各地に来たれ、コラボイベント!

2019.09.20 Friday

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     こんにちは、BakaFireです。私はこれよりシーズン4を締めくくる大規模イベントのために北海道へと出発する直前であり修羅場が続いております。先週の記事でちらりと書いたとおり、本来は本日における私の記事は予定されておりませんでした。
     
     しかしながら皆様にいち早くお伝えすべきことがひとつ生まれましたので、取り急ぎ筆を執らせていただきました。本日の内容は速報です。ゆえにやや簡単な記事であり、後日に改めて加筆修正させていただく見込みです。予めご了承ください。
     
     それでは、お伝えいたしましょう!

     


    コラボカフェが関東以外でついに登場!

     

     実につい先週まで、本作のコラボカフェが神奈川は関内のゲームカフェぶんぶん様にて開催されておりました。大好評であり、多数の方々にお越しいただけたと伺っております。私もいくつかのイベントでお邪魔し、とても楽しませていただきました。
     
     そしてその告知の記事において、未来のための予告をひとつ行っていたのは覚えておりますでしょうか。今回のコラボカフェならびに特典となるコースターについては関東だけで終わりにせず、様々な地方の方がお楽しみいただけるようにしたいという指針です。
     
     そうです。実に素晴らしいことにその指針は実りました。この実現は地元でイベントを開いてくださっている方々、そして各地のゲームカフェ、プレイスペースの皆様のご協力のあってのことですので、まずは皆様に心からのお礼を申し上げます。
     
     関東以外の第一弾は名古屋です。名古屋は大須のボードゲームカフェ「ボードボード」様にて10月2日(水)から、数週間に渡っての開催を予定しております。こちらでは数種類のコラボメニューが販売され、それらには関東でのコラボカフェと同様のコースターが付属いたします。

     

     そしてこれだけではありません。カフェという形にはならなそうですが、近しい形でのコラボイベントは続けてもうひとつ、名古屋以外でも形になりつつあります。名古屋のイベント詳細と併せ、詳細はこちらの記事を加筆修正する形でお伝えさせていただきますので、こちらもご期待いただければ嬉しい限りです。
     
     
     本日はここまでとなります。次の更新は来週、新たな試みとコラボカフェやイベントの詳細を合わせてお伝えいたします。ご期待くださいませ!

    デジタルゲームを含めた今後の展望

    2019.09.15 Sunday

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       こんにちは、BakaFireです。時は流れてもはや9月も半分が過ぎ、シーズン4を締めくくる大規模イベントもまた一週間後へと迫りました。9月22日に北海道は札幌にて開催され、北海道における大規模イベントとしては最大のものとなります。近くにお住いの方にとっては全国のプレイヤーと触れ合う最高のチャンスです。ぜひともお越しいただければ嬉しい限りです。
       
       他地方の方々はさすがに今から旅行の計画を立てるのは厳しいかもしれませんが、北海道観光のついでにいかがでしょうか。もし予定が空いておりましたら、ご一考いただけると嬉しい限りです。

       

       予約はこちらのイベントページより承っております。皆様のご参加、心よりお待ちしております。

       


       大規模イベントの話題はこのくらいにして、本題へと移りましょう。本作全体を見るならば、9月に予定されているのは大規模イベントだけではありません。9月には有限会社センキ様より本作のデジタルゲーム版がリリースされる予定となっています。
       
       幾度かお伝えした通り、誠に申し訳ないながら本作のデジタルゲーム版は延期が繰り返されてしまっております。そしてその原因は主にプログラムの部分にあるため、もはや私どもBakaFire Partyの努力による改善は不可能でした。ゆえに私としてももどかしく、苦しい思いを続けておりました。

       

       しかしながら9月になり、デジタルゲーム版においてもいくばくかの光明が見えてまいりました。それは全てにおいて望ましい最善ではございませんが、これまでと比べれば明確に良い報告です。
       
       そこでこちらの記事では私が聞いたそれらの報告を皆様にもお伝えします。そしてそれを踏まえた本作の今後、アナログゲーム版とデジタルゲーム版の双方を含めた計画をお話ししたいと思います。ある意味では範囲を小さくした「今後の展望」シリーズと呼べるかもしれません(ゆえに今日の内容は10月に書く次の「今後の展望」でも繰り返されることでしょう)。

       


      デジタルゲーム版のスケジュール

       

       展望などを述べる以前の話として、まずはスケジュールをはっきりお伝えします。

       

       デジタルゲーム版は9月中に遊べるようになります。しかしながら、正式な意味でのリリースとしては再び小さな延期が行われます。申し訳ございませんが、ご容赦いただければ幸いです。どのような話であるか正確に説明しましょう。
       
       9月27日(金)より、デジタルゲーム版のオープンベータが開始となる予定です。オープンであるため参加に制限はありません。Android端末にて自由にダウンロードし、自由に対戦できます。内容は私からは正確にお伝えできませんが、元来のリリース初期の状態から、課金して入手できる類のものを除いた状態となる見込みです。
       
       そして10月下旬より正式なリリースが行われ、さらに11月にアップデートと共に本格的な稼働が開始していきます。
       
       ある意味ではさらなる延期となってしまった点につきまして、私の立場よりこの場にて改めてお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません。
       
       これらの内容はBakaFire Partyとしての、ブログを利用した先行発表となります。正式な発表は近日中にデジタルゲーム版の公式サイトにて行われますので、そちらをご覧いただければ幸いです。
       
       
      デジタルゲーム版の指針

       

       これを踏まえて私と有限会社センキ様との相談のもとで定めた、デジタルゲーム版の第一の指針もお伝えいたします。それは今の時点で本作を遊んでくださっているプレイヤーを第一に考え、大事にしていくというものです。
       
       より具体的に申し上げるならば、短期でのサービス終了だけは避けるように、細く長い運用を行っていく指針を定めました。本作を遊んでいる方々がデジタルの場で遊び続けていられることこそが最も重要なのです。例えば9月の時点で様々なwebサイトにおける大規模な広告などは行いません。これらの広告は効果も期待できますが、失敗した際には大きな予算の損失となり、結果としてサービスが維持できなくなる可能性をはらんでいます。
       
       広告面では11月に本格的に稼働してから、適切なバランスで行っていきます。その中には皆様が想像されるようなコストの大きな広告も含まれるかもしれません。しかしながらその根底には「細く長いサービスの運営」を第一に置くよう常に心掛けてまいります。
       
       そしてその立場を踏まえた、デジタルゲーム版だけでなくアナログゲーム版も含んだ計画もひとつございます。今遊んでいる皆様を大事にするのは当然ですが、新たなプレイヤーが参加しないゲームもまた未来はありません。その面での改善にもつなぐべく、最後にそちらについてお伝えしましょう。
       
       
      wikiに近しいユーザーポータルの充実化

       

