記事目録

2018.06.15 Friday

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    『桜降る代に決闘を』の公式サイトはこちら

     

     

    第0話:或る最果ての社にて

    序章:小さな地の小さな野望

    第一章:天音家の戦い

    第二章:ふたつの旅

    第三章:狭間の時代

     

    第54話:口火

    第55話:佐伯識典

    第56話:熱意と冷酷の都

    第57話:激震の時

     

    次回更新は6/22(金)となります。

     

     

    最新記事

    2018年6月禁止改訂

     

    次回の禁止改訂は7月2日(月)となります。

     

     

    最新記事

    狂気カラクリ博覧会(前篇)

     

    過去の記事(上の記事ほど新しいです)

    今後の展望、2018春夏

    ニコニコ生放送でふるよにをお送り

    新幕に向けてイベントをお届け

    ゲームマーケット2018春をまとめましょう!

    『新幕』のバランス調整のための宣言

    新たなメガミと自然に適合

    もっと悪いことをしましょう

    GM2018春はエリア出展します!

    新たな幕の「はじまり」

    細音雪花がDL版で帰還

    外套の裏には歪な心(後篇)

    外套の裏には歪な心(前篇)

    大決戦のために問題解決

    大決戦の時は近い!

    公式ネットショップと再版計画

    雄大な地に鐘が鳴る(後篇)

    雄大な地に鐘が鳴る(前篇)

    今後の展望、2017冬

    コミックマーケット93と公式通販

    第参拡張の修正とお詫び

    新たなメガミと未来へ拡張

    第参拡張とゲームマーケット2017秋

    イベントは次のステージへ

    コラボカフェがやってくるぞ!

    新たなメガミと原点に回帰

    テレビに出ることになりました

    質疑応答の時間です

    決定版に向けて大調整

    これまでとこれから

    未来をつくるために(後篇)

    未来をつくるために(前篇)

    炎天は熱く熱く輝く(後篇)

    炎天は熱く熱く輝く(前篇)

    今後の展望、2017秋

    技の果てはどこまでも静か(後篇)

    技の果てはどこまでも静か(前篇)

    より楽しいイベントを目指して

    新たなメガミと怒涛の疾走

    第弐拡張やイベントの速報をお届け

    より良いゲームのための見解報告

    新たなメガミと狂気を組立

    忍の道をいざ行かん(後篇)

    忍の道をいざ行かん(前篇)

    今後の展望、2017夏

    悠久不変に舞い踊れ(後篇)

    悠久不変に舞い踊れ(前篇)

    ゲームマーケット2017春まとめ

    全国大会に向けていざ進め!

    祭札、そして様々な流れを楽しもう!

    チカゲ反省会とカード調整

    今後の展望、2017春

    新たなメガミには毒がある

    新たなメガミと世界を拡張

    第一幕の覇者たちを讃えよう!

    今後の展望、2016冬

    第二の幕開けは近い:後篇、新作発表

    第二の幕開けは近い:中篇、問題解決

    第二の幕開けは近い:前篇、問題提起

    新たなメガミをお出迎え

    今後の展望、2016秋

    楽しき代のためカード調整

    今後の展望、2016夏

     

    次回更新は6/22(金)を予定しております。

     

     

     

    『半歩先行く戦いを』

    第1回:前進と後退

    第2回:全力で行こう

    第3回:切札は秘めてこそ

    第4回:攻めと守りに基本あれ

    第5回:決闘いろいろ小噺集

    第6回:30秒で組み上げな

     

    『双つその手に導きを』

    第1回:ザ・ビートダウン

    第2回:攻め×守り=超対応力

    第3回:遥か果てからバンババン

    第4回:いつもあなたのそばに

    第5回:集めて揃えてOTK

    第6回:千変万化に煌めいて(前篇)

    第7回:千変万化に煌めいて(後篇)

     

    『第二幕』の攻略記事は完結いたしました。『新幕』での攻略記事にもご期待ください!

     

     

    シーズン1 作:hounori先生

    第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回

     

    シーズン2 作:あまからするめ先生

    第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回

    第10回 第11回 第12回 第13回

     

    シーズン2はデジタルゲーム版のメガミ紹介も兼ねております。そんなかんじでよしなによしなに。

     

     

    第二回全国大会「第二幕大決戦」レポート

     

    コラボカフェ開幕式&閉幕式

     

    錦秋の大交流祭レポート

     

    全国大会レポート(前篇)

    全国大会レポート(後篇)

     

    第1回 第2回 第3回 第4回 第一幕最終

    第1回大乱闘 第2回大乱闘

     

    しばらくは更新予定はありません。次の大規模大会は、もちろんレポートいたしますよ!

     

     

    狂気カラクリ博覧会(前篇)

    2018.06.15 Friday

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       こんにちは、BakaFireです。本日の記事は好評のシリーズ、メガミ特集の7回目となります。このシリーズで取り扱うメガミはTwitterでのアンケートにて決められ、現在は第6回でアンケートした4柱を順に進めているところです。前回は1位であったチカゲ特集を行いましたので、今回は2位のクルル特集となります。

       

       

       ここしばらく、新幕関連でとても忙しかったためシリーズが滞ってしまいましたが、めでたく今週は書くことができました。お待たせしてしまった皆様にはお詫び申し上げます。
       
       これまで行ってきたトコヨ特集オボロ特集サイネ特集ヒミカ特集ハガネ特集チカゲ特集を踏まえた内容でもあります。お時間がありましたら、これらのシリーズもご一読いただけると嬉しいです。
       
       それでは、さっそくはじめましょう!

       


       
       
      流れについていろいろ考えましょう

       

       どのようにメガミを語るかどうかのやり方は、概ねこれまでと同様でよさそうです。つまり、次のようになります。
       

      • 前篇ではメガミの歴史を語り、後篇では個々のカードを語る。
      • 第一幕での六柱を語る際は、本作そのもののゲームデザインと紐付けて語る。

       
       しかし、今回は新たに考えるべきところが2つありますので、まずそれらについて触れておきましょう。
       
      初めてとなる『第弐拡張』出身のメガミである

       

       これについてはハガネ特集、チカゲ特集と同様に取り扱えばよいでしょう。つまり、歴史的な話をするにあたっての時間がずれるのです。クルルのデザイン、バランス調整を行ったのは2017年2月から6月頃となりますので、その辺りの話をすることになります。
       
      すでに『新幕』が発売している

       

       これをどう語るべきかは難しいところです。考えた結果、これまでの前篇後篇から三部作に変更し、後篇では『第二幕』から『新幕』に向かうに当たってクルルにはどのような取り組みが行われたかと、『新幕』のカードリストへのコメントを行うことにしました。
       
       つまり前篇と中篇は『第二幕』での話が中心になるということです。『新幕』から新たに始めた皆様は、昔話の一つとしてお楽しみいただければ幸いです。
       
       
      くるるーん、ひらめきましたっ☆
       
       彼女はどこから生まれたのでしょうか。結論として言うと、ある日突然頭の片隅から生まれ出たのです。もちろん、どんなメガミも究極的にはそういう話なのですが、彼女はそれにしても極端でした。
       
       時は2017年1月頃、ハガネとチカゲの調整をしていた時の話です。ぼんやりと何かしらを考えていた私の脳内に、何かが語りかけてきたのです。


      「切札が未使用に戻った時、何かいいことが起きたら気持ちよさそうじゃない?」
       


       そのささやきを聞いた私は全力で同意しました。これは私のプレイヤーとしての気質にもかみ合ったためでもあります。私は対戦型のカードゲームにおいて、コントロール的な立ち回りを好みますが(ゆえにトコヨもまたゲームを遊ぶという側面において私のお気に入りのメガミです。ええもちろん、キャラクターとしては全員大好きですよ)、それと同じくらい奇天烈で、カード同士の相互作用を意識したコンボデッキが好きなのです。
       
      (その反面、素直に盤面を取り、殴り合う戦略は苦手です。この気質は厄介なものです。ゲームは王道の戦い方がちゃんと強く、魅力的である必要があるため、私は自分が好む戦略が強くなりすぎないよう、欲望を慎重に制御する必要があるのです)
       
       そして私は妄想に入りました。コンセプトのアイデアが浮かぶと妄想し、カードのアイデアを広げていくのはいつものことですが、この妄想はあまりにも捗りました。そしてその中で切札が未使用に戻ると同時に様々な事柄が誘発するのは極めてシステム的であり、カード1枚1枚が歯車のようにかみ合っていることに気付いたのです。
       
       この感覚から、彼女はカラクリを操るメガミであると確信しました。そしてあまりにこのアイデアを気に入ったために、この時点で『第弐拡張』へと彼女を入れることは私の中で確定していたのです。
       
       折角ですので、その頃のカードをいくつかお見せしましょう。


      すとーむ        攻撃
      2, 5    2/1
      【常時】駆動―あなたが切札を未使用に戻した時、このカードが捨て札にあるならば、このカードを使用する。

       

       このころはまだ攻撃カードが存在していました。また、サリヤで実現した離散間合の攻撃が最初はここに存在していたのは興味深いところです。


      りぱるさー        行動/全力
      あなたのコスト3以上の切札を1枚選び、それを未使用に戻す。

       

       切札を未使用に戻すことに意味があるため、当然そのためのカードは存在します。


      ほっぴんぐすてっぷ        行動    3
      【使用済】あなたの基本動作に「跳ね:ダスト→間合」を追加する。
      再起[あなたが山札を再構成する時、その直前にこのカードを未使用に戻す]

       

       同時に自身の切札は未使用に戻るような機能を持っています。しかし、未使用に戻すことをデメリットとしても働くようにしていました。また、同じくサリヤで実現した追加基本動作のアイデアはここから始まっていました。
       
       
      さあ現実へと帰る時だ
       
       時は流れ、妄想の時間は終わりました。2017年2月。いよいよ『第弐拡張』と『第参拡張』のデザインが始まったのです。『第参拡張』での大きな失敗でお話ししたように、これら2つの拡張は印刷の都合から同時期にデザインされていました。
       
       こうなると、いつまでもキモい表情でにやにやと妄想しているわけにはいきません。現実へと帰って、きちんと機能するカードリストを仕上げる必要があります。私はクルル、サリヤ、ウツロら3柱の原型を作成し、プレイテストへと臨みました(ホノカの原型はアイデアがまとまっておらず、それから数週間後にデザインされています)。
       
       ハガネとチカゲ、つまり第壱拡張での学びから、私はあるメガミをデザインするにあたり、彼女を宿すプレイヤーにどのような体験をさせたいのかを強く意識するようになりました。例えばハガネならば力を溜めて、ドカンとパワフルな一撃を撃ち込みたい。チカゲならば毒で相手を苦しめたいという具合です。それらの体験の意図を意識することで、気質のあったプレイヤーの満足度向上を図ったのです。

       

       ではクルルはどうあるべきでしょうか。その答えは誰よりも簡単でした。なぜなら他ならぬ私にそのような気質があるのですから。その類のプレイヤーは発明品を通して自己表現をすることを望んでいます。「ワシの新しい発明品を見せてやろう……!」とかそんな感じでにやにや笑いながら出現したいのです。つまりはクレイジーな発明家になりたいのです。

       

        その基本を踏まえ、掘り下げましょう。発明家はどのような時に心を震わせるのでしょうか。普通でないイカれたことが実現できること、そしてカードが部品として働くことが条件だと私は考えました。

       

       前者は簡単です。クレイジーでこれまでにない効果を実装すれば良いのです。例えば切札を再利用したり、全力カードを全力でないタイミングで使えたりという具合です。

       

       後者について説明しましょう。カードを部品として感じさせるとは、カードがデッキの一部であり、そしてデッキのために寄与している歯車であるような感覚を強めることを指します。私はそのために、カードを単独で機能させずらくしました。例えば先の例でも、切札や全力を適切に組み合わせて初めてクレイジーな効果になるのであり、単独では何もしません。逆の例も挙げると、「斬」はそれ単独として攻撃カードとして機能します。
       
       また、彼女をカラクリのメガミたらしめた、誘発する効果もまたその感覚を強めます。ゆえにその類のカードも他のメガミより多く持つように設計するべきでしょう。

       

       これらを意識してリストを設計した結果、驚くほどスムーズに楽しそうなおもちゃ箱が完成しました! おおブラボー。なんと楽しそうなのでしょう。さあ、実験です!
       
       
      実験は失敗じゃよ……。

       


       プレイテストの結果、非常に厄介なフィードバックが帰ってくることになりました。まず最も厄介だった事実は、当時のプレイテスター(当時はデザイン班がバランス調整を兼ねていました)には「クレイジーな発明家」は私しかいないと分かったことです。
       
       このアイデアが楽しそうであること、これを強く楽しむプレイヤーが間違いなくいることについては全員が同意してくれましたが、残念ながら誰もが「自分には厳しそう」と感じてしまったのです。気質が合い、楽しめるかどうかはもはや天性のものであるため、無理を言うわけにもいきません(事実、クルルはほぼ全てを私一人で調整しました)。
       
       そして彼らのフィードバックは十分に的を射ていたとも分かりました。いくつかの思いついていたデッキこそ楽しく回せましたが、「クレイジーな発明家」である私ですらも、それ以降のテストではどうにも歯車がかみ合わず、楽しくない感覚を味わうことになってしまったのです。
       
       なぜ駄目なのかは、テストを重ねるたびに明確になっていきました。発明品を作れど作れど、まるで動かないポンコツなのです。なぜ動かないのでしょうか。冷静に考え、いくつかの結論が導き出されました。
       
       第一に、駆動ギミックが駄目だと分かりました。私が最初のテストで作った発明品はトコヨ/クルルであり、「無窮ノ風」を軸にして様々なカラクリが「駆動」するデッキでした。これはとても楽しく魅力的でした。
       
       しかし、このような滑らかな駆動が望めるメガミは限られています。駆動はギミックとして働くために再起を求めすぎています(もちろん、クルルのカードの中にも再起を入れる程度の工夫はしていましたが、自己完結もまたメガミの魅力を削ぎ落してしまうため、その再起はさほど強力なものではありませんでした)。
       
       結果として、クルルは一部のメガミとしか組み合わせられず、ほとんどの対戦で楽しくないものになってしまったのです。駆動ギミックは間違いなく楽しいですが、コンセプトの中心に置いてはいけません。カードを一部だけ残し、ほぼ全ては撤廃するべきと判断しました。
       
       第二に、クレイジーな効果が絵空事に過ぎないとも分かりました。ヤバそうで楽しげなおもちゃ箱は、実際にヤバくなってしまうとゲームを破壊します。それを避けるために私は、実現を難しくするような工夫を凝らしていました。
       
       しかしその結果として、カードの効果から想定されるゲームプランが薄く、なんかヤバそうなことが書いてあるバラバラのパーツになってしまっていました。それゆえ、ヤバい効果は実際には起こりません。楽しそうなおもちゃ箱はなんてことはありません。実際はただのガラクタの塊だったのです。
       
       この問題を解決するにはカードに一貫性のあるゲームプランを内包させる必要があります。しかし、一貫性のあるヤバそうなものは実際にヤバく、ゲームを破壊します。我々には危険な装置を制御するための安全弁も求められていました。
       
       こうして、幾度かの検証の結果、実験は失敗だと分かったのです。
       
       
      今こそ組み立てよう
       
       しかし私は諦めませんでした。私の中で、このコンセプトへの思い入れはあまりにも強いものでした。カラクリとは何なのかを考え、そしてクルルを用いたデッキを回し続けていたのです。
       
       このように書くと、また苦闘と難産の日々が続いたのかと思われるかもしれません。しかし、回答は驚くほどにするりと、歯車がかみ合うように生まれ出ました。カラクリ、安全弁、私はそれらを考えながらゲームを遊び終え、ふと気づきました。カラクリは、組み立てるものなのです。
       
       つまり、カラクリを組み立てればよいのです。ゲーム内での何かしらの行動を通してカラクリを組み立て、それが完成しない限りは効果が発生しないようにします。これは正しく安全弁であり、カラクリらしいものです。
       
       ではどのように組み立てるのか。追加のカラクリボードなどを用いるのが下策なのはすぐに分かりました。第一に本作はそれなりに複雑で、クレイジーな効果を持つクルルも複雑です。そこにさらに複雑さを加えると間違いなく遊ぶに堪えないものになります。第二に自己完結の問題があります。あるメガミのカードのために同じメガミのカードが「必ず」要求されるのは良い結果を生みません。もう一柱のカードを入れる理由がひどく薄れ、本作の2柱を組み合わせるという魅力がなくなってしまうのです。
       
       それゆえ、要素を追加せずにそこにあるもので自然に、それでいて一定の苦労をしてカラクリを組み立てる必要があります。そんなものはあるのでしょうか。丁度ゲームを終えたばかりの私は、自然に盤面に視線を落としました。そこには、当然のようにカードが並んでいたのです。
       
       私は思わず、ええ、狂った発明家のように笑ったはずです。このゲームでカードを使用し、捨て札に置くのは言うほど簡単ではありません。なぜなら常に競合する使いみちとして基本動作があるからです。ならば、捨て札にあるカードの何かに注目すればいいではないですか。
       
       何に注目するべきか。少し考えれば自明でした。「カードタイプ」と「サブタイプ」こそが相応しいでしょう。データとして必ず存在し、種類が限られ、そして使用しやすさに差があるのです。例えば攻撃は間合を合わせなければ使えず、付与はダストの状況に強く依存します。
       
       さらにもう一歩考え、使用済の切札も含めるべきと分かりました。捨て札は山札の再構成でなくなってしまいますが、これは残り続けます。即ち、それ以降のカラクリが組み立てやすくなるのです。これは直感的に、ボードゲームにおける拡大再生産の理念に近いと感じました。となれば正解のはずです。拡大再生産は、原則として楽しいのですから。
       
       (ちなみに展開中の付与札を数えるべきなのは1回プレイテストをした際にすぐに分かりました。カードを使用したにも拘らず、その付与札が破棄されるまでカラクリが組みあがらないのは、明白なストレスだったのです)
       
       ここまで思いつき、その日はもうクルルを回さないことにしました。そしてその日の夜のうちに私はカードリストを仕上げ、次のプレイテストに備えたのです。


      ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン

       

       そして次の実験で出た結果は、想像をはるかに上回るものでした。安全弁は正しく安全弁として働きました。カラクリを組んでいる感覚がありました。そして何よりすばらしいことに、相互作用していないカードですら歯車のように感じられたのです。そう、単純に強いから入れたそこらの「斬」ですら、デッキという全体を構成する歯車だという感覚が強まりました。ダメージを相手に与えつつ、カラクリの貴重な赤いパーツとなるのですから。
       
       デッキ内の全てのパーツが、デッキという巨大なカラクリのために。そして巨大なカラクリは、勝利というひとつの目的のために。この時私は確かに自らのデッキを、偉大な発明品だと感じたのです。
       
       さらにその日、何度かクルルを回した後、当然ながら他のメガミの状況を確認するために他のメガミを回そうとしました。その時、私は驚くべき体験をしました。特にゲームでの意味はないにもかかわらず、カードタイプとサブタイプの確認をしてしまったのです。
       
       僅か一日で、独自の脳回路が形成されました。この感覚は間違いなく他のメガミにはなく、すばらしく魅力的でした。もはやここまでくれば明らかでしょう。
       
       ええ、実験は成功ですとも!
       


       
      良い物語には良い敵がいる

       

       これで「機巧」をめぐる物語は終わりなのですが、もうひとつ書いておくべきことがあります。ストーリーについてです。

       

       『第二幕』で初登場したサイネ以降のメガミは、常に裏でストーリー『桜降る代の神語り』と共に考案されてきました。それではクルルはどのような扱いだったのでしょうか。
       
       上記の通り、私の妄想と思い入れ故に、カラクリのメガミが登場することは本来の計画より早く決まっていました。ならば、彼女にはどのような役割が相応しいのかを考える必要があります。
       
       当時の物語に不足していたのは何でしょうか。私は「敵方のメガミ」だと結論付けました。主人公と対立する敵方の存在には魅力があります。本作の花形はメガミです。ならば当然、敵方のメガミが存在すべきなのは明白でしょう。クルル、そしてウツロはそのために物語に配置されました。
       
       さらに物語におけるパワーバランスの問題も併せて解決しようとしました。第二章が終わるまでは天音揺波は不完全な存在です。しかし第三章では彼女は強大な実力者となり、そして何柱かのメガミの助力や、強力な戦友も得ることになります。
       
       我らが大敵である瑞泉驟雨はそんな彼女に立ち向かう必要があります。そのためには彼にも、メガミの助力があるべきでしょう。そして互角ではいけません。敵は一見して、主人公よりも強大でなくてはいけないのです。
       
       そしてカラクリ、即ち科学的な発明品はその陰謀を大きく助け、幅広くすることができます。彼女の助力こそが、敵を間違いなく魅力的にすると確信しました。同時に敵であることは、彼女の人格を定める助けにもなりました。メガミが純粋に悪であることは望ましくありません。それゆえ彼女は無垢であり、同時に狂気的なのです。
       
       面白いのは彼女の存在はその後の物語を大きく動かしていった点でしょう。彼女が味方に加わったからこそ瑞泉は「神渉装置」計画を実行に移し、この時代を大いに動かしたのですから。彼女は間違いなく、物語においても欠かせない歯車でした。

       

       

       今回はこんなところでしょう。次回の更新は来週、クルル特集の中篇にて、『第二幕』でのカード個別の話をさせて頂きます。ご期待くださいませ!

      『桜降る代の神語り』第57話:激震の時

      2018.06.08 Friday

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         いくら口が回ると言っても、それだけで万事うまくいくわけでもない。
         哀れにも矢面に立たされた楢橋平太は、けれど他の二人から目をそらす案山子としては適任だったのかもしれない。
         闇昏千影たちにとって大切だったのは、夜を静かに迎えること。
         そう――決戦の開始を知らせた、あの瞬間をね。

         

         

         


         ずっと一人だった御者台。
         けれど、今は隣を埋めてくれる者がいる。

         

        「そうかそうか。疑っていたわけではないが、弔慰満ちる古鷹の民が賢明な判断をしてくれたようで安心した。肩を並べられないのは残念ではあるが、再び足並みを揃える日が来ることもあるだろう」
        「そ、そっすね……」

         

         それが上半身裸の厳つい筋肉男でなければどれほどよかったか――楢橋は曖昧に頷いておきながら、己の不運を呪った。
         持ち込んだ荷を買い叩かれそうになったところを架崎に助けてもらった彼であるが、何故かこうして肩を並べて世間話に興じている。本来は搬入と会計処理に遠藤たちが手間取っている間の僅かな時間潰しで済むはずだったのだが、つい先程代金を受け取ってからも架崎は離れようとしなかった。

         

         実際のところ、楢橋はその理由の検討がついていた。けれど、その一つである『主人たちを待っている』という身から出た錆じみた嘘はともかくとして、もう一方の理由はもはや彼にはどうしようもないものであった。

         

        「しかし、古鷹の酒とあれば道中でもよく売れるだろうに。商人たちからはよく聞くんだ、南に下るまでの間に、忍が荷をくすねてしまう、とな」
        「随分と手癖の悪い連中がいたものですね。まあ、お馬さんと重い想いを分かち合うのは遠慮願いたいですから」
        「だから近年は商船を多用し始めていたわけだが……民草に混じって買い付ける暇もないほど、最近の忍は忙しいと見える。あるいは――」

         

         わざとらしく眉を上げて、架崎は問う。

         

        「帰る家をなくして、酒に浸っているのかと思っていたのだがな。そんな忍の姿は見なかったか?」

         

         ……商人とは、物だけではなく情報も扱う人種である。物流から政治的な動向を察知しなければ、その変化の波に乗らなければならないか判断することもできない。それができない者は、荒波に揉まれて大損するのだ。
         つまり架崎は、楢橋という商人から世間話ついでに情報を聞き出そうとしていたのである。古鷹から、といううってつけな条件に加え、口利きした礼代わりに南西部の情勢を聞き出そうとしていたのである。

         

         弁が立ち、のらりくらりとかわすことに関しては優秀な楢橋であっても、架崎の肉体と複製装置が織りなす威圧感の前では、失言をしないことに集中するので精一杯。無駄に消えていく時間は嵩み、陽も朱色から藍色を帯びて久しい頃合いになっていた。
         楢橋は、自分を置いていった忍二人を努めて意識から外しながら、

         

        「い、いやー、どうでしょうかねえー……。旦那様方はともかく、あっしのようなぺーぺーの出る幕ではございませんで。そりゃあ商人の端くれですから忍の方々とあれこれ云々などなどございますのは存じてますが」
        「その主人たちは懇意だと?」
        「そうじゃございませんよ。もっとお偉い方の話で」
        「ふむ……そうか。それもそうだな」

         

         残念そうに引き下がる架崎だが、視線に未練が残っていた。
         そろそろ限界を感じていた楢橋は、下手を打つ前に離脱したほうがいいかと話を打ち切る覚悟を決める。

         

        「ならこういう話は聞かないか? 炎に焼かれたあの天音の生き残――」
        「っかーッ!!」
        「……!?」

         

         突然額を抑えながら叫んだ楢橋は、御者台から下りてぺこぺこと架崎に頭を下げる。

         

        「す、すいやせん。そういえば宿に行くよう言われてたの思い出しまして。大目玉食らっちまう! ……えっと、天音がなんでしたっけ?」
        「いや……すまない。随分と引き止めてしまったな」
        「いえいえ。今後共よろしくおねがいしますね!」

         

         渋々立ち上がった架崎は、ずっと待ちくたびれていたように鼻を鳴らした馬の背を撫で、その場から立ち去ろうとした。
         だが、そこへ、

         

        「あ、架崎ぃ!」
        「……っ!」

         

         芯の通った女の一喝が、通りに響いた。明らかにこちらへ向けられたその声と、反応した筋肉男によって、楢橋は手綱を拾う体勢のまま凍りついた。

         

        「あんたこんなところで何油売ってんだい!」
        「いや、油を売っていたわけでは。浮雲こそ先に戻っていたのでは」
        「だからあんたを呼びに戻ってきたんじゃないか。あんたみたいな筋肉ダルマでも、居ないと進まない話だってあるさね」

         

         傷んだ髪を乱雑に後ろでまとめたその女・浮雲は、少しばかり低い背を物ともせずに架崎を叱咤する。狩人然とした格好ではあるが、その気性はこの辺りに溢れている海の男たちとも似通ったものがある。
         つかつかと歩み寄ってきた浮雲は、そこでようやく架崎と馬の陰に隠れた楢橋の姿を認めた。

         

        「……なんだ、本当に油でも売ってたのかい」
        「いや、年若く、わざわざ古鷹から来てくれたものを、騙されそうになっていたところを俺が取り持っただけだ。栗谷君と言う」
        「へえ……」

         

         手綱を掴み上げた楢橋は、ぎこちないながらもなんとか浮雲に笑顔を見せる。その腕の複製装置に汗を垂らしながら。
         浮雲は出発しようとする楢橋を邪魔するように、御者台に座った彼の前に片足を入れた。そして、ぐいと顔を近づけた彼女は、

         

        「あんた、どこのもんだい?」
        「ぜ、銭金です……下っ端でございますが……」
        「ほう、そうかいそうかい」

         

         その圧力に耐えかねて、僅かに目をそらしたときだった。
         浮雲は、楢橋の顎を掴んで無理やり自分へと顔を向けさせる。

         

        「……!」
        「商人らしい良い面構えじゃないか。こういう、一見人畜無害そうな顔してる奴が一番食えないんだ。……そう、食えないんだよ。なあ?」
        「ひゃ……ひゃい……」
        「おい浮雲……」

         

         じっくりと至近距離で観察され、遮二無二逃げ出したくなる楢橋だが、敵を前に敵地で逃げ出すことの愚かさを理解しているだけに、動くに動けない。疑われているというより、ただカマをかけられている段階で無理をすれば、逃げる背中を刺されても文句は言えないだろう。
         筋肉男を嘆いていたら、それよりも強烈な狩人の女に絡まれた。そんな嵐をただただ過ぎ去っていくことを祈るしかない楢橋は、できる限りの笑顔を保ち続けるしかない。

         

         と、そんなときだ。
         ひゅん、と風を切る音がしたかと思うと、すぐ傍を通りがかった二頭立ての荷馬車の荷台が、突然姿勢を崩して荷の樽をぶちまけた。

         

        「ああ、クソッ! 車輪が逝っちまいやがった!」

         

         響く御者の嘆きの中、楢橋たちのいる商館前に向かって転がっていく樽。大量に積まれていたそれらは、あるものは壊れて中身の魚を撒き散らし、あるものは鈍器となって彼らに襲いかかる。

         

        「チッ……」

         

         長旅を共にした馬を心配する楢橋であったが、しかしそこは鬱陶しそうにしながらも架崎と浮雲がてきぱきと樽をいなしていったため、結局のところ荷台に二つほどぶつかった程度で収まった。
         悪態をつきながらも荷を回収していく御者を尻目に、けれど架崎と浮雲は壊れたその荷馬車を注視していた。

         

        「はぁん……」

         

         半ば納得したように声を上げる浮雲。その瞳には、どちらも一本だけ鋭利な断面を晒して折れている、二つの車輪の軸が映っていた。
         彼女からは背になっていたが、荷台を破壊したのは鋼鉄製の糸である。細さと強靭さによって刃物と化したそれは忍の武器の一つ。本来は罠に用いるものであるが、精密かつ高速に投擲された糸は、宙を裂く刃に等しい。

         

        「じ、じゃあ、ありがとうございましたー!」

         

         好機と見た楢橋も馬を走らせ、架崎はそれを目で追っていた。
         じり、と二人の脚に力が籠もる。荷台を壊した犯人の不在を悟った二人にとって、不自然な現象で最も利益を得た楢橋は重要参考人に他ならない。
         しかし、二人が実際に楢橋を追うことはなかった。
         そんなことよりも身も心も揺り動かされる事態が起きたからだ。

         

        「っ……!」

         

         ぐらり、と。
         足元が不確かになるような、そんな揺れが浮雲を襲った。
         地震だ。
         それも、家屋が軋みを上げるほどの、大きな地震である。

         

        「ゆ、揺れだー! 荷を守れーっ!」
        「うおぉぉぉハガネ様がお遊びなさってるぞぉぉぉ!」
        「船攫われないように気をつけろォー!」

         

         揺れは二度か三度、大きなものが来て、その後しばらく控えめの揺れが長らく続き、そして収まった。
         蔵町だけあって各所で商人が点検に大わらわになり、宵の口ともあって惜しげもなく灯りを使う蔵が、その口から淡い光を吐き出し始めた。平時とはまた別の活気が生まれるその中で、崩した荷を戻したばかりの御者が、再び崩れた樽の前で泣いていた。

         

        「珍しいな」
        「ああ、だね」

         

         架崎の感想に相槌を打つ浮雲は、顔に不快感をにじませていた。
         彼女の視線は、訝しるように一点に注がれていた。

         

        「けど、どうにもきな臭いねえ」

         

         揺れが収まったにも関わらず、ずっと、小さく不規則に揺れ続けている、他の商館の脇に吊るして干されていた魚たちを。

         

         

         

         


         時は遡り、大地が揺れるその少し前。岩だらけの山肌を晒す御蕾山が、赤みの差し始めた日差しに照らされている頃。
         山の中腹もとうに越えた場所に、二つの人影があった。夜が迫る中、上へ上へと足を止めないその二人は揺波と千鳥だ。サリヤたちから遅れること一週間、合流を目指す揺波たちはその最終行程に差し掛かっていた。

         

        「サリヤさんたち、順調だといいなあ」

         

         先を行く揺波がひとりごちる。あってないような登山道を走破するその速さは、山登りというには急ぎすぎているようであったが、火照った身体が山の涼やかな空気で冷やされる心地よさを満喫しているようでもあった。
         それに追従する千鳥は、

         

        「俺たちが無事に着いたんだ、あっちもきっと万全の体制で待っててくれてるさ」
        「でも実質サリヤさん一人なんですよね……? 大丈夫かな」
        「まあ……そこはほら、あっちのすごい技術でなんとかするんじゃ?」

         

         もう幾度となく交わした会話を、これで最後とばかりに繰り返す。
         それからもうしばらく登っていくと、山の頂上まであと二合かそこらという位置ある、開けた場所に出た。下を見るのが恐ろしいくらいの崖の上からは、大きな河の流れる平野が一望でき、夕日に焼かれる都の姿がその先に見て取れた。

         

        「ユリナちゃん!」

         

         そんな景色を前に立ち止まった揺波の名を呼んだのは、サリヤであった。

         

        「よかった、ちゃんとここまで来れたのね!」
        「はい! サリヤさんも大丈夫だったみたいでよかったです!」
        「そうね、ちょうどいい助っ人も来てくれたことだしね」

         

         助っ人という言葉に首を傾げる千鳥は、直後、自分に向かってくる助っ人を見て露骨に顔をしかめた。

         

        「うげ……なんで佐伯さんが」
        「何か不満でもあるか? そっちは、天音を届ける任務を果たせるほどにはガキの使いから卒業できたようだな」
        「最初からガキの使いじゃねえよ!」

         

         にらみ合う両者に苦笑いするサリヤは、

         

        「準備は順調よ。ハガネちゃんもなんとかいけそうだって」
        「そうですか。で、あれが――」

         

         揺波の視線が示す物を見て取ったサリヤは、頷くと共に揺波たちをそれの下へと案内する。作業中だったジュリアが揺波たちに気づき、拳から親指だけを上げて笑ってみせた。

         

        「ちょうどよかったデス! あとモーチョット!」
        「九割方完成してるわ。あとは最後にあちこちしっかり固定するだけ」
        「すごい……」

         

         揺波の感嘆が向けられたもの。それは、大きな筏であった。
         複数の丸太の足場に支えられたその筏は、下手な家よりもなお広い面積を有しており、この場にいる五人を乗せてもまだ余裕がある。帆がない代わりに、揺波の顔くらいまでの高さがある四本の柱が立てられており、結ばれた頑丈そうな紐が船上に垂れていた。緩く三角を描く前面には、何かを阻む盾のような板が取り付けられている。

         

         ここまでであればそこまで大きく目を引くようなものではないが、特徴的なのはその船首に据えられたサリヤの愛機・ヴィーナである。丸太から切り出された複数の歯車が、車体を飲む込むようにして複雑に絡み合い、ヴィーナの力を伝えるように船体へ組み込まれていた。その様子は、筏を何か未知の乗り物へと変貌させているかのようであった。

         

        「いざ目の前にすると、なんというかこう……本当にやるんだな、って気持ちになりますね」
        「正気か、って思ってたけど、これ見たらなおさら正気を疑うよ、俺は……」

         

         引きつった笑いを見せる千鳥は、もちろん計画の全容を知っており、サリヤたちの作るこの筏が要の一つであると理解しているし、納得もしている。けれど、絵空事のようであった計画が形になったことに驚く揺波とは違い、これから行われることを想像させられて彼はげんなりしていた。
         と、登場した二人を佐伯が急かす。

         

        「もう猶予はない。ぼさっとしてないで手伝え。お前たちにもできる、この縄で丸太と丸太を力いっぱい縛るだけの簡単な作業だ」
        「それならなんとかやれそうです!」
        「天音……おまえ……」
        「千鳥さん?」
        「いや、なんでもない」

         

         縄紐をどっさりと受け取った二人は、指示された通りに筏の土台となる丸太を固定していく。元々既に縛って固定してあるようだが、さらにきつく強固に、丸太同士は密になり、三列で組まれた厚い土台がさらに頑丈さを得ていく。
         その過程で隙間から筏の内側を覗いた揺波は、思ってもみなかった有様になっていることに感心の声を上げる。

         

        「千鳥さん、これこれ。どうやって作ったんでしょう。というより、どうなってるのかさっぱりです」
        「うわ、前のほうすごいことになってるな。……あー、あそこが動くようになってるのはまだ分かるけど、そこから先は俺もさっぱりだ」
        「えっ……あっ、ほんとだ! 一緒に動いてます! ……どうして?」
        「これ、二段目に絡繰詰め込んでるのか……にしても分からん……」

         

         理解の及ばない機構の理解を試みては、返り討ちにあって知恵熱を出す揺波。日も落ちてきた中、暗がりになった内部を凝視しようとするが、忍の利を活かして夜目を利かす千鳥であっても遠く理解が及ばない。
         そんな彼女たちへ、ヴィーナの足回りをいじっていたジュリアは得意げに、

         

        「フフン……今回はイロイロ制限ある中、ワタシもがんばりマシタよ! 耐久と安全が必要でしたノデ、イマイチなところ結構ありますが、機関はヴィーナスペシャルエディションでお届けデス!」
        「鋼鉄のヴィーナと木造機関の組み合わせには私も驚かされました……それに応えられる加工法にも。ジュリアさんたちの技術には学んでばかりです」
        「思いつきですし、大したコトないデスよー。ねえ、ミコトのミナサン!」

         

         えへへー、とこすった鼻を墨色に染めるジュリア。その姿にサリヤは仕方ないといったようで、あちこち煤と土と木くずまみれになっていたジュリアにはもはや世話を焼くことを諦めていたようだった。

         

        「いえいえ! あなたがたのご協力があれば、きっとこの地は正しく進歩を加速させていくものだと確信しております……! その際にはこの佐伯、全力を尽くさせていただきますので――」
        「喋ってないで縄とってくれよ、佐伯さん?」
        「…………」

         

         言葉を遮られた佐伯が、沈黙と共に千鳥へ縄を乱暴に投げて渡した。
         そして丸太との格闘に戻った佐伯が、ぶっきらぼうに言い放つ。

         

        「もうすぐ日没だ、急ぐぞ」

         

         くすくすというサリヤの抑えた笑い声を耳にしながら、揺波は受け取った縄を丸太にくくりつけていく。
         そんな彼女たち五人の手元を、宵の色が覆い始めていた。

         

         

         

         

         


         一人の少女が、大地に身を委ねるように寝そべっていた。
         一見するとただ眠っているようだが、彼女を中心として渦巻く力、そしてそれ故の強大な存在感は人の身には余りある。

         

        「ふぅー……」

         

         その名はハガネ。大地を象徴するメガミである。
         サリヤたちが準備を整えている間、ハガネもまた一人、準備を進めていた。そして今日それは終わり、黙して夜を待っていた。
         溜め込まれた力は、少し気を抜いただけで取り逃がしてしまいそう。大地を間近で感じる以前に、今のハガネにはそれ以外のことをする余裕はない。全てを機が熟すその瞬間に捧げていた。

         

         爽やかな山の晴れを見送り、燃えるような朱い夕日に別れを告げた。
         日没。
         その夜の始まりが、合図だった。

         

        「よし、やるぞッ!!」

         

         気合を入れ直すような発声と同時、この数日間溜めていた力を解放する。
         その向き先は、大地。
         大地の力が、御蕾山という突き出た大地、さらにはこの一帯に注がれていく。

         

        「う、っとと……」

         

         堰を切ったように流れ出していく膨大な力に制御が乱れそうになるも、なんとか持ち直して最後の撃鉄を起こし終える。
         ちら、とその目線が、山の上へと向けられた。

         

        「あたしはここまでだけど……ユリりん、サリねえ、ジュリにゃん……絶対勝ってね……!」

         

         夜闇の中、白い歯を覗かせて、ハガネが作ったのは小さな笑顔だった。
         そして大きく一つ、深呼吸し、

         

        「いっくよーーー! 大山をッ、穿つッッ!」

         

         

         その瞬間、大地が、山が、鳴動した。

         

         

         

         


         立っていられないほどの揺れが襲い、サリヤはヴィーナの舵を握る手にいっそうの力を込めた。

         

        「みんな、掴まって!」
        「うわわわわわわ! 流石にやばいってこれ!」
        「ヒャー! どのくらいのエネルギーなんでショウ!?」

         

         筏に乗り込んでいた一行は、反射的に突き立てた丸太に飛びついた。ガタガタ、と足場からふるい落とされるように筏は移動を始め、千鳥が思わず自分の命綱を確かめた。
         揺れはさらに大きくなり、山を底から斧で叩き割ろうとしているような衝撃が何度も突き上げてくる。

         

         と、サリヤはその揺れが一瞬収まったのを感じた。
         代わりにやってくるのは、浮遊感だ。

         

        「サリヤさん! 崩れ始めました!」
        「オッケー!」

         

         応じる言葉と同時に麓に大量の土砂の流れが生まれ、遅れてサリヤたちのいる場所もつられたように山の斜面だった痕跡を滑り落ちていく。山の内側から溢れ出た水と共に、その流れは土色の滝となって麓の森へと殴りつけるように注いでいた。
         サリヤが持ち手をひねりながらヴィーナの頭を持ち上げると、それに応じて筏が首をもたげた。すると、滝に沿って垂直落下しようかという寸前で、筏は滑空するかのように滝から離れていく。

         

        「ああああああああっ、落ち、落ちるううぅぅぁあああああああ!!!」
        「あぁっ! ら、ライラ様っ、シンラ様、どうか、お守りをぉぉ……!」
        「舌噛まないでねッ!」

         

         悲痛な悲鳴を上げる千鳥と、眼鏡を抑えて小刻みに震える佐伯へとサリヤが忠告したその直後、森を強引に流れていく濁流の上に、筏が盛大な飛沫を上げて着地する。高度から考えれば真っ二つになっていないことが不思議なくらいだが、乗員共々筏は無事であった。成果を誇示するように、ヴィーナを取り巻く歯車が忙しく回っている。
         筏はそのまま、大きく、速く、そして力強くなっていく土砂の川に運ばれ、一気に裾野を突き進む。森を抜けたところには海まで続く長柄河が流れており、穏やかだったはずのその河も、文字通り顔色を変えて荒れ狂っていた。

         

         土石流。
         大地の力によって生じた奔流に乗って、五人を乗せた筏は進軍を開始する。

         

        「波に乗るのは好きだけど……まさかこんな形で活かされるなんてね」

         

         独り言は、河に合流してさらに勢いを増した土石流の轟音にかき消される。
         舵代わりのヴィーナをしっかりと操りながら、暴力的な波に飲まれないよう確かに船首を南へ向ける。
         その先で夜陰に紛れる、最終決戦の地・瑞泉へと。

         

        「さあ、行くわよ!」

         

         

         


         この策を知ったときには、正直カナヱも驚いたさ。見様によっては、馬鹿じゃないかとすら思うようなものだからね。。
         しかしこれはハガネの存在によって可能となり、その利点は無視できない。まさに奇策にして上策だったんだ。
         これくらい危険で突飛なことを実行に移せるのもまた、英雄の素質なのかもしれないね。

         

         さて、強襲を敢行した天音揺波一行だけれど、瑞泉領までは少なくない距離がある。
         常識はずれの奇策だからといって、一筋縄ではいかないのが瑞泉だ。さあ、返す一手はどうなるか、ご括目と行こうか。

         

        語り:カナヱ
        『桜降代之戦絵巻 第五巻』より
        作:五十嵐月夜  原案:BakaFire  挿絵:TOKIAME

         

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        2018年6月禁止改定

        2018.06.04 Monday

        0

           私どもはバランス調整の宣言と、それに基づく理念に従い毎月第一月曜日にカードの禁止改訂を行います。この記事はその2018年6月のものです。禁止カードを出すことそのものについて疑問や不安を感じる方は、こちらよりリンクしている宣言か、それを要約した理念をご一読いただければ幸いです。

           

           

          2018年6月禁止カード

           

          なし

           

           

           まずは結論をお伝えすると、私どもは今月の時点で禁止カードを出すべきではないと判断しました。

           

           初めての禁止改定であり、新幕が広く遊ばれて初めてバランスについて語る場でもあるため、語れることは多いものです。お話しできる限りの見解をお伝えしましょう。

           

           しかしながら、この場で全てを語るべきではないとも私どもは考えています。当然ですが、私どもバランス調整チームは今の環境に対して注視し、より魅力的なゲームにする方法を考え続けています。その結果として今の環境に対して、私たちなりの現時点での考えを持っています。

           

           ですが、この場でそれらを全て伝えてしまうとプレイヤーの皆様の考えを曲げてしまい、純粋な体験や探求の楽しさを阻害してしまう恐れがあります。また、環境を不必要に誘導するため、適切なデータを得られなくなる恐れもあります。

           

           例えば『第二幕』初期で、ユリナ/トコヨが最も強力であり、中距離で戦うメガミはほぼ機能していないなどと公式で書くのはゲームの魅力を削ぎ落す行為でしょう。仮にそれをやるとすれば、ユリナかトコヨから禁止カードを出す場合に限られます。しかし今回は禁止カードは出さないという決定を下すのです。

           

           それゆえに、これからお話しする見解はかなり広い視点から見たものとなり、少しばかり具体性に欠けることをお許しください。全てのメガミに対する詳細な見解はカード更新の際に必ずお話ししますので、それまでお待ちいただければと思います。

           

           

          全体への見解

           

           まずゲーム全体の環境をどう考えているのかを述べると、魅力的で楽しいゲームになっていると考えています。全体的にカードパワーが向上した結果、『第二幕』より過激な爽快感があるゲームとなりました(ただし、この変化は基本的には良いものと捉えていますが、一概に改善と言うのは危険です)。後述しますが、ゲームバランス面でも致命的な問題はないと考えています。

           

           しかし他方で、完成された『第二幕』のゲームバランスと比べると荒々しいものとなっているとも考えています。私が理念としている理想の環境に近づいたか離れたかというならば、残念ながら離れたと言わざるを得ないでしょう。致命的な問題は発見されていませんが、小さな問題は『第二幕』の最終段階よりは多くなっています。そして禁止カードを出す必要こそ感じませんが、今後のカード更新の必要性は強く感じられます。

           

           ではこれは大失敗かというと、そうは考えていません。確かに失敗はゼロではありませんが、そもそもの目的であった「拡張するための空間を確保すること」は達成できているためです。その上でより良くできる余地こそ多いものの、ゲーム自体は十分に魅力的なのです。

           

           当然、私どもの力不足によるところは多分にございます。そもそものゲームの構造ゆえの調整の難しさなど、情状酌量の余地を感じて頂けると大変ありがたいですが、満点ではなかった以上は誠意と謝意を示す必要を感じています。誠に申し訳ございません。今後も引き続き、宣言と理念に従い、ゲームをより良くしていく意思を示すことでご容赦いただければありがたい限りです。

           

           

          なぜ禁止カードを出さないのか

           

           ここまでを踏まえ、今回禁止カードを出さないのはなぜなのでしょうか。理由は大まかに分けて2つあります。それぞれ説明しましょう。

           

           1つ目として、ゲームバランスにおける「致命的な」問題はないと考えているためです。現状で私どもは何柱のメガミと、彼女らを含むいくつかの組み合わせについて注目し、観察を続けています。それらの組み合わせが強さの面でまったく問題ないかというと、そのようなことはありません。

           

           しかしいずれの組み合わせにもいくらかの弱点があり、ゲームを破壊するほどの絶対性もありません。つまり、自明な一強にはなっていないのです。選択の余地は十分にあり、多様なゲーム展開も得られています。

           

           悪い例を挙げるならば、『第一幕』初期ではユキヒが明確な回答であり、『第一幕』末期はユリナ/ヒミカに勝てるメガミは存在しませんでした。『第二幕』初期から『第壱拡張』では熟練したプレイヤーのユリナ/トコヨに勝つことはあまりにも困難を極めたものです。これらの環境では解答が自明であるため、禁止カードを出すのが正しい判断でしょう。

           

           これに加えてもう一つ理由があります。2つ目の理由は、あまりにも環境が初期すぎるというものです。本作は正式な発売日からまだ2、3週間程度しか経っておらず、32人以上での公式大会に至ってはまだ一度も開かれていません(今週末、6月10日の大会が最初となります)。

           

           さらにプレイヤーの皆様の創造力と熱意は素晴らしく、日々新しい戦略が発見され、研究と洗練が行われています。結果として環境は動き続けており、私どもが今の時点で問題ではあると考えているところが本当に問題であるかどうかはこれまで以上に慎重に検討する必要があります。

           

           このような状況の中で今日に禁止カードを出すのは、余りにも結論を急ぎ過ぎています。そして禁止カードに対して私どもは慎重でありたいため、ここで急ぐのは理念にも反しているのです。

           

           さて、6月の禁止改訂についてはこのような見解です。では7月はどうなのかと軽く触れておくと、これについてもやや否定的です。7月28日には大阪でシーズン1を締めくくる大規模大会が控えているからです。

           

           熱心なプレイヤーの皆様はそこに向けた研究や練習を続けており、その4週間前に安易な禁止カードを出すのは皆様を不用意に掻き乱し、大会を魅力的でないものにしてしまう恐れがあります。但し、安易とはとても呼べないような問題が仮に持ち上がったならば、その限りではないのも確かでしょう。

           

           少なくとも今のところは否定的である、という程度に考えて頂ければ幸いです。

           

           

          では改善は行うのか

           

           今回の禁止改訂は以上となりますが、全体への見解で述べた「荒々しいバランス」にはどのように措置をするのかも少しお話ししておきます。

           

           私どもとしてはこれらの粗削りさに対しては、禁止カードではなくカード更新で対応するのが正しいやり方だと考えています。現状では何柱かのメガミがバランスを乱しているのは確かで、彼女らへの微調整は必要でしょう。

           

           しかし私どもはそれ以上に、何柱かのメガミが勝ち辛い状況にあることの方が問題だと考えています。原因は2つあり、第1に単純にカードパワーが不足していること、そして第2に特定のメガミがそのメガミの強みを奪いすぎていることが挙げられます。

           

           これらへの解決に向け、いくつかのカードの上方修正を行うと共に、強みを奪っているメガミのある側面を弱め、代わりにある側面を強める形での調整を進めております。

           

           これらは予定通り、8月の『新幕 第壱拡張』(ならびに無料で配布するカード更新パック)でお届けしますので、ご期待頂ければと思います。

           

           

           本日は以上となります。初回であるために長文となりましたが、次回以降はある程度短くなる見込みです。次回の禁止改訂は7月2日(月)となります。

           

           

          (2018/06/05 文章修正)

           4日時点での「全体への見解」段落の文章があまり良いものではなかったと判断しましたため、当該段落を意図通りになるよう書き直しました。元の文章は批判を恐れるあまり、幾らか自衛的になってしまったことを深く反省しています。人によっては不快に感じる方もいらっしゃったかもしれません。ご不快に思われた方には深くお詫び申し上げます。

           誤解なきよう念には念を入れてお伝えしますが、このように文章を修正することこそあれど、禁止カードやカード更新への決定を覆すことは決してありえませんので、その点はご安心ください。また、文章の修正は自分への戒めも込め、このようにその旨を記載します。

          今後の展望、2018春夏

          2018.06.01 Friday

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             こんにちは、BakaFireです。本日の記事では久方ぶりに今後の展望についてお話しさせて頂ければと思います。初めてご覧になる方のために説明すると、私は三か月に1回、本作の今後の展望や指針をまとめ、説明させて頂いているのです。

             とはいえ2017年12月の記事ののち、2018年3月の記事はお休みをいただいておりました。これにつきましては2つ理由があります。1つ目が『新幕』の原稿があまりにも慌ただしく、記事を書く余力がなかったことです。そしてもうひとつが、次に発表すべき内容の多くはゲームマーケット2018春でのステージイベントの内容でもあったため、それまで取っておきたかったのです。

             今やステージイベントは終わり、そして3月を超えて6月を迎えました。ならばステージイベントの内容も踏まえ、改めて今後の展望をお伝えするべきでしょう。


            前回の展望のおさらいです。

             

             今後の展望シリーズでは毎回、前回の展望を見直し、それらがどうなったかを確認していました。1回空いてしまったためやや時代遅れなところはありますが、今回もそれに倣いましょう。

             

            デジタルゲーム版が本格的に動き出します!

             

             こちらについてはあなたにお詫びしなくてはなりません。デジタルゲーム版のリリースは2018年春を予定しておりましたが、2018年内へと変更させて頂くことになりました。

             一応補足しておくと、私はデジタルゲーム版の開発を取り仕切る立場にはありません。しかしながら本作全体に尽くしていく立場として責任を感じております。誠に申し訳ございません。

             とはいえ、ステージイベントでの発表からも分かる通り、計画は頓挫したわけではありません。むしろより魅力的な姿に向けて進み続けております。お待たせして申し訳ありませんが、引き続きご期待頂ければ幸いです。

            第二幕の頒布物計画を再構成しましたよ!

             

            全ての製品を再生産いたします!

             

             無事というとやや語弊はありますが、ほぼ計画通りに全ての再版が完了し、これにて『第二幕』シリーズはほぼ生産終了となります(まだもうひとつ計画はありますが)。

             『第二幕決定版』『第壱拡張』『第弐拡張』『第参拡張』『祭札通常版』については現在流通している分で全てとなりますので、ご入り用ならば早めにお求めいただければ幸いです。

             

            細音雪花DL版が2月に発売します!

             

             本作の設定資料集である細音雪花DL版は無事にDLsite.com様にて発売しました(発売は3月に延びてしまいましたが)。本作の世界に興味がありましたら、是非とも手に取って頂けると嬉しいです。

             より詳しくはこちらの記事をご覧くださいませ。

            公式ネットショップを開始するぞ!
            コミックマーケットにて公式グッズが発売します!

             

             こちらについては幾ばくかの方針転換がありました。結論を申し上げると、私どもBakaFire Partyは公式ネットショップは持たないことを選びました。従って現在は公式ネットショップは存在していません。理由は2つあります。

             1つ目は様々なゲームショップ様に対してより誠実であるべきと考え直したのです。私どもがアナログゲームをリリースし、充実したサービスを提供するにあたり、様々なゲームショップ様との連携は極めて重要です。しかしゲームの製造元そのものがネットショップを持ってしまうと私とそれらのショップの間でパイの取り合いが生じてしまいます。これらを踏まえ、私どもそのものが公式として流通に携わるのは失敗だったと判断しました。

             もう一つの理由は、デジタルゲーム版を開発、運営する有限会社センキ様から、自社のショップを持ちたいという要望があったためです。センキ様は今は本作のみに注力して頂いていますが、1年、2年先には当然ですが他の作品も手掛けることになります。その際に、それらのシリーズ全てのグッズを扱えるように会社としてのショップを持つべきと判断したのです。

             以上により思惑は一致し、公式ネットショップは廃止され、デジタル版公式ネットショップ「極ジョー商店」が設立されることになりました。

             もちろん、他でもないデジタルゲーム版の開発会社が運営するため、私どもとは強い連携関係を持つことになり、今後のサービスでもご助力いただきます。しかしながら大枠では(デジタル版公式グッズを扱う以外は)他のゲームショップ様と同じ位置づけと考えて頂ければ幸いです。

            現状のバランスにつきまして

             

             もはや『新幕』が発売していますが、ここでは『第二幕』についての話となります。

             『第二幕』のバランスはひとつの理想形として完成を見たと考えています。全てのメガミが強いと感じられ、それぞれの強みは十分に異なっています。今後の拡張性にこそ大きな欠陥がありますが、今この時点で完結しているゲームとしてはあらゆる意味で完成したといえるでしょう。

             今後、『第二幕』のバランス調整を行う予定は(あらゆるデッキにほぼ必勝のデッキが突然開発されない限り)行われる予定はありません。

            来年以降のイベントにつきまして

             

            公式イベントのスケジュールが定期化します。

             

             現在、問題なく毎月第2日曜日に公式イベントが開催されています。

            慣れていない方へのサポートを強化します。
            初心者講習会、交流会を開催!

             

             対戦会は今はお休みをいただいていますが、近いうちに再開します。

             また、別の試みとしてイエローサブマリン様での体験会も始まりました。これらの体験会は今後もシーズンの開始時に定期的に行われます。その際にももちろんプロモーション集中力「ユキヒA」は獲得できますよ!

            基本セット大会を交流祭で併催!

             

             こちらへのフィードバックは良いものもあれば、悪いものもありました。難しいところですが「新幕」となった今、ひとまずは保留しておくことにします。

            戦乱之陣の参加賞も変化します!

             

             予定通り現在もプロモーション集中力「オボロ」が獲得できるようになっています。

            第二幕最大の、一大イベントを開催します!

             

             第二幕大決戦は無事に4月7日に開催され、大成功でした。詳しく知りたいならば、ぜひともこちらのレポートをご覧ください。

             

             

            ここまで終わって次に向け

             

             ここまでが前回の展望となります。多くの物事で成功し、順調に『第二幕』はひとつの終着点へとたどり着けました。そして次に『新幕』も無事に開始しています。

             しかし他方で、強く問題に感じている点もあります。製品の再生産、細音雪花DL版のスケジュールに乱れがあった点をはじめとして、様々な点に至らなさが生まれてしまっているのは確かです。少し主題からそれますが、本日の展望ではその点にも触れられればと考えております。

             それでは、次の展望を始めましょう!

             


            デジタルゲーム版はより魅力的に!

             

             ゲームマーケット2018春のステージイベントではデジタルゲーム版の発表も行われました。先日の記事の冒頭でも書いた通り、メディア様での記事でまとめられておりますので、まだ見ていないのならばぜひともご覧ください。

             

            Gamer様

            ガジェット通信様

            インサイド様

            GAMEwatch様

            ゴジライン様

            4Gamer様

            電撃オンライン様


            お時間がない場合はプロモーションムービーだけでもいかがでしょう。2分半ほどの動画となります。

             

             この勢いで、デジタルゲーム版の開発は順調に進んでおります。ご期待の上、お待ちいただけると嬉しい限りです。

             


            より幅広く組織化を進めます

             

             『第参拡張』での失敗以降、私は様々な仕事の委託を進めてきました。今では流通、経理、大会賞品送付などの業務はすべて委託できており、どうにか過労死を免れる程度の忙しさとなり、ゲームデザインにこれまでより注力できるようになりました。

             というより、これらの委託ができていなければおそらく『新幕』は発売延期となっていたため、私はどうにか命拾いしたとさえ言えるのかもしれません。

             しかしこれでもなお、私はあなたに改めて謝罪したく思っています。スケジュールの乱れなどからも分かる通り、私はまだあなたに対して十分に誠実だと胸を張れるほどには本作に尽くせていないと痛感しているのです。

             これらの不実のうち、本作において分かりやすいのはWebサイトについてです。本日どうにか『新幕』のスマートフォン版での公式サイト(このリンクはスマートフォンから使用してください)がオープンしました。しかしまだ細かな内容に不足があり、PC版は間に合っていないため急場をしのぐ形となってしまっています。

             

            (挙句の果てにいざ更新してみたらスマートフォン版で大会情報を読み込まない問題が生まれてしまいました。作業環境ではちゃんと読み込んでくれていたのになぜ……)

             ひとつ補足すると、私が最も注力すべき仕事は何かといえば、間違いなくゲームデザインです。私は『第参拡張』でそれを痛感してから、ゲームデザインに一番の重きを置いて行動しています。結果として、それ以外に至らないところが生まれてしまっているのです。

             この現状を踏まえ、次はどうするべきかを考えました。現在、本当にありがたいことに『新幕』はご評価を頂けており、私の状況はより良くなりつつあります。ならば私はそれにふさわしいサービスをあなたに提供できるようにしたいのです。しかし残念ながら、もはや物理的に時間が足りません。

             これらを踏まえると、より組織化を進めるべきだと結論付けられます。私は今後、外注、雇用などをもう一歩踏み込んで進め、現在の課題の克服を図ります。

             しかしながら、私は慎重にならなければならないことも理解しています。私以外に任せることを増やすということは、私自身が力を込められないものが増えるということです。結果として、本作らしくない方向に舵が切られてしまい、本作としての魅力を殺してしまう恐れがあるのです。

             私はそのリスクを決して忘れないよう意識し、どうにか上手くやれるよう全力を尽くします。どうか暖かく見守って頂ければこれ以上の喜びはございません。

             


            公式サイトを初めとして、

            新幕のサポートを補強します

             

             すぐ上でお伝えした通り、誠に申し訳ないながら公式サイトの計画には遅れが生じています。しかしこれまた上記の通りに改善を図り、より密なサポートを行えるよう進めてまいります。

             具体的には、ゲームを解説するルールガイドの作成、定期的で秩序だった形でのゲームバランスやルールへのサポート、新幕ふるよにコモンズの作成、PC版公式サイトのオープンなどを進めております。これらの多くは6月中には実現できる見込みですので、ご安心ください。

             


            大規模大会が大阪で開催だ!

             

             第二回全国大会のレポートで次の大規模大会について軽く触れ、バランス調整の宣言では本作が今後シーズン単位で区切られるという指針が示されました。そしてそれらのシーズンごとに1回は大規模大会を行い、シーズンの頂点を決めることもところどころの更新でお伝えしております。

             本日はその初報です。来たる7月28日(土)『新幕』初となる大規模大会を大阪にて開催いたします。人数は予選を含まないイベントとしてはこれまでで最大の128人規模となります。

             参加申込の開始や、詳細の発表は近いうちに行われますので、可能であれば今のうちに予定を開けておいてください。あなたのご参加、心よりお待ちしております!

             

             

            現状のバランスにつきまして

             

             気になる所かもしれませんが、もはやこのシリーズでゲームバランスを語ることはありません。

             先日の新幕バランス調整への宣言でお伝えした通り、今後の第一月曜日には禁止改訂が行われ、さらに新しい拡張が発売されるたびにカードの更新が行われます。そしてそれらの折にはブログで記事が掲載され、そこでバランスについて語ることになります。

             つまり、ゲームバランスについてより緻密に監視し、ルールに基づいたスケジュールでお伝えできるようになるのです。

             


            『新幕 第壱拡張』が進行中!

             

             そして最後に、次のシーズンに向けた話も行いましょう! ステージイベントにてお伝えした通り、8月10日から12日のコミックマーケット94にて『新幕 第壱拡張』が先行発売いたします。そして、8月17日(金)に一般店舗で発売する予定です。

             先程の課題でゲームデザインに注力しているとお伝えした通り、こちらの開発は極めて順調です。安心してご期待頂ければ幸いです。

             そちらでは『第参拡張』で登場したメガミ・ウツロが新幕仕様となり帰ってくるほか、より魅力的なゲームに向けたカード更新、そして新たなやり方での拡張としてアナザー版メガミが登場します。

             アナザー版メガミについては補足しておきましょう。アナザー版メガミとは、メガミのある時期やある側面を切りだして宿すという新たな技により生まれた、ある意味で新たなメガミを指します。まずはステージイベントでもお見せしたイラストやカードをご覧ください。

             

             もし公式小説をお読みでしたらピンと来るかもしれません。このユリナは「第一章」ユリナであり、公式小説第一章の頃のユリナを切り出して宿すというものです。同じくサイネは「第二章」サイネなのです。


             ちょうどカードがある「第二章」サイネを例に説明いたします。「第二章」サイネは2枚のカードを持ちます。そして従来のサイネのカードのうち、2枚を置き換えた姿となります(例えば「二重奏:弾奏氷瞑」はS-2なので、「響鳴共振」と置き換わります)。

             そして今後サイネを宿す際には基本の姿か、「第二章」のどちらかを選びます。もちろん「第二章」サイネを宿す場合も他のメガミと組み合わせますが、その際にサイネと組み合わせることはできません。

             これは今後の拡張の指針でもあります。本作に登場するメガミたちは、まだ魅力を掘り下げる余地があります。同様にゲームとして見ても、決死、八相などのギミックにはまだ広げられうるデザイン空間があります。

             ゆえに今後は新たなメガミにより横に拡張していくだけでなく、アナザー版メガミを出すことでメガミを掘り下げる形での拡張も行っていくのです。他方でアナザー版はアナザー版として11枚のカードが使えるに過ぎないため、眼前構築が複雑になりすぎる心配もありません。

             『新幕 第壱拡張』には4柱のアナザー版メガミが登場します。ご期待頂ければ幸いです。


             以上となります。新幕最初となる今後の展望、お楽しみいただけていればうれしい限りです。次の展望は『新幕 第壱拡張』発売後、9月にお届けいたします。

             

             次の私の記事は再来週となり、いよいよ今度こそクルル特集を掲載します。ご期待くださいませ!