、そしてクルルというキャラクターに求められていることでしょうか。そしてそのクルルを回せるプレイヤーは本当に存在し、それは楽しいものなのでしょうか。私はそれをNOだと判断しました。
           
           それゆえにクルルのゲームを破壊するクレイジーさを強調することにしたのです。メガミは13柱もいますし、精巧なゲームは他のメガミがやっています。何より、ふざけてしまってよいメガミはこいつくらいではないですか! ヒャッハー!

           


           

           

           原初札の切札も同様のコンセプトで作られますが、こちらは「刺激的で特殊な舞台を作る」ことを意識してデザインされます。「らんだまいざ」で語った通り、そういう指針で行くと決めたからには全力でクソゲーを作ることになります。
           
           最初に浮かんだのは「かおすすとーむ」でした。眼前構築でデッキに入れる通常札は7枚で、入れない通常札も7枚です。ならば、それを入れ替えてしまってもよいではありませんか(よいわけがない)!
           
           しかし問題があります。原初切札がそういう効果なのは相手にもわかっています。ならば、入れ替えられる前提でクソデッキを組むという選択肢が生まれてしまうのです。まあそれなら使わなければよいのですが、原初クルルで遊ぶのです。折角の原初切札を使わないなんて、つまらないではありませんか。
           
           そこで閃きました。「かおすすとーむ」が飛んでくるかどうか、使う側も使われる側も分からないようにしてしまえば良いのです(なにいってんだ)! 「かおすすとーむ」と比肩するクソカードをもう2枚作り、それら3枚からガチャをするクソカードを原初札にするのです!
           
           そういうつもりで作ったカードが「おめがぶれーど」と「完全態神渉装置」です。バランスを取ろうというか細い意志は見えなくもないですが、プレイテストはしていません。We Did't Playtest This at All!!
           
           
           今回はこんなところでしょう。来週は原稿作業の都合でお休みをいただきます。次回の更新は再来週、クルル特集の後篇でお会いしましょう!

          狂気カラクリ博覧会(前篇)

          2018.06.15 Friday

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             こんにちは、BakaFireです。本日の記事は好評のシリーズ、メガミ特集の7回目となります。このシリーズで取り扱うメガミはTwitterでのアンケートにて決められ、現在は第6回でアンケートした4柱を順に進めているところです。前回は1位であったチカゲ特集を行いましたので、今回は2位のクルル特集となります。

             

             

             ここしばらく、新幕関連でとても忙しかったためシリーズが滞ってしまいましたが、めでたく今週は書くことができました。お待たせしてしまった皆様にはお詫び申し上げます。
             
             これまで行ってきたトコヨ特集オボロ特集サイネ特集ヒミカ特集ハガネ特集チカゲ特集を踏まえた内容でもあります。お時間がありましたら、これらのシリーズもご一読いただけると嬉しいです。
             
             それでは、さっそくはじめましょう!

             


             
             
            流れについていろいろ考えましょう

             

             どのようにメガミを語るかどうかのやり方は、概ねこれまでと同様でよさそうです。つまり、次のようになります。
             

            • 前篇ではメガミの歴史を語り、後篇では個々のカードを語る。
            • 第一幕での六柱を語る際は、本作そのもののゲームデザインと紐付けて語る。

             
             しかし、今回は新たに考えるべきところが2つありますので、まずそれらについて触れておきましょう。
             
            初めてとなる『第弐拡張』出身のメガミである

             

             これについてはハガネ特集、チカゲ特集と同様に取り扱えばよいでしょう。つまり、歴史的な話をするにあたっての時間がずれるのです。クルルのデザイン、バランス調整を行ったのは2017年2月から6月頃となりますので、その辺りの話をすることになります。
             
            すでに『新幕』が発売している

             

             これをどう語るべきかは難しいところです。考えた結果、これまでの前篇後篇から三部作に変更し、後篇では『第二幕』から『新幕』に向かうに当たってクルルにはどのような取り組みが行われたかと、『新幕』のカードリストへのコメントを行うことにしました。
             
             つまり前篇と中篇は『第二幕』での話が中心になるということです。『新幕』から新たに始めた皆様は、昔話の一つとしてお楽しみいただければ幸いです。
             
             
            くるるーん、ひらめきましたっ☆
             
             彼女はどこから生まれたのでしょうか。結論として言うと、ある日突然頭の片隅から生まれ出たのです。もちろん、どんなメガミも究極的にはそういう話なのですが、彼女はそれにしても極端でした。
             
             時は2017年1月頃、ハガネとチカゲの調整をしていた時の話です。ぼんやりと何かしらを考えていた私の脳内に、何かが語りかけてきたのです。


            「切札が未使用に戻った時、何かいいことが起きたら気持ちよさそうじゃない?」
             


             そのささやきを聞いた私は全力で同意しました。これは私のプレイヤーとしての気質にもかみ合ったためでもあります。私は対戦型のカードゲームにおいて、コントロール的な立ち回りを好みますが(ゆえにトコヨもまたゲームを遊ぶという側面において私のお気に入りのメガミです。ええもちろん、キャラクターとしては全員大好きですよ)、それと同じくらい奇天烈で、カード同士の相互作用を意識したコンボデッキが好きなのです。
             
            (その反面、素直に盤面を取り、殴り合う戦略は苦手です。この気質は厄介なものです。ゲームは王道の戦い方がちゃんと強く、魅力的である必要があるため、私は自分が好む戦略が強くなりすぎないよう、欲望を慎重に制御する必要があるのです)
             
             そして私は妄想に入りました。コンセプトのアイデアが浮かぶと妄想し、カードのアイデアを広げていくのはいつものことですが、この妄想はあまりにも捗りました。そしてその中で切札が未使用に戻ると同時に様々な事柄が誘発するのは極めてシステム的であり、カード1枚1枚が歯車のようにかみ合っていることに気付いたのです。
             
             この感覚から、彼女はカラクリを操るメガミであると確信しました。そしてあまりにこのアイデアを気に入ったために、この時点で『第弐拡張』へと彼女を入れることは私の中で確定していたのです。
             
             折角ですので、その頃のカードをいくつかお見せしましょう。


            すとーむ        攻撃
            2, 5    2/1
            【常時】駆動―あなたが切札を未使用に戻した時、このカードが捨て札にあるならば、このカードを使用する。

             

             このころはまだ攻撃カードが存在していました。また、サリヤで実現した離散間合の攻撃が最初はここに存在していたのは興味深いところです。


            りぱるさー        行動/全力
            あなたのコスト3以上の切札を1枚選び、それを未使用に戻す。

             

             切札を未使用に戻すことに意味があるため、当然そのためのカードは存在します。


            ほっぴんぐすてっぷ        行動    3
            【使用済】あなたの基本動作に「跳ね:ダスト→間合」を追加する。
            再起[あなたが山札を再構成する時、その直前にこのカードを未使用に戻す]

             

             同時に自身の切札は未使用に戻るような機能を持っています。しかし、未使用に戻すことをデメリットとしても働くようにしていました。また、同じくサリヤで実現した追加基本動作のアイデアはここから始まっていました。
             
             
            さあ現実へと帰る時だ
             
             時は流れ、妄想の時間は終わりました。2017年2月。いよいよ『第弐拡張』と『第参拡張』のデザインが始まったのです。『第参拡張』での大きな失敗でお話ししたように、これら2つの拡張は印刷の都合から同時期にデザインされていました。
             
             こうなると、いつまでもキモい表情でにやにやと妄想しているわけにはいきません。現実へと帰って、きちんと機能するカードリストを仕上げる必要があります。私はクルル、サリヤ、ウツロら3柱の原型を作成し、プレイテストへと臨みました(ホノカの原型はアイデアがまとまっておらず、それから数週間後にデザインされています)。
             
             ハガネとチカゲ、つまり第壱拡張での学びから、私はあるメガミをデザインするにあたり、彼女を宿すプレイヤーにどのような体験をさせたいのかを強く意識するようになりました。例えばハガネならば力を溜めて、ドカンとパワフルな一撃を撃ち込みたい。チカゲならば毒で相手を苦しめたいという具合です。それらの体験の意図を意識することで、気質のあったプレイヤーの満足度向上を図ったのです。

             

             ではクルルはどうあるべきでしょうか。その答えは誰よりも簡単でした。なぜなら他ならぬ私にそのような気質があるのですから。その類のプレイヤーは発明品を通して自己表現をすることを望んでいます。「ワシの新しい発明品を見せてやろう……!」とかそんな感じでにやにや笑いながら出現したいのです。つまりはクレイジーな発明家になりたいのです。

             

              その基本を踏まえ、掘り下げましょう。発明家はどのような時に心を震わせるのでしょうか。普通でないイカれたことが実現できること、そしてカードが部品として働くことが条件だと私は考えました。

             

             前者は簡単です。クレイジーでこれまでにない効果を実装すれば良いのです。例えば切札を再利用したり、全力カードを全力でないタイミングで使えたりという具合です。

             

             後者について説明しましょう。カードを部品として感じさせるとは、カードがデッキの一部であり、そしてデッキのために寄与している歯車であるような感覚を強めることを指します。私はそのために、カードを単独で機能させずらくしました。例えば先の例でも、切札や全力を適切に組み合わせて初めてクレイジーな効果になるのであり、単独では何もしません。逆の例も挙げると、「斬」はそれ単独として攻撃カードとして機能します。
             
             また、彼女をカラクリのメガミたらしめた、誘発する効果もまたその感覚を強めます。ゆえにその類のカードも他のメガミより多く持つように設計するべきでしょう。

             

             これらを意識してリストを設計した結果、驚くほどスムーズに楽しそうなおもちゃ箱が完成しました! おおブラボー。なんと楽しそうなのでしょう。さあ、実験です!
             
             
            実験は失敗じゃよ……。

             


             プレイテストの結果、非常に厄介なフィードバックが帰ってくることになりました。まず最も厄介だった事実は、当時のプレイテスター(当時はデザイン班がバランス調整を兼ねていました)には「クレイジーな発明家」は私しかいないと分かったことです。
             
             このアイデアが楽しそうであること、これを強く楽しむプレイヤーが間違いなくいることについては全員が同意してくれましたが、残念ながら誰もが「自分には厳しそう」と感じてしまったのです。気質が合い、楽しめるかどうかはもはや天性のものであるため、無理を言うわけにもいきません(事実、クルルはほぼ全てを私一人で調整しました)。
             
             そして彼らのフィードバックは十分に的を射ていたとも分かりました。いくつかの思いついていたデッキこそ楽しく回せましたが、「クレイジーな発明家」である私ですらも、それ以降のテストではどうにも歯車がかみ合わず、楽しくない感覚を味わうことになってしまったのです。
             
             なぜ駄目なのかは、テストを重ねるたびに明確になっていきました。発明品を作れど作れど、まるで動かないポンコツなのです。なぜ動かないのでしょうか。冷静に考え、いくつかの結論が導き出されました。
             
             第一に、駆動ギミックが駄目だと分かりました。私が最初のテストで作った発明品はトコヨ/クルルであり、「無窮ノ風」を軸にして様々なカラクリが「駆動」するデッキでした。これはとても楽しく魅力的でした。
             
             しかし、このような滑らかな駆動が望めるメガミは限られています。駆動はギミックとして働くために再起を求めすぎています(もちろん、クルルのカードの中にも再起を入れる程度の工夫はしていましたが、自己完結もまたメガミの魅力を削ぎ落してしまうため、その再起はさほど強力なものではありませんでした)。
             
             結果として、クルルは一部のメガミとしか組み合わせられず、ほとんどの対戦で楽しくないものになってしまったのです。駆動ギミックは間違いなく楽しいですが、コンセプトの中心に置いてはいけません。カードを一部だけ残し、ほぼ全ては撤廃するべきと判断しました。
             
             第二に、クレイジーな効果が絵空事に過ぎないとも分かりました。ヤバそうで楽しげなおもちゃ箱は、実際にヤバくなってしまうとゲームを破壊します。それを避けるために私は、実現を難しくするような工夫を凝らしていました。
             
             しかしその結果として、カードの効果から想定されるゲームプランが薄く、なんかヤバそうなことが書いてあるバラバラのパーツになってしまっていました。それゆえ、ヤバい効果は実際には起こりません。楽しそうなおもちゃ箱はなんてことはありません。実際はただのガラクタの塊だったのです。
             
             この問題を解決するにはカードに一貫性のあるゲームプランを内包させる必要があります。しかし、一貫性のあるヤバそうなものは実際にヤバく、ゲームを破壊します。我々には危険な装置を制御するための安全弁も求められていました。
             
             こうして、幾度かの検証の結果、実験は失敗だと分かったのです。
             
             
            今こそ組み立てよう
             
             しかし私は諦めませんでした。私の中で、このコンセプトへの思い入れはあまりにも強いものでした。カラクリとは何なのかを考え、そしてクルルを用いたデッキを回し続けていたのです。
             
             このように書くと、また苦闘と難産の日々が続いたのかと思われるかもしれません。しかし、回答は驚くほどにするりと、歯車がかみ合うように生まれ出ました。カラクリ、安全弁、私はそれらを考えながらゲームを遊び終え、ふと気づきました。カラクリは、組み立てるものなのです。
             
             つまり、カラクリを組み立てればよいのです。ゲーム内での何かしらの行動を通してカラクリを組み立て、それが完成しない限りは効果が発生しないようにします。これは正しく安全弁であり、カラクリらしいものです。
             
             ではどのように組み立てるのか。追加のカラクリボードなどを用いるのが下策なのはすぐに分かりました。第一に本作はそれなりに複雑で、クレイジーな効果を持つクルルも複雑です。そこにさらに複雑さを加えると間違いなく遊ぶに堪えないものになります。第二に自己完結の問題があります。あるメガミのカードのために同じメガミのカードが「必ず」要求されるのは良い結果を生みません。もう一柱のカードを入れる理由がひどく薄れ、本作の2柱を組み合わせるという魅力がなくなってしまうのです。
             
             それゆえ、要素を追加せずにそこにあるもので自然に、それでいて一定の苦労をしてカラクリを組み立てる必要があります。そんなものはあるのでしょうか。丁度ゲームを終えたばかりの私は、自然に盤面に視線を落としました。そこには、当然のようにカードが並んでいたのです。
             
             私は思わず、ええ、狂った発明家のように笑ったはずです。このゲームでカードを使用し、捨て札に置くのは言うほど簡単ではありません。なぜなら常に競合する使いみちとして基本動作があるからです。ならば、捨て札にあるカードの何かに注目すればいいではないですか。
             
             何に注目するべきか。少し考えれば自明でした。「カードタイプ」と「サブタイプ」こそが相応しいでしょう。データとして必ず存在し、種類が限られ、そして使用しやすさに差があるのです。例えば攻撃は間合を合わせなければ使えず、付与はダストの状況に強く依存します。
             
             さらにもう一歩考え、使用済の切札も含めるべきと分かりました。捨て札は山札の再構成でなくなってしまいますが、これは残り続けます。即ち、それ以降のカラクリが組み立てやすくなるのです。これは直感的に、ボードゲームにおける拡大再生産の理念に近いと感じました。となれば正解のはずです。拡大再生産は、原則として楽しいのですから。
             
             (ちなみに展開中の付与札を数えるべきなのは1回プレイテストをした際にすぐに分かりました。カードを使用したにも拘らず、その付与札が破棄されるまでカラクリが組みあがらないのは、明白なストレスだったのです)
             
             ここまで思いつき、その日はもうクルルを回さないことにしました。そしてその日の夜のうちに私はカードリストを仕上げ、次のプレイテストに備えたのです。


            ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン

             

             そして次の実験で出た結果は、想像をはるかに上回るものでした。安全弁は正しく安全弁として働きました。カラクリを組んでいる感覚がありました。そして何よりすばらしいことに、相互作用していないカードですら歯車のように感じられたのです。そう、単純に強いから入れたそこらの「斬」ですら、デッキという全体を構成する歯車だという感覚が強まりました。ダメージを相手に与えつつ、カラクリの貴重な赤いパーツとなるのですから。
             
             デッキ内の全てのパーツが、デッキという巨大なカラクリのために。そして巨大なカラクリは、勝利というひとつの目的のために。この時私は確かに自らのデッキを、偉大な発明品だと感じたのです。
             
             さらにその日、何度かクルルを回した後、当然ながら他のメガミの状況を確認するために他のメガミを回そうとしました。その時、私は驚くべき体験をしました。特にゲームでの意味はないにもかかわらず、カードタイプとサブタイプの確認をしてしまったのです。
             
             僅か一日で、独自の脳回路が形成されました。この感覚は間違いなく他のメガミにはなく、すばらしく魅力的でした。もはやここまでくれば明らかでしょう。
             
             ええ、実験は成功ですとも!
             


             
            良い物語には良い敵がいる

             

             これで「機巧」をめぐる物語は終わりなのですが、もうひとつ書いておくべきことがあります。ストーリーについてです。

             

             『第二幕』で初登場したサイネ以降のメガミは、常に裏でストーリー『桜降る代の神語り』と共に考案されてきました。それではクルルはどのような扱いだったのでしょうか。
             
             上記の通り、私の妄想と思い入れ故に、カラクリのメガミが登場することは本来の計画より早く決まっていました。ならば、彼女にはどのような役割が相応しいのかを考える必要があります。
             
             当時の物語に不足していたのは何でしょうか。私は「敵方のメガミ」だと結論付けました。主人公と対立する敵方の存在には魅力があります。本作の花形はメガミです。ならば当然、敵方のメガミが存在すべきなのは明白でしょう。クルル、そしてウツロはそのために物語に配置されました。
             
             さらに物語におけるパワーバランスの問題も併せて解決しようとしました。第二章が終わるまでは天音揺波は不完全な存在です。しかし第三章では彼女は強大な実力者となり、そして何柱かのメガミの助力や、強力な戦友も得ることになります。
             
             我らが大敵である瑞泉驟雨はそんな彼女に立ち向かう必要があります。そのためには彼にも、メガミの助力があるべきでしょう。そして互角ではいけません。敵は一見して、主人公よりも強大でなくてはいけないのです。
             
             そしてカラクリ、即ち科学的な発明品はその陰謀を大きく助け、幅広くすることができます。彼女の助力こそが、敵を間違いなく魅力的にすると確信しました。同時に敵であることは、彼女の人格を定める助けにもなりました。メガミが純粋に悪であることは望ましくありません。それゆえ彼女は無垢であり、同時に狂気的なのです。
             
             面白いのは彼女の存在はその後の物語を大きく動かしていった点でしょう。彼女が味方に加わったからこそ瑞泉は「神渉装置」計画を実行に移し、この時代を大いに動かしたのですから。彼女は間違いなく、物語においても欠かせない歯車でした。

             

             

             今回はこんなところでしょう。次回の更新は来週、クルル特集の中篇にて、『第二幕』でのカード個別の話をさせて頂きます。ご期待くださいませ!