       これは本作の今において、アナログゲーム版も含んだ問題を解決するための計画です。
       
       本作は今の時点で16柱のメガミと、10柱のアナザー版メガミが存在しており、過去の姿と比べて明らかに複雑化を続けています。それを踏まえ、今の本作が初心者や、まだ遊んだことのないプレイヤーに対して少しばかり親切でないというフィードバックも届きつつあります。
       
       それを受け、私どもは様々な情報を集約したユーザーポータルサイトの開発へと乗り出すことにしました。今の時点で最も近いものは非公式のwikiであるため、すでにwikiを運営している方々との協力を取り付け、計画を進めております。
       
       私は元来、始めたばかりのプレイヤーに「こうすると有利である」というような攻略を(公式から)提示するあり方を好ましいと考えていません。それは始めたばかりのプレイヤーの楽しい時間を奪う可能性があり、またそれらはプレイヤー同士の交流を通して掘り下げられていくのが望ましいためです。
       
       しかし本作におけるメガミの選択肢が膨大になり複雑化を続けている点や、デジタルゲーム版が始まっていくことでさらなる多様性を持ったプレイヤーが参入していく点を加味すると、作品のあるべき段階は変わったと判断しました。これからは慣れていないプレイヤーがより充実した情報に触れられるようにし、初期の段階でこれまでより高い次元での戦略を把握できるようにするべきなのです。
       
       この計画を通し、改善したい点は3つあります。お伝えしましょう。
       
       第一には純粋な情報量です。カードやメガミの組み合わせの解説を充実させることにより、新たなプレイヤーが使いたいメガミを見出した時に安心して宿せるようにします。

       

       第二にブログへの導線です。このブログでは様々な記事を掲載し、その中には攻略記事も含まれています。しかし本作を初めて知った方が最初に触れる情報が公式サイトであるとは限りません。情報のまとまったポータルサイトからリンクを張ることで、初心者に向けた内容へと初心者を誘導しやすくするのです。
       
       第三に皆様、既に遊んでいるプレイヤーの間での情報交換の活発化です。皆様がご自身のブログなどを活用し、すばらしい攻略記事を書かれていることを私どもは把握しています。しかしそれらは残念なことに初心者から初級者の方々に届いているとは限りません。本作に特に熱心に遊んでいる方々を除いた大半のプレイヤーにとって、皆様個人のブログまで調べるのは難しいのです。ゆえに長期的にはポータルサイトからファン活動としての攻略にまでリンクできるようにして、より幅広い情報へとアクセスできるようにしたいと考えています。
       
       
       本日はここまでとなります。デジタルゲーム版のベータテスト、そしてポータルサイトに向けた計画をお楽しみいただければ嬉しい限りです。次回の更新は大規模イベントも終わった27日。10月に計画している新たな試みについてお伝えいたします。

      始まる前の決闘録 第一回:影の翅

      2019.09.11 Wednesday

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        1 はじめに


         みなさんこんにちは、「桜降る代に決闘を」ディベロップ・チームのローヴェレです。この度はディベロップ・チームの一員としての立場より記事を連載させていただくことになりました。お楽しみいただければ嬉しいです。

         

         私たちディベロップ・チーム(またはバランス調整チーム)はカードの調整部門です。別に存在するデザイン・チームからカードリストを受け取り、それを基にテストプレイと議論を繰り返します。そして発見された問題点を修正し、世に送り出しています。

         

         ディベロップ・チームの一員としての記事ではありますが、当記事は真面目にバランスについてお話することが目的ではありません。この記事は私たちがテストプレイ中の決闘のうちの選りすぐりのものをご紹介し、昔ばなしとしてお楽しみいただくためのものです。

         

         先述の通り、私たちはカードの調整のためにテストプレイを行っています。逆説的に、私たちが受け取ったカードリストにはバランス上の問題があるということです。

         

         これはデザイン・チームの力量不足などではなく、デザイン・チームはメガミとしての全体像と面白さを作るチームであること、加えて初めて作るゲームやメカニズムの適正値など誰も直感だけでは分からないからです。

         

         当然、バランス上の問題があるカードで行われるテストプレイでは時として凄まじい結果を生みます。突然死ぬのは序の口で、4ターン目に対処しようのない「闇昏千景の生きる道」が突きつけられる、全リソースをロックされる、対戦相手が無敵になる。様々な事件が発生してきました。

         

         これらの昔話はディベロップ・チームでは「シーズン0」と呼ばれています。メガミ特集の記事で時折触れられることもありますし、食事の場などで私たちが笑い話として話すこともあります。これらの話は往々にして好評であるため、そこだけで留めるにはもったいないと感じていました。そこでより多くの皆様に楽しんでいただくため、今回記事として掲載することにしました。

         

         このシリーズでは毎回1つ、古のデッキをピックアップし、その原因となったカードやデッキの構造を紹介し、そして何が起こったのかをお話しします。では、第1回をお楽しみいただければ幸いです。

         


        2 シーズン0のウツロ

         

         今回ご紹介するデッキは、2018年2月ごろ、新幕が発売される半年ほど前に存在したものでした。基本・達人セットで発売されたメガミに加え、第一拡張のメガミ・アナザーがちょうどテストプレイに追加された時期です。

         

         とはいってもまだライフが増えた新幕の適正なバランスには到底至っておらず、全体的に今よりもだいぶカードが強い時期でした。例えば、こんなカードがあり、しかも大して問題視されていませんでした。

         

         

         上記のカード自体はそうかからずにクルルの「びっぐごーれむ」でとんでもないことが分かり修正されているのですが、捻らずに使用したこの「虚魚」は当時のカードプールの中で突出していたわけではないというのが恐ろしいところです。

         

         一方で、そんな中でもウツロはとてつもない存在でした。シーズン0、およびその後の拡張のテストを含めてもディベロップ・チームが相対した圧倒的最強のメガミだったのです。

         

         

        3 影の翅

         

         そんなウツロが持っていたカードの中で2番目にカードパワーが高かったカードが現在の「影の翅」に相当するカードでした(1番は何か? ウツロ特集をご覧ください)。

         

         

         ヤバいですね。そのターン中動けなくなるとは言え、たった1枚で無限の移動を可能としてくれます。しかも相手の移動対応が一切無効になるという凄まじい効果。灰燼が10で達成になることなどどうでも良くなってきます。

         

         では何に使うと強いでしょうか? ヒミカとの組み合わせなどでも尋常ではなかったと思いますし、間合2以下を宣言すれば無限に離脱することもできます。それらを凌いで凄まじかったのが以下のデッキです。

         


        遠心撃

        砂風塵

        大地砕き

        円舞錬

        鐘鳴らし

        重圧

        影の翅

         

        大天空クラッシュ

        大重力アトラクト

        灰滅

         

        ※ 細字のカードは現状のものとしてお読みいただければ問題ありません。太字のカードは上の画像をご覧ください。


         

         上記の影の翅で間合6を指定すると何が起こるか? ターン開始時に間合4以下ならば遠心撃が打てるのです。その後どのように間合の結晶が移動しようとも、打てるのです。

         

         結果として起こったのが前進!前進!!遠心撃!!!

         

         なんと影の翅、達人の間合が変動しないため間合2から0まで前進できます。ただしルール上の間合は6、二歩前進しつつ遠心は達成している哲学的状況です。遠心撃を打つ前に演舞錬や鐘慣らし、重圧を使用することもでき、特に重圧は遠心撃と抜群の相性を誇ります。

         

         さらに後退しないと再起しないからこそバランスがとれる大重力アトラクトが前進しながら再起するため、対戦相手の立て直しも難しくなるおまけがついてしまいました。その上恐ろしいことに、間合0で放置すると次の影の翅を引かれた際にカード1枚から10/5の大天空クラッシュが放たれることとなります。

         

         食らったテストプレイヤーが過去トップクラスに長文で修正を要求したというこの理不尽な動きが許されるはずもなく、影の翅は弱体化され、現在のものへと変化していくことになりました。

         

         初期のカードプールから実に9枚ものカードが下方修正されたウツロには、頻繁にこのシリーズに登場してもらうことになりそうです。

         

         今回ご紹介した「影の翅」、現在のカードプールにあったら何ができるでしょうか。コンボデッキがお好きな方は考えてみると面白いかもしれません。

         

         始まる前の決闘録・第一回はここまで、また次回、ウツロの別のカードにまつわる話をする時までお別れとさせていただきます。

        終焉ノ宿命ニ禊ノ刻ヲ(後篇)

        2019.09.09 Monday

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           こんにちは、BakaFireです。今回の記事はウツロ特集の後篇となります。前篇中篇をまだお読みでない方は、こちらとこちらから読まれることをお勧めします。
           
           このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は第3シリーズ第2回にして累計第11回となります。

           

           前篇ではメガミ・ウツロに関する歴史を説明し、彼女が生まれるまでの話をしました。中篇は新幕における変化をお話しし、N1からN3のカードについての歴史を書きました。従って後篇では残るカードN4から原初札までをお話しすることになります。
           
           それでは、さっそくはじめましょう!

           

           


           

           

           ウツロにおいては「影の翅」などにおいてカードの番号にずれがあるため、先にこの1枚をお話しましょう。中篇にてお伝えした通り、私どもはウツロらしく便利な効果として「侵食効果」を新たに発明していました。そこで当然の推移として、侵食1を行う行動カードをデザインすることになります。

           

           しかしここで皆様に思い返していただきたいことがございます。ありがたいことにあなたが『第壱拡張』をすでにお持ちでウツロを宿して遊んだことがあるならば、『第壱拡張』を開封してカードを始めてみたときのことを思い出してください。
           
           侵食効果は正直なところ、文面を見た限りではそこまで強くないように感じなかったでしょうか。その感情はデザインチームはもちろんのこと、バランス調整チームにおいても同様のものでした。初見の段階では侵食効果は過小評価されており、それゆえに今よりもカード全体が強くデザインされていたのです。
           
           その結果として生じた最も愚かな事例は後程お話しすることにして、今は「重圧」について述べましょう。それは次のようなものでした。


          行動
          侵食1を行う。
          灰塵―ダストが10以上ならば侵食1を行う。


           額面だけを見るとこれもまたそこまで愚かには見えません。しかし驚くべきことにこの効果ですら問題がありました。山札1週あたりで1回使うだけならばゲームは壊しません。しかし「二重奏:吹弾陽明」や「風雷の知恵」と組み合わせ、灰塵を満たしたうえで連打すれば相手のリソースを崩壊させられたのです。
           
           結果としてこの1枚は二度の調整を経て今の形に至り、適切な水準で印刷されました。灰塵の閾値が12だと僅かに力不足なのですが、その部分を自分自身が作るダストが補い、ダスト11個でも灰塵効果を誘発できる点はとくに絶妙で気に入っております。


           

           

          第二幕

           

           ウツロの移動カード枠です。ウツロは新たな中遠距離のメガミとしてデザインされたため、当然ながら後退するカードが求められます。
           
           ここでひとつ、はっきり述べておきましょう。無条件での「ダスト→間合:2」は本作では決して作ってはいけません。本作がこれまでの歴史において間合が前に偏りがちであり、間合0や間合2でのやり取りがゲームバランスの観点からたびたび疑問視されるがゆえに誤解しそうですが、これは厳然たる事実です。

           

           事実、条件の付け方を間違えた「ダスト→間合:2」効果は何度かプレイテスト段階でのゲームを破壊してきました。大体の場合で同水準の移動カードを持つメガミと組み合わせてゲーム序盤から後退を繰り返し、相手をまともに近づかせないまま遠距離から殺害してます。一度近づいた間合を戻す効果として「ダスト→間合:2」は適切ですが、序盤から簡単に連打できてはいけないのです(※)。

           

           そしてウツロは「ダスト→間合:2」の条件を灰塵に求めました。序盤は満たしづらく、本当に必要な後半に機能しやすい灰塵は実に適切です。この1枚はダストを減らしてしまいますが、そもそも遠距離における瞬殺問題を水面下で食い止める狙いで灰塵を採用した点から鑑みれば妥当性があると言えます。
           
           この1枚の仕上がりにはおおむね満足していますが、最終的に少しばかり使いづらかった点は小さな失敗と捉えています。「ダスト→間合:2」のうち、「ダスト→間合:1」だけは灰塵を満たさずとも機能するべきだったと今は考えています。
           
          ※ ちなみに経験から「ダスト→間合:2」はアウトですが、「ダスト→間合:1、自/オーラ→間合:1」であればセーフだと私どもは捉えています。その系列で最も強力な1枚こそが「バックステップ」でしょう。

           

          新幕

           

           『第二幕』での経験を踏まえ、『新幕』では改善を試みました。また『新幕』においては、移動においてダストを減らしてしまうとウツロの機能を阻害してしまう点もまた少しばかり気になっていました。『第二幕』ならば持ち味で済ませられましたが『新幕』のカードパワーでは力不足へとつながる可能性があります。
           
           そこで私どもは間合と達人の間合を共に変化させれば、仮想的な移動が実装できるという点に気が付きました。仮想移動は従来の移動よりやや弱い効果です。しかしウツロのようにそれが求められたり、あるいは理念として移動能力を弱めたい場合には絶妙な働きをするのです。
           
           こうして書くと「影の翅」は滑らかに今の効果になったようです。しかしこのカードにはいくらかの紆余曲折がありました。これについては後ほど、全く新しい記事シリーズにてお話いたしましょう。実に愉快な企画をご提案頂いたことについて、ここで深くお礼を申し上げておきます。ご期待くださいませ。


           

           

          第二幕

           

           メガミは適正距離だけでなく、戦い方の方向性もまたコンセプトとして存在します。例えばユリナであれば攻撃を繰り返すビートダウンを、トコヨであれば攻撃に対応し、隙をついてクロックを刻むコントロール(あるいはよりTCG向けの用語であれば、クロックパーミッションと呼ぶべきかもしれません)を得意としています。

           

           ウツロはその点においては桜花結晶というリソースを喪失させて制御する点から、どちらかといえばコントロールの気質を持っています。それゆえに一定以上に優秀な対応カードも持つべきだと私は判断しました。

           

           そして生まれた1枚がこのカードなのですが、この効果は当時の情勢を色濃く反映しています。何度か他のメガミ特集で振れた通り『第壱拡張:夜天会心』のデザイン後半から『第弐拡張:機巧革命』と『第参拡張:陰陽事変』のデザイン初期においてはユリナ/トコヨ、特にトコヨが圧倒的な強さを誇っていました。
           
           ゆえに私どもはトコヨを強く警戒し、他方でカードの調整をこれ以上繰り返すのは心象が悪すぎるのではないかと当時は考えていました。ゆえに『第弐拡張:機巧革命』以降のメガミはトコヨへの耐性を持つようにデザインしていました(※)。

           

           この効果は「梳流し」を明確に意識したものです。「-/1」の攻撃は『新幕』の今と比べて当時は圧倒的に強く環境内で広く使われていたため、そこへの対策を持つことはメガミの意義を大きく高めると考えたのです。結果として動機は間違っていましたが、このカードそのものの仕上がりは良好でした。
           
          ※ 結果としてこれらの判断は『第二幕』の中でも特に大きな過ちでした。デザインにゆがみを生み、そのうえで結局はカードに調整が必要と改めて結論付けられてしまったのです。

           

          新幕

           

           理念は『第二幕』と変わりません。そして『新幕』では全体的にカードの性能が上がり、ライフへのダメージが2以上の攻撃も増えました。それならば対応―特にダメージの値を操作するもの―に関してももう少し強力にしても問題はないでしょう。その上でテキストをシンプルにできるならば言うことはありません。

           

           

           この1枚の枠はウツロのカードの中でしばらく迷走していました。最初のコンセプトが上手くいっていなかったため、どちらかの意味で話にならない仕上がりになってしまっていたのです。そのコンセプトはデメリットの付いた付与であり【展開時】に「自/ライフ→ダスト:1」を解決するというものでした。
           
           ご存じの通りこのテキストは重く、特に攻撃へとつながらないカードが持ったうえでそれに見合った効果にしようとすると、局所的にゲームを破壊しがちなのです。最終的にこの指針は今回は不可能だと断念されました。その後も『新幕』ではヤツハのデザインで再挑戦されましたが、再び失敗に終わっています。

           

           では「契約の楔」が生まれた原因はなんでしょうか。実のところを申し上げますと、これもまたトコヨ(とユリナ)への耐性を意識したものです。このカードは「梳流し」、そして悪名高き「審美眼」を意識したものでした。
           
           他方で完全に環境への意識から生まれたわけでもありません。妨害としての「距離縮小」があまり使われていないデザイン空間であり、相手の付与札を破壊するような効果をもう1柱くらいは持つべきというゲーム全体への意識もありました。その上でウツロは理念的にこれらの効果にふさわしかったのです。
           
           結果としてトコヨは調整されて目的が歪んだカードとなりましたが、ウツロのユリナやオボロへの耐性増強といった機能を果たし、『第二幕』においてウツロを大会環境で活躍できるメガミにした立役者と呼べるかもしれません。他方でその機能はやや極端であり、絶賛すべきかというとそれもまた怪しいところです。そういったバランスにおける懸念ゆえに『新幕』では取り除かれることとなりました。

           

           

          第二幕

           

           自戒と反省を込めてまず断言しますと、この1枚は実際に印刷された時点では大失敗でした。もはや私の手元のデータすら失われていましたが、確か次のような1枚だったはずです。

           

          付与/全力 納2

          【展開時】相/オーラ→ダスト:◇2
          【破棄時】現在の間合が8以下ならば、相手は手札を全て捨て札にし、集中力が0になり、次の開始フェイズに集中力を得られない。

           

           デザインの動機はハガネにおける「地脈収束」の失敗へのリベンジでした。「地脈収束」は全力の隙があるカードであったために機能せず、しかも得られる効果もそれに見合ったものではありませんでした。そこで私は効果を十分に強力にし、また展開時の補償もより使いやすいものにしました。
           
           しかし結局のところ全力の隙であるために機能しづらく、さらに効果を十分に強力にしたために強い先手後手の問題を生んでしまいました。

           

           思い返せば、このリベンジという動機がそもそも間違っています。メガミは理念をきちんと定め、その理念において必然性を伴うように1枚1枚をデザインしなくてはなりません。当時の私は「毒針」において間合1を採用した時などで散見されるように、この類の過ちが多かったように感じられます。

           

           とはいえこの1枚は失敗ではあるものの、ゲームバランスを破綻させているわけではありませんでした。ゆえに本来であればやむなくこのままにした可能性が高いでしょう。しかしホノカ特集でお話しした通り、ホノカにはバランス上の問題があったために『第参拡張:陰陽事変』は発売前の更新を余儀なくされました。そこでせっかくならばと、併せてこの1枚も修正されました。
           
           最終的な今のカードは『第参拡張:陰陽事変』発売時点では結成されていた現在のバランス調整チームの中で、特にコントロール寄りの立ち回りを好む1人と話し合ってデザインしたと記憶しています。隙による機能の問題、先手後手の問題、そしてダストを作る力がわずかに不足していた問題などをまとめて解決できており、限られた時間の中で最善の知恵を絞り、素晴らしい1枚に仕上げられたと満足しております。

           

          新幕

           

           『第二幕』で最終的に仕上がった「遺灰呪」は十分に魅力的なカードでした。ゆえに大きく変える理由はありません。適切に微調整し、強化すれば十分でしょう。
           
           最初はライフをダストに送る個数を2つにしてみましたが、お笑い種だったので達成時に返却されるオーラの個数を1つ減らすことにしました。

           

           

          第二幕

           

           ウツロの1枚として分かりやすくコンセプトを伝え、必殺技らしい鮮烈さがある1枚としてデザインされました。驚くべきことに消費も効果も一度も変更されずに印刷に至り、最終的な完成度もすばらしいものでした。
           
           この1枚がいかにしてデザインされたかについては、ハガネ特集の「大天空クラッシュ」で半分以上はお話ししています。メガミがコンセプトで何らかの値を参照するならば、それは多くの場合で閾値であるべきです。しかし切札の1枚に限っては変数を扱い、巨大な効果を実現できるとより魅力的になります。こうすることで鮮烈な印象と劇的なゲーム展開を提供するとともに、そのメガミの個性を強調できるのです。
           
           ウツロはダストの数を閾値で扱うため、ダストの数を変数とするべきです。しかしダストの数は(ハガネにおける)間合の変化と違い、ゲームの展開によっては10どころか20にすら至るものです。そうなってくるとそれを変数として活かせる要素は限られるため、この完成形に至るのは必然と言えるでしょう。
           
           最後に効果についても単純な話です。ド派手な必殺技であれば当然ながらゲームを前に進めるべきです。その上で桜花結晶をダストへと送る効果を得意とするウツロであれば、この効果もまた必然です。

           

          新幕

           

           この1枚も『第二幕』で十分に完成されているため、必要なのは様々な微調整です。これらの調整は段階的になされていきました。

           

           まずはライフをダストに送る個数が3つになりました。『新幕』への調整に伴ってどこかしらのライフへのダメージが向上されますが、この1枚は必須と言えます。必殺技である以上は十分なインパクト、すなわち決定力が必要です。しかし『新幕』の水準では2ライフでは苦労に見合っていないのです。
           
           次に消費が20では一切の知性を働かせずとも撃ててしまったため、消費が22へと上がりました。
           
           「このカードを取り除く」テキストが加えられた原因はライラです。クルル/ウツロでは動作が難しく、またダストを作る力も低めだったため『第二幕』では問題ありませんでした。しかしライラはダストを作る力も高く、普通に近距離で戦ってウツロがそれをサポートするという戦型も強力でした。そこに「灰滅」「風魔纏廻」「灰滅」が加わっては致命的です。
           
           最後の調整は実に繊細です。遠距離で強力な2柱の組み合わせであるがゆえにヒミカ/ウツロは『第二幕』で強力であり、ゆえに私どもは警戒を払っていました。そして幾度かのプレイテストの末、消費が22だとヒミカ/ウツロによる大半のゲームで最終盤に使用できてしまうと分かったのです。ヒミカ/ウツロはそこに至るまでの攻撃も強力です。ゆえに私どもはこの組み合わせが苦労なく使用できるのは問題と判断し、消費を24へと引き上げました。
           
           結果としてすべてが絶妙な調整であり、私は満足しています。

           

           

          第二幕

           

           私はこれまでのデザインの中で【攻撃後】効果を消去する効果を何度か考えてきましたが、そのいずれも適切な1枚ではないと取り除かれてきました。しかしこの効果は対策カードとして有益です。特に対策の多様性を広げる面で価値があり、『第二幕』のカードプール全体の中で1枚は用意したいと考えていました。
           
           『第参拡張:陰陽事変』で『第二幕』で最後の拡張です。そしてこの効果はウツロのイメージにも合っていました。そこで私は最後にもう一度試すことにしたのです。
           
           これまでの反省を活かし、私はさらに【破棄時】効果を消去する効果も加えた甲斐もあり、結果としてほどよい1枚に仕上がりました。汎用性は低めですが、カードプールにおける存在感は中々のものです。

           

          新幕

           

           「虚偽」は独特なカードであったものの、汎用性が低めである点を懸念していました。特に『新幕』のカードパワーの中で切札の枠を1枚割くかどうかとなると疑問でしょう。
           
           他方で「契約の楔」が没になるにあたり、何を懸念したのかも分析しました。結論として「契約の楔」の効果は魅力的なものの、それが(他のカードとの相互作用なしで)ゲーム中で何度も起こっては、効果が刺さって対策されているプレイヤーが自分のやりたいことができなすぎてしまい、健全な体験ができない点に問題があると私は判断しました。
           
           ゆえに「契約の楔」は切札であれば問題ありません。そこで同じ付与/対応であり、その時点でカードパワーに不安のあった「虚偽」と合わせて1枚にすることで、より汎用的な1枚に仕上げたのです。
           
           しかしただ2枚を混ぜただけではテキストが汚すぎ、認知しづらいカードになってしまいます。そこで【攻撃後】と【破棄時】がそれぞれ攻撃と付与を見ており、距離縮小が攻撃を見ている点に着目し、それぞれのカードタイプに弱体化と効果消去を与える形で統一しました。距離縮小は攻撃のデータを1つ減らしているため、対になる付与への効果も付与のデータを1つ減らすとすれば美しさもあります。

           

           何かの間違いで最初は納6を維持する形でデザインされていましたが、バランス調整チームによって速やかに納が3へと下げられ、完成となりました。

           

           

           

          第二幕

           

           実にナイスなこの1枚は私のデザインではありません。前篇でお話ししたナイスなアイデアマンがウツロのデザイン開始に伴い、アイデアとして提供した1枚なのです。私もこのデザインには感服し、迷いなく滑らかにカードプールに投入され、そして変更されずに印刷へと至りました。

           

           それゆえに中々語ることもないのですが、重ねて彼のデザインを褒めちぎるとすれば、フェイズの終了を2つのやり方で活用している点こそが一番の魅力でしょう。攻撃に誘発する形であれば「音無砕氷」のように連続攻撃を阻害する一方で、ならばと攻撃を控えれば開始フェイズを終了させることで相手のカードドローを妨害できるのです。

           

          新幕

           

           ナイスデザインであり、この1枚の役割は数値的なパワーによるものではありません。今のままでも必要なマッチアップではきちんと必要になると判断し、変更しないことを私どもは選びました。

           

           

           

          第二幕

           

           最初期の時点では攻撃後効果で相手の付与札を破壊できる攻撃でした。しかしプレイテストを重ねるうちに、ウツロを機能させるためにはダストを作る補助がいくらか必要だとわかり、そのための新しいカードの枠として没になりました(※)。普通の相手であれば必須ではないのですが、纏いと宿しを繰り返すなどの妨害を行いやすい相手に限ってはそのようなカードがなければまともなゲームができず、極端な相性の問題が見られたのです。
           
          ※ 付与札を破壊する要素はのちに「契約の楔」へと移されることになります。
           
           さて、それゆえにこの1枚に課せられた制約は「ウツロの機能を著しく妨害できる相手に対して十分にダストを作る」というものになります。しかしながらこれは中々に難儀な課題です。実現には相当数のダストが必要なのですが、大量のオーラやフレアを一度に破壊できると本来狙っていない相手に対しても強力すぎるカードになってしまい、それに見合った消費や制限を課すと元来の目的を達せられないのです。
           
           そこで私はこれを【使用済】効果とし、継続的にダストを生み出していく効果としました。こうすればゲーム全体を通して見ると十分なダストを作れ、他方で瞬間としては程よい効果なので問題を引き起こさないのです。

           

           ウツロの戦い方を支え、ゲームの体験とゲームバランスのどちらから見ても魅力的な1枚に仕上がったと考えています。
           
           もうひとつ、「陰陽事変」を冠する名前の話をしましょう。このカードが変化する直前あたりにホノカのコンセプトが定まり、ウツロと対になることが決まりました(詳しくはホノカ特集をご覧ください)。そこで私はカードのどこかに2柱が対になっているような一組のカードを入れ、カードプールでもそれを表現したいと考えたのです。
           
           最初はこの「付与札を破壊する効果」と「この旗の名の下に」を対にする計画でした。しかし上記の通りウツロ側の制約で新たなカードとなったため、ホノカ側もそれと対になるようなカードをデザインすることにしたのです(※)。
           
          ※ これもまたホノカ特集でお話しした通り、当時のデザインチームにとっては「陰陽事変:陽」は問題のないカードに見えたため、私どもはうまくやったと考えていました。

           

          新幕

           

           いよいよです。『新幕』プレイテストにおいて最も愚かな一枚の話をしましょう。
           
           宜しければ『第壱拡張:神語起譚』を初めて手に取った時のことを思い返してください。なにやら「陰陽事変:陰」の名前が変わっているが、効果が何一つ変わっていないことについてツッコミを入れたくならなかったでしょうか。
           
           その気持ちは私どもも同じですが、委細は少しばかり異なります。私どものツッコミは「変わっていないんかーい」ではなく、「結局戻るんかーい」でした。そうです。この1枚には紆余曲折があり、そのすべてが愚かでした。
           
           「重圧」で書いた通り、私どもは侵食効果を過小評価していました。それゆえにデザインチームはなんともおぞましい1枚をデザインしてしまいました。ご覧ください。


          行動 消費7
          【使用済】あなたの開始フェイズに侵食2を行う。

           

           今の「重圧」や「刈り取り」を使い、侵食効果が第一印象よりも強いと分かっている方からしてみればこの1枚がどれほどわけのわからないものなのかは明白でしょう。この「魔食」を「Stunt」経由で最速で立て、調整前「重圧」とのクソコラボも鮮やかな試合はあらゆるプレイテストの中でも際立って理不尽でした。結果としてバランス調整チームの中でこのカードテキストは次のように揶揄されることになります。


          行動 消費7
          あなたは勝利してもよい。

           

           その後も私どもは諦めず調整が施されていきました。侵食効果は一見して魅力的で、「陰陽事変:陰」の調整案としては適切そうに見えたためです。そして三回の下方修正の末に次の効果までたどり着きましたが、それでもやはり駄目でした(※)。


          行動 消費5
          【使用済】あなたの開始フェイズに侵食1を行う。

           

          ※ ちなみにこの類の効果では消費は問題ではありませんでした。消費が低ければ常に壊れ、高ければサリヤやオボロとの組み合わせでだけ壊れ、それよりも高ければサリヤやオボロ専用カードになり魅力的でなくなります。

           

           結論として、リソースの損耗が確定で起こる点に問題がありました。本作は1ターンに得られるリソースは3(1集中力とカード2枚)であるため、その中の1でも序盤から恒久的に削られるとゲームにならないのです。
           
           ならば元来の目的を保持しつつ、相手は工夫と判断しだいでリソースの損耗を回避できれば問題を解決できます。妨害すべきはオーラやフレアに相手が桜花結晶を貯めこむ状況です。つまりオーラやフレアに桜花結晶がない場合に回避できるとすればもっともスマートでしょう。その道具としては矢印効果こそが適当です。移動元の結晶が0であれば機能しないので、余計なテキストを入れずに狙いが実装できるのですから。
           
           そして私どもは気づいたのです。「ああなんか、ちょうどいい効果があったなあ……」と。

           

           

           

           原初札は基本的には「メガミに挑戦!」で使用されるものです(メガミと挑戦者で対戦し、メガミ側は原初札を用いる代わりに1柱しか使えず、挑戦者は相手のメガミを見たうえで宿す2柱を選ぶ)。そのため、そのメガミ単独での戦いを実現できるようにデザインされます。特に通常札は、その戦いの円滑化が目的となります。
           
           ウツロの不足の定め方にはいくつかの方法があります。その中で私は(「影の翅」の性能が十分でないため)単独で自らが得意とする間合を活かしきれない点を解決する道を選びました。「円月」などのウツロ固有の攻撃カードもきちんと活用できたほうが、よりウツロらしい体験につながるためです。
           
           加えて「影の翅」のダストを減らす点も懸念されます。『第二幕』の枠内では問題ないとはいえ、「メガミに挑戦!」でウツロのカードしか使用できないなるといよいよ欠点が浮き彫りになってしまいます。
           
           そこでそれらを解決しつつ、シンプルにしてインパクトのある効果として万能のテレポート移動を実装しました。影を渡って自在に移動できる点もウツロのイメージに合っており、中々に必然的な1枚になったと満足しています。

           

           

           

           原初札の切札も同様のコンセプトで作られますが、こちらは「刺激的で特殊な舞台を作る」ことを意識してデザインされます。
           
           ウツロに課せられる制限といえば灰塵を活かすことくらいでしょう。しかしそれゆえに自由度が高く、悩ましいところです。そこで「影渡り」を含めたカードプールと、ウツロらしさの両面から考えを掘り下げます。さらにもちろん、テキストが一見して狂っている点も重要です。
           
           攻撃面においては「影渡り」さえあれば「左手」「右手」「円月」を一気に撃ち込めるため必要最低限には足りていそうです。そうなるとメガミの個性や与えたい体験から加える要素を決めるべきです。そこで私はウツロはそもそもコントロール的であり、さらに魔王との闘いは長期戦にて絶望へと抗っていくべきものだと考えました。つまり切札は防御的で、そしてプレイヤーは防御を破るために灰塵へと向き合わなくてはならないのです。
           
           そこまで考えたら「ダメージを受けない」という狂ったテキストはすぐに思いつきました。灰塵を満たしている限りは再構成まで含めて無敵であるため、プレイヤーは灰塵を解除する(あるいは関係なく勝つ)方法を探さなくてはなりません。消費は相応に重くし、この消費そのものが灰塵のサポートになると同時に、序盤では弱くなるようにしました。魔王戦の本番は真の姿を現してからであり、第一形態ではむしろ弱く感じるくらいのほうがふさわしいのですから。
           
           この効果は実に強く、「ウツロに挑戦!」は普通に挑んだら絶対に勝てません。対策となる構築は必須となりますが、そのための創意工夫もまた「メガミに挑戦!」において面白いものです。いくらかピーキーな仕上がりではありますが、この戦いもまた独自の面白さがあったと評価しております。

           

           


           本日はここまでとなります。3回にわたるウツロ特集をお楽しみいただけていればうれしい限りです。次回は今週末の金土日のどこかの更新となり、そこではデジタルゲーム版についてのお話をさせていただく見込みです。
           
           実際のところ私がどれだけ頑張ってももはや制御できない話ではありますが、今の様子を見る限り9割8分がたポジティブな話ができそうです。ご期待くださいませ。

          終焉ノ宿命ニ禊ノ刻ヲ(中篇)

          2019.08.23 Friday

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             こんにちは、BakaFireです。今回の記事はウツロ特集の中篇となります。前篇をまだお読みでない方は、こちらから読まれることをお勧めします。

             

             このシリーズは特定のメガミに注目して、本作のデザインを語るというものです。今回は第三シリーズ第2回にして累計第11回となります。

             

             前篇ではメガミ・ウツロに関する歴史を説明し、彼女のコンセプトやルールが生まれるまでの話をしました。中篇と後篇のやりかたはサリヤ特集と同様です。中篇ではまず新幕における変化を軽くお話しします。その上で個々のカードについて第二幕、新幕両方を踏まえてお話しするのです。全てのカードについて書くとあまりに長くなってしまうため、今回はN1からN3までの3枚を扱います。
             
             それでは、さっそくはじめましょう!

             


            理念文書で魔王様を整理

             

             ウツロを『新幕』に適応させていくに際し、他のメガミと同様により丁寧な整理が行われました。理念文書です。すでにいくつかの特集で書かせていただいた通り『新幕』ではそのメガミを使用してプレイヤーにどのような気分になってほしいのか、そのメガミがどうあってほしいのかをまとめた理念文書が存在しています。
             
             『第二幕』の開発時点でウツロの根幹にある理念は見えていました。それは魔王気分です。ウツロは『桜降る代の神語り』の物語において最も強大な敵方です。ゆえにそれを宿すプレイヤーもまたそのようなロールプレイを楽しめるべきなのです。

             

             『新幕』ではその点をより整理し、2つの要点にまとめました。「ネガティブ効果」と「相手の選択」です。説明しましょう。
             
             前者は簡単です。ウツロはネガティブな影響を持つ効果―オーラやフレアをダストに送ったり、手札を捨て札にしたり―ならばどのような効果も持ちうるとした半面、その逆にあたるポジティブな効果は決して持てないように定めたのです。これは悪のイメージとともに、ホノカと対である印象を補強するものでもありました。
             
             後者も『第二幕』の開発を通し、その後半ではイメージのできていたものです。魔王は英雄の挑戦を受けて立ち、英雄を試す存在です。ゆえに強大な力を持ちながら、物語のピントはそれを受けた英雄の決断に合わせられるのです。
             
             私はそれを相手が効果を選ぶ効果で実装することにしました。このやり方は多くのカードゲームにおいて相手に決定権のあるカードは弱いという点で優れています。つまりバランスをとるために効果そのものを強大にできるため、実に魔王らしい凶悪な文言が書けるのです。
             
             そしてこれらの効果を掘り下げる中で、ひとつの発明品が生まれました。それはすばらしい発明であり、そしてこの中篇と次の後篇を読みやすくするためにも説明すべきでしょう。それこそが開発中の用語で「侵食X」と呼ばれていた「相手が自身のオーラ、フレア、ライフから選んでX個の桜花結晶をダストに送る」効果です。
             
             『第二幕』を経て、ウツロはもう少し気軽に桜花結晶をダストに送れるべきだと分かりました。他方でオーラやフレアを確定でダストに送れるようにすると組み合わせにおける問題が起こりやすすぎます(もちろんライフはもってのほかです)。そこでこの効果であれば実にちょうど良い塩梅で、さらに相手の選択という面でもウツロらしかったのです。

             


            塵の値は有為転変

             

             もうひとつ「灰塵」にまつわる歴史として、ダストの閾値の変化を語るべきでしょう。『第二幕』での閾値は初めから8であり、最後まで変化しませんでした。これについては大層な理由があるわけではなく、この辺りがゲームにおいてちょうど意味深い障壁であろうと考え、プレイテストにおいてその予測が概ね正しそうなフィードバックが帰ってきたためです。
             
             『新幕』では桜花結晶の数が4個増えており、さらにウツロのカードプールはより心地よくダストを作れるよう工夫されていました。ゆえに閾値は増やすべきにも思えましたが、まあ一応念のため8のままでデザイン班としてのテストを行いました。結果は予想通りで、よだれを垂らしながら適当にカードを使っていたら簡単に満たせたので閾値は直ちに10に変わりました。
             
             そこからしばらくはバランス調整チームの中でテストされ(さまざまな愚かな現象(※)は起こりましたが)灰塵の閾値には手は入りませんでした。

             

            ※ 後篇をお楽しみに!
             
             そこからウツロの完成度がもう一段引き上げられたのはゲストプレイテスターを交えたプレイテストでした。私どもは『新幕』の『第壱拡張』よりセットの完成度を引き上げるべく、数名のプレイヤーをゲストとして呼んでそこからフィードバックを受け取っていたのです。
             
             それは人間は歴史に騙されてしまうためです。私どもはそこまでの開発において様々な紆余曲折があったことを把握しています。それゆえにこのような変遷があるならこの現状は妥当だと考え、過ちに気づかない可能性があるのです。最たる例はシーズン1の『Thallya's Masterpiece』です。この1枚は印刷まで3、4回の弱体化を受けており、私どもはここまで弱くなったから妥当だろうと誤認していました。
             
             ゲストテスターに関するやり方はより洗練されつつあります。『第参拡張:零限突破』では(シーズン2と3で禁止カードを要した反省から)カード更新と新メガミでまとめてテストするには無理があると判断し、カード更新だけを見るゲストテスターと、新メガミなどの全体を見る直前フィードバックチームを切り分けました。そして結果としてより良い結果に繋がったと考えております。
             
             話を戻しましょう。その際のゲストテスターには、『第二幕』でウツロを徹底的に使い込んでいたプレイヤーが呼ばれていました。そして彼にはもちろん開発途中のウツロをテストしてもらったのです。
             
             そのフィードバックは最初は良好でした。しかしテストを重ねるうちに段々と不満が見え始め、私どもの隠れた失敗の気配が漂い始めたのです。そしてテストと議論を重ね、その正体が見えました。灰塵の達成において、意思決定と努力の快感がわずかに足りなかったのです。
             
             彼のプレイテストにおいて、大半の場合はウツロ側がターンを迎えた時点で、ダストは10〜11個ありました。つまり確かに中盤以降でなければ灰塵は満たされませんが、ウツロらしく妥当にプレイしていれば灰塵は自動的に満たされてしまうのです。これでは与えられたものをただ受け取るだけで、プレイヤーとしての快感につながりません。
             
             そこで私どもは閾値を12にするという決断を下しました。ダストが10〜11になるならば、そこから1枚カードを用いる―例えば相手に攻撃をオーラで受けさせたり、切札を使ったり―という僅かな努力と工夫を要するようにしたのです。
             
             この変更でウツロのプレイ体験はより濃密で意味深いものになりました。特定のメガミへと丁寧に向き合い続け、だからこそ本当に見つけづらい課題へと気づけたのは素晴らしいというほかありません。この場で改めて心からの感謝を贈らせていただきます。
             
             ウツロの『新幕』に向けた変化はこんなところでしょうか。それでは残る紙面では何枚かのカードについての歴史をお話ししましょう。
             

             

            第二幕

             

             ウツロの基本的な攻撃の枠としてデザインされ、ほぼ変更されませんでした。中遠距離を志向する第2のメガミとして設計されたため適正距離は6-9であり、灰塵を参照します。
             
             気を遣った点はもちろんヒミカとの組み合わせです。ヒミカは遠距離での攻撃の苛烈さゆえに比較的ダストを作りやすいメガミであり、それゆえに遠距離ながら灰塵は満たしやすくもあります。ゆえに灰塵で得られるボーナスを+1/+1が論外であるのはともかく、+0/+1ですらないようにしました。
             
             他方で他のメガミとの組み合わせではダストを8以上にしたうえで間合6に行くのはなかなかに困難です。それならば「-/1」の攻撃でも問題ないのではないでしょうか。『新幕』の今となっては中々に想像しがたいことですが、『第二幕』において「-/1」はそれだけ強力だったのです。
             
             結果としてこれらの考えはどちらも概ね正しく働き、魅力的なカードに仕上がりました。少しばかりメガミの組み合わせが難しくプレイングも難解ですが、『第参拡張』のメガミであるならば致命的問題ではないでしょう(基本セットなどでは難しすぎるため当然ダメです)。

             

            新幕

             

             『新幕』でライフが10になるにあたりダメージの再定義が行われますが、まずウツロはこの1枚が2/2になりました。さらに『新幕』では-/1は(第二幕の印象から過大評価していましたが)そこまで強力ではなかったと分かりつつあった、灰塵の難しさを鑑みて-/2も問題はないと判断しました。
             
             他方でダメージの増加に伴い、ヒミカとの組み合わせには一層の警戒が払われました。ヒミカ自身の攻撃が間合8で使用しやすくなった点を加味し、ゲームの序盤で決定的な差がつきやすくなりすぎないように適正距離8までを除き、6-7としたのです。間合も中距離により、遠距離よりの中距離として個性も際立ったと言えるでしょう。
             
             「円月」が活躍する幅が想定より狭くなっている点に不満はあります。それがウツロ自身の問題なのか、それともヒミカ以外との「円月」を使いうる組み合わせを補強すべきかは今まさに検討されているところです。

             

             

            第二幕

             

             ウツロのサブウェポンとしてデザインされ、こちらもほぼ変更されませんでした。こちらもヒミカと組み合わせた際に問題を起こしてはならないという制限から逆算して設計されています。つまりオーラやライフへのダメージを大きくしてはなりません。そうなれば、強力な攻撃後効果があるべきでしょう。
             
             さらにこれまでのセットをデザインする中で、何度か俎上に上りながらも没になってきた効果がありました。それこそが「相手がオーラへのダメージを選んだならば」誘発する攻撃後効果です。私はそのテキストを思い返して、どこかウツロらしさを感じ取りました。当時ではおそらく言語化しきれていませんでしたが、開発後期の時点では「相手の選択」効果の魔王らしさを認識しており、今でも正しい直感であったと判断しています。
             
             効果を手札破壊にしたのは、ヒミカと組み合わせた速攻をさておけばウツロをややコントロール寄りのメガミと考えていたためです。ゆえに防御手段が必要なため、ハガネと近い理由から手札破壊が採用されました。また手札破壊のような能動的妨害もウツロらしいと感じていました。この面でも後になって見れば「ネガティブ効果」に即しています。
             
             このように機能的であるとともに、デザインを通してウツロらしさを定義した重要な1枚だったと言えるでしょう。
             
             小さな失敗を挙げるとすれば、多くの場面で適正距離4-7が使いづらいことを、当時は気づけていなかった点です。中遠距離という色眼鏡で見て適正距離を定めてしまいましたが、もしかしたら3-7のほうがもう少し使い勝手の良いメガミだったかもしれません(そうしたら問題だったかもしれませんが)。

             

            新幕

             

             「灰の右手」については大成功していたため、カードの指針を変える理由はありませんでした。あとは正しく機能するように『新幕』に合わせるだけです。
             
             そう考えるとライフへの打点を増強する必要性からみても、ライフへの1ダメージを許容しやすくなったためにそのままでは手札破壊が機能しない点から見ても、このカードが1/2になるのは必然的と言えます。
             
             カード名の変更については次の「刈り取り」で述べるとしましょう。

             

             

            第二幕

             

             同じくウツロのサブウェポンとしてデザインされました。多くの語るべき内容は「灰の右手」と一致していますので、ここでは相違点だけを述べましょう。
             
             ウツロにはダストを作る能力を十分に与えなければならないと私どもは考えていました。その際にネックとなるのは相手のフレアです。当時の(デザイン班がバランス調整を兼ねていた)私どもはダストを枯らし、フレアにため込んでいくプレイングを十分に理解できておらず、またそれをこなせるプレイテスターも1人もいませんでしたが、『第一幕』時点での知識からその種のプレイングへの警戒はしていました。そこで「灰の右手」と近いやり方で、相手のフレアへと干渉できるカードをデザインしたのです。
             
             その判断は正しかったですが、失敗した点は「灰の右手」をより重篤にしたものでした。まずこちらだけダメージを0/1としてしまいましたが、これはダストを作る力を補強する面で不足していました。さらにダスト作りというウツロの立ち回りに関わる仕事を任されていたからこそ、より3-7がふさわしかったとも言えるかもしれません(※)。
             
             その失敗はプレリリース大会で明らかになり、またホノカが強さの面で問題であると発売前に分かったことから、(ホノカと違って致命的問題ではありませんでしたが)併せて発売前に調整されることになりました。

             

            ※ ただし、1/1にしたうえで3-7にして問題ないのかどうかは定かではありません。

             

            新幕

             

             「塵の左手」については強力なライバルが立ちはだかりました。侵食Xです。ウツロにダストを作る力が必要であるのは明らかでしたが、元の「塵の左手」の効果は侵食との重なりが感じられ、また1/1では力不足でした。しばらくプレイテストを重ねましたが、いまひとつ魅力的とはいいがたい効果だったのです。

             

             その原因はカード名にありました。『第二幕』でのカード名は格好良さの面から納得していましたが、他方で両手を対にしているというイメージゆえに、両者の間合を揃えなくてはならないという制限が生じていたのです。『第二幕』では上手くいっていましたが、『新幕』では間合をそろえたうえで両者の強みを生かしつつ整えることはできませんでした。そこで2枚のカード名を変更させ、間合を変えられるようにしたのです。
             
             ここからいわゆる「蝕みの塵」をデザインするという道もあったかもしれませんが、私どもは侵食効果を掘り下げる道を選びました。攻撃時に侵食2を行う攻撃として設計し、適切かつ中距離らしさの残る間合4を与えました。そしてそれだけでは間合の制限に見合った強さではありませんでしたので、その時点で没になっていた「契約の楔」から引き継がれる形で付与札へと対策する力が与えられたのです。
             
             総じて魅力的なカードですが、まだ真価は発揮できているとは考えていません。この1枚が活かされるには、中距離をより活かすための環境づくりが重要と言えるでしょう。
             
             
             本日はここまでとなります。来週はウツロ特集の後篇にて残るN4からS4と原初札の話を行います。ご期待くださいませ